刀身に誓った恋 或は 頭身が違った恋

詠月初香

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パァーーーン!!

自分の左耳のすぐそばから聞こえた炸裂音にひりつく灼熱感。そしてグラリと大きく揺れる視界。階段を昇り切る直前、まさに最後の一段に足をかけようとしていた私は、頬を叩かれた事によって大きくバランスを崩してしまい、階段を一番下まで転げ落ちてしまいました。

「その醜い姿で私の横に立とうなど、良く思えたものだ。
 今ここにモディストス王国王太子ジェラルド・モディストラの名において
 コルネリア・ガウディウムとの婚約を破棄する!」

(貴方が私を呼んだのに)とは思うものの、ズキズキと痛む全身に呼吸すらままなりません。そんな痛みのあまり霞む視界の向うで、ジェラルド殿下が忌々し気な目で私を見下ろしていました。その一般的に美形と評されている顔から吐き出される罵詈雑言は今に始まった事ではなかったのですが、こうして手をあげられたのは初めての事でした。


━━━]━━━━━━━━━-


ほんの10数分前のこと。
モディストス王立高等学園の卒業パーティの開会の宣言と挨拶をする為に、ホールにある王族と王族に認められた者のみが上がる事ができる二階席に現れたジェラルド殿下に

「コルネリア・ガウディウム伯爵令嬢、ここへ!!」

と呼び出しを受けたのです。そんなジェラルド殿下の後ろには、殿下の幼馴染で将来は父親と同じく外務大臣として側近を務めるだろうと言われているチェスター・ガステール公爵子息と、同じく側近候補で総騎士団長の息子のフレデリック・クロイツ侯爵子息が控えていました。そして何故かレイチェル・ミーモス侯爵令嬢と義弟のダニエルまでもが付き従っています。

(今日はどんな嫌な事や酷い事を言われるのかしら……)

そう思うと憂鬱極まりありません。憂鬱すぎて何だったら今すぐにでも聞こえなかったふりをして逃げ出したいぐらいです。ですが殿下が現れた事によりホールは静まり返っていて、そこに響いた殿下の大きな声が聞こえなかったと主張するのは無理があります。

それにジェラルド殿下は私の婚約者なのです。ですからパートナーとして殿下の傍に控えていなくてはならない事も理解しています。えぇ、理解していますが気が重いのです。

この婚約は王命によって決まったものでしたから、ジェラルド殿下に対して恋愛感情は全くありません。むしろどちらかといえば苦手なタイプです。ジェラルド殿下はハニーブロンドに翠眼と童話に出てくる王子様のような典型的な美形で、少々濃い顔立ちではありますが年頃の女性の憧れの存在です。ただ殿下が私を見る時の表情や言動が少し……いえ、はっきり言って苦手どころか大を幾つも付けたくなるぐらいに嫌いなのです。なにせ殿下嫌いが高じて、殿下と同じような濃い顔立ちの人全員が苦手になってしまったぐらいですから。

婚約したばかりの頃は特に好きでも嫌いでもなかったのですが、何度も何度も自分を傷つけるような言動をする人を好きになれるはずがありません。そういった私を傷つける発言の殆どが根拠のないものだったので、最初の頃はそれらに対して勇気を振り絞って丁寧に訂正や釈明をしました。ですがそんな私の勇気や行為は全く意味がないのだと理解するまでに時間はかかりませんでした。何せ殿下の言葉を訂正すれば、最初の酷い言葉の10倍以上の罵詈雑言が返ってくるのですから……。

なので訂正もせずに言われっぱなしになっていたのですが、何を言われても傷つかないという訳ではありません。あまりにも酷い殿下の言葉に涙がこぼれそうになった事も、堪えきれずに自室で泣いた事も数えきれない程にあります。

そんな訳で殿下の事は関わり合いになりたくない程に嫌いなのですが、王命による婚約なので私に拒否権はありません。そのうえ愚かな父母が王家から我が家に支払われた支度金の大半を、既に使い込んでしまっているので尚の事拒否できません。その件に関しては私の代わりに伯爵家を継ぐことになっている、分家筋から我が家に養子に入ったダニエルと一緒になって何度も注意しましたが、聞き入れられる事はありませんでした。

「承知いたしました」

そう答えて頭を下げて腰を落としワンピースのスカートのはしを摘まんで礼をとります。そうやってマナーに則って静かに歩みを進めつつも、今日もまた嫌な事を言われるのね……と思うと、どんどんと心は憂鬱に染まっていきます。

更に憂鬱な事に、本来ならばジェラルド殿下は婚約者の私をエスコートして会場入りしなくてはならないはずなのです。なのに迎えも無く、ただ一言「ホールには一人で行ってくれ」というカードが届いたのみでした。一般的にカードは花と一緒に送るものなのですが一輪の花すらなく、本当に飾り気のないカードのみでした。卒業生であられる殿下とは違い、私は在学期間がまだ2年残っています。それに加えて様々な裏方作業の担当になっている為に卒業生の殿下とは登校時間を始めとしたスケジュールが合いづらく、仕方がないのだと自分に言い聞かせていました。ですが、どうやら一つ年上のミーモス侯爵令嬢や私と同じ年のダニエルとは一緒だったご様子。勿論苦手な殿下といっしょに居たいという訳ではありません。ただホールで一人色々と作業をしている間、周りの人たちからの蔑んだ視線や嘲笑に晒され続けた事や、パーティ終了後にお城で教育係から「パートナーとしての心得がなっていない」とお小言を延々と聞かされる羽目になるのかと思うと、心の中でこっそりと溜息をついてしまいそうになるのです。

まぁ……私がそうであるように、殿下にとっても望んだ婚約で無い事は解っています。何せ私はとても醜いですから……。

くすんで艶のない灰色の髪に雨上がりの朽葉と揶揄されるような色の瞳。幸い目立つシミや吹き出物こそありませんが肌はカサカサで、自分でも恥ずかしくなる程です。それに両親は自分たちの贅沢には湯水のようにお金を使いますが、私に掛けるお金は1ゲルすら惜しいと思っているようで、私の化粧品や服・装飾品は数も質も最低限。私の嗜好や流行などは一切考慮せず、安さ最優先で選び与えます。

この卒業パーティーで着ている服も、これ以上はシンプルにはできないというレベルのワンピースです。いえ、ワンピースなのは構わないのです。王立高等学園の卒業パーティはドレスなどの正礼装モストフォーマルを着るのは卒業生だけで、在校生は卒業生に花を持たせる意味でワンピースなどの準礼装セミフォーマルを着る事が伝統なのですから。ただハイネック襟からくるぶし丈のスカートの裾に至るまで一切の装飾が無い、更には新品ですらないワンピースは流石に恥ずかしく……。

ちなみに他国ではドレスとワンピースの定義が曖昧な国もあると聞きますが、この国においては明確な基準があります。それは成人女性用の一切装飾が無いワンピースの重さを1シルクエルと定め、これが5シルクエルの重さに到達するとドレスという扱いになると法で定められているのです。つまり宝石やフリル、レースなどで装飾を施せば施すほど重量が増えていき、ワンピース5着分の重さになったらドレスという扱いです。ドレスには重さの上限はなく、今までで一番重かったドレスは数代前の王妃のウェディングドレスで、30シルクエル近かったそうです。

そんな訳で大抵の女生徒は5シルクエルより少し軽い、4.5シルクエル程度のワンピースを仕立てます。重量ぎりぎりの4.9シルクエルだと「浅ましい」などと悪く言われる事もあるので、4.5~4.6シルクエルあたりの華のあるワンピースを新しく仕立てるのです。そんな華やかなワンピースに身を包んだ方々の中で、古着ワンピースを着た私はこれ以上はない程に悪目立ちしてしまっています。


何より私はスタイルが悪いのです。


王族や高位貴族の皆様は、8頭身以上の素晴らしいスタイルをお持ちです。これは我が国だけでなく他国でもそうです。特に魔力に秀でた方などは9頭身を超えることもあり、過去に居られた伝説になるほどの膨大な魔力をもった方は驚くべきことに12頭身だったそうです。このように魔力に秀でている王侯貴族はみなスタイルが良く、貴族の中では魔力が低いと言われている下位貴族であったとしても最低6頭身半~7頭身半はあります。逆に魔力を殆ど持たない庶民は5頭身程しかありません。更に豊富な魔力は髪や肌などのコンディションも整えるらしく、王族や高位貴族の方々は艶やかで輝くような髪と透明感のある滑らかな肌をされています。


魔力によって頭身見た目が大きく変わる、それが世界の理です。


そして私の頭身は貴族にも拘らず、5頭身しかありません。しかも16歳だというのに身長は2キュビット半約125cmと7歳児程度なのです。常識的に考えて王族に嫁げるような魔力量や容姿ではありません。いっそぽっちゃりとしていれば可愛らしさもあったのかもしれませんが、痩せぎすのくせに顔だけ大きい私に可愛らしさは欠片もありません。そんな容姿ですから学校でも社交界でも陰で「バケモノ」と蔑まれている事も知っています。

それなのに何故国王陛下は私を王太子殿下の婚約者として指名したかといえば、貴族間に根強く残る派閥の問題が第一にありました。王国には古くから幾つかの派閥がありますが、ガウディウム家はそのどれにも属さない中立派です。正確にはそういった派閥に入れてもらえる程の権勢が無い家門なのですが……。

また、そんな力のない家門なので王太子妃……後に王妃になったとしても、妃の生家が力を持ちすぎて政治に強い影響を及ぼすという火種を作らずに済むという計算がありました。本来ならば妃の生家が王家の後ろ盾、或は手足となって王家を盛り立てていかねばならないにも拘らず、逆に王家を意のままに操ろうとした妃とその家門が過去に存在した為に、王家は力の強すぎる家門からの輿入れを警戒するようになりました。それがだいたい今から3代前~6代前の間の事で、王家は色々と困窮し権威を落した過去があるのです。

更には私の5頭身という醜い容姿・乏しい魔力ではまともな婚姻が不可能だと思われた事。陛下がそんな令嬢を哀れに思ったそうで……。つまり慈善事業です。

そういった理由から私はジェラルド殿下の婚約者となったのです。




表向きは。




実のところ、国王陛下が私を王家に取り込みたかった理由はただ一つ。私の持つ特殊な力にありました。

その力とは「結界」

今、この瞬間も私は王国全土に結界を張り続けていて、魔境の瘴気が入り込まないようにしていますし、モンスターが近付けないようにもしています。更には国王陛下とジェラルド殿下のお二人には、個別の結界を念の為に張っています。

ちなみに魔境というのは瘴気に満ちた土地の事で、人間が住むには適さない土地の事を言います。ある程度訓練を詰んだ人ならば1日程度は正気を保っていられますが、それを大きく過ぎると精神が瘴気に汚染されて変質し、最終的には肉体も変質して人ならざる者になってしまいます。

ここモディストス王国の周囲には、西の険山、北の荒海、南の岩石砂漠、そして東の樹海と4つの魔境があります。おかげで他国からは攻め込まれにくいのですが、王国側も魔境を避けるようにして交易ルートを確保しなくてはなりません。またモンスターが町の近くに現れたらそこから瘴気が広がる為、対モンスターの技を持った騎士団の育成が欠かせないなど何かと大変な立地です。

そこに結界能力を持った私が現れました。

私の魔力が特殊である事を知ったのは10歳の時の事。貴族籍の子供全員と優秀な平民の子供が集まる王立初等学園へ入学した際の属性判定兼魔力測定の時でした。一般的に魔力は火・水・風・土の4つの属性があります。稀に複数の属性を同時に宿す人が現れる事もありますが、あくまでも4属性を複数持っているだけで、それ以外の属性の魔力を持った人は今のところ記録にありません。

しかし私の魔力の属性はその4つのどれにも当てはまらない未知の属性で、魔力量はその時点でも宮廷魔導士にギリギリではあるものの合格できる程の量があり、大人になればもっと増えることが予測されました。そんな事情から10歳の頃の私は、初等学園帰りに魔導研究所に行っては様々な実験を受ける日々でした。

そういった実験や検証の結果、12歳になる少し前ぐらいに結界という特殊な能力がある事が判明しました。危険極まりない瘴気やモンスターを寄せ付けない結界は、未だかつて誰も有した事の無い能力でした。それこそ聖国と呼ばれる、浄ききよき女神を信奉するノーヴァ聖国の歴代教皇ですら結界を張って瘴気を防ぐなんて事は出来ません。

そんな稀有な能力を自由自在に扱えるようになる為の訓練が始まりました。目標は寝ていても結界を張り続けられるようになる事と、より強固な結界を張る事ができるようになる事でした。その為に連日のように魔力を大量消費するようになった結果、慢性的に魔力が底を突いた状態が続き頭身が下がってしまったのです。そんな私を見て周囲の人々は私を魔力喪失者だと思うようになりました。

魔力喪失者。それは成長途中で魔力を失う人の事を指します。一般的に魔力を失うという事は神に見捨てられた事と同義で侮蔑の対象となりまが、特にこのモディストス王国は魔力至上主義な風潮があり、魔力量で人の価値を決める人が大半です。つまり私は価値のない人間だと周囲の人に思われるようになったのです。

そんな周囲の勘違いに対して訂正や反論をしたくても、私の魔力に関する事はどんな些細な事であっても口外する事を禁じられていました。ただ、例え弁明が出来たとしても魔力喪失者だと思われている私の言う事は誰も信じてくれなかったでしょう。それ程にモディストス王国における魔力喪失者の社会的地位は低いのです。なので私は誰にも弁明する事もできずに、ただただ耐えるしかありませんでした。


そんな日々が続いた中、転機が訪れました。

私が13歳の時。王国の南にある岩石砂漠を埋め尽くす程のモンスターが現れました。狂ったように押し寄せるモンスターの軍勢に、モディストス王国軍は劣勢に追い込まれ、そんな状況を打破する為に当時15歳になったばかりのジェラルド殿下は前線へと向かわれたのです。勿論最前線ではありませんが、戦場へ王族が慰問に行く事によって士気を上げようとしたのだと思います。

そしてジェラルド殿下が前線に到着する時刻に合わせて、私の結界を展開したのです。当時の私の全力の結界は王国全土をおおいました。勿論ジェラルド殿下が居られた前線でも大地から光の柱が幾つも立ち上り、その柱を迎えるように空からは無数の光のカーテンが降りてくるような幻想的な光景が見えたはずです。

その結果、ジェラルド殿下は天の神に愛され、地の神に守られた王太子と評されるようになったのです。

今にして思えば国王陛下に嵌められたのだと解ります。
ただ陛下にも言い分はありました。結界を張れる私の能力は何が何でも秘匿しておきたい、何故なら私の存在が魔物や他国に知られれば真っ先に狙われる事になるからだと仰られ……。

また私の結界能力が国土を含む無機物と、他人にしかかけられなかった事も一因でした。肝心な自分自身に結界をかけられなかったのです。なので陛下は私の能力を隠す事によって安全を確保し、全力で結界を維持してもらいたいのだと仰っていました。その為の方法の一つが王太子との婚約だった訳です。王太子妃や王妃となれば国一番の守りによって安全が確保されるからと仰られていましたが、本当にいい迷惑なので今すぐにでも撤回してもらいたいと常々思っていました。


━━━]━━━━━━━━━-


これが死の直前に見る走馬燈フラッシュバックといういものなのでしょうか。グラグラと揺れる視界の向うで、ジェラルド殿下が階段を降りて近づいてきたと思ったら、私の指から王家の紋章が入った指輪を引き抜きました。

「私の婚約者という権威を笠に着て、レイチェルをはじめとした女生徒達を苛め、
 王家から支給した支度金を自分の贅沢の為だけに使い尽くしたそうだな!
 しかも支度金を更に取ろうと普段はみすぼらしい恰好をするという悪辣さ。
 姿だけでなく性根までもが卑しく醜いバケモノめ!!」

そんな事、私は知りません。今まで毎日のように様々な人からきつく当たられた覚えはあっても、誰かを苛めた覚えなんてありません。それに支度金を使い込んだのは私ではなく両親で……と思った時、ジェラルド殿下の後ろに控えているレイチェル様とダニエルの唇の端が微かに上がるのが見えました。その微かな表情の変化に私は自分が嵌められた事を理解したのです。

「貴様のような者に王家の指輪を与えるなど、父上も何を考えておられるのか。
 父上や私と揃いの指輪を身につけるなど烏滸がましいにも程がある!
 これは貴様には過ぎたモノだ、返してもらうぞ!」

(その指輪は……結界を……する…………必要………………)

頭を打ったせいで意識が朦朧としてしまいますが、それでも必死に腕を伸ばしました。なにせその指輪は陛下から決して外すなと命じられている指輪なのです。ところがその伸ばした腕を背後からガッと力強く捕まれたかと思うと、背中の方へと捩じりあげられてしまいました。階段から落ちた時に痛めたのか、それともわざと痛むように捩じりあげたのかは解りませんが、あまりの痛みに息が吸えず悲鳴すら上げられないまま強引に床へと押し付けられてしまいます。

「殿下に害為す毒婦が!」

背後から聞こえる声は、卒業と同時に騎士団に入る予定のフレデリック・クロイツ侯爵子息のものでした。殿下やチェスター・ガステール公爵子息より一回り以上大きな体躯の持ち主が片手で私の両腕を背後でまとめて拘束し、もう片手で私の髪を鷲掴みにして引っ張り、私は無理矢理顔をあげさせられてしまいました。そんな無理な姿勢では声を出すどころかまともに息も吸えません。更には背中に体重をかけられて、肺に残っていた空気全てが押し出されてしまいました。

(誰か……)

助けてほしい、せめて弁明させてほしいと霞む目で周囲を見るのですが、辛うじて視界に入る人々の7割近い顔には私に対する侮蔑と嘲笑、2割弱の人々は大事な式典に騒動を起こされた事に対する嫌悪と王太子だから仕方がないという諦め。そして極少数の人は全くの無表情と、誰一人としてこの騒動を止めようと動いてくれそうな人はいませんでした。


こうして私は抵抗どころか反論さえ許されないまま、絶望だけを抱えて暗い暗い淵へと意識が沈んでいったのでした。
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