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私が考える”万人向け”とは
しおりを挟むこんばんは。
眠れなかったので色々と考えていることを書いたいこうと思います。
長い時間。何年も何年も、果たして万人向けとは何かと考えていました。
私は万人とは大衆、すなわちより大勢の方、一般的な、そんな意味を持っていると認識しています。
その中で、とにかく沢山本を読む人、切らさない程度に読む人、たまに読む人、あまり読まない人、読まない人。人それぞれ本との向き合い方があると思います。
読みやすい文章を書くことは常々気にしていますが、では、難しい言葉が多い小説が読みにくいのかと言われますと、それは一人一人が蓄積している単語や知識、経験の量の違いで、物語から読み取ることが出来る景色が異なるのではないのでしょうか。
分からない単語を調べる事は面倒であったり、大変ですが、言葉を知る度に私は世界が広くなるように感じます。
しかし物語を考える側になった時、日常的ではない難しい単語ばかりを選んでしまうと読むのに根気が必要な場合もあるので、読者が"最後まで読めない"となる事だけは避けたいです。なので、そうならないような塩梅を考える必要もあると思います。
では、冒頭に書いた万人向けとは何か。
多くの人が読みやすい文章が万人向けなのか。
この疑問が長い長いあいだ私を苦しめていました。
小説は香りや音、温かさや冷たさなどは視覚からしか感覚を得られません。
私はこれまで出会ったことがない言葉に出会えた時、日常がもっと色鮮やかになることを知っています。
しかし、私たちは誰一人、同じ感覚を持っていません。
感じる温度も、嗅覚や聴覚の強さも、眩しさや情緒を感じる感覚も、苦手なことや不安も、怖いことも、全て感じ方が違います。
それなら、音が遠くに聞こえる人にも伝わる表現をしよう。鼻があまり効かない一人が想像しやすい文章を選ぼう。
青色と緑色の境目が広い人だっています。
では、その青とは夏の空の色なのか、春の薄らかな青なのか。一人一人が感じて来た青色があります。
その緑色は、桜が散った後の新緑であるのか、それとも熱帯にある葉のように分厚い色をしているのか。これもまたたった一人だけが思い浮かべる色があります。
祖母の家のにおい、というのも全く異なる事でしょう。
私は絵も描くのですが、影を何色に描くか。これは分かりやすい発見なような気がします。
夜や暗がりを黒色と認識しているならば、黒色を手に取る人が多いのかなと思います。
しかし、絵が好きで良く見る人や絵の勉強をしてきた人は影が一色ではないことを知っています。例え選んだ色が現実ではあり得ない色であっても、絵の中のそれは影になる色だと知っているのです。
それを文章にした時、"青い影が部屋の隅でうずくまっていた"などと表現したとして、その部屋は寒そうだ、また、うずくまるとはなんとも窮屈そうであるからして時間帯は朝方だろうか。孤独を演出したいような文なのに、朝ならきっと空気は清々しいのだろう。など、矛盾を感じることも出来るでしょうか。これらはまるで連想ゲームのように想像する手段が増えるのかなと思います。
文章にしてみると、ああ、あれのことか、と自分の中にある引き出しを引っ張って思い浮かべることがしやすいのではないでしょうか。
こうして、日々うんうんと考えて私が辿り着いた私にとっての万人向けとは、果てしなき表現の文章化でした。
分かる人だけの感覚が万人向けなのではなくて、読んだ人それぞれが思い浮かべられる表現が組み込まれている事こそが全ての人に向けたお話なのかなと、今はそう思っています。
この考えに至ったのは、テレビの字幕が邪魔だと言う人に、これは耳が聞こえない人の為でもある、と言った人がいたのがきっかけでした。
YouTubeを見ていれば、字幕がついているから内容がわかり、楽しく動画を見ているとお礼のメッセージを貰ったと話している人もいました。
恥ずかしいことに、それまで私は字幕に関して深く考えたことがなくて、強い衝撃を受けました。
そして、例えば洋画を吹き替えや字幕なしで見た時、視覚から得られる情報だけでは気づけない描写があること、そしてそれが"不便"と呼ぶものなのかと思いました。流れていく映像だけでは仕組まれたカラクリに気づけない場合があるな、と。
私は英語の他に、日本語以外の読み書きが全く出来ないので、字幕なし、吹き替えなしの海外の映画は選択に入れない事が大体だと気付きました。これは無意識に不便を感じているから。素晴らしい作品だと聞いたが映画をよく理解したいから、だからこそ選ばない。"たったこれだけの理由"で素晴らしい作品を観る機会を遠ざけてしまうのです。
そしてこれは小説にも当てはまるのではないか、と思います。
字が読めれば良いのか、それだけで良いのか。
色々な人がいて、感じ方も違うのに。それは無意識のうちに私の中で"誰でも分かるだろう"が出来上がっているのではないか、と考えました。考えて考えて、とにかく考えました。
言葉を連続で使ったり、文章にさえなっていない部分があったり、そういうことは基礎として気を付けていますが、疲れない程度で、表現の"くどさ"については嫌煙することはない。これが今私がたどり着けた答えです。
作りたい文章について光が見えたことによって、私が考える万人向けについてをこれかはも探求していこうとやる気もみなぎって参りました!
考え続けることも果てしなく、時代に合った文章と自分が書きたい文章の狭間で小説を書き続ける限り、また考えが変わるかもしれません。
それでも私がここに記しておきたいくらいの大きな発見だったのです。
この記事は個人的な見解と身勝手な決意表明です。
例え大衆向けではないと判断され、コンテストに受賞出来ず、商業向けではないと言われても、これは私のポリシーのようなものとして心に留めて置こうと思います。
それにそれに、いずれ自費出版する気であります!!
それでもやっぱり、一人でも物語に入り込んでくれたら、そうしたなら、とっても嬉しいです。
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