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砦の怪
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この話は現在とある町の役人をしているアイオスさんから聞いた話である。
アイオスさんは20代後半の頃騎士団に所属しとある砦の見回りの仕事をしたことがあるという。
その砦は山頂付近に築かれていてこれまで数多くの戦争で使用されたが付近に別の砦が築かれ使われなくなったのだが、なぜまだ残っているのかと言うと防衛上の理由から破却されていないと言う話だったのだが実はその当時権力を持っていた貴族が自身の愛人を住まわせるために本来破却されるはずだったその砦を無理矢理残したのというのが真相だった。
しかしその愛人もそこに暮らしてから1年もしないうちに出ていってしまいそれ以降は主のいない廃砦になっていた。
アイオスさんはその日砦の見回りの仕事を行うように上司から言われていた。
本来であれば見回りの仕事はもう少し上の人間が行うのだが幽霊が出る噂のせいで仕事を頼んでも断る人が多くまだ新人であるアイオスさんに話が来たのだった。
見回り中に女の声が聞こえた、赤ん坊の鳴き声が聞こえる、階段から誰かに突き落とされた等いくつも噂があったのだがアイオスさんはどれも信じていなかった。
「だってそうでしょ、夜中で暗がりなんだから何でも声とかに聞こえたり変に神経が過敏になって気配を感じたりさ」
アイオスさんは笑いながら話していた。
「でもその日は違ったんだよ」
アイオスさんは急に声のトーンを変えてその夜のことを話し出した。その砦は外側は石造りの堅牢な砦の様相をしているが内部は屋敷のような作りになっていて壁には絵画が貼られ、床には絨毯が敷かれていた。
砦内の部屋の見回りをほとんど終え最後のひと部屋となった。その部屋はかつて公爵の愛人が寝室として使っていた部屋だった。
ドアを開けランタンで部屋の中をを軽く見渡す、ドアを閉めようとした瞬間゛ザザッ″という布をこするような音がした。慌ててドアを開け中に入るが人の気配はない。部屋の奥までいったがやはり人のいる気配はない。
(気のせいか)
帰ろうと思った時また゛ザザッ″という音がする。音はどうやら自分の後ろのベッドの方から聞こえる。
ゴクリと生唾を飲み込みバッと後ろを振り返りランタンを向ける。ランタンの火のうっすらとした明かりに照らされたベッドは掛け布団がたたまれておらずまるで誰かが眠っているような錯覚をしてしまいそうだった。
一息ついて誰もいないベッドに近づく、2,3歩近づいた時にまたザザッという音が聞こえた。
ベッドに目をやると掛け布団がゆっくりと動いている。
掛け布団は人間が起床する時と同じように上にめくれ上がっていく。
(だめだ、ここにいては逃げなくちゃ)
そう思うものの体が硬直して動けない。そうしている間にも布団はめくれ上がっていく。
「オイっ何やってんだ」
先輩の大きな声が部屋の中に響いた。
その声を聞き一目散にドアの方へ走って行く。聞くと帰りが遅いので先輩が見に来ていたらしい。
翌日アイオスさんは見回りの仕事を辞退することを上司に伝えた。
現在その砦は破却され現存していないのだが最後にアイオスさんはこう言っていた。
「多分だけどその愛人さん見たんじゃないかなぁ、その布団の中にいた奴のことを」
アイオスさんは20代後半の頃騎士団に所属しとある砦の見回りの仕事をしたことがあるという。
その砦は山頂付近に築かれていてこれまで数多くの戦争で使用されたが付近に別の砦が築かれ使われなくなったのだが、なぜまだ残っているのかと言うと防衛上の理由から破却されていないと言う話だったのだが実はその当時権力を持っていた貴族が自身の愛人を住まわせるために本来破却されるはずだったその砦を無理矢理残したのというのが真相だった。
しかしその愛人もそこに暮らしてから1年もしないうちに出ていってしまいそれ以降は主のいない廃砦になっていた。
アイオスさんはその日砦の見回りの仕事を行うように上司から言われていた。
本来であれば見回りの仕事はもう少し上の人間が行うのだが幽霊が出る噂のせいで仕事を頼んでも断る人が多くまだ新人であるアイオスさんに話が来たのだった。
見回り中に女の声が聞こえた、赤ん坊の鳴き声が聞こえる、階段から誰かに突き落とされた等いくつも噂があったのだがアイオスさんはどれも信じていなかった。
「だってそうでしょ、夜中で暗がりなんだから何でも声とかに聞こえたり変に神経が過敏になって気配を感じたりさ」
アイオスさんは笑いながら話していた。
「でもその日は違ったんだよ」
アイオスさんは急に声のトーンを変えてその夜のことを話し出した。その砦は外側は石造りの堅牢な砦の様相をしているが内部は屋敷のような作りになっていて壁には絵画が貼られ、床には絨毯が敷かれていた。
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ドアを開けランタンで部屋の中をを軽く見渡す、ドアを閉めようとした瞬間゛ザザッ″という布をこするような音がした。慌ててドアを開け中に入るが人の気配はない。部屋の奥までいったがやはり人のいる気配はない。
(気のせいか)
帰ろうと思った時また゛ザザッ″という音がする。音はどうやら自分の後ろのベッドの方から聞こえる。
ゴクリと生唾を飲み込みバッと後ろを振り返りランタンを向ける。ランタンの火のうっすらとした明かりに照らされたベッドは掛け布団がたたまれておらずまるで誰かが眠っているような錯覚をしてしまいそうだった。
一息ついて誰もいないベッドに近づく、2,3歩近づいた時にまたザザッという音が聞こえた。
ベッドに目をやると掛け布団がゆっくりと動いている。
掛け布団は人間が起床する時と同じように上にめくれ上がっていく。
(だめだ、ここにいては逃げなくちゃ)
そう思うものの体が硬直して動けない。そうしている間にも布団はめくれ上がっていく。
「オイっ何やってんだ」
先輩の大きな声が部屋の中に響いた。
その声を聞き一目散にドアの方へ走って行く。聞くと帰りが遅いので先輩が見に来ていたらしい。
翌日アイオスさんは見回りの仕事を辞退することを上司に伝えた。
現在その砦は破却され現存していないのだが最後にアイオスさんはこう言っていた。
「多分だけどその愛人さん見たんじゃないかなぁ、その布団の中にいた奴のことを」
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