cognition-コグニション-

山本ハイジ

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 デパートメントから帰ってきて夜になり、浴場でサブは自ら慣れた手つきでシャンプーを済ませ、ガウンをまといドムの寝室を訪ねる。
「おいで、サブ」
 ベッドにいるドムが手招く。ベッドの中に入ってきたサブをドムがぎゅっと腕に力を込めて抱きしめた。
「今日は楽しかったね。これから楽しい思い出たくさん作っていこう」
「うん……」
 ドムの体温に包まれ、サブは小さく頷き目を閉じる。――もう、前のご主人様のことは忘れよう。僕は人間として幸せになるんだ。ドムがそう望んでいるんだ。
 そのうちドムは寝息を立てはじめた。サブは目を閉じたまま、脚をモゾモゾモゾモゾとさせはじめる。
 はぁはぁとサブの吐息が熱い。気持ちよくなると出る白濁した液体。あれをサブはドムの世話になるようになってから、出していなかった。

「今日は散歩楽しかったな。おいで」
「はい……」
 銀の主人がベッドの上、裸で手招く。サブは四つ足でベッドにぴょんっと上がった。
「前に約束した、気持ちよくなると出るものを今夜教えてやろう。体はよく洗ってもらったか?」
「はい、ナカまで……」
 散歩から帰ってきたあと、サブは浴場で使用人たちから体を隅々まで洗われた。表面だけでなく尻にホースを挿され中も汚れが残らぬように。
「よし」
 主人はサブの両肩を掴むと、仰向けに寝転がした。サブは自然に犬らしく脚を開く。
 ベッドサイドテーブルに置いたチューブを主人は手に取り、手の平に軟膏を出す。サブの小ぶりなペニスに軟膏をつけた手で触れ、優しく撫で回した。
「んっ……」
 軟膏の冷たさにサブは小さく声を漏らす。が、すぐに主人の体温であたたかくなる。
「あっ、……」
 そして軟膏がしみたペニスは熱くなってきた。軟膏で濡れ光るペニスは勃ち上がり、皮が剥けてルビー色の亀頭が露出する。
「なんか、僕、変ですっ……」
「収容施設じゃ気持ちよくなれることなんていっさいないだろうな? 慣れてないから、敏感そうだ」
 主人がそっと手でペニスを包む。茎を指でやわやわと揉んだり、上下に擦ったりした。
「っっ……」
 じんじんと痛みさえ覚える亀頭に耐えかねてかカウパー腺液が涙のように溢れる。軟膏と伝う涙が混ざり濡れた卑猥な音をクチュクチュ立てながら主人は茎を扱くが、亀頭には触れてやらない。
「やっ、ぁ……」
 淡い快感がもどかしく、切なげな鳴き声を上げて誘うよう腰をくねらせてしまう。サブはたまらずsafewordを使ってしまおうか悩んだ。ペットにされた非デザイン人間が主人のデザイン人間に対して唯一使えるお願い、あるいは反抗――
 不意に主人は親指でぷっくりとしたカウパーの水玉を潰し、それを亀頭に塗りつけるよう撫で回す。
「あっ! ぁっ、……」
 強い刺激を覚えた途端、尿道を一気にのぼってくる水流を感じ、それがまた強い刺激となってサブは悲鳴を上げつつ白濁した液体を吹き出した。
「初物だ。ドロドロだな……。いいか? これからこれを勝手にひとりで出してはいけないぞ。そうしたらお前のペニスを取っ払ってやる」
 サブの腹部に散ったぷるぷるとしたゼリーのようなかたまりが混ざっている精液を主人は適当に拭ってやり、脱力したペニスを軽くつまんで強い口調で言う。サブは主人の言っていることの意味も何もわからぬまま、力なく何度も頷く。
「ほら、次は立って私に尻を向けるんだ」
「はぁっ……ぁ、はい」
 ぺちんと、主人はサブの腿を叩き甘い痛みで正気に戻させる。初体験の衝撃に乱れた呼吸のまま、快楽の余韻にフラつきつつサブは主人に尻を向けて四つ足になった。立つとは当然この姿勢のことだ。
 主人はサブの後ろで膝をつき、尻たぶを片手で鷲掴み開くともう片手でチューブの軟膏をあらわにしたセピア色のアヌスに塗りつける。
「ふっ、冷たっ……」
「私も気持ちよくさせてもらうぞ。この穴でな」
 指の腹で軟膏を塗り広げ、皺の寄った物欲しそうにヒクつく穴にチューブの口を挿し中身を出す。
「くぅ、ぅんっ……」
 サブの尻尾は立ち上がり、主人の作業を邪魔しなかった。軟膏をたっぷりと含ませてから、主人はチューブを抜き穴に細く長い指を一本挿入する。
「痛がらせるのもおもしろいかと思ったが、念入りにほぐして犯ってやるから……感謝するんだぞ」
 クチュクチュと指が出し入れされ、軟膏で冷えた肉壁が擦られるうちにサブの中はたまらなく熱くなった。
「やぁ、んっ……ぁっ、ん」
「メス犬のあそこみたいだな」
 熱い肉壁が主人の指で掻かれると覚える快感にサブは尻尾を振って、甘い鳴き声を漏らしてしまう。ペニスも力を取り戻していた。
 ゆるんだ穴から軟膏が混ざった腸液がトロトロと垂れるのを見て主人はもう一本指を増やす。掻き回したり、中で指を曲げたり、二本の指を開いて穴を拡げ蠕動(ぜんどう)している濡れた肉を覗いたりした。
「よし、頃合いだ」
 ヌメりをまとった指を抜き、主人はすでに勃起した立派なペニスの先端で穴を撫でてから、一息に貫く。
「うぁぁっ、ぁっ……!」
 蕩けた穴は難なく主人を飲み込んだが、排泄をするための器官に挿入される異物感にサブは呻いた。主人はサブの細い腰をしっかり掴み、容赦なく肌を打ちつけて抽送をはじめる。
「あっ、ぁぁっ、んッ……」
 軟膏がしみた肉壁はすぐに異物感と押し拡げられる感覚になじみ、違和感と苦しみがなくなったどころか心地よさを覚えはじめた。サブの呻きはよがり声に変わっていく。
「淫乱な犬め」
「あうっ、……っ!」
 パタパタと振られる尻尾に主人はクスリと笑いをこぼし、雁首で中からペニスの裏側辺りを掻いてやる。サブは不意に走った電流のような快感に腰が跳ね、前足から力が抜けた。
「そこぉヘン、です、ぅっ……!」
 横顔と胸元をシーツに押しつけ、揺らされると乳首が擦れる。背がしなやかに反り、小さめの丸い尻が上がる。主人は体勢を崩したサブを寛大に見逃し、変わった挿入角度で変と訴えられた箇所を狙って突いた。
「んぁっ、あッ、ぁぁっー……!」
「っ、いいぞ、サブ、気持ちいいぞ……good boy!」
 シーツを引っ掻きながら、サブは初物より水っぽい精液をピュッピュッと放出して達する。主人はシーツにシミを作ったことも許してやることにして、蠢きつつ収縮する肉壁にしぼられ悩ましげに眉間に皺を寄せた。
「褒美をやろう」
「ンッ……」
 中で脈打ちながら注がれる主人の一部や、まだ熱い肉壁を擦りながらずるりと抜け出るペニス、そのあとすぐに捩じ込まれた指の動きにサブは甘ったるい鳴き声を小さく漏らす。
 軟膏や腸液も混ざってしまった掻き出した精液を主人は手の平を受け皿にして溜めて、サブに差し出した。サブは頬を染め夢の中にいるような目つきで目の前の褒美を見て、舌を伸ばす。
「ありがとうございます……ご主人様好きです……大好き」
 ――今日は畏れ多くもたくさんのご褒美をもらってしまった!
 無意識に好きと繰り返しながら、指の間まで丹念に舐めるサブの頭を主人は優しく撫でてやる。
「good boy」

「サブ、今日は留守番よろしくな。何かあったら使用人を呼ぶんだよ」
「はい、ドムさん。いってらっしゃい」
「好きに過ごしてていいからな。行ってきます」
 用事でドムが一日屋敷を空ける日。手を振ってサブは玄関でドムを見送ると、寝室へ向かった。
 途中見かけた使用人に声をかける。
「すみません、宝石をいただけないでしょうか……?」
「はい、ただいまお持ちします」
 使用人の表情か語調か、どこかがサブの目にそっけなく映った。
 ――畜生のくせに、ごろごろしながら菓子か。という声を、サブは聞いたような気がした。すぐに小皿に盛った宝石を使用人は持ってきて、サブは受け取ると寝室のドアを開けにいく。
 しっかりとドアを閉めて、ソファーがあるのにサブは床に小皿を置きぺたんと座った。そしてシャツとズボンを脱ぎはじめる。
 裸になると横になった。絨毯の及んでいない床の冷たさに感じ入るよう睫毛を伏せる。
 少ししてサブの吐息が熱くなり、乱れる。
「はぁ、は、……」
 サブはうなされたようになりながら小皿に手を伸ばし赤い宝石を取った。口元に運び、舌先でチロチロと舐め回す。
 砂糖の味――愛の味。唾液をまとい、表面の溶けた宝石をサブは体を丸くして片手で尻たぶを開きアヌスの襞(ひだ)に擦りつけた。
「んッ……」
 グッと押しつけると久々だったが難なく飲み込んだ。少しして異物感がなくなると小皿からもう一個、緑の宝石を取りチロチロと舐め回してからアヌスで飲み込む。じっとしてしばらく肉壁を収縮させ中で宝石が触れ合うのを感じた。
 中が熱くなってくるとサブは緩慢な動作で身を起こし、床に両手と両膝をつき四つ足になる。尻尾がふわっと立ち上がり、勃起したペニスが腹につきそうだった。
「あっ、……んンッ!」
 数歩進み、ペニスの裏側の辺り――かすかに膨らんだ前立腺を肉壁越しに宝石が擦っただけで穴をヒクつかせつつ濃厚な白濁を吐き出し、サブは崩れてしまった。
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