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人工楽園にて(10)
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台のそばには、棘のついた凶悪そうな鞭を持った使用人が一人立っています。二人とも肌は傷痕で汚らしく、無言で機械的に性交しています。……さらによく見て気がつきました。私はこの二人を知っています。天使の家の児童だった、あの三人のうちの二人です。色々なことがあったものだから、私は旦那さまに雇われていった卒園生のことをこの瞬間まですっかり忘れていました。戸渡さん――男のほうはお客さまがつきそうなので、のちに烙印を押してリンボ専用の奴隷にするつもりです。でも女の子のほうは出産さえおえてしまえばたぶん処分されるでしょう。
処分という単語になにかとても恐ろしいものを感じ、質問しようとしましたが、その前に戸渡さんは隣の檻へ移動してしまいます。そこには最後の一人がいました。私は彼女の姿を見た瞬間、恐怖という感情を通り越し呆然としてしまいました。
彼女は台に寄りかかり、腿を開いてだらしなく床に座っていました。そして、膝から下がありませんでした。柵から顔を逸らし、湿った股間を隠そうともしません。女陰より包帯に覆われた断面をしばらく凝視してから、視線を彼女の顔に移しました。彼女はひどく緩慢な動きでこちらに顔を向けます。目が合いました。……元々陰りのある、伏し目が似合うような目元をした女の子でしたが、今ではいっさいの生気が抜けています。しばらく見つめあってしまいました。すると突然彼女の目がぎらつき、口が裂けて狂笑が響き渡ります。私が誰なのか認識したのでしょう。
そのときは気でも狂れたのかと思いましたが、彼女はきっと私もリンボに堕ちたのだと思ったのでしょう。戸渡さんが彼女を指差し、私を横目で見ながら言いました。――本当はあなたもこんなふうになるはずだったのです。……彼女の笑い声に負けないように声を強めて、戸渡さんはつづけました。――旦那さまがあなたを見初めて、養子縁組という気紛れをもしも起こさなかったらあなたは体を改造されたり、種馬として利用されたり、最悪の場合殺されたりします。あなたが卒園するころになったらこの三人と同じように適当に騙して、ここリンボに連れてきてね。
そして戸渡さんはリンボという場所について丁寧な説明をして、私にホラー映画の空想は地下ならありえないことではないのだと思い知らせてくれました。――エデンの奴隷としてうまく適応できないようなら、リンボに堕とされます。旦那さまは惜しみつつもあなたを手放すでしょうね。とんだ期待はずれだったのですから。
……笑い疲れたのか、彼女は再び虚ろな目をしていました。戸渡さんが――犯してみますか? 彼女を。と、とんでもないことをすすめてきましたが、断りました。でもこの出来事からずっとあとで私はふと、彼女を抱かなかったことを後悔しました。
それからはまじめに講習を受けました。脳裏では常に彼女の脚の切断面と、廃人のような目と、リンボに堕ちて壊された私の姿のイメージが過ぎります。少し前までは外へ逃げ出せないかと何度か愚考したこともありましたが、そんな甘い考えはすっかり恐怖に打ち砕かれました。
脅して、無理やりにでも私のやる気を出させるという戸渡さんの意図は見事成功したのです。恐怖は私を追い込むだけではなく、ほかの効果も与えてくれました。精神が快楽に逃避したがっているのか、あるいは脳に焼きつけられた彼女の無残な様子が私の官能をくすぐっているのか――感度がよくなりましたね、と、戸渡さんが褒めてくれるようになったのです。愛撫を受けているとき以外、たとえば罰の鞭で打たれるときや、排泄行為をしたり糞尿を口にしたりするときでも表情に色気が出てきたとのことでした。
講習最終日には体中を清潔にして、化粧をしました。仕上げとして私はエデン内を引きずり廻されたあと、大勢の使用人に輪姦される予定でした。全裸で行われるはずだったのですが、私が女の子の格好がしたいと希望を口にすると、戸渡さんはやや呆れつつも承諾してくれました。
用意してもらったのは黒い総レース地で私の体より少し小さなサイズのワンピースと、レースがそろいのヘッドドレスです。ガータータイツを穿いてからそれらを身にまとい、コルセットを締めました。そんな私の姿を見た戸渡さんが、私の髪の毛先を緩く巻いてくれます。
犬用の首輪をして、四つ足になりました。ワンピースの丈が短いせいで尻が露わになります。そのまま部屋を出て、通りがかったいろんな方に嫌らしい視線を向けられたり、悪戯されたりします。お礼に口を使うとこれまでの訓練の成果か、上手と褒めてもらえました。
厨房を訪ねると、使用人たちと旦那さまが待っていました。戸渡さんが首輪の鎖から手を離し、私を促します。まずは口で使用人たちの陰茎を立たせました。旦那さまは相変わらずまざる気はないようで、傍観していました。次に自らショーツを脱いで、調理台の上に腹這いになり尻を差し出します。
犯されているあいだ私はなんとなく、かたわらにあった俎板と包丁を見ていました。刃物からリンボを連想して、恐ろしさが込み上げてきます。使用人たちの攻撃にへたばらないように一生懸命がんばりました。そのうち使用人の一人が私の陰茎が硬くなっていることに気づき、私の体を仰向けにすると、ショーツを拾って付属のディルドを肛門に抽送しつつ陰茎を扱いてくれます。私は快楽に喘ぎながら、自分によく似た女の子が切り刻まれているところを妄想していました。……いえ、似ているというか自分自身のつもりです。私の性癖はリンボの件以来、妙な進化をとげていました。
調理台から床に倒されて、輪姦は長々とつづきます。受け身になりすぎないように手を使い口を使い、ときには足を使いました。使用人たちの精水が涸れれば、今度は尿を胃に受け入れます。
牛乳を浣腸されて、腸内に放たれた精水と、かすのような糞がかすかにまじったそれを皿に出し、飲み干して見せたときでした。全員私に笑って拍手を送ってくれます。戸渡さんが目を細め、優しい表情で――お疲れさまでした。しかし今まで私が教えてきたのはごく基本的なことのみです。これからは様々なお客さまたちと接して、学んでいってください。と、激励してくれます。なんとも言えない達成感がありました。
処分という単語になにかとても恐ろしいものを感じ、質問しようとしましたが、その前に戸渡さんは隣の檻へ移動してしまいます。そこには最後の一人がいました。私は彼女の姿を見た瞬間、恐怖という感情を通り越し呆然としてしまいました。
彼女は台に寄りかかり、腿を開いてだらしなく床に座っていました。そして、膝から下がありませんでした。柵から顔を逸らし、湿った股間を隠そうともしません。女陰より包帯に覆われた断面をしばらく凝視してから、視線を彼女の顔に移しました。彼女はひどく緩慢な動きでこちらに顔を向けます。目が合いました。……元々陰りのある、伏し目が似合うような目元をした女の子でしたが、今ではいっさいの生気が抜けています。しばらく見つめあってしまいました。すると突然彼女の目がぎらつき、口が裂けて狂笑が響き渡ります。私が誰なのか認識したのでしょう。
そのときは気でも狂れたのかと思いましたが、彼女はきっと私もリンボに堕ちたのだと思ったのでしょう。戸渡さんが彼女を指差し、私を横目で見ながら言いました。――本当はあなたもこんなふうになるはずだったのです。……彼女の笑い声に負けないように声を強めて、戸渡さんはつづけました。――旦那さまがあなたを見初めて、養子縁組という気紛れをもしも起こさなかったらあなたは体を改造されたり、種馬として利用されたり、最悪の場合殺されたりします。あなたが卒園するころになったらこの三人と同じように適当に騙して、ここリンボに連れてきてね。
そして戸渡さんはリンボという場所について丁寧な説明をして、私にホラー映画の空想は地下ならありえないことではないのだと思い知らせてくれました。――エデンの奴隷としてうまく適応できないようなら、リンボに堕とされます。旦那さまは惜しみつつもあなたを手放すでしょうね。とんだ期待はずれだったのですから。
……笑い疲れたのか、彼女は再び虚ろな目をしていました。戸渡さんが――犯してみますか? 彼女を。と、とんでもないことをすすめてきましたが、断りました。でもこの出来事からずっとあとで私はふと、彼女を抱かなかったことを後悔しました。
それからはまじめに講習を受けました。脳裏では常に彼女の脚の切断面と、廃人のような目と、リンボに堕ちて壊された私の姿のイメージが過ぎります。少し前までは外へ逃げ出せないかと何度か愚考したこともありましたが、そんな甘い考えはすっかり恐怖に打ち砕かれました。
脅して、無理やりにでも私のやる気を出させるという戸渡さんの意図は見事成功したのです。恐怖は私を追い込むだけではなく、ほかの効果も与えてくれました。精神が快楽に逃避したがっているのか、あるいは脳に焼きつけられた彼女の無残な様子が私の官能をくすぐっているのか――感度がよくなりましたね、と、戸渡さんが褒めてくれるようになったのです。愛撫を受けているとき以外、たとえば罰の鞭で打たれるときや、排泄行為をしたり糞尿を口にしたりするときでも表情に色気が出てきたとのことでした。
講習最終日には体中を清潔にして、化粧をしました。仕上げとして私はエデン内を引きずり廻されたあと、大勢の使用人に輪姦される予定でした。全裸で行われるはずだったのですが、私が女の子の格好がしたいと希望を口にすると、戸渡さんはやや呆れつつも承諾してくれました。
用意してもらったのは黒い総レース地で私の体より少し小さなサイズのワンピースと、レースがそろいのヘッドドレスです。ガータータイツを穿いてからそれらを身にまとい、コルセットを締めました。そんな私の姿を見た戸渡さんが、私の髪の毛先を緩く巻いてくれます。
犬用の首輪をして、四つ足になりました。ワンピースの丈が短いせいで尻が露わになります。そのまま部屋を出て、通りがかったいろんな方に嫌らしい視線を向けられたり、悪戯されたりします。お礼に口を使うとこれまでの訓練の成果か、上手と褒めてもらえました。
厨房を訪ねると、使用人たちと旦那さまが待っていました。戸渡さんが首輪の鎖から手を離し、私を促します。まずは口で使用人たちの陰茎を立たせました。旦那さまは相変わらずまざる気はないようで、傍観していました。次に自らショーツを脱いで、調理台の上に腹這いになり尻を差し出します。
犯されているあいだ私はなんとなく、かたわらにあった俎板と包丁を見ていました。刃物からリンボを連想して、恐ろしさが込み上げてきます。使用人たちの攻撃にへたばらないように一生懸命がんばりました。そのうち使用人の一人が私の陰茎が硬くなっていることに気づき、私の体を仰向けにすると、ショーツを拾って付属のディルドを肛門に抽送しつつ陰茎を扱いてくれます。私は快楽に喘ぎながら、自分によく似た女の子が切り刻まれているところを妄想していました。……いえ、似ているというか自分自身のつもりです。私の性癖はリンボの件以来、妙な進化をとげていました。
調理台から床に倒されて、輪姦は長々とつづきます。受け身になりすぎないように手を使い口を使い、ときには足を使いました。使用人たちの精水が涸れれば、今度は尿を胃に受け入れます。
牛乳を浣腸されて、腸内に放たれた精水と、かすのような糞がかすかにまじったそれを皿に出し、飲み干して見せたときでした。全員私に笑って拍手を送ってくれます。戸渡さんが目を細め、優しい表情で――お疲れさまでした。しかし今まで私が教えてきたのはごく基本的なことのみです。これからは様々なお客さまたちと接して、学んでいってください。と、激励してくれます。なんとも言えない達成感がありました。
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