きみの黒土に沃ぐ赤

甲姫

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五と六の合間

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 無邪気な寝顔を見下ろして、エランディーク・ユオンは口元を綻ばせた。すう、すうとゆっくりと繰り返される呼吸を聞いていると、不思議とこちらも和やかな気分になる。
 意識のある内はあんなに賑やかな彼女も、ひとたび眠ってしまえば大人しいものだ。
(――酒が回ると扱いづらいが)
 寝付かせるまでの騒ぎを思い出し、苦笑いする。
 エランは己の寝床を占領している女性を今一度見下ろした。背中を丸めて横になっているのは心理的な要因があるのか、それとも単に寒いのか。後者であってはいけないと思い、予備の毛布を取りに行く。
 既に彼女にかけておいた羊毛の毛布の上に、もう一枚をそっと重ねる。
 身体にかかる重みが二倍に増えても、セリカは微動だにしない。眠りが深そうだ。それを確認できたゆえか、自らの舌から転がり落ちる言葉を、エランは止めなかった。
「お前は裏表がなくていいな」
 眠り姫からの返事は当然ながら、無い。
(或いは、本人は必要に応じて猫を被っているつもりなのかもしれない)
 しかし取り繕えども、オレンジヘーゼル色の瞳の奥からは一切の企みが窺えなかった。謀とは無縁の無垢な魂からは、生命力ばかりが溢れるように感じられる。
 エランディークは元より、将来の妃に対して高望みをするつもりがなかった。
 どのような外見、どのような人柄の姫が来ても受け入れる覚悟でいた。そうするのが最善だと理解していたからだ。女性の理想像どころか、好みすら定まっていない。よほどの背徳者でもない限りは、どんな相手であっても落胆しない自信がエランにはあったのだ。
 そうして現れたのがこちらの公女。森で見かけた時から、退屈な一生に彩りがもたらされる予感がしていた。
 ――喜んで連れ回される、か……。
 口角が勝手に吊り上がる。見咎める者が居るわけでもないのに、エランは掌で自身の口元を覆った。
 願ってもなかった幸運だ。
 たとえばムゥダ=ヴァハナ出身の女であったなら、辺境の領域への移転を嫌がったことだろう。異国の――それも少々風変わりの――姫を娶るからこその幸運だった。
 加えて好奇心旺盛で、こちらの事情やら持ち物やら、細部まで興味を示してくれる。嫌な感じはしなかった。どれほど質問されても煩わしさは無く、むしろ自分などに興味を持ってもらえることが純粋に嬉しかった――顔の話は別として。
 浮き立つものがある。こんな気分になったのは初めてだ。
「まったく、無防備だな」
 元凶たる彼女といえば「うー」やら「むぬ」やらと呑気な声を漏らして寝返りを打っている。その都度、赤紫色の長い髪が枕の上をさらさらと流れた。先ほど酔った勢いで被り物を自ら脱ぎ捨ててしまったのである。
 ――あまり眺めるのも良くない、気がした。
 心動かされるのだ。熱い吐息や、火照った頬もいけない。せめて髪に触れてみたいと思い、何度か手を伸ばして、そして思い留まる。
 飲みすぎてしまったようだ。そう結論付けて、エランは腰を上げた。使い終わった食器やらを回収し、屋内に待機していたタバンヌスを呼ばわる。
 片付けを終えて屋根から屋内へと梯子を下りたところで――セリカの侍女が不安そうな顔で膝をついた。名は、確かバルバティアと言ったか。
「公子さま……あの、発言をお許しくださりませ」
「どうした」
 頷いて、続きを話すように促す。
「姫さまはどうされたのですか……?」
「上でぐっすり寝ている」
「上!? たったおひとりで外に……!? い、些か非常識ではありませんか? ひ、姫さまはやや奔放なお方ですけれど、美しいお心をお持ちの、まごうことなき我が国の宝たる公女のおひとりです。ご当人はまとわりつかれるのが鬱陶しいからと本国から連れてきた護衛を帰してしまいましたけど……どうか、姫さまを大切にしてくださいませ……何卒お願い申し上げます……」
 頭を下げたまま懇願するバルバティアを、エランは不思議な心持ちで見下ろしていた。
 遅れて、己の至らなさに気付く。だが先に侍女が泣きそうな声で更に弁明した。
「すみません! 口が過ぎました! いかようにも罰して」
「いや、気にするな。私こそ自覚が足りなかった。この都に足を踏み入れた瞬間から、セリカラーサ公女の身の安全は我が国が請け負ったのだからな。見張りにタバンヌスを置いていく――あなたも、傍に行ってやるといい」
 萎縮してしまっているバルバティアをなるべく安心させるように、エランは努めて柔らかく言った。
「ありがとうございます!」
 お許しを得た侍女は主の元へと急いで梯子を駆け上がっていく。
 数秒遅れてタバンヌスも梯子に手をかけたが、三段ほど登って、振り返った。
「公子はどうなさるのですか」
「水を汲んでくる」
 空になった水瓶を片手で持ち上げて答えた。
「それならば、己が行きます」
「お前はセリカの身辺警護だ。水を汲むくらい、私が一人でできないとでも?」
「いえ、そんなまさか…………いってらっしゃいませ」
 兄代わりの従者は、怒ったような困ったような渋い表情を浮かべて、ついには折れた。
「ああ」
 エランは素早く踵を返す。廊下を突き当たって、裏口の階段を降り切ってしばらくすれば、井戸に辿り着ける。
 それにしても――と階段を下りながらふと考える。
 護衛にまとわりつかれるのが鬱陶しい彼女と、人の気配に囲まれるのが苦手な自分。
 どこか似ているような気がした。
 これも幸運なのか、と声に出して笑った。

_______

 いつもならこの近辺を巡回しているはずの衛兵の姿を、今夜は未だに見ていない。道中にすれ違うこともなければ、水を汲んでいる間に彼らが通り過ぎることもなかった。
 昨夜魔物が入り込んだ件に続いて、このざまとは――宮殿の警備はいつからこうも程度が低くなったのか。二日連続で衛兵隊長を責め立てなければならないらしい。エランは眉間に指を当てた。
 暗殺者の一人や二人、侵入を許してしまいそうである。
 それはあまりに真に迫っていて、笑えない妄想だった。首謀者が外敵である必要もない。日頃から公宮に出入りする人間は多く、中には良からぬ企みを秘めた輩とて少なからずいるはずだ。
 吟味すべき問題は、そんな陰謀渦巻く宮中での自らの身の振り方である。
(たとえ父上が殺されたとして……私はどんな感情を覚えるだろうな)
 それすらも未知であった。
 そろそろ不吉な想像は止めて、戻った方が良いだろう。井戸の縁に置いた水瓶に向けて手を伸ばす。
 まさに取っ手に触れるか触れないかの段階で、全身を静止させた。
 ――背後に気配がする。
 考えるより先に腰の得物を抜き放って身体を反転させた。愛用のナイフの切っ先を、人影に向けて突き出す。
 衛兵がやっと来たのかもしれないが、そうとも限らない。他の危険な可能性が存在する以上、口よりも刃で誰何した方が得策だ。
 微かに漂うこうの印象からして高貴な衣服を身に着けていると考えられた。つまり、決して身分の低くない者。
 だがこちらからは声をかけてやらない。
 ほどなくして、相手が一歩踏みにじってきた。井戸の傍に立ててある燭台の光により、全容が薄っすらと浮かび上がる。
「驚かせて悪かったよ。物騒なペシュカブズをしまってくれないかい、エラン」
 降参の意を表しているつもりか、長身痩躯の男は両手を広げて肩を竦めてみせた。
「……夜に一人で敷地内を歩き回るとは、らしくないですね。もしや寝床を共にしてくださる女性がつどわなかったのですか? アスト兄上」
 警戒を一切解かずに目を細める。
 相対する不審者は、兄弟の中でエランがひときわ嫌悪している男だ。奴は後頭部でひとまとめにしている黒髪を揺らして、わざとらしく笑った。
「ふふ、お前は相変わらず面白いね。そうじゃないよ。今夜はどうも父上が心配で心配で何も手が付かなくてね、気晴らしに散歩をしているわけだ」
 誰が見ても最高と評さざるをえない美貌が、偽りの感情を映し出している。
 エランは動かなかった。
「いい加減、ナイフを下ろしてくれよ。落ち着いて話もできやしない」
「私は兄上と話がしたいとは一言も申しておりませんが」
「ねえ、エランは興味ないのかい、父上の生死に」
 冷たくあしらったところで引き下がる愚兄ではなかった。また一歩、距離が縮められた。
「興味ないはずがありません」
 ――癇に障る。
 アストファンに敵意が無いにしろ、こうして詰め寄られるのも、ねっとりとした視線に絡まれるのも。
 そんな訴えを込めて、手首を一転させ、ペシュカブズを逆手に持ち替えた。突く攻撃に特化した刃物だが、切る働きにおいても優れた代物なのである。
 第二公子が瞬きをして視線を落とした。
 同時に、纏っていた空気が一変したのを感じ取る。
「無関係を装っていられるのは今の内だけだよ、エランディーク。もしも父上が世子を立てる間も無くご逝去されようものなら……その皺寄せは必ずお前に来るのだから」
「なりません。そんな事態には」
 固く否定した。
 アストファンが指摘した通り、諸々あってヌンディーク大公はまだ公式に世子を立てていない。それは周知の事実である。
 頭の奥では警鐘が鳴っていた。周知の事実を、敢えてこの男が口にする理由とは――。
 考え込んだのが隙となった。
 目で捉えるよりも早く。肌がざわついた。
 刹那、甲高い衝突音が響く。
 エランは振り上げられた斬撃を受け流す傍ら、水瓶が地に倒れるのを見た。割れこそしなかったが、苦労して溜めた水が派手に零れていくさまには、腹を立てずにいられない。
「なんてことをしてくれるんですか。もったいない!」
「あはは! 一国の公子が、細かいことを気にしすぎじゃないかい」
 ――言い返しても無駄だ。
 代わりに、繰り出される斬撃の一つ一つにエランは慎重に対応した。アストファンが他の手を使ってくる可能性も考慮して、一定以上に接近を許さない。
 使っている刃物の種類は同じだ。長さも同等。注意すべきは身長差、即ち間合いの長さである。
(踏まえるべき点を踏まえていれば、やり込められたりしない!)
 度々弾ける火花につい目を逸らしてしまわないよう、瞬きのタイミングを計った。
 動悸が多少速まったが、あくまでエランは冷静だった。
 昔から稽古をサボってばかりだった、この兄の性質も熟知している――攻撃にキレは無いし防御も遅れている。何よりも殺気はあっても根気が無いのだ。数分打ち合っている内に焦れたのか飽きたのか、アストファンは舌打ちして後ろに跳んだ。
 逆にエランは思い切り踏み込んだ。みぞおちを刺さんと切っ先を突き出す。横跳びでかわされる。
 ペシュカブズを横薙ぎに振り払った。今度は兄はかわしきれなかった。ただでさえはだけていた絹の衣服が避けたのが、暗がりの中で確認できた。
 燭台から離れつつあるため、視界がどんどん悪くなっている。暗闇に慣れたなら慣れたで、火花が余計に眩しい。
 ふいに、死角である右側から寒気がして――
 剣撃が飛んできた。
 受け止めたはいいが、相殺し切れずに身体が後ろに傾ぐ。持ち直す暇は無い。
 敢えて倒れた。頭が地を打った痛みが冷めやらぬまま、横に回転して起き上がる。
(上!)
 予感がした。
 膝立ちでナイフを水平に構え――直後、強烈な衝撃が降りかかる。
 右腕が激しく痺れた代償に敵方の刃の動きが止まった。好機とばかりに、空いた左手で土を掴んで投げる。
「くっ」
 アストファンが反射的にしゃがんで顔を背けた、その一瞬に。エランは逆手に構えたペシュカブズを斜めに振り上げた。
 狙うは首筋。湾曲した刃が、形の良い顎の真下を捉える――
 ――パシン!
 左手で右の拳の軌道を止めた。勢い余って、第二公子の命をうっかり絶ってしまわないようにだ。
「……解せませんね」優勢に立ったエランは、やがて冷ややかに呟いた。「私を殺しても兄上には益が無いでしょうに」
 未だ俯いているアストファンが、喉を鳴らして笑い出す。
 エランは不快感に眉根を寄せた。思わず、刃をもっと強く押し当てる。
「そうだね。私には、益が、無いね」
 その一言ずつがゆっくりと。やたらと強調するように、発音された。
 ぞわり。
 どす黒い危機感がエランの背骨を駆け上がった。最悪の事態を連想する。
「――! だめだ、あなたがたは手を組むべきではない……!」
「さあ、彼はそう思わなかったみたいだね」
「まさか――」
 言い終わることができなかった。
 鈍い音が頭蓋を打った。
 脳髄が激しく揺さぶられる。即時、痛みが響いて全身を麻痺させた。血の苦い味が口内を這う。舌を噛んだのかもしれない。
 おそらくは、膝からくずおれた、のだと思う。気が付けば顔面は草の中に埋もれ、背中には重いものが圧し掛かっていた。
 不覚だった。第三者の介入も警戒していたのに、兄は然るべき生業の人間を雇ったのだろう、まるで気配を察知できなかった。
「私がそそのかしたと形容せずに『手を組んだ』と真っ先に察する辺り、さすがだね」
 愚兄が何かを言っているが、正直どうでもいい。エランは不安定な視界の中を巡り、敵影を確認した。
 ひとつ、ふたつ、みっつ。第二公子の左右に増えた人影を数える。
 ――最少でも計四人いるなら、こちらに勝ち目は無い。
「ねえエラン。統率力やら人徳やらで昔からベネ兄上が一番チヤホヤされてたけれど、私は密かにお前を評価してたんだよ。突出した才覚がなくても大抵のことは器用にこなせる。武術ではベネ兄上に次いでセンスが良いし、ハティルに劣らず聡明だし、周りをよく見ている」
 ――褒めるな、気持ち悪い……!
 怒りが四肢を伝う。強すぎる激情のせいか、それとも肺が圧迫されているせいか、エランは声が出せなかった。
「けど甘い。優しすぎるのが、決定的にダメだ。さっきの機会に私の首を掻っ切っていれば、窮地に陥ることも無かったのに。愚かだね、エランディーク・ユオン」
 声は依然として出ない。精一杯に首を回して、アストファンを睨みつけた。
「はははは! 凄んでも無駄だよ! お前はこれから跡形もなく消えるんだ!」
「…………き、え」
「そうさ、消えるんだ。幸いお前の人間関係は希薄だから併せて消す人数が少なく済む……ああ、でも間が悪い。実に悪いね」
 パチン! とアストファンが嫌味らしく指を鳴らす。
「姫殿下は、どうしようかな」
「――や! め……か、には……手を、出すな……!」
 喉の奥が焼けるように熱い。押さえつけられているとわかっていても手足に力を込める。
 かつてないほどの憎しみに吐き気すらした。
「さてね。彼女が私に落とされるか――我々につくのは良し、邪魔せずに大人しく帰ってくれるならそれも良し。お前が消えたことに気付かないのが一番なんだけど、どうなるかな?」
 それを聞いて、エランは身体を強張らせる。
『ほんと? 楽しみにしてる!』
 遠乗りの約束に彼女がどんな風に顔を輝かせたのか、まだ記憶に新しい。
(こいつらがどんな虚偽で私の失踪を覆い隠すつもりかは知れないが)
 セリカが簡単に騙されるとは思えなかった。どう誤魔化したところで、結婚を控えたこの時期にいなくなるのは不自然だ。
 唐突に、地面が遠ざかった。アストファンがターバンの布を引っ張ったらしい。
 無理に反り返らせられた首に激痛が走る。
「ああ、いつ見ても醜い面だ。その顔を晒せばきっと、どんな気丈なご婦人だって泣いて逃げるに違いない!」
 エランは暗澹あんたんとした思いに占められた。
(逃げる、か。そうしてくれるなら、どんなにいいか)
 良くも悪くも、あの公女さまがそのように薄情な人間だとは思えない。
『約束よ。絶対だからね』
 ――このままでは果たせないかもしれない。嘘をついた、ことになってしまった。
(逃げてくれセリカ……お前は国に帰れ……)
 極めて気色の悪い「おやすみ」が耳元で囁かれた途端、腹部に猛烈な衝撃があった。
 気が遠くなっていく。
 ――頼む、私を捜すな――
 意識が無情なる闇に屈するその瞬間まで、一心に願った。
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