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親方、異世界を聞く。
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清々しい晴天と木材を叩く音が響く中で親方の指示が空気を凛とする。
「おい、その木材こっちなー!」
「おい、そこ手ェぬくなよー!」
「へい!!」
コンコン!カンカン!
「よーし、そろそろ昼飯にするかー」
親方が声を大きく若手の連中に昼食の合図を出した。
「あーー、やっと休憩かぁー!腹減ったなー!」
「おい栄介、たまには握り飯でも食え。」
栄介はあまり米を食べないが元気のある新入りで親方にも懐いていた。
親方もそんな栄介を可愛がっていた。
「うっす!ありがとうございます!」
親方が渡したおにぎりを頬張り栄介は週刊誌をコンビニ袋から取り出した。
「おい栄介、マンガもいいが少しは大工の勉強でもしたらどうだ?」
親方の問いに栄介は間髪入れず答えた。
「親方!俺ほんとうは勇者になりたいんすよ!勇者になって異世界でゴブリン倒したり、ボインなエルフ助けたり、魔王から世界を救ったりしたいんすよ!!」
親方は少し面食らった顔で栄介に聞いた。
「異世界だぁ?なんだそりゃ?」
栄介は嬉々として答えた。
「親方、異世界ってぇのは、広大な大地に豊かな緑、どこまでも続く水平線。空には悠然と浮遊する城やドラゴンが飛び、森にはボインなエルフ!海には巨大なイカのクラーケン……!どーっすか!?親方行ってみたいでしょう!?」
栄介のその熱量に押され親方も思わず頷いてしまった。
「お、おぅ……だが栄介、異世界なんてどうやって行くんだ?ほんとにあるわけでもあるめぇし……」
栄介は待ってましたとばかりに立ち上がり熱弁を奮った。
「親方!俺だって本当に異世界があるとは思ってないっす!でもこの週刊誌、いや、最近流行りの漫画は全部異世界転生してるんすよ!」
「異世界転生?」
「そうっす!異世界転生っす!異世界転生ってのなんらかの事故に巻き込まれて本来そこで死ぬはずじゃなかった人が死んだ時に神様的なボイン美女に特殊な力を貰って異世界に生まれかわらしてもらえる事っす!どーっすか親方も行って見たくなったでしょう!?」
それを聞いていた先輩大工はニヤケた顔で栄介の肩を組んだ。
「えーすけぇ!お前がボインなエルフやボインなボインが好きなのはよーく分かったがお前22にもなってまぁだそんな事考えてんのか!可愛いやつだなぁ!だけどそりゃ栄介が異世界行っちまったら栄介が死んじまうじゃねぇか。そしたら寂しいなぁ。俺ぁ寂しいぜ!ねぇ親方?」
親方は呆れたような諦めたような、少し疲れたような顔で先輩大工の問いに答えた。
「ん、ああ。そうだな。」
それを見て先輩大工は栄介に言う。
「ほらなぁー!みんなお前が好きなんだよ。それにお前がいなくなったら誰が現場まで運転するんだよー」
栄介は先輩大工の組んだ腕を振り払いながら少し不貞腐れた感じで答えた。
「それって先輩が運転面倒なだけじゃないっすかー!?」
「んははは!!そーかもなぁ!はははは」
そんな2人を見て親方も笑いながら話に入った。
「そうだな。お前も、お前もいないと仕事も捗らないしな!!よーし!お前らそろそろ仕事に戻るぞ!今日中に今やってる作業終わらせるからへばんじゃねぇぞ!」
「へい!!」
親方と栄介達は昼飯を終え作業に戻った。
「おい、その木材こっちなー!」
「おい、そこ手ェぬくなよー!」
「へい!!」
コンコン!カンカン!
「よーし、そろそろ昼飯にするかー」
親方が声を大きく若手の連中に昼食の合図を出した。
「あーー、やっと休憩かぁー!腹減ったなー!」
「おい栄介、たまには握り飯でも食え。」
栄介はあまり米を食べないが元気のある新入りで親方にも懐いていた。
親方もそんな栄介を可愛がっていた。
「うっす!ありがとうございます!」
親方が渡したおにぎりを頬張り栄介は週刊誌をコンビニ袋から取り出した。
「おい栄介、マンガもいいが少しは大工の勉強でもしたらどうだ?」
親方の問いに栄介は間髪入れず答えた。
「親方!俺ほんとうは勇者になりたいんすよ!勇者になって異世界でゴブリン倒したり、ボインなエルフ助けたり、魔王から世界を救ったりしたいんすよ!!」
親方は少し面食らった顔で栄介に聞いた。
「異世界だぁ?なんだそりゃ?」
栄介は嬉々として答えた。
「親方、異世界ってぇのは、広大な大地に豊かな緑、どこまでも続く水平線。空には悠然と浮遊する城やドラゴンが飛び、森にはボインなエルフ!海には巨大なイカのクラーケン……!どーっすか!?親方行ってみたいでしょう!?」
栄介のその熱量に押され親方も思わず頷いてしまった。
「お、おぅ……だが栄介、異世界なんてどうやって行くんだ?ほんとにあるわけでもあるめぇし……」
栄介は待ってましたとばかりに立ち上がり熱弁を奮った。
「親方!俺だって本当に異世界があるとは思ってないっす!でもこの週刊誌、いや、最近流行りの漫画は全部異世界転生してるんすよ!」
「異世界転生?」
「そうっす!異世界転生っす!異世界転生ってのなんらかの事故に巻き込まれて本来そこで死ぬはずじゃなかった人が死んだ時に神様的なボイン美女に特殊な力を貰って異世界に生まれかわらしてもらえる事っす!どーっすか親方も行って見たくなったでしょう!?」
それを聞いていた先輩大工はニヤケた顔で栄介の肩を組んだ。
「えーすけぇ!お前がボインなエルフやボインなボインが好きなのはよーく分かったがお前22にもなってまぁだそんな事考えてんのか!可愛いやつだなぁ!だけどそりゃ栄介が異世界行っちまったら栄介が死んじまうじゃねぇか。そしたら寂しいなぁ。俺ぁ寂しいぜ!ねぇ親方?」
親方は呆れたような諦めたような、少し疲れたような顔で先輩大工の問いに答えた。
「ん、ああ。そうだな。」
それを見て先輩大工は栄介に言う。
「ほらなぁー!みんなお前が好きなんだよ。それにお前がいなくなったら誰が現場まで運転するんだよー」
栄介は先輩大工の組んだ腕を振り払いながら少し不貞腐れた感じで答えた。
「それって先輩が運転面倒なだけじゃないっすかー!?」
「んははは!!そーかもなぁ!はははは」
そんな2人を見て親方も笑いながら話に入った。
「そうだな。お前も、お前もいないと仕事も捗らないしな!!よーし!お前らそろそろ仕事に戻るぞ!今日中に今やってる作業終わらせるからへばんじゃねぇぞ!」
「へい!!」
親方と栄介達は昼飯を終え作業に戻った。
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