春に呪われている君へ

あいす

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お題→紅葉、お餅、桜

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「桜が見たいなぁ」

隣にいる僕の彼女は確かにそう言ってつぶやいた気がした。

「おっ、お前今紅葉しにきているのにそれ言っちゃうか!?」

「いやぁ、だってふと思っちゃったんだもん」

「紅葉に謝っとけ」

やれやれと思いながら少し変わっている彼女を思い返す。三年前にやっとの思いで告白して恋人同士になったのだが、やっぱり感性がちょっと変わっているなと思う。まぁ、そんなところも好きなのだけども。

一年目の紅葉はまだよかった。

「この落ち葉で焼き芋したいね」

紅葉しにきて一番最初に言ったのがそれかと思った。まあ食いしん坊な君も好きなんだけど。

二年目では

「真っ赤で綺麗だね!!血の色みたい!」

ホラーにハマっていたせいなのかは知らないけどそれは流石にないと思う。紅葉は朱色であって、断じて血の色ではないと僕は思う。
まぁ、ホラーを見てる時も紅葉を見ている時もキラキラと夢中になっている君が可愛いのだけど。

僕としてはホラーが大の苦手だから出来れば勘弁して欲しいのだけどね。

そして今年放った言葉が「桜がいい」だった。

「だって思い出してみてよ!!私一回もあなたとお花見は行ったことないの!!」

「そうだなぁ、君が僕とのお花見を約束した日は熱が出るか階段ですっ転ぶか自転車で土手に落ちるかだもんな。」

「ふふ、そうだったね。」













「…あと、君が僕の目の前で車に轢かれるんだもんな。」

「そうだね…。」

君は悲しそうに笑った。

そこで僕は目が覚めた。



春には絶対何かがあった。それでも君は桜を見たがった。

なぜだろうと君が死んだあと考えた。答えは簡単だった。


あ、僕の名前だ。桜介おうすけだ。

そうだった。彼女が生きているときは考えてもいなかった。よくよく考えると彼女の持ち物には桜が多かった。
桜のハンカチ。桜のキーホルダー。桜のしおりにブックカバー。

君の周りには僕があふれていた。僕は自惚れてるのかな?それでもいいや。

ああ、君はちゃんと僕のことが好きだったんだ。

僕も好きだよ君のことが好きだ。
ちょっと人と違うところも、僕を見つけると満面の笑みを浮かべるところも、あともちもちのお餅みたいな頬っぺたもひらひらな花びらみたいなスカートが好きでとても可愛いところなによりどんな人にも優しいところかな。
僕が嫉妬しそうなほどに。君は優しいんだ。


三年目の春に君は死んだ。三年目の紅葉はもしかしたら僕の夢だったかもしれないし、僕が作った幻覚かもしれない。でも君は優しいから夢の中でも幻覚の中でも会いに来てくれたのかもしれない。

今なら君のいったことがわかるかもしれない。

君がいない秋が終わる。血で染まった葉が落ちる。また君と見れない桜が咲く春に向けて、自然が寝る準備を始めている。この冬はどう過ごそうか。このままずっと眠って起きない方が楽かもしれない。
これからがんばったとしても、きみがいないんじゃ所詮は絵に描いた餅だ。

君がいない春は起きれそうにないよ。


ああ、死んでからもこんなにも執着される君は可哀想だ。
君は僕に呪われている。君は春に呪われている。


Fin.

~~~~~~~~~~~
お題について

紅葉←あ~、まあ今の時期か??
お餅←おもち...おっ、お餅!?
桜←<友人>『月か桜で迷った』桜どっから出てきたん??

出来れば今週中にもう一話考えたい!、  
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