your world

mac

文字の大きさ
上 下
24 / 26

終わらない世界

しおりを挟む
パーフェクト・ワールド内では意識の電子化を選択する者、しない者に分かれた。

現実世界と隔離された仮想世界に意味を求められない人も当然居て、将来的に何処かの仮想世界と再度繋がれる可能性を選ぶ者も居た。
(脳の廃棄を免れるのを期待して)

中には完全な終わりを選択する者も居た。

『充分生きた』と。

身体の寿命にプラスして仮想世界でも生きたのだから、充分と考える者も居るだろう。

ソルのように、何百年も生きている(電子化はしているが)者も居る。

(電子化したから長く生きることが苦では無くなったのかも知れない)

神殿の中枢で再度ソル達と合流した。

ジョー達から、街の様子や皆の様子の報告を受ける。

「当然の反応だな。」

ソルは直接それぞれの脳にアクセスしたはずだから、余計に疲れている様子だ。

「とはいえ、パーフェクト・ワールドに残ったとして永遠に生きられるという訳でも無いしな。」

ソルが吐き捨てるように言う。

「ソル、それは…」

僕は周りの反応を気にしてソルの言葉を遮ろうとしたが…

「ああ、極論過ぎたか。けれど、ネットワーク上に巧妙に隠して今は隔離出来たとして、この先のシステムの維持は人の手を借りないと行けないからどのみち完全隔離とは行かないし、長いスタンスで考えればサーバーも劣化するし維持のためには電力供給も不可欠だ。そもそも、将来地球自体がダメになったり人類が絶滅してしまったらネットワーク自体の維持が出来なくなるだろう。」

「夢も希望も無い言い方するなぁ。」

ジョーが笑う。

「それを言い出したら、人間が生きてる意味自体無くなっちまう。」

「確かにな。」


「やめましょう、その辺からは哲学になりますよ。」

カズヤがソルに向きながら、ジョーの肩をたたく。

「考える時間はこれから幾らでもあるんだから。」
 
(ソルの言ったことは僕もずっと思っていたことだ…)
(本当に終わらない世界に作る為には現実世界の方で準備の必要がある)
(システムや電力供給の問題と政治と…電力供給については永久機関装置で何とかなるか…ん?)

(終わらない世界?)



準備は整った。

各自の意識を電子化し、脳との回線を遮断する。

パーフェクト・ワールド自体、現実世界とも隔離することになる。

「どうした?ルクス、何か問題でも?」

カズヤが僕の顔を覗き込む。

「いや…」

現実世界でも準備は整いつつある。

どのみちもう後戻りは出来ない。

だというのに、まだ僕は決断が出来ないでいる。皆のように強い決意が無い。

この仮想世界を守りたい。

それは僕だってそうだ。

何かがずっと引っかかっている。

そんな時にイズモ博士から通信が入る。

「向こうの準備も整ったか。」

カズヤが回線を繋ぐ。

イズモ博士の映像が出る。

「ルクス、緊急事態よ。」

「どうしたんですか、準備に問題でも?」

「新政府に脳の保管施設を抑えられたわ…」

「え…」

「間に合わなかったか!」

「いえ、まだ大丈夫。だけど、新政府の代表からルクスとの直接の会談を求められているわ。」

「!?」

「直接のって…?」

「ルクス、こちらの世界に戻ってきて!」

「それは、僕が僕の身体に戻るってことですか?」

「そうなるわね。」

「…もし、断ったら?」

イズモ博士の横に別の人物が現れこう言った。

「脳の破棄、でしょうね。」

中性的な顔立ちのその人物はニヤリと笑った。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。

秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚 13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。 歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。 そしてエリーゼは大人へと成長していく。 ※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。 小説家になろう様にも掲載しています。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する

美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」 御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。 ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。 ✳︎不定期更新です。 21/12/17 1巻発売! 22/05/25 2巻発売! コミカライズ決定! 20/11/19 HOTランキング1位 ありがとうございます!

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です

友達に驚かれるほどの武器を初期ガチャで当てました。

せぶん
ファンタジー
俺、運河 台助 ゲームはソシャゲからパズルまで幅広くでもそんなにゲームはうまくない根っからのオタクでどっちかとキャラゲーの方が好きなタイプ でも俺は唯一の二人の幼なじみと一緒に仮想空間ゲームで遊ぶことにいくらゲームをしてるからってそんなにうまくないんだよ。 俺クロのチャンネルはこちらから https://youtube.com/channel/UCcvkNNKhZQcYKJNFqg8OOdQ

処理中です...