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~最終章~◆◆◆物語はハッピーエンドが良いよね?◆◆◆

420ページ目…物語はハッピーエンドが良いよね?【5】

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「やっと着いたわね…。」
「うん、着いたな…。」
「つ、着いた…。」
「はい、やっとです。」
「…着いた。」

 神へ至る塔…事、バベルの塔へ挑んでから、既に一週間が過ぎようとした頃、私達はとうとう最上階にまで登りつめた。
 とは言っても、残念ながら百階層程で実力的に進めなくなった所で、幸運にも、知り合いの助けが入り、最上階まで連れて来て貰ったと言うのが本当の所で、オチが付いていた形ではあるが無事に到着したので良しとしようと思う…。
 ちなみに、余談ではあるが、このタワー型ダンジョンの階層は千層もあったりする。

「ですから、最初に、私めが呼びに行きましょうかと声をお掛けしましたのに…。」
「だ、だって…それじゃ、つまらなかったんですもの!」

 不死者アンデッドでありながら、執事の様な行動をするリッチのセバス・チャンの言葉に、私は頬を赤く染めながら返事をする。

「まぁ、確かに、僕達も退屈は・・・しなかったけどさ…。」
「う、うん…でもさ、流石に、無理があったよね…。」
「まぁまぁ、全員、無事に辿り着いたのですから。」
「…そう、でも、それはセバス・チャンのお陰。」

 セバス・チャンのお陰と言う言葉には、流石に兄弟からもツッコミが入らない。

「そ、そんな事より、この先にいるのね?」
「はい、左様でございます。」

 セバス・チャンはそう言うと、扉をノックすると中にいるであろう人物に声を掛ける。

ダンジョンマスター旦那様、お嬢様達がお見えになっております。」
「な、何だってッ!?」

 余程、私達が来たのが予想外だったのか、扉の向こう側から、慌てた声と共に『ドンガラガッシャン!』と言う音が聞こえてきた。

 しばらく待つと『ガチャリ』と言う音と共に、ボサボサヘアーの男の人が現れる。
 うん、このみっともない格好をしている人物は、間違いないくパパだ。

「パパッ!」

 パパの姿を確認した私は、勢いよくパパへと飛びつく………はずだった。

「お父様!」
「…やっと会えた。」

 しかし、そんな私よりも先に、アリシアセイラがパパへと抱きいた事により、私の抱きつくスペースが無くなってしまった。

「ち、ちょっと、待ちなさいよッ!!何で貴女達が私より先に抱きついてるのよ~!」
「何でと申されましても、私もお父様の事が大好きですから。」
「…そう、早い者勝ち。」
「こらこら、パパは皆の物なんだから、取り合いしないの…ね?」

 そんな私達を宥める様に、パパが仲裁に入る。
 だがしかし、そんなパパの言葉を、真っ向から否定する者が現れた。
 その人と言うのが…。

「いいえ、ご主人様あなたは、私の物ですよ?
 その証拠に、私達は一心同体なのですから…〖融合〗。」

 次の瞬間、パパと先程の声の主が一つになる。

「あ~ぁ、プリンったら…自分の子供達と張り合ってどうするんだよ…。」

 そう呟いたのは、禍々しい姿になったパパがいる。
 しかも、その重圧プレッシャーに、私達は動けなくなっていた。
 これ、下手をすれば、この姿になっただけで気の弱い人達は死んでしまうのではないだろうか?

「っと、そんな事・・・・より…お前達、こんな所まで来て、どうしたんだ?」

 と、パパは首を傾げて聞いてきた。
 パパが意識して、力を抑えたのだろう。
 今までのしかかって来ていた重圧が一気に拡散し、動ける様になる。

「ど、どうしたじゃないわよ!何ヶ月も私達を放っておいて、どうするつもりなの!?」
「え?本気マジかよッ!?もうそんなに時間経ってたのか?」
「そうよ!」
「あちゃ~、時間の流れが違うのは知っていたが、そんなに経ってたのか…。
 これは帰ったら、他の嫁~ズママ達に確実に怒られるな…。」
「…それは、大丈夫だと思うけど、ママ達、寂しがってたわよ?」
「だろうな…仕方が無い、一先ず、作業はこのままに中断して、一度、家に帰るか…。
 ってな訳で、セバス・チャン、悪いんだが俺達は一度帰る事にする。
 それで…部屋の片付けを頼んで良いか?」
「はい、勿論でございます。」

 パパのセリフにセバス・チャン返事をすると、パパは満足そうに頷くと、私達を連れて、部屋の隅にある魔法陣へと歩き出す。
 それに伴い、私達も魔法陣へと向かう。

「一階層へ。」

 私達が、パパの身体を握ると、パパは階層を指定する。
 すると、私達は光の粒子に変わり、その場から姿を消す。

 次に私達が現れたのは、一階層の転移魔法陣である。
 他の兄弟達は先頭を歩き、その次にパパ、最後に私がパパの服の一部を摘んで、出口を目指して歩き出す。
 そこで、ふとパパの姿に違和感を覚えた。

「って、パパ!【魔王化】したまま!!」
「あ、いけね、忘れてたッ!プリン、〖分離〗!」

 すると、パパから何かが飛び出したかと思ったら、パパの姿が元のだらしない姿へと戻る。
 そして、パパから飛び出した何かは…と言うと、既に私の横に立っていて…。

「エクレア、ご主人様パパは私の旦那様なんですから、貴女もご主人様パパばかり追いかけないで、ちゃんとした伴侶を見付けなさい?」
「ママ…それ、パパの前で言わないほうが良いわよ?
 パパってば、子煩悩が凄いんだから!
 って言うか、私の伴侶の条件って、一応、パパより強い人だからね?」
「あらあら…それじゃ、一生、結婚なんて出来ないかもしれないわね…。」
「そうね…大きくなったら、私もパパのお嫁さんにして貰うんだから♪」
「はいはい…それでも、ママはエクレアなんかにご主人旦那様は渡さないからね?」

 そんなやり取りをして、私達は、互いに笑う。
 そして、そんな私達の前を歩いていたパパが振り返ると…。

「何やら、楽しそうだが…二人共、そろそろ家に帰るぞ?」
「「は~い!」」

 その後、パパの呼び掛けで、家族全員、仲良く家に帰り平和な日々を過ごすのだった…。
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