~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神

文字の大きさ
上 下
411 / 421
~最終章~◆◆◆物語はハッピーエンドが良いよね?◆◆◆

411ページ目…出来ちゃいました【4】

しおりを挟む
「それで、ラオンちゃん…この坊やは、何者なんだい?」

 そう言ったオーサさんの声は、先程までのお婆さんの声ではなく、若い女性のの声だった。

「え?オーサさん、声が…。」
「ん?何だい?私の声が気になったのかい?」
「えぇ…そりゃ、いきなり声が変われば、普通、気にもなりますよ?」
「あ~、その…何だ、ムゲン君、そこら辺の事は気にしない方が良いぞ?」

 てっきり、オーサさんが答えてくれるかと思ったが、その質問に答えたのはラオンさんである。
 しかも、若干、遠く見つめているのは気の所為ではないはずだ。

「ラオンさん、どう言う事ですか?」

 しかし、そんな疑問に答えたのは、ラオンさんではなくオーサさんであった。

「それは、こう言う事さね。」

 そう言ったオーサさんの姿が変わる。
 それも、お婆さんから若い女性の姿へと…。
 そして、その姿には一つの特徴があった、それは…。

「もしかして…エルフ、ですか?」

 それほど耳が長い訳ではないが、その先端とでも言うべきなのか?先の方が尖っている。
 そして、それは俺の知っている知識の中で、エルフの外見と一致しているのである。

「ほぅ…坊やは、エルフを知っているのかい?
 だけど、ちょっとハズレだね。」
「ムゲン君、この婆さんは、ハイ・エルフだよ。」

 知り合いのエルフと言えば、『シロガネ』の女王である『シールズ』さんや、ハーフエルフの『レベッカ』さんである。
 だが、この人は、その『シールズ』さん達の上位種とも言えるハイ・エルフ…色々と問題が発生しそうな予感がしたのだった…。

☆★☆★☆

「さて、それじゃ、本題に入ろうかね…ラオンちゃんが、真面目な話って言うんで、この姿を見せたんだけど、それに見合うだけの価値がある話なんだろうね?」

 そう言って、オーサさんが俺を見つめてくる。
 ちなみに、オーサさんは再び、お婆さんの姿へと変わっている。
 余談ではあるが、オーサさんの姿が変わっているのは変身魔法ではなく幻影魔法の一種との事だった。

「えぇ、それは間違いなく…婆さんが、驚いて腰を抜かすかもしれない話ですよ。
 ってな訳で、ムゲン君、彼女に君の正体を明かしてくれないかな?
 本来なら、私の口から言った方が理解して貰えるのだろうが、例のアレ・・・・があるからね…。」

 ラオンさんの言う、『例のアレ』とは、契約の魔法により、俺の秘密を守る事である。
 それに違反した場合、最悪、死に至る…呪縛とも言える魔法の事である。
 それ故、俺からオーサさんへ説明を頼まれたのだ。

 まぁ、ぶっちゃけて言えば、このやり取りもかなりグレーではあるのだが…。

「何だい?訳ありなのかい?」
「えぇ、確かに訳ありと言えば訳あり…ですね。
 先程は、只の冒険者と言いましたが、実は俺、『魔王・・』なんです。」
「冗談…って訳じゃないないみたいだね。
 そんなハッタリを言った所で、意味がないからね…それで、どうして此処に?」
「え?普通に土地を買いに来たんですよ?
 只、その探してる土地って言うのが、ダンジョンを作る為の土地でして…。」
「なるほどね…ラオンちゃん、あんた…この町を潰す気かい?」

 少しだけ考える素振りを見せたオーサさんが、ラオンさんへと尋ねた。

「そんな事あるわけ無いだろ!それに、俺は、ムゲン君コイツを信じているんだ!
 まぁ、確かに常識外れな事ばかりしてくれる所為で、頭を抱える事が多いが…。」
「あんた、それを本人の前で言うかね…。」

 ラオンさんの発言に、オーサさんがため息をつきながら、ツッコミを入れる。

「あ~、オーサさん、俺は全く気にしてませんので…。
 そもそも、ラオンさんには、それ言うだけの権利あると思いますし…。
 ちなみに、追加で、ぶっ込みますが、俺、勇者セイギの孫です。」
「ハァ~~~ッ!?勇者セイギの孫が、魔王だってのかいッ!?」
「えぇ、それが何か?」
「それが何か?って…あんた、私をからかってんのかい?
 流石の私でも、限度って物があるんだけど?」
「いえ、そんな気はまったく。」

 あっけらかんと言う俺に対し、オーサさんが、信じられないと言った視線を向けてくる。
 そして、数瞬の後、ラオンさんを見る。
 すると、ラオンさんは、軽く頷くと、オーサさんに言った。

「婆さん、諦めろ…コイツは、こんなヤツだから…。」
「なるほどね…それで、さっきの言葉が出てくる訳かい…。」

 正直、身も蓋も無い言われ様である。
 だが、俺自身、それを自覚している分、反論の余地は無い。

「ま、まぁ、長い人生、そう言う事もあるじゃろ…。
 それで?ダンジョンを作る為の土地を…じゃと?」

 突っ込むのを諦めたのか、オーサさんが話を進めてきた。

「えぇ、地下へ潜っていくダンジョンではなく、塔を登っていくタワータイプのダンジョンを作りたいんです。
 ですので、それなりの土地を用意して欲しいのですが…。」
「そうかい…だけど、それは流石に商業ギルドでは、どうこう出来る話じゃないね…。」
「え…それじゃ、無理なんですか?」
「いや、無理とは言ってないよ?だけど、よく考えてご覧?
 そもそも、商業ギルドがダンジョンを作る手伝いなんて出来るはず無いじゃないか。
 第一、町の中にダンジョンなんて出来た日にゃ、町の住人は、おちおち寝られないじゃないか。」
「いや、そうかも知れないけど…ダンジョンが近くに出来たら、当然、お金が動きますよね?」
「そりゃ、多額のお金が動くだろうさ、だけど、それでも…だよ。
 ただまぁ、それは町の中にあったら…って、話けどね。」
「えっと…つまり?」
「簡単な話さね、町の中にダンジョンが出来たら問題ってんなら、町の外に作っちまえば良いのさ!」

 そう言った、オーサさんは、なんとも悪い笑顔を俺達に向けていたのだった…。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

異世界に降り立った刀匠の孫─真打─

リゥル
ファンタジー
 異世界に降り立った刀匠の孫─影打─が読みやすく修正され戻ってきました。ストーリーの続きも連載されます、是非お楽しみに!  主人公、帯刀奏。彼は刀鍛冶の人間国宝である、帯刀響の孫である。  亡くなった祖父の刀を握り泣いていると、突然異世界へと召喚されてしまう。  召喚されたものの、周囲の人々の期待とは裏腹に、彼の能力が期待していたものと違い、かけ離れて脆弱だったことを知る。  そして失敗と罵られ、彼の祖父が打った形見の刀まで侮辱された。  それに怒りを覚えたカナデは、形見の刀を抜刀。  過去に、勇者が使っていたと言われる聖剣に切りかかる。 ――この物語は、冒険や物作り、によって成長していく少年たちを描く物語。  カナデは、人々と触れ合い、世界を知り、祖父を超える一振りを打つことが出来るのだろうか……。

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

おもちゃで遊ぶだけでスキル習得~世界最強の商人目指します~

暇人太一
ファンタジー
 大学生の星野陽一は高校生三人組に事故を起こされ重傷を負うも、その事故直後に異世界転移する。気づけばそこはテンプレ通りの白い空間で、説明された内容もありきたりな魔王軍討伐のための勇者召喚だった。  白い空間に一人残された陽一に別の女神様が近づき、モフモフを捜して完全復活させることを使命とし、勇者たちより十年早く転生させると言う。  勇者たちとは違い魔王軍は無視して好きにして良いという好待遇に、陽一は了承して異世界に転生することを決める。  転生後に授けられた職業は【トイストア】という万能チート職業だった。しかし世界の常識では『欠陥職業』と蔑まされて呼ばれる職業だったのだ。  それでも陽一が生み出すおもちゃは魔王の心をも鷲掴みにし、多くのモフモフに囲まれながら最強の商人になっていく。  魔術とスキルで無双し、モフモフと一緒におもちゃで遊んだり売ったりする話である。  小説家になろう様でも投稿始めました。

補助魔法しか使えない魔法使い、自らに補助魔法をかけて物理で戦い抜く

burazu
ファンタジー
冒険者に憧れる魔法使いのニラダは補助魔法しか使えず、どこのパーティーからも加入を断られていた、しかたなくソロ活動をしている中、モンスターとの戦いで自らに補助魔法をかける事でとんでもない力を発揮する。 最低限の身の守りの為に鍛えていた肉体が補助魔法によりとんでもなくなることを知ったニラダは剣、槍、弓を身につけ戦いの幅を広げる事を試みる。 更に攻撃魔法しか使えない天然魔法少女や、治癒魔法しか使えないヒーラー、更には対盗賊専門の盗賊と力を合わせてパーティーを組んでいき、前衛を一手に引き受ける。 「みんなは俺が守る、俺のこの力でこのパーティーを誰もが認める最強パーティーにしてみせる」 様々なクエストを乗り越え、彼らに待ち受けているものとは? ※この作品は小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアッププラスでも公開しています。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

神様との賭けに勝ったので異世界で無双したいと思います。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。 突然足元に魔法陣が現れる。 そして、気付けば神様が異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 もっとスキルが欲しいと欲をかいた悠斗は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――― ※チートな主人公が異世界無双する話です。小説家になろう、ノベルバの方にも投稿しています。

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

処理中です...