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~最終章~◆◆◆物語はハッピーエンドが良いよね?◆◆◆
410ページ目…出来ちゃいました【3】
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次の日の早朝…と呼んでも過言ではない時間、まだ日が昇っていないにも関わらず、俺はラオンさんに連れられて、商業ギルドへ来ていた。
ぶっちゃけ、今まで色々な物を買ったり売ったりしていたのだが、それらは全てラオンさん経由にて色々と売買していた事もあり、俺個人としては、初めての商業ギルドだった。
実の所、今住んでる家も、本来であれば商業ギルドで購入しなければ可笑しい物件ではあったのだが、曰く付きの物件だった為か、その取り扱いが冒険者ギルドだったりする。
その為、色々と助かった部分があるのは、嬉しい誤算だったと今では思っている。
まぁ、そんな些細な事は、この際、置いとくとして本題に入ろうと思う。
つまり、商業ギルドへ来た理由は、このメルトの町に新しく家を建てる…為ではなく、ダンジョンを作る為の土地を購入する為である。
とは言え、ダンジョンを作る程の土地なので、流石に、町の真ん中に作る訳にはいかない。
もっとも、俺自身の意見としては、ダンジョンを作った後に町が発展して、ダンジョンを囲む様に建物が増える事に関しては、一切、関与しないつもりだ。
「ラオンさん、ここが商業ギルドなんですか?」
「あぁ、そうだが?」
まるで、それがどうした?と言わんばかりの反応である。
「いや、だって…ここって、普通にお屋敷ですよね?」
俺がそう言うのも無理はない。
冒険者ギルドが、三階建てのビルを想像させる建物なのに対し(実際に三階建だが)、この商業ギルドはビルみたいな建物などではなく、そのまんま大きなお屋敷だったのだ。
「あぁ、それに関しては色々とあってな…結果、このお屋敷を改装して使っているんだよ。」
「色々…ですか?」
う~ん、色々…の部分に、何か引っ掛かる物を覚えたが、今は気にしないでおこう。
「うむ…そもそも、この町の商業ギルドは、他の街の商業ギルドみたく広い土地を用意出来なかった。
その結果、この屋敷みたいに部屋数が多い建物を利用する事になったのだ。
まぁ、普通の売買から、許可申請、更には土地の売買、さらには魔物素材までも、この建物だけで済ませ様としたからと言うのも原因の一つだな。」
「…それって、大丈夫なんですか?」
「あぁ、今の所は…な。」
と、ラオンさんが含みのある事を言いつつ、俺達は商業ギルドの中に入っていったのだった…。
☆★☆★☆
「おや、珍しい客が来たと思ったら、ラオンちゃんだけじゃなく、他のお客さんも一緒なのかい?」
商業ギルドのギルドマスターに会うとの事で通された部屋で待つ事、十分程…。
部屋に入ってきたのは年配の女性…ぶっちゃけ、俺のばぁちゃんよりも年上だと思われるお婆さんだった。
「えぇ、こいつは、俺が目を掛けてる冒険者でして…。」
「なるほどね…つまり、ラオンちゃんが直々に来るって事は、他の人だと問題があるって事だね?」
「えぇ、お恥ずかしながら…それと、何時も言ってますが、いい加減、その『ラオンちゃん』は止めてくれませんかね?」
「そうは言ってもね~、ラオンちゃんが、おねしょしてた頃から知ってるからね…。
つい、ラオンちゃんと呼んじゃうんだよ。」
「ちょッ!?婆さん!」
流石のラオンさんも、小さい頃を知っている人には、タジタジである。
しかも、初対面の人がいるというのに、おねしょの話をされたら、ラオンさんのギルドマスターとしての威厳も有ったものじゃない。
とは言え、こちらに被害がないので、このお婆さんには好感が持てた。
やはり、ラオンさんを弄るのは楽しいと思う。
そして、このお婆さんも同様で…こちらの思考を読んだのか、こっそり、俺にウインクしてきたのだった。
それから暫くは、ラオンさんを、からかう時間が続き、そして本題に入る時間がやって来た。
「それじゃ、改めて自己紹介といこうかね…。
私が、この商業ギルドのギルドマスターをやってる『オーサ』さね。
それで、アンタは、何処の誰なんだい?ラオンちゃんが自分で動くって事は、それなりの身分の方だとお見受けするんだけどねぇ…。」
どうやら、彼女に取って、ラオンさんの存在が、俺の存在を高める役割をしている様だ。
とは言え、俺はしがない一般人な訳で…。
「いえ、俺は只の冒険者ですよ?」
と、答えたのだが…。
「婆ちゃん、ちょいと契約をお願いしたんだが、構わないか?」
ここで言う契約と言うのは、売買契約ではなく、秘密を守らせる為の契約魔法の事だ。
「…なんだい、契約が必要なほどの真面目な話なのかい?」
「あぁ…それも、とびきり強力なヤツを…な。」
それまで巫山戯ていた印象が強かったお婆さんの雰囲気が一気に変わる。
その姿は、海千山千を薙ぎ倒してきた猛者の様な、強者の雰囲気だ。
「チッ…そう言う事は、先に言いな!そうすりゃ、私だってそれ相応の態度を取ったってのに!」
そう言うと、オーサさんは部屋のドアから外にいる人へ指示を出す。
そして、扉に鍵を掛けると先程までの老婆の様な動きではなく、ズカズカと歩くと、こちらに近づいてくる。
『ドカッ!』
オーサさんは、そのまま乱暴にテーブルに座る。
その姿は先程までの年配の女性の態度ではなかった。
「それで、ラオン…こいつは、何者なんだい?」
そう問い掛けたオーサさんの声は、先程までの老婆の声とは打って変わって、若い女性の声になっていたのだった…。
ぶっちゃけ、今まで色々な物を買ったり売ったりしていたのだが、それらは全てラオンさん経由にて色々と売買していた事もあり、俺個人としては、初めての商業ギルドだった。
実の所、今住んでる家も、本来であれば商業ギルドで購入しなければ可笑しい物件ではあったのだが、曰く付きの物件だった為か、その取り扱いが冒険者ギルドだったりする。
その為、色々と助かった部分があるのは、嬉しい誤算だったと今では思っている。
まぁ、そんな些細な事は、この際、置いとくとして本題に入ろうと思う。
つまり、商業ギルドへ来た理由は、このメルトの町に新しく家を建てる…為ではなく、ダンジョンを作る為の土地を購入する為である。
とは言え、ダンジョンを作る程の土地なので、流石に、町の真ん中に作る訳にはいかない。
もっとも、俺自身の意見としては、ダンジョンを作った後に町が発展して、ダンジョンを囲む様に建物が増える事に関しては、一切、関与しないつもりだ。
「ラオンさん、ここが商業ギルドなんですか?」
「あぁ、そうだが?」
まるで、それがどうした?と言わんばかりの反応である。
「いや、だって…ここって、普通にお屋敷ですよね?」
俺がそう言うのも無理はない。
冒険者ギルドが、三階建てのビルを想像させる建物なのに対し(実際に三階建だが)、この商業ギルドはビルみたいな建物などではなく、そのまんま大きなお屋敷だったのだ。
「あぁ、それに関しては色々とあってな…結果、このお屋敷を改装して使っているんだよ。」
「色々…ですか?」
う~ん、色々…の部分に、何か引っ掛かる物を覚えたが、今は気にしないでおこう。
「うむ…そもそも、この町の商業ギルドは、他の街の商業ギルドみたく広い土地を用意出来なかった。
その結果、この屋敷みたいに部屋数が多い建物を利用する事になったのだ。
まぁ、普通の売買から、許可申請、更には土地の売買、さらには魔物素材までも、この建物だけで済ませ様としたからと言うのも原因の一つだな。」
「…それって、大丈夫なんですか?」
「あぁ、今の所は…な。」
と、ラオンさんが含みのある事を言いつつ、俺達は商業ギルドの中に入っていったのだった…。
☆★☆★☆
「おや、珍しい客が来たと思ったら、ラオンちゃんだけじゃなく、他のお客さんも一緒なのかい?」
商業ギルドのギルドマスターに会うとの事で通された部屋で待つ事、十分程…。
部屋に入ってきたのは年配の女性…ぶっちゃけ、俺のばぁちゃんよりも年上だと思われるお婆さんだった。
「えぇ、こいつは、俺が目を掛けてる冒険者でして…。」
「なるほどね…つまり、ラオンちゃんが直々に来るって事は、他の人だと問題があるって事だね?」
「えぇ、お恥ずかしながら…それと、何時も言ってますが、いい加減、その『ラオンちゃん』は止めてくれませんかね?」
「そうは言ってもね~、ラオンちゃんが、おねしょしてた頃から知ってるからね…。
つい、ラオンちゃんと呼んじゃうんだよ。」
「ちょッ!?婆さん!」
流石のラオンさんも、小さい頃を知っている人には、タジタジである。
しかも、初対面の人がいるというのに、おねしょの話をされたら、ラオンさんのギルドマスターとしての威厳も有ったものじゃない。
とは言え、こちらに被害がないので、このお婆さんには好感が持てた。
やはり、ラオンさんを弄るのは楽しいと思う。
そして、このお婆さんも同様で…こちらの思考を読んだのか、こっそり、俺にウインクしてきたのだった。
それから暫くは、ラオンさんを、からかう時間が続き、そして本題に入る時間がやって来た。
「それじゃ、改めて自己紹介といこうかね…。
私が、この商業ギルドのギルドマスターをやってる『オーサ』さね。
それで、アンタは、何処の誰なんだい?ラオンちゃんが自分で動くって事は、それなりの身分の方だとお見受けするんだけどねぇ…。」
どうやら、彼女に取って、ラオンさんの存在が、俺の存在を高める役割をしている様だ。
とは言え、俺はしがない一般人な訳で…。
「いえ、俺は只の冒険者ですよ?」
と、答えたのだが…。
「婆ちゃん、ちょいと契約をお願いしたんだが、構わないか?」
ここで言う契約と言うのは、売買契約ではなく、秘密を守らせる為の契約魔法の事だ。
「…なんだい、契約が必要なほどの真面目な話なのかい?」
「あぁ…それも、とびきり強力なヤツを…な。」
それまで巫山戯ていた印象が強かったお婆さんの雰囲気が一気に変わる。
その姿は、海千山千を薙ぎ倒してきた猛者の様な、強者の雰囲気だ。
「チッ…そう言う事は、先に言いな!そうすりゃ、私だってそれ相応の態度を取ったってのに!」
そう言うと、オーサさんは部屋のドアから外にいる人へ指示を出す。
そして、扉に鍵を掛けると先程までの老婆の様な動きではなく、ズカズカと歩くと、こちらに近づいてくる。
『ドカッ!』
オーサさんは、そのまま乱暴にテーブルに座る。
その姿は先程までの年配の女性の態度ではなかった。
「それで、ラオン…こいつは、何者なんだい?」
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