~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神

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~最終章~◆◆◆物語はハッピーエンドが良いよね?◆◆◆

409ページ目…出来ちゃいました【2】

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 プリンとの激しい戦闘が終了した日の午後、俺はある決意と共に、自分の管理しているダンジョンへと来ていた。
 もっとも、自分の管理しているダンジョンとは言ったが、ダンジョンマスターである俺よりも、サブマスターであるスライムの方が、真のダンジョンマスターとして活躍しているのだから、正直な話、自分の管理しているダンジョンと呼んで良いのかは、かなり微妙だったりする。

 とは言え、ここに来たのは先程も言ったが、ある決意の為だ。
 そして、その決意の為、俺は、このダンジョンの運営に必要なダンジョンポイントDPを大量に消費して、一つのアイテムを作り出した。
 この行動が、これから先、吉と出るか凶と出るかは、正直、俺には判断出来ない。
 ただ、俺に言える事は一つだけで…。

「悪かったな、ここまで大きくしてくれたってのに…。」
「キュ、キュ~イ(いえ、気にしないで下さい)。」
「そうか…それでも、お前には、本当にすまないと思う。」
「キュイ…(そうですか…)。」

 今まで、ダンジョンマスターとしての職務を放棄し、サブマスターであるスライムにダンジョン業務を一任させてきたと言うのに、何一つ、文句も言わないスライム…正直、こいつが居なければ、既に、このダンジョン経営は破綻していたと思う。
 それなのに、俺はある程度どうなるか分かっていながら、ダンジョン経営を破綻させる様な行為をしていると思うと、本当に申し訳なく思えてくる。
 だが、それでも…俺には、どうしてもそれを行う必要があったのだ…。

「それで、お前はどうする?このまま此処の管理をするか?
 それとも、俺と一緒に来るか?」
「キュ~…キュ、キュイキュ~(そうですね…ご迷惑でなければ、付いて行こうかと)。」
「そうか、なら、その時はよろしく頼む。
 それと、こんなダンジョンマスターで悪かったな…。」
「キュキュキュイ(それは言わない約束ですよ)。」

 情報源はプリンからかな?と思いつつ『あはは…』と、苦笑しながら、俺はスライムを撫でる。
 改めて考えてみても、このスライムには世話になりっぱなしだ。
 しかも、俺がダンジョンから出て活動出来るのも、このスライムのお陰である。
 それなのに、俺はその恩を仇で返す行為をしている。
 だが、それでも…俺はそうしないといけなかった。
 何故なら、それが俺が彼奴等にしてやれる最善の事だと思ったのだから…。

☆★☆★☆

 そして、ダンジョンを後にした俺は、自宅へと帰って来た。
 すると、直ぐに、プリンが出迎えてくれた。

ご主人様あなた、どうでした?」
「あぁ、大丈夫だ…もちろん、アイテムの方も、ちゃんと作る事が出来た。
 ただ、予想以上にダンジョンポイントDPの消費が激しかったから、最悪、あのダンジョンは枯渇する可能性がある。」
「それでも、ご主人様あなたは、そうしようと思ったのですね?」
「あぁ、彼奴等には、返せないだけの恩があるからな…。」

 そう言った俺に、少しだけ悲しそうな顔をしたプリンが抱きついてきた。

「それは、私も同じです。
 ですが、ご主人様あなたは、もう悲しそうな顔をするのは止めて下さい。
 確かに、彼等とのお別れは辛いかもしれません。
 ですが、ご主人様あなたには私達が居ます。
 それに…それでも寂しいと言うのなら、今度は本当に私達の家族を増やせば良いんです!」

 何とも自分勝手な言い分である。
 だが、確かに、プリンの言う事は一理ある。
 それに、ばぁちゃんとの約束もあるのだ。
 なら、俺には落ち込んでいる暇はない。

 故に、俺は…自らを奮い立たせると、行動を開始したのだった。

☆★☆★☆

「それで、お前は、私の所に来たと?
 しかも、私にダンジョンを作る為の土地を探せと言うのか?」
「えぇ…商業ギルドに都合の良い土地をお願いしたいのですが、流石に、俺個人で相談出来る様な案件じゃないですから…。
 それに、これは、この町の発展にも繋がる話ですから…ね。」
「それはそうだが…普通は、こんな事を相談されるとは思いもしないぞ?」
「いや、俺も十分悩んだんですよ?
 最初は、俺の屋敷の地下に作るつもりだったのを止め、こうやって相談してるんですから…。」

 ぶっちゃけ、黙って自宅の地下に作っても良いのだが、それだと別の問題が発生する。
 それに、この世界のダンジョンと言うのは資源でもあるのだ。

「確かに、勝手に作られるよりはマシだが…だからって、ダンジョンを作る為の土地を用意しろってのは、流石に、二つ返事で了承する事は出来ないぞ?」
「ですよね…まぁ、俺はこの町が気に入ってますからこそ、こうやって相談している訳なんですが…。」

 正直、他の町でも問題がないと言えば問題ないのだが、それでも俺はこの町の住人が好きだ。
 それに、ラオンさんを含め、何人か友人がいる。
 その中には、受付嬢のポプラさんも含まれている。
 それに、今住んでる家は、わば、じぃちゃんの形見でもあるのだ。
 だったら、この世界で暮らすのなら、この町が良いと思っても可笑しくない筈だ。
 それに、二人の孫である俺が継ぐのが、正しいあり方だと思う。

 ただ、今までの俺のダンジョンは、彼等・・に譲ると決めたい以上、新たなダンジョンを作らなければいけない訳で…。
 他にも、魔王としての使命でもあるが、それを踏まえて考えても、やはりダンジョンは資源である。
 故に、町の側にあれば、町の発展の足がかりになるのだ。

「分かった分かった、なら、明日の午前中に一緒に商業ギルドへ行こう。
 流石に、準備する事が多々ありすぎて、今から向かったのであれば、到底、間に合わん。」
「そうですか…では、明日はお願いします。」
「あぁ…その代わり、今度、私の頼みを聞いてもらうからな?」
「えぇ、俺に出来る事なら…ですが…。」

 このタイミングで交換条件を言ってくるとは、何ともズルい人である。
 しかも、頼みごとの内容は白紙とは…何を頼まれのか、恐ろしい限りである。

 こうして、俺はラオンさんと、明日、商業ギルドへ行く約束をして自宅へと帰って行くのだった…。
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