~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神

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~最終章~◆◆◆物語はハッピーエンドが良いよね?◆◆◆

406ページ目…魔王の帰還【16】

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 アルテイシアさんの鍛冶屋を後にした俺達は、高速移動用ゴーレム…通称:車は使わず、車よりも速度の遅いゴーレム馬車を使用し、少し時間を掛けてメルトの町まで戻ってきた。
 とは言っても、通常の馬車の倍くらいの速さが出るゴーレム馬車での移動なので、その速さはかなり早い物となっている。

 そして、メルトの町へ入った事で、俺はプリン達…嫁~ズと別れ、一人寂しく冒険者ギルドまで移動したのだった。

「やぁ、ポプラさん、お久しぶりです。
 ラオンさん…ギルドマスターはいますか?」

 ポプラさんは冒険者ギルドの受付嬢で、美味い物ツアーをする際に、色々なお店が載っている本を見せてくれた人でもある。
 ついでに言うと、ポプラさんは、その時のお礼のオーク肉をラオンさんに取られそうになったと言って、ラオンさんを叩きのめした強者つわものでもある。

「あら~、ムゲンさんじゃ~ないですか~。
 最近、顔を見せないから~心配してたんですよ~?」
「そ、そうなんですね、ちょっとラオンさんからの指示で遠くへ行ってまして…ポプラさんには、ご心配をお掛けしました。
 それで、今はギルドマスターに会えますか?」

 何故、心配してたと言う台詞が疑問形になっているのか、少し気になる所だが、それはそれとして、ラオンさんへの取次をお願いする。

「はい~、大丈夫だと~思いますよ~。」

 そう言うと、受付嬢のポプラさんは、ゆっくり立ち上がり、奥へと入っていった。
 ちなみに、その奥と言うのがラオンさんの執務室であり、いつもそこで面会している場所でもある。

「ムゲンさ~ん、ギルドマスターが~お会いするそうで~す。
 付いて~きて~下さ~い。」

 ポプラさんはそう言うと、俺をラオンさんの部屋まで案内する。
 実は、何度も来ているので案内などいらないのだが、それはそれ、そう言う決まりだと言う事で、案内を断ろうとしても、許可されないので、お手数を掛けるが案内をして貰っていたりする。

『コンコンッ』

「誰だ?」
「ポプラです~、ムゲンさんを~お連れしました~。」
「うむ、入れ。」

 ポプラさんがノックをして、中へ声を掛ける。
 先程、面会の許可を求めた事もあり、すんなり入室の許可が降りる。

「失礼しま~す。」

 そう言って部屋に入る俺に、ポプラさんは頭を下げ、受付に戻っていった。

「もう戻ってきたか…あぁ、聖王都から連絡が来て、魔王との和平条約が結ばれた事は聞いてるぞ。」
「うわ、本気マジかよ…って言うか、このタイミングで、それ言うと俺が魔王って言ってる様な物じゃん…。」
「まぁまぁ、あちらさんも勇者セイギの孫が魔王となっただけじゃなく、世界平和に貢献したなんて、流石に周辺国に言える事でもない訳だしな…。」
「まぁ、それは分からないでもないが…でも、なんでラオンさんに、そんな報告が?」
「何でって、そりゃ、おま…この町のギルドマスターは俺なんだから、魔王がこの町メルトにいるから刺激するなって話だろ?」

 あぁ、そうか…俺とラオンさんの関係を知らなければ、メルトの町に戻ると言ったのだから、そこのギルドマスターへ警告が来ても可怪しくないと言う事か。

「それで、何と答えたんだ?」
「あ~…まぁ、そいつとは友人だから問題ないと…。」
「なるほど、確かに間違いではないけど…なら、ラオンさんが真の黒幕で、こき使われてると言った方が良いかもしれないか…。」
「ちょッ!?おまッ!何、人聞き悪い事言ってんんだ!
 つか、今の話、誰かに聞かれたらどうする!!」
「ん?防音してないのか?」
「いや、お前が入ってきた時点で、魔道具は発動させたから大丈夫だと思うが…。」
「なら、問題ないんじゃね?」
「それはそうだが、万が一と言う事もあるからな?」
「まぁ、それは否定する気はないが…。」

 確かに、この世界なら、何が起きても不思議じゃないからな…。

「それで、お前はこれからどうするんだ?」
「これからとは?」
「いや、魔物はまだいる訳だが、魔族との戦争もなくなった訳だし、次は何をするのかと…。」
「そうですね、一先ひとまず…平和になった事ですし、暫くは休業しようかと…。」

 ぶっちゃけ、何かをすると言う事はないが、それでも働きすぎたと思えるし、それに…平和になったら、嫁~ズとの約束を果たす必要もある。
 それに、ばぁちゃんとの約束も…まぁ、これに関しては先生に泣いてもらう必要があるので、時期の見極めが大変ではあるが…。
 とりあえず、ばぁちゃんが死ぬ前に、やはり孫の顔くらいは見せておきたいと思う。

「そうか…なら、ゆっくり休んでくれ。
 とは言え、何かあったら連絡するから、何処か行くときは事前に連絡をする様に。」
「はいはい…子供じゃないんだから、分かってるよ。」
「そう言って、急に居なくなるのは誰なんだ?」
「ん?俺だが?」

 何を当たり前の事を言っているんだ?
 その台詞に、ラオンさんが口をパクパクさせるが、言葉が出ずに沈黙が流れる。

「………。」
「…………。」

 そして、何とか再起動出来たのか、ラオンさんが動き出す。

「……はぁ、もう良い、帰って良いぞ…。」
「はいはい、そんじゃ、お土産はポプラさんに渡しておくから、後で受け取ってくれ。」

 俺はそう言うと、急いで執務室を出る。
 『パタン』と音を立てて扉が締まった後には、ラオンさんの焦りと怒りが混じった様な大きな声が響き渡るのだった…。
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