~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神

文字の大きさ
上 下
403 / 421
~最終章~◆◆◆物語はハッピーエンドが良いよね?◆◆◆

403ページ目…魔王の帰還【13】

しおりを挟む
 結論から言うと、あの後、少し時間を開けてから話し合いは再開された。

 そして、話し合いの結果…全ての罪は『遊戯神・レキ』にあり!とし、お互いに被害者であり損失を求めないと言う事に決まった。
 何より、今の生き残りの魔族に会おうとしても、そこには高い壁がその行く手を塞いでいる為、簡単には会う事が出来ないのだ。

 そして…復興する為に、少なくとも10年間は互いに干渉をしない事を前提とした、不可侵条約を結ぶ事となった。
 もっとも、こちらとしては約束を破る気はないので、10年だろうが20年だろうが問題はないのだが、それでも、ある程度の期間は平和が続くと思える事が、今は大事だと思う。
 そして、その10年間が過ぎた後、人族(獣人やエルフ等の亜人を含む)と魔族が互いに手を取り合い、今度こそ、平和を紡いで行けたら良いな…と話を締めくくり、話し合いは終了となった。

 ちなみに、余談ではあるが、今の魔族領に人族が来るのは構わないが、その代わり強い魔物が居るから何かあっても責任は取れない。注意する事を忘れない。
 そう言った時、王様から魔物が襲って来ない様に、命令出来ないかと言われたのには、思わず苦笑してしまった。
 どうやら、魔物=魔族の配下と思われていた様で、その間違った認識を正し、魔族も人族同様に魔物に襲われると言った時には、かなり驚かれてしまった。
 コレに関しても『遊戯神・レキ』の所為であり、レキの教えでは魔物は魔族の尖兵として魔王が世に放ったと言う教えになっていた様だ。

 まぁ、コレを聞いた王様は、色々な国や街に御触れを出し、正しい情報を共有する事を決めた様だ。
 さらに余談ではあるが、その御触れにより魔物に襲われるのは魔族の仕業だと思っていた事件が、実は冤罪だったと言う事が分かり、魔族排除の思考が少しだけ良くなったと、此処に記しておく。

☆★☆★☆

「もう、行かれるのでか?」
「えぇ、此処での仕事は終わりましたので…。」
「そうですか…せっかく、セイギのお孫さんに会えたと言うのに…。」
「すいません…ですが、俺達も、なるべく早く我が家に帰りたいものですから…。
 それに、まだ寄る場所もありますし…。」
「あら?それなら、セイギみたいに転移魔法で移動すれば良いのでは?」
「なッ!?どうして転移魔法その事を!?」

 アレだけ隠していた転移魔法の事を、まさか知られていると思わず、つい驚きの声を上げてしまう。

「えッ!?もしや、貴方も転移魔法を使えるのですか?あの、失われた魔法を?」
「え?」
「え?」
「…。」
「……。」
「………。」

 互いに、長い沈黙が続く。
 どうやら、俺はシールズさんのカマ掛けに引っ掛かった様だ。
 とは言え、シールズさんも冗談で言った事だったのか、転移魔法が使えるとは思っていなかった様で、気不味い顔をしており、それ以上の追求はしてこない。

「はぁ…もう良いわ、今の話は聞かなかった事にしてあげます。
 でも、それなら今度、きちんと挨拶に来なさい…。
 勇者セイギの孫として…彼のパーティーメンバーだった私には、その権利があるはずよ?」

 何とも身勝手な言い分である。
 だが、彼女の言う通り、パーティーメンバーだったからこそ知りたい事もあるのだろう。
 だから、俺は…。

「えぇ、何時になるか分かりませんが、必ず…。」
「えぇ、待ってるわね…そうそう、あまりに遅い場合は、こちらから伺わせてもらうわね。」
「…本気マジですか?」
「えぇ、実は、メルトの町にある家って、勇者セイギの拠点として、パーティーメンバー全員で選んだ家なんですから♪」

 道理で、部屋数が多いだけじゃなく、所々に変な仕掛けがある訳だ。
 もっとも、彼女はアリスの事は知っていたが、今の姿は、昔と違う所為で別人…じゃない、別ブラウニーと思っていたそうだ。
 まぁ、ブラウニーからハイ・ブラウニーへと進化しているし、出会った当時とは全く違う外見になっているのだから、それは仕方が無い事だと思う。

「その時は、大したおもてなしは出来ませんが、一応、歓迎くらいはしますよ。
 でも、その時には、前もって先触れは出してくださいね?」
「えぇ、そうさせてもらうわ。」

 王妃シールズはそう言うと、右手を出してきた。
 そして、俺は、その手を取り…。

「それでは、また…お元気で。」

 と、別れの挨拶をしたのだった…。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明
ファンタジー
 秋津直人、85歳。  50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。  嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。  彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。  白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。  胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。  そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。  まずは最強の称号を得よう!  地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編 ※医療現場の恋物語 馴れ初め編

処理中です...