~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神

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~最終章~◆◆◆物語はハッピーエンドが良いよね?◆◆◆

400ページ目…魔王の帰還【10】

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『遊戯神・レキ』を倒してからの帰り道は、イベントらしいイベントも無かった。
 何せ、懸念していたファナル砦での問題に関しても、魔神教団の村からファナル砦へと移動している間に、時間の経過と共に、徐々に復活したレスターこと『レベッカ』が、実は〖勇者・・〗であり魔王を倒した…と言う事にしてくれたからである。

 また、その事を裏付ける様に、魔王城から一定距離離れた場所には封印に見せかけた巨大な壁が現れており、アレほど活発化していた魔物の動きも、今までの事がまるで嘘だったかの様に収まっていたからである。

 その為、ファナル砦にいたラストガーディアンズ隊長『フランベルク・シルバーソード』さんが終戦を確認し、その後、最低限の人員を残して解散を宣言したからである。
 そして、彼等は報奨金と交換可能な割符を貰い解散となった。

「それにしても、勇者と言うのは本当に凄い物なのだな。
 アレほど攻めてきていた魔物や魔族がパッタリと姿を見せなくなるとは…。」
「そ、そうですね…ですが、魔族にもそれなりの理由があったのではないでしょうか?
 そして、それが無くなった今、彼等は平和を望んでいると思いますよ?」

 と、内心、ビクビクしながらも他人事の様に、俺はフランベルクさんと話をする。

「そうなのであろうな…ん?魔族は滅んだのではないのか?」
「え?そ、そうですね…お、俺は、何を言ってるでしょうね、あははは…。」

 いかんいかん、魔王が倒された時に、魔族は消え去ったと言う話にしたのを忘れて、つい素で話してしまった。

「フッ…そう心配しなくても大丈夫だぞ。
 私とて、全ての魔族が消え去った思ってはおらぬ。
 何せ、300年ほど前に消え去ったとされる魔族が、未だ残っていたのだ。
 ならば、今回も生き残っていると考えるのが無難であろう。
 まぁ、私の想像では、あの壁の向こう側で…だな。」
「そ、そうですね…まぁ、彼等も悪しき魔王・・・・・が居なくなった事で、元の優しい魔族に戻ったのですから…。」

 まぁ、一部、例外として戦闘狂やはっちゃけた魔族も居るには居たが、ぶっちゃけ、それらは『グレコ・ノール』の敵ではない。
 今頃は、そのネジ曲がった根性や思想は叩き直されている事だろう。
 もっとも、例え『グレコ・ノール』に反発したとしても、魔王の権限で命令してあるので、反発する事はあっても、命令には従ってくれるであろう。

「それで、君達はこれからどうするんだい?」
「このままメルトへ戻る…と、言いたいのですが、レスター・・・・さん達と一緒に『聖王都』まで行かなくてはいけなくなりまして…。」
「なるほど…カタリベ殿達は護衛を依頼られたのだったな。」
「ま、まぁ、そんな所です…。」

 本当の所は、魔王である俺が、好き勝手うろつくのを防ぐ為と言うのと、聖王都にて正式な平和条約を結ぶ為だったりする。
 だが、こんな事までバカ正直になる必要はないので、黙りである。

「それで、フランベルクさんは、これからどうするんですか?」

 もう、この砦を脅かす存在は、野良の魔物くらいだから、それほど脅威はないはずだ。

「ん?私かい?私はこのまま砦の防衛の任務を続行だぞ?」
「え?でも、戦争は終わったんですよね?」
「あぁ、確かに終わったな…だが、君は勘違いしているようんだが、我々、ラストガーディアンズは、元々、魔物の監視や排除が任務だぞ?
 故に、戦争が終わったからと言って、普段の任務が無くなる訳ではないぞ?」
「あ、なるほど…。」

 言われて納得、うん、そうか…だ。

 このファナル砦が作られたのは300年前だと言っても、その間、ずっと魔族に対して、どうこうしていた訳ではない。
 ならば、何を?と聞かれたら、先程フランベルクさんが言った様に、魔物の行動を監視していたと考えるのが普通である。
 それは、つい先日まで脅威であった戦争の事しか頭になかったのは俺の落ち度であった。

「す、すいません、俺…。」
「あぁ、気にする事はないぞ?既に、この質問は何度もあったからな、ハハハ………。」
「そうなんですね…。」

 どうやら、戦争が終わって浮かれていたのは俺以外にも何人も居た様でホッとする。
 まぁ、ホッとして良いのか悪いのか…たぶん、悪いんじゃないかな?と思うが、今は、口を噤んでおく。
 その後、他愛も無い世間話を少ししてから、俺はフランベルクさんに別れの挨拶をした。

「フランベルクさん、色々とお世話になりました。」
「いや、こちらの方こそ…冒険者である君達に無理をさせて済まなかった。
 まぁ、なかなかそんな機会はないと思うが、もし、また訪れる事があれば気軽に寄ってくれ。
 それと平和になったとは言え、魔物がいなくなった訳では無い…道中、気を付けて行くんだぞ?」
「はい、ありがとうございます。
 フランベルクさんも、ご健在で!」
「あぁ、ありがとう。」

 こうして、別れの挨拶が済んだ俺達は、メルト…じゃなかった、『聖王都』へと旅立って行くのだった…。
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