395 / 421
~最終章~◆◆◆物語はハッピーエンドが良いよね?◆◆◆
395ページ目…魔王の帰還【5】
しおりを挟む【本来であれば、魔王・零に当たるはずの矢を、王女が自らの身体を犠牲にして庇ったのじゃ…。】
そう告げた創造神は、しばしの間、言葉を紡ぐ事はなく、悲しい感情だけがこちらに送り続けられるのだった…。
それから少しして、創造神は、再び話の続きを語り始めた。
【それからは、御主達の方が詳しく知っておるやもしれんの…。】
【魔王・零は、己が手から失われた王女の魂を求め、王女の転生体を探し、色々と無茶をしたようじゃな…。】
【その結果、あやつは本当の意味で魔王と化し、勇者セイギによって倒されるまで、地上を戦乱の世をもたらしたのじゃ…。】
【何はともあれ、その元凶である『遊戯神・レキ』を捕まえる事が出来たのは僥倖じゃったわい。】
【これで、暫くは、そっちの世界も平和になる事じゃろう。】
「まぁ、人族同士の争いは、普通にあるだろうから平和じゃないかもしれないけど…ね。」
人間と言う生き物は、何処の世界でも同じ種でありながら、争う事を止めない愚かな生き物なのだ。
【ムゲン君、お主は身も蓋もない事を言うのう…。】
【じゃが、それに付いては、我々の預かり知らぬ所じゃな。】
【我々の仕事は、世界を行末を見守る事じゃからの。】
「う、嘘だ!それでは、我等が神が悪神だと言うのか!
そ、それでは、兄上は…兄上の死は無駄だったと言うのかッ!!」
「ひ、姫ッ!?」
創造神の言葉に、レスターさんの様子が可怪しくなる。
いや、それ以前に、彼の部下達の言動が気になる。
何故、彼を姫と呼んだのか…。
いや、確かに、俺は彼を〖神眼〗で見て確認しているから、その理由は分かっている。
だが、それでも、何故、このタイミングで…と言うのが分からないのだ。
だが、ここで、ふと思う…そう言えば、彼は俺の〖神眼〗を誤魔化す程の隠蔽が使えたのだ。
その為、最初、彼が〖勇者〗の称号を持っていた事に、気が付かなかった。
もっとも、完全なる魔王となった今では〖神眼〗の能力も上がったのか、見た時には看破する事が出来たが故に、彼が彼女である事も理解できていたのである。
だとするなら…もしも、他の部分も本気で見たら、どうなるのだろう?
そう思った俺は、他にも隠蔽されていると仮定して、本気で見る事にし、その隠蔽を看破しようとした。
その結果…。
レスター・ハーミットの名前が、『レベッカ・フォン・シロガネ』と変わった。
もちろん、性別も男から女へと変化している。
つまり、彼女は、性別だけではなく名前までも隠蔽して、別人になりすましていたようだ。
しかも、シロガネか…聖確か、王都の名前もシロガネ…これに、先程の『姫』の言葉を当てはめると…どうやら、彼女はこの国の姫様の様である。
だが、今はそんな事より、重要な事がある…それは…。
「兄上の死って…何?」
『レキ』が悪神である事と、レベッカの兄の死にどんな繋がりがあるのだろうか…。
しかし、その答えは、最悪なタイミングで知る事となる。
【あ、思い出した!君達、兄弟で殺し合わせ、生き残った者が真の勇者になる事が出来るって言って、遊んだ事があったんだった。】
【そうそう、彼女の兄の名前…何だっけ?レクタ?レスタ?】
【とにかく、彼女の兄が、わざと彼女に斬られてつまらなかったから、すっかり忘れてたよ。】
と、まるで三流芝居でも見たかの様に、くだらない物だったと言い放つ。
なるほど、どうやら彼女が名乗っている名前は、彼女の兄の名前を借りていた様だ。
だが、もちろん、俺の意見は『レキ』とは違う。
おそらく、彼女の兄は、本気で彼女を愛していたのだろう。
故に、自分の命と引き換えにしてでも彼女を救う道を選んだのだろう。
その証拠に…。
「き、貴様!!我等が神でありながら、レスター様を侮辱するのか!」
「先程からの話を聞くに、そうなる様に、貴様が仕組んだのだろうが!」
等々、『レキ』の事を、我らが神と言っておきながら、部下達は『レキ』の事を、激しく批難する。
そんな傍ら、彼女は…ガックリと膝を落とし、『兄上』と呟きながら涙を流しているだけだった…。
そう告げた創造神は、しばしの間、言葉を紡ぐ事はなく、悲しい感情だけがこちらに送り続けられるのだった…。
それから少しして、創造神は、再び話の続きを語り始めた。
【それからは、御主達の方が詳しく知っておるやもしれんの…。】
【魔王・零は、己が手から失われた王女の魂を求め、王女の転生体を探し、色々と無茶をしたようじゃな…。】
【その結果、あやつは本当の意味で魔王と化し、勇者セイギによって倒されるまで、地上を戦乱の世をもたらしたのじゃ…。】
【何はともあれ、その元凶である『遊戯神・レキ』を捕まえる事が出来たのは僥倖じゃったわい。】
【これで、暫くは、そっちの世界も平和になる事じゃろう。】
「まぁ、人族同士の争いは、普通にあるだろうから平和じゃないかもしれないけど…ね。」
人間と言う生き物は、何処の世界でも同じ種でありながら、争う事を止めない愚かな生き物なのだ。
【ムゲン君、お主は身も蓋もない事を言うのう…。】
【じゃが、それに付いては、我々の預かり知らぬ所じゃな。】
【我々の仕事は、世界を行末を見守る事じゃからの。】
「う、嘘だ!それでは、我等が神が悪神だと言うのか!
そ、それでは、兄上は…兄上の死は無駄だったと言うのかッ!!」
「ひ、姫ッ!?」
創造神の言葉に、レスターさんの様子が可怪しくなる。
いや、それ以前に、彼の部下達の言動が気になる。
何故、彼を姫と呼んだのか…。
いや、確かに、俺は彼を〖神眼〗で見て確認しているから、その理由は分かっている。
だが、それでも、何故、このタイミングで…と言うのが分からないのだ。
だが、ここで、ふと思う…そう言えば、彼は俺の〖神眼〗を誤魔化す程の隠蔽が使えたのだ。
その為、最初、彼が〖勇者〗の称号を持っていた事に、気が付かなかった。
もっとも、完全なる魔王となった今では〖神眼〗の能力も上がったのか、見た時には看破する事が出来たが故に、彼が彼女である事も理解できていたのである。
だとするなら…もしも、他の部分も本気で見たら、どうなるのだろう?
そう思った俺は、他にも隠蔽されていると仮定して、本気で見る事にし、その隠蔽を看破しようとした。
その結果…。
レスター・ハーミットの名前が、『レベッカ・フォン・シロガネ』と変わった。
もちろん、性別も男から女へと変化している。
つまり、彼女は、性別だけではなく名前までも隠蔽して、別人になりすましていたようだ。
しかも、シロガネか…聖確か、王都の名前もシロガネ…これに、先程の『姫』の言葉を当てはめると…どうやら、彼女はこの国の姫様の様である。
だが、今はそんな事より、重要な事がある…それは…。
「兄上の死って…何?」
『レキ』が悪神である事と、レベッカの兄の死にどんな繋がりがあるのだろうか…。
しかし、その答えは、最悪なタイミングで知る事となる。
【あ、思い出した!君達、兄弟で殺し合わせ、生き残った者が真の勇者になる事が出来るって言って、遊んだ事があったんだった。】
【そうそう、彼女の兄の名前…何だっけ?レクタ?レスタ?】
【とにかく、彼女の兄が、わざと彼女に斬られてつまらなかったから、すっかり忘れてたよ。】
と、まるで三流芝居でも見たかの様に、くだらない物だったと言い放つ。
なるほど、どうやら彼女が名乗っている名前は、彼女の兄の名前を借りていた様だ。
だが、もちろん、俺の意見は『レキ』とは違う。
おそらく、彼女の兄は、本気で彼女を愛していたのだろう。
故に、自分の命と引き換えにしてでも彼女を救う道を選んだのだろう。
その証拠に…。
「き、貴様!!我等が神でありながら、レスター様を侮辱するのか!」
「先程からの話を聞くに、そうなる様に、貴様が仕組んだのだろうが!」
等々、『レキ』の事を、我らが神と言っておきながら、部下達は『レキ』の事を、激しく批難する。
そんな傍ら、彼女は…ガックリと膝を落とし、『兄上』と呟きながら涙を流しているだけだった…。
0
お気に入りに追加
435
あなたにおすすめの小説

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜
月風レイ
ファンタジー
グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。
それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。
と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。
洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。
カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

おもちゃで遊ぶだけでスキル習得~世界最強の商人目指します~
暇人太一
ファンタジー
大学生の星野陽一は高校生三人組に事故を起こされ重傷を負うも、その事故直後に異世界転移する。気づけばそこはテンプレ通りの白い空間で、説明された内容もありきたりな魔王軍討伐のための勇者召喚だった。
白い空間に一人残された陽一に別の女神様が近づき、モフモフを捜して完全復活させることを使命とし、勇者たちより十年早く転生させると言う。
勇者たちとは違い魔王軍は無視して好きにして良いという好待遇に、陽一は了承して異世界に転生することを決める。
転生後に授けられた職業は【トイストア】という万能チート職業だった。しかし世界の常識では『欠陥職業』と蔑まされて呼ばれる職業だったのだ。
それでも陽一が生み出すおもちゃは魔王の心をも鷲掴みにし、多くのモフモフに囲まれながら最強の商人になっていく。
魔術とスキルで無双し、モフモフと一緒におもちゃで遊んだり売ったりする話である。
小説家になろう様でも投稿始めました。

神様との賭けに勝ったので異世界で無双したいと思います。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。
突然足元に魔法陣が現れる。
そして、気付けば神様が異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
もっとスキルが欲しいと欲をかいた悠斗は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―――
※チートな主人公が異世界無双する話です。小説家になろう、ノベルバの方にも投稿しています。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
異世界に降り立った刀匠の孫─真打─
リゥル
ファンタジー
異世界に降り立った刀匠の孫─影打─が読みやすく修正され戻ってきました。ストーリーの続きも連載されます、是非お楽しみに!
主人公、帯刀奏。彼は刀鍛冶の人間国宝である、帯刀響の孫である。
亡くなった祖父の刀を握り泣いていると、突然異世界へと召喚されてしまう。
召喚されたものの、周囲の人々の期待とは裏腹に、彼の能力が期待していたものと違い、かけ離れて脆弱だったことを知る。
そして失敗と罵られ、彼の祖父が打った形見の刀まで侮辱された。
それに怒りを覚えたカナデは、形見の刀を抜刀。
過去に、勇者が使っていたと言われる聖剣に切りかかる。
――この物語は、冒険や物作り、によって成長していく少年たちを描く物語。
カナデは、人々と触れ合い、世界を知り、祖父を超える一振りを打つことが出来るのだろうか……。

神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。

補助魔法しか使えない魔法使い、自らに補助魔法をかけて物理で戦い抜く
burazu
ファンタジー
冒険者に憧れる魔法使いのニラダは補助魔法しか使えず、どこのパーティーからも加入を断られていた、しかたなくソロ活動をしている中、モンスターとの戦いで自らに補助魔法をかける事でとんでもない力を発揮する。
最低限の身の守りの為に鍛えていた肉体が補助魔法によりとんでもなくなることを知ったニラダは剣、槍、弓を身につけ戦いの幅を広げる事を試みる。
更に攻撃魔法しか使えない天然魔法少女や、治癒魔法しか使えないヒーラー、更には対盗賊専門の盗賊と力を合わせてパーティーを組んでいき、前衛を一手に引き受ける。
「みんなは俺が守る、俺のこの力でこのパーティーを誰もが認める最強パーティーにしてみせる」
様々なクエストを乗り越え、彼らに待ち受けているものとは?
※この作品は小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアッププラスでも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる