~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神

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~第七章:魔神復活編~

383ページ目…私は帰ってきた!

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<side:プリン>

「もう諦めたらどうだ?ヤツは死んだ。
 いつまでも義理立てする必要など無いだろ?
 それに、俺の中のヤツ・・が、お前を手に入れろとうるさくて適わないんだよ…。」
「誰が貴方なんかに!それに、ご主人旦那様は生きています!
 私にはそれが分かるんです!」

 いつの頃からか、どれだけ離れていても、ご主人旦那様の事が分かる様になったいた。
 まぁ、流石に何をしているまでは分からないが、何処にいるとか、怒ってるとか笑ってるとか…その様な些細な事ではあるが、魔物スライムである私に、偽りではない感情を与えてくれた。
 最初は、強い種を…と、偽りの感情を作り彼に近付いた私であるが、今では、この感情は私にとって、かけがえのない宝物大切な物である。
 そんな私だからだろうか?確かに、ご主人旦那様は私の前から消滅えた、消滅えてしまった…。
 だが、それは単に遠くに行っただけで、必ず私の元へ戻ってくる事を当然の様に感じていた。

 ならば、今の私に出来る事は、彼が戻ってくるまでの間、出来るだけ時間を稼ぐ事。
 その為に、伏兵として彼女達には、姿を隠す様に〖念話〗言ってあるのだから。

 元々、獣人や神獣は、魔物扱いされる事が多いが、それでも獣から進化したとされるのが獣人や神獣である為か、獣と同様に気配を隠すのは上手い。
 その証拠に、私が彼女達へ意識を向けない様に動くだけで、この愚か者魔王は気が付かないのだから…。

「しっかし、何だってアイツはこんなスライム如き・・・・・・を欲しがるんだ?
 スライムなんて、最弱の魔物じゃん?まぁ、そのお陰で俺は好き勝手出来るから良いんだけどよ…。」

 それにしても、この魔王、先程まで子供の様な態度が嘘の様に、打って変わって、自己中と言うか何と言うか…チンピラみたく、偉そうな態度である。
 まるで、子供の身体に、大人の心が入っている様な…。

「あ、貴方は…随分と偉そうですが、本当に子供なんですか?」
「あぁ?あ~なるほどね、お前もさっきのバカ・・同様、この身体に騙された口か?
 良いだろう、答えてやるよ…俺は確かに子供だよ?ただし、身体だけは…な。」

 身体だけ?いったい何を言ってるんだろう?

「身体だけ…ですか?」
「あぁ…まぁ、スライム如きに言っても分からないだろうが、異世界転生ってヤツだ。
 んで、その中身は、25歳の天才詐欺師・・・・・様って訳だ。
 ん?どうだ?まんまと騙された気分は?」
「な、なるほど…道理で、ご主人旦那様が騙される訳です。
 それにしても、異世界転生でしたか…。」
「うん?お前、スライムの癖に、異世界転生を知ってるのか?」
「えぇ、知っていますが…それが何か?」

 まぁ、ご主人様と〖融合〗した際に記憶を共有したからこそ知っているのですが…ね。
 と、心の中で付け加える。
 だが、異世界転生の知識を持っていたからか、魔王の興味を引いた様だ。

「ほほぅ~、知識を持つスライムって事か…喜べ!気が変わった!
 今日から、お前を俺の奴隷からペットに格上げしてやろう。」
「貴方、バカですか?何で、貴方如き雑魚ザコの奴隷やペットにならなければいけないのですか?
 と言うか、そんな物になる位なら、死んだ方がマシなんですが?」

 ご主人旦那様を侮辱されて、我慢の限界を迎える。
 自分で言うのも何だが、何とも怒りの沸点が低い事だろう。

「てめぇ!良いだろう…そんなに死にたければ、死にやがれ!!」

 だが、こんな初歩の挑発に、いとも容易く引っ掛かるとは、天才詐欺師が聞いてあきれる。
 しかし、注意が散漫になったのは僥倖ぎょうこうだ。

「今です!」

 私の合図で、みんなが行動を開始する。

「き、九尾化!からの~天叢雲剣あまのむらくものつるぎ!」
破壊の咆哮ディストラクション・ハウル!」
七色の矢セブンス・アロー!」

 そして、私も…ご主人様の知識を用いて、攻撃するのは某アニメの必殺技。
 普通であれば、体内で用いるには不可能な原理だが、電気に依る超加速…電磁加速させた貨幣を魔王に向けて穿うがつ。

「喰らえ、超電磁砲レールガンッ!」

 ご主人旦那様の記憶から再現した、この世界において、通常ではありえない攻撃。
 しかも、総攻撃状態なのだ。
 これでダメージが無ければ、本気でお手上げである。

『チュドドドドーーーーン』

 激しい爆音と共に魔王が吹き飛ぶ。
 そして…。

「ク、クソ…よくもやってくれたな…何か企んでるのは分かってたが、よもや全力の魔法障壁を貫いてくるとは…。
 だが、これで、もうお前達には、勝ち目はなくなった訳だ…。」
「そ、そんな…。」

 最高のタイミングで攻撃したはずなのに、それほどダメージは入っていない。
 それなりにダメージがあるはずと思っていたが、まさか、ここまで戦力差があったなんて…。
 いや、ご主人様の〖魔王化〗のステータスを上書きしたのだから、それほどの差があっても可笑しくないのかもしれない。
 それに、彼奴の言う事が本当ならば、ご主人旦那様の中にあった魔王の魂の残り半分も吸収しているはず。
 ならば、〖魔王化〗以上のパワーアップをしていても可笑しくない。

「まずは貴様からだスライム…もう、ヤツが何と言おうと、もう貴様は殺す…死ねッ!」

 絶体絶命のピンチである。
 だが…。

『バキン!』

 空間が割れ、中から人が出てくる。
 それは、待ち侘びていた愛しい人で…。

「ソロ〇ンよ、私は帰ってきたッ!!」
「貴方はガ○ーですか!って言うか、誰がソ〇モンですか、誰がッ!!」

 ご主人様が帰って来た…ただそれだけで心から幸せな気分になる。
 つい、テレ隠しで、ツッコミを入れてしまうのは仕方がない事…。

「あ、いや…何となく言ってみたくなって…。
 それと、プリン…ソロモ〇は人の名前じゃなく、宇宙要塞だぞ?」
「つまり、場所…だと?それならば、魔王城と言えば良かったのですか?」
「い、いや、別にそれはどうでも良いんだけど…何か風当たり冷たくね?」
「あ、当たり前です!あんな三流以下のクソ詐欺師なんかに引っ掛かったばかりか、私達に心配を掛けたんですから!」

 ご主人旦那様に背を向け、怒っている体をしてみたが、頬が熱くなっているのを感じる。
 やはり、ご主人様は私達がピンチの時には次元の壁すら超えて、駆け付けてくれるた事に嬉しくなってしまう。

「悪い…でも、説教は後でじっくり聞くから…。
 まずは、反撃開始と言う事で…〖魔法:空間転移ゲート〗!」

 クズハ、ローラ、アリス…そして、私の後ろに転移の為の空間が開く。
 そして、ご主人旦那様は…。

「では、お姫様、私めのお手を…。」

 そう言って、ご主人様は私に手を差し出してくる差し出してくる。
 私がその手を取ると、ご主人様が一言だけ叫ぶ。

 それが反撃の狼煙となったのだった…。
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