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~第七章:魔神復活編~

381ページ目…繋がる思い

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 親友と呼んでも語弊ごへいではない友達であり、後輩である砕神に言われ、戻るヒント・・・・・を手に入れた僕は、じぃちゃんの家へと向かう。
 とは言っても、そのじぃちゃんは先月、死んでいるのだから、ばぁちゃんの家と言った方が正解なのかも知れない…。
 まぁ、そんな事は些細な事で、今の僕には、どうでも良い事であった。

「待ってろよ、プリン…すぐに戻るからな…。」

 一人、寂しく電車に揺られ呟く言葉…それでいて奇跡さえも起こせるのでは?と思えるほどの気持ちが込められていたのだった…。

☆★☆★☆

「ばぁちゃん!」
「おや、夢幻むげんちゃんじゃないの…急にどうしたの?
 それに、何か、切羽詰まってる様に思えるのだけど…私の気の所為かしら?」

 ばぁちゃんの家に着いた僕は、ろくに挨拶もしないで、ばぁちゃんを呼ぶ。
 そんな僕に対し、相変わらずのマイペースで話し掛けてくるばあぁちゃん…。
 その癖、僕の事はしっかり見ている様で、僕に余裕がない事を一目で見抜いた様だ。

「えっと…色々、聞きたい事があるんだけど…まずは、この『本』を読んでくれない…かな?」

 そう言って、僕は持ってきた本を、ばぁちゃんへと渡す。

「あら?これは…正義マサヨシさんに言われて、夢幻ちゃんの誕生日合わせて送った『本』よね?
 コレがどうしたのかしら?」
「いや、だから、まずは読んで欲しいんだけど…。」
「はいはい、読めば良いのね?」

 ばぁちゃんはそう言って本を読み始める。
 そして…時間が流れ、最後まで読み切った。

「えっと…この本に書かれているのは、本当の事かしら?
 と、普通の人・・・・なら言うのでしょうね…。」
「まぁ、確かに友達にも似た様な事は言われたけど………え?普通の人ならって、どう言う事?」

 後輩には『何かのネタですか?』とか『事実なんですか?』など言われた。
 だが、それでも、ばぁちゃんの言う『普通の人』と言う言葉では意味が変わってくる。

「え?そのままの意味よ?まさか、夢幻ちゃんが私の住んでいた世界・・・・・・・を旅して来たなんて…。
 それで、これを私に読ませたと言う事は、やっぱり、夢幻ちゃんは向こうの世界に行きたいのよね?」
「あ、うん…でも、どうして、そんなに簡単に信じてくれるの?」

 自分で言うのも何だが、後輩砕神にしろ、ばぁちゃんにしろ、何故、こうも簡単に信じてくれるのだろう?
 正直、騙されやすい人なんじゃないか?と心配になってくる。

「あらあら、そんな事も分からないのかしら?
 自分の可愛い孫を信じられない様になったら、おばあちゃん失格よ?
 それにね…本に書いてあったけど、アリス・・・ちゃん…まだ、私達の家を守ってくれていたのね…。
 しかも、向こうでは300年も時間が過ぎていただなんて…。」

 そう言って、そっと目に浮かべた涙を拭う、ばぁちゃん…。

「えっと…もしかして、ばぁちゃんもアリスの事を知ってるの?」

 家を購入してから知った事だが、あの家は、異世界に召喚された勇者セイギ事、僕のじぃちゃんが拠点として購入した家で、その家の留守を預かっていたのが、今は僕のお嫁さんの一人でもあるブラウニーのアリスだったのだ。
 もっとも、その家主がいないまま300年の月日が流れてしまった為、アリスは力を徐々に失い、悪霊が住み着く家になってしまっていたのだが…。

「えぇ、勿論知ってるわ。
 そもそも、あの家の留守を守る者として、マサヨシさんにアリスちゃんを紹介したのは私なんですよ?」
「えッ!?そうなの?でも、どうやってブラウニーなんかを紹介したの?」

 正直、人間が妖精を紹介なんて出来るものなのだろうか?

「えっと、それは…ね。
 夢幻ちゃんも、あちらの世界を旅していたのなら知ってるかも知れないけど、あちらの世界で300年前に魔王が現れたの。
 それで、残念ながら、今はもう無くなってしまった国の様だけど、私のお父様…当時の王様が勇者召喚の儀式を行う様に決めたのよ。
 それで、マサヨシさんが召喚されてって話は長くなるからは置いておくとして、私の家にいたブラウニーの一人がアリスちゃんなのよ。」

 ぶっちゃけ、その置いた話も、かなり気になるのだが、今は戻る事が先決だ。
 だが、それでも…。

「改めて聞くとビックリするけど…やっぱり、ばぁちゃんってお姫様だったんだ…。」

 これも、向こうの世界で勇者の話を調べる事で分かった事だが、勇者は聖女でもあったお姫様と一緒に元の世界こちらの世界に戻ったと言う話がある。
 つまり、そのお姫様と言うのが、僕の目の前にいる、ばぁちゃんな訳で…。

「って、今気が付いたけど、ばぁちゃんがそのお姫様って事は、ばぁちゃんって聖女じゃん!?」

 文字通り今更だが、普段のばぁちゃんの態度を顧みると、聖女と言われたら納得がいく。
 そっか、ただの優しいばぁちゃんじゃなかったんだ…。

「そんなに驚かなくても…それに、昔の話よ?
 今は、どこにでもいる、おばあちゃんよ。」

 昔の事と言われても、お姫様であり聖女だと言われたら、普通は驚くのは当然だと思う。
 いやまぁ、確かに言われないと分からなかったけどさ…。
 確かに、ばぁちゃんは優しいし同年代の人に比べると若く見えると言うか、可愛い人ではある。
 それに、ばぁちゃんが若い頃の写真を見た事もあるが、凄く綺麗であった。

「ま、まぁ、その話は置いておくとして…ばぁちゃん、向こうの世界に戻る方法・・・・、何か知らない?」
「向こうに戻る方法…ね、夢幻ちゃんにとっては、もう向こうの世界異世界貴方あなたの世界なのね。
 でも、折角、私を頼ってきてくれたのは嬉しいけど、残念ながら私にも方法は分からないわ…。」
「そ、そっか…。」

 頼みの綱だった、ばぁちゃんにも方法は分からないらしい…これで、振り出しに戻った事になる。

「あら?落ち込む事はないわよ?」
「え?どう言う事?」
「確かに、私には向こうの世界へ行く方法は分からないわ。
 でもね?よ~く考えて御覧なさい。
 夢幻ちゃんには〖空間転移ゲート〗の魔法があるじゃない!」
「そ、そりゃ、向こうの世界異世界では使えたかも知れないど、こっちの世界で魔法なんて使えないじゃん…。」

 コレに関しては、砕神後輩の家に向かう前に、魔法が使えるかどうか試したので間違い無いはずだ。

「あら?誰がそう決めたのかしら?マサヨシさんは普通に使えたわよ?」
「え?マジでッ!?」
「えぇ、夢幻ちゃんも見ているはずよ?まぁ、マサヨシさんったら、魔法だとバレない様に、タネも仕掛けもない手品と言って誤魔化してたみたいけど…。」

 魔法、手品…言われてみれば、確かにじぃちゃんの手品は、タネが分からないものが異様・・に多かった気がする。
 しかも、僕が幾らタネを聞いても教えてくれなかった。

「おいおい、じぃちゃん…アレ、魔法だったのかよ…。」

 道理で、幾らタネを考えても分からない訳だ…。
 そもそも、文字通りタネが無いんじゃ見付け様がないじゃないか…。

「ん?って、事は…。」
「えぇ、もちろん、今の夢幻ちゃんにも使えるんじゃないかしら?」
「だったら…。」

 この世界でも魔法が使える…ならば…。

「ばぁちゃん、庭先借りるね?」
「えぇ、頑張ってね。」

 ばぁちゃんに励まされつつ庭先へと向かう。
 幸い、庭には高い塀があるので他の家からは見えないし、更に言えば、隣の家までは距離がある為、少し騒いだ所で問題がない。
 故に、僕は自分の中に有るはずの魔力を信じ、魔法を使うのだった…。
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