上 下
379 / 421
~第七章:魔神復活編~

379ページ目…そして、元の世界へ…。

しおりを挟む
『いやーーーーー!』

 そんなプリンの悲鳴を聞きながら、僕の意識は遠のいていく…。
 こんな事で、プリンとは永遠の別れになると思うと悔しい思いが込み上げてくる。
 だが、そんな思いも、僕と共に、この世界から消滅えていくのだった…。

☆★☆★☆

 次に目を覚ました時・・・・・・・、僕は驚いた。
 何故なら、僕は確かに、あの時、死んだはずなのだから…しかし、本当に僕が驚いたのは別の事だった。

 何故なら…。

「え?ここは…僕の部屋?」

 そう…ここは紛れもなく僕の部屋である。
 しかも、僕が装備してた『|《あちらの世界》異世界』の装備ではなく、『あちらの世界』へ行く前の寝間着代わりに着ていたジャージ姿だった。
 しかも、驚いた事に、時計の針も、僕が『異世界』へ旅だった時間から1分と時間は経っていなかったのだ…。

 つまり、これは…。

「まさか、今までのは全部、夢…なのか?」

 だが、床に座っている僕の足の上には一冊の本がある。
 そして、僕はおもむろにその本をめくる。

 すると、そこには、白紙だったページに、今まで僕が経験して来た出来事が物語として書かれていた。
 僕は今までの出来事を思い返すかの様に、夢中になり読み進めていく…。

 そして…僕がプリンとの融合を強制的に排除して、魔王エギンにより倒されている所で物語は終了していた。

 しかも、その最後のページには『~fin終わり~』と書いてはいるものの、何故か違和感がある。
 その原因が分からないまま、ただ時間だけが過ぎていった…。

 そして、そのまま昼頃までボ~っとしていたのだが、突如、スマホのアラームが鳴り出した事により、ある事を思い出した。
 そう、この日、僕は後輩と遊ぶ約束をしていたのだ。

 しかし、異世界の事が、どうしても夢だとは思えない僕は、後輩と遊ぶ事をキャンセルしようと考え、スマホを手に取った時、自分の指に填めていた指輪が無くなっている事に気が付いた。
 そう…異世界に行く前…本を読む前に表紙の竜の口から取り外し指に填めた、あの不思議な指輪である。

 何処かに落としたのか?そう思い、部屋中をくまなく探す…しかし、結局、指輪は見付からなかった。
 まるで、最初から無かったかの様に…。

 そうこうしている内に、後輩と遊ぶ時間が近付いて来る。
 そして…そう言えば『砕神サイガミのヤツ、この手の小説ラノベとか詳しかったよな…。』と、何かに導かれる様に呟いた。

 何故、この様な事を呟いたのか、自分でもこの時は分からない。
 だが、この時の僕は、何故か今まで断ろうとしていた後輩に、絶対に会わなければ行けないんだ…と危機感に襲われた。
 それ故、断ろうとしていた遊ぶ約束を守る為、急いで着替えると、僕は後輩の家へと出掛けていった。
 そう…リュックに、例の本を詰めて…。

☆★☆★☆

『ピンポーン!』

 20分ほど、時間が過ぎた頃、僕は後輩の家へ着いた。
 いつもの様に、呼び鈴を鳴らすと、後輩が出迎えてくれた。

「先輩、いらっしゃい。
 って、先輩、何かやつれてませんか?もしかして…何かあったんですか?」
「あ~…いや、詳しい事は部屋で言うよ…それより、上がっても良いかな?」
「えぇ、どうぞ…何か冷たい飲み物持って行くんで、先に部屋で待ってて下さい。」
「あぁ、分かった…お邪魔します。」

 勝手知ったる何とやら…ではないが、既に何度も遊びに来ている後輩の家である。
 『お邪魔します』と挨拶だけ済ませると、遠慮無く後輩の部屋へと向かう。
 後輩も、飲み物を…と言うだけあって、予め用意していたのか、直ぐに2人分のコップとよく冷えた炭酸飲料コーラを持って戻ってきた。

「それで…先輩、何があったんですか?」

 先輩後輩の関係ではあるが、親友と呼んでも良いほどの友達である。
 遠慮も何も無く、言いたい事を言い聞きたい事もズバッと聞いてくる後輩に、思わず苦笑してしまう。
 だが、今は、その方が気楽で良い…その為、僕は重い口を開いて説明を始めるのだった…。

「自分で言うのも何だけど、凄く可笑しな話をするが良いか?」
「…それ、言う必要あります?今更ですよ、今更。」
「確かに、そうだよな…。」

 今までも、さんざん馬鹿な事を言ってきているのだ
 今更、一つや二つ、可笑しな話をした所で、どうこうなる関係ではない。
 そもそも、そんなんで壊れる関係であれば、既に友達なんて止めている。

「んじゃ、まずは手始めに…これを読んで感想を聞かせてくれ。」

 僕はそう言うと、後輩…砕神へと例の本を渡すのだった…。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。 そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは? そこで彼は思った――もっと欲しい! 欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―― ※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました

ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが…… なろう、カクヨムでも投稿しています。

ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~

楠富 つかさ
ファンタジー
 地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。  そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。  できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!! 第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

転生王子の異世界無双

海凪
ファンタジー
 幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。  特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……  魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!  それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!

処理中です...