374 / 421
~第七章:魔神復活編~
374ページ目…手違い
しおりを挟む プリンが作り出したプチスライムのスラポンに、五人目の四天王と言う訳の分からない存在の相手を任せた僕達は、魔王のいるであろう玉座を目指していた。
とは言っても、階段を上った後は、ただひたすらに一本道を進んでいくだけである。
「なぁ、プリン…何か可笑しくないか?
俺達、階段を上った後、かなり走ってると思うんだが…。」
既に5分はそのまま走っていると思うのだが、未だに何処にも辿り着く事が出来ていない。
何故か、その区間の廊下の壁には扉すら無い状態が続いている。
「えぇ、そうですね…これでは、まるでゲームで言う所の無限ループ…の様です。」
そう、幾ら城とは言え、コレだけの時間走っているにも関わらず、扉一つ見付からないのは異常だ。
ちなみに、プリンがゲームやら無限ループを知っているのは、〖融合〗により、文字通り一つとなった時に、僕と記憶の共有をした為である。
「これが幻術とかだったら…。
〖召喚サモン:身代わりの山羊〗」
と、魔王戦に向けて新たに覚えた召喚魔法を使う。
考えてみたら、今まで召喚魔法と呼べる様な召喚魔法を使った事がなかった気がする。
「って、何で羊ッ!?」
だが、呼び掛けによって顕れるたのは山羊…ではなく、羊である。
スケープゴートは『贖罪《しょくざい》の山羊』とも言われる為、喚び出される物は山羊が現れるかと思っていただけにビックリである。
「そんな事言われましても…私は喚ばれたから来ただけですし…。」
「って、普通に喋るんかいッ!!」
山羊が出てくるはずが羊が出てきた…それだけでも不可思議なのに、更に言葉を話すと言う不思議な現象に驚きを隠せない。
しかし、そんな驚きも、それだけでは済まなかった…。
『プルルルルルルル…プルルルルルルル…ガチャ。』
「はい、こちらメリーですが?
え?召喚先の間違い?私は喚ばれてないですって?
あちゃ~、でしたら私は一旦戻って、担当者と代われば良いんですね?
はい、はい…分かりました、では先方にはそうお伝えします、はい…では、失礼します。」
と、モコモコの毛皮から携帯電話みたあいな何かを取り出すと、誰かと会話を始める羊さん…。
もう、何が何だか分からない状態である。
「えっとですね…どうやら、召喚の際、手違いがあったらしく間違って私が召喚されてしまった様でして…私、一旦、元の場所に戻らせていただきたいと思います。
それで、暫くした後、本来の担当者が来ますので、ご用件はそちらの方に伝えて貰っても宜しいでしょうか?」
と、何とも丁寧な話し方である。
ただ、正直な話、こちらの用件は、『召喚する事』であって、召喚した後の事は重要ではなかったりする。
なので…。
「あ~、そこら辺はお構いなく…ただ、こちらの用事はもう済んでしまったので、新たな召喚はキャンセルで構いませんよ?」
「おや?そうなのですが?でしたら、ご迷惑をお掛けしたお詫びとして、私が戻るついでにキャンセルをお伝えしましょうか?」
「あ…そんな事も出来るんですか?」
「えぇ、こう見えても、私、羊ですから…。」
羊だと、そんな事が可能なのだろうか?
それとも、何かの冗談だったのだろうか?
いや、今のイントネーションの感じから言うと、羊ではなく執事なのかもしれない。
それに、この羊さん、服が執事の着る様な服なんだよね…。
「もしかして、執事と言いたかったのですか?」
「おや?私、今、執事と言いませんでした?」
「いえ、羊と言いましたが…。」
「おや?コレは失礼を…確かに羊と言っていたのなら、そちらの方が不思議そうな顔をしているのも納得がいきますね。
とは言え、手違いで召喚されてしまった以上、こちらに何時までもいるのは失礼ですし、そろそろお暇を頂きたいと存じます…宜しいでしょうか?」
「あ、はい…どうぞ…それと、キャンセルの件、お願いします。」
「はい、畏まりました…それでは、これで失礼させていただきます。」
執事な羊さんは、そう言うと消えてしまったのだった…。
「ご主人様、変な人でしたね…。」
「あぁ…でも、人じゃなく羊だったけどな…。」
「ですね…それで、どうして召喚魔法を?」
「いや、昔読んだ小説に、似た様な方法で無限ループを脱出した話があったんだよ。
まぁ、何とも成らなかったから無駄骨だけど…ね。」
「そうだったんですね…それではどうしますか?」
「そうだな…とりあえず、魔法を前方に撃ち出してみるとか?
もしかしたら、後ろから飛んでくるかも知れないけど…。」
無限ループに嵌っているのなら、その可能性もあるので油断が出来ない。
「でしたら、私が…。」
プリンはそう言うと、その手に光の矢を作り出す。
「〖魔法:聖なる矢〗!」
アンデッドによく効く聖なる光を纏った矢を放つプリン…これならば普通に生きている者であれば、当たった所で特にダメージも受ける事はないだろう。
もっとも、ダメージは受けなくても衝撃くらいはあるだろうが…。
って言うか、プリン、聖属性の魔法も使えたんだ…。
だが、予想に反し、幾ら待っても背後からはホーリーアローが飛んでくる事はなかった。
「これは…そのまま進むしかない様だな…。」
「その様ですね…ですが、少しだけ休憩した方が良いと思いますが?」
「…そうかな?」
「えぇ、ご主人様は私と違って、普通にスタミナが減りますから…。」
と、プリンが僕の心配をしてくれる。
いや、僕だけじゃなくて、プリンだって普通に体力減るよね?
何故、僕だけ減る前提で話をするのか疑問だが、ここはプリンの提案に従い、少しだけ休憩をする事にしたのだった…。
とは言っても、階段を上った後は、ただひたすらに一本道を進んでいくだけである。
「なぁ、プリン…何か可笑しくないか?
俺達、階段を上った後、かなり走ってると思うんだが…。」
既に5分はそのまま走っていると思うのだが、未だに何処にも辿り着く事が出来ていない。
何故か、その区間の廊下の壁には扉すら無い状態が続いている。
「えぇ、そうですね…これでは、まるでゲームで言う所の無限ループ…の様です。」
そう、幾ら城とは言え、コレだけの時間走っているにも関わらず、扉一つ見付からないのは異常だ。
ちなみに、プリンがゲームやら無限ループを知っているのは、〖融合〗により、文字通り一つとなった時に、僕と記憶の共有をした為である。
「これが幻術とかだったら…。
〖召喚サモン:身代わりの山羊〗」
と、魔王戦に向けて新たに覚えた召喚魔法を使う。
考えてみたら、今まで召喚魔法と呼べる様な召喚魔法を使った事がなかった気がする。
「って、何で羊ッ!?」
だが、呼び掛けによって顕れるたのは山羊…ではなく、羊である。
スケープゴートは『贖罪《しょくざい》の山羊』とも言われる為、喚び出される物は山羊が現れるかと思っていただけにビックリである。
「そんな事言われましても…私は喚ばれたから来ただけですし…。」
「って、普通に喋るんかいッ!!」
山羊が出てくるはずが羊が出てきた…それだけでも不可思議なのに、更に言葉を話すと言う不思議な現象に驚きを隠せない。
しかし、そんな驚きも、それだけでは済まなかった…。
『プルルルルルルル…プルルルルルルル…ガチャ。』
「はい、こちらメリーですが?
え?召喚先の間違い?私は喚ばれてないですって?
あちゃ~、でしたら私は一旦戻って、担当者と代われば良いんですね?
はい、はい…分かりました、では先方にはそうお伝えします、はい…では、失礼します。」
と、モコモコの毛皮から携帯電話みたあいな何かを取り出すと、誰かと会話を始める羊さん…。
もう、何が何だか分からない状態である。
「えっとですね…どうやら、召喚の際、手違いがあったらしく間違って私が召喚されてしまった様でして…私、一旦、元の場所に戻らせていただきたいと思います。
それで、暫くした後、本来の担当者が来ますので、ご用件はそちらの方に伝えて貰っても宜しいでしょうか?」
と、何とも丁寧な話し方である。
ただ、正直な話、こちらの用件は、『召喚する事』であって、召喚した後の事は重要ではなかったりする。
なので…。
「あ~、そこら辺はお構いなく…ただ、こちらの用事はもう済んでしまったので、新たな召喚はキャンセルで構いませんよ?」
「おや?そうなのですが?でしたら、ご迷惑をお掛けしたお詫びとして、私が戻るついでにキャンセルをお伝えしましょうか?」
「あ…そんな事も出来るんですか?」
「えぇ、こう見えても、私、羊ですから…。」
羊だと、そんな事が可能なのだろうか?
それとも、何かの冗談だったのだろうか?
いや、今のイントネーションの感じから言うと、羊ではなく執事なのかもしれない。
それに、この羊さん、服が執事の着る様な服なんだよね…。
「もしかして、執事と言いたかったのですか?」
「おや?私、今、執事と言いませんでした?」
「いえ、羊と言いましたが…。」
「おや?コレは失礼を…確かに羊と言っていたのなら、そちらの方が不思議そうな顔をしているのも納得がいきますね。
とは言え、手違いで召喚されてしまった以上、こちらに何時までもいるのは失礼ですし、そろそろお暇を頂きたいと存じます…宜しいでしょうか?」
「あ、はい…どうぞ…それと、キャンセルの件、お願いします。」
「はい、畏まりました…それでは、これで失礼させていただきます。」
執事な羊さんは、そう言うと消えてしまったのだった…。
「ご主人様、変な人でしたね…。」
「あぁ…でも、人じゃなく羊だったけどな…。」
「ですね…それで、どうして召喚魔法を?」
「いや、昔読んだ小説に、似た様な方法で無限ループを脱出した話があったんだよ。
まぁ、何とも成らなかったから無駄骨だけど…ね。」
「そうだったんですね…それではどうしますか?」
「そうだな…とりあえず、魔法を前方に撃ち出してみるとか?
もしかしたら、後ろから飛んでくるかも知れないけど…。」
無限ループに嵌っているのなら、その可能性もあるので油断が出来ない。
「でしたら、私が…。」
プリンはそう言うと、その手に光の矢を作り出す。
「〖魔法:聖なる矢〗!」
アンデッドによく効く聖なる光を纏った矢を放つプリン…これならば普通に生きている者であれば、当たった所で特にダメージも受ける事はないだろう。
もっとも、ダメージは受けなくても衝撃くらいはあるだろうが…。
って言うか、プリン、聖属性の魔法も使えたんだ…。
だが、予想に反し、幾ら待っても背後からはホーリーアローが飛んでくる事はなかった。
「これは…そのまま進むしかない様だな…。」
「その様ですね…ですが、少しだけ休憩した方が良いと思いますが?」
「…そうかな?」
「えぇ、ご主人様は私と違って、普通にスタミナが減りますから…。」
と、プリンが僕の心配をしてくれる。
いや、僕だけじゃなくて、プリンだって普通に体力減るよね?
何故、僕だけ減る前提で話をするのか疑問だが、ここはプリンの提案に従い、少しだけ休憩をする事にしたのだった…。
0
お気に入りに追加
435
あなたにおすすめの小説

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜
月風レイ
ファンタジー
グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。
それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。
と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。
洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。
カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

おもちゃで遊ぶだけでスキル習得~世界最強の商人目指します~
暇人太一
ファンタジー
大学生の星野陽一は高校生三人組に事故を起こされ重傷を負うも、その事故直後に異世界転移する。気づけばそこはテンプレ通りの白い空間で、説明された内容もありきたりな魔王軍討伐のための勇者召喚だった。
白い空間に一人残された陽一に別の女神様が近づき、モフモフを捜して完全復活させることを使命とし、勇者たちより十年早く転生させると言う。
勇者たちとは違い魔王軍は無視して好きにして良いという好待遇に、陽一は了承して異世界に転生することを決める。
転生後に授けられた職業は【トイストア】という万能チート職業だった。しかし世界の常識では『欠陥職業』と蔑まされて呼ばれる職業だったのだ。
それでも陽一が生み出すおもちゃは魔王の心をも鷲掴みにし、多くのモフモフに囲まれながら最強の商人になっていく。
魔術とスキルで無双し、モフモフと一緒におもちゃで遊んだり売ったりする話である。
小説家になろう様でも投稿始めました。

補助魔法しか使えない魔法使い、自らに補助魔法をかけて物理で戦い抜く
burazu
ファンタジー
冒険者に憧れる魔法使いのニラダは補助魔法しか使えず、どこのパーティーからも加入を断られていた、しかたなくソロ活動をしている中、モンスターとの戦いで自らに補助魔法をかける事でとんでもない力を発揮する。
最低限の身の守りの為に鍛えていた肉体が補助魔法によりとんでもなくなることを知ったニラダは剣、槍、弓を身につけ戦いの幅を広げる事を試みる。
更に攻撃魔法しか使えない天然魔法少女や、治癒魔法しか使えないヒーラー、更には対盗賊専門の盗賊と力を合わせてパーティーを組んでいき、前衛を一手に引き受ける。
「みんなは俺が守る、俺のこの力でこのパーティーを誰もが認める最強パーティーにしてみせる」
様々なクエストを乗り越え、彼らに待ち受けているものとは?
※この作品は小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアッププラスでも公開しています。

神様との賭けに勝ったので異世界で無双したいと思います。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。
突然足元に魔法陣が現れる。
そして、気付けば神様が異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
もっとスキルが欲しいと欲をかいた悠斗は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―――
※チートな主人公が異世界無双する話です。小説家になろう、ノベルバの方にも投稿しています。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる