~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神

文字の大きさ
上 下
370 / 421
~第七章:魔神復活編~

370ページ目…誰に似たのか…。

しおりを挟む
<side:ムゲン(一応、主人公)>

「これでも喰らえ!〖魔法:光の槍シャイニングスピア〗!」

 ミゲルがそう叫ぶと、僕達の方に魔法で作られた光の槍が飛んでくる。
 しかし、その魔法は僕達まで届く事はなかった…何故なら…。

「キュイ。」

 生きてる鎧リビングメイルである『青龍』の中に入り込んだ、プリンの分身体…スラポンが『ペシッ』と、まるで羽虫でも叩き落とすかの様に、僕達に向かって飛んで来た魔法を叩き落したからだった。

「な、何だとッ!?我が光の槍を、そんな羽虫《ゴミ》みたいに弾き飛ばすとは、貴様、いったい何者だッ!!」
「キュイ!」

 ミゲルの問いに、素直に答えるスラポン…だが、その返事に対して、僕やミゲルは何と言っているのか分からない。

「ごめん…プリン、悪いんだけど翻訳してくれないかな?」

 プリンと〖融合〗してれば、普通に分かる言葉ではあるが、現在の状態では、流石に何を言っているのか理解できない。
 その為、プリンに翻訳をお願いする。

「仕方がありませんね…ご主人様あなたの頼みですので翻訳しましょう。
 先程のスラポンの返事は…『スラポンだ!』ですね。」

 だが、そんなプリンの答えに、いち早く反応したのは僕ではなかった。

「そ、そうなのか…って、そうじゃない!名前などどうでも良いわ!」

 どうやら、僕達の会話が聞こえていたのか、ミゲルが納得しかけ…そして、ツッコミを入れた。

「我が聞いてるのは、貴様は何者だと聞いているのだ!」
「キ、キュキュイ?」

 再びミゲルの問いに続けて答えるが、やはり何を言ってるのか分からない。
 いやまぁ、プリンと〖融合〗するか、〖念話〗で聞けば分かるのだろうが、僕が分かっても質問者《ミゲル》が分からないのでは意味がない。
 なので、再びプリンが翻訳してくれる。

「『あぁ、種族を聞いているのなら、私は只のスライムだが?』だそうです。」
「そんな筈はない!只のスライム如きが、我の魔法をあんな風に防げるはずが無いだろう!」

 少し距離があるとは言え、今回もミゲルにはしっかり聞こえる様で、プリンが翻訳した言葉を問題なく聞いていて会話には困らない様だ。
 と言うか、何故、ミゲルがそんなに怒っているのか分からない…が、どうやらスラポンの存在が気にくわない事だけは理解する事が出来た。

「キュ!キュキュイ、キュイ?」
「『フッ!そんな事言われても、此処にいるじゃないですか?』と言ってます。」
「なぁ、プリン…それ、本当にスラポンが言ってるのか?」

 どう考えても、そんな事を言ってる様に思えない為、僕はプリンに問いただす。
 しかし、プリンは真顔で答えた。

「えぇ、私はちゃんと翻訳してますよ?」

 と、それを聞いた僕だけに留まらず、ミゲルもまた呆れた様な顔をする。
 へ~、そうなんだ…スラポン、そんな事言ってるんだ…。
 何となく現実逃避してしまいそうになるが、辛うじて踏みとどまる。

 それと同時に、ミゲルもようやく思考が復活したのか、プルプルと震え怒りを顕わにする。

「認めん!我は断じて、その様な不可解な存在を認めぬ!」

 まぁ、受肉して弱体化しているとは言え、仮にも上級魔族な上に、四天王 (五人目だが)であるはずのミゲルの攻撃が、よもや只のスライム如きに防がれたとあっては、彼の面目丸潰れである。
 そもそも、ミゲルの言う事が本当であれば、彼こそが四天王最強であり、他の四天王の事を馬鹿にしていたのだから、そんな自分が魔物としては最底辺にいるはずのスライム如きに苦戦したとあっては、笑い話にもならないだろう。

「キュイキュキュイ、キュイ!」

 そんなミゲルを無視するかの様にスラポンが鳴き声を上げる。

「では、任せました…ご主人様、私達は先に進みましょう。」
「え?でも…。」
「大丈夫です、スラポンは負けませんから。」
「いや、そう言うんじゃなくて…。」
「先程も言いましたが、スラポンは大丈夫です。
 ご主人様の作った『青龍』だけではなく、幾つかのスキルも与えておきましたから。」

 あ、幾つかスキルを与えてると言う事は、つまり強化は万全な訳なんですね…。

「それにスラポンも『ここは自分が相手しますのでご主人様達は先へ進んで下さい、さぁ!』って言ってましたから。」

 あ、さっきのスラポンの台詞、そんな風に言っていたんだ…。
 でも…それって、多分、ミゲルが許さないと思うんだけど…。

「ふ、ふはははは!スライム如きが我の相手をするだと?よもや、此処まで虚仮《こけ》にされるとは…。
 良いだろう!そこまで言うなら、まずは貴様から血祭りにしてくれようぞ!」
「キュイ!」

 ミゲルが言い終わるのが早いか、スラポンが動くのが動き出すのか早いか…一瞬、スラポンの姿を見失う。

『ドカッ!』

 あ、あそこにいる!

「ぬべらッ!?」

 ミゲルの台詞にあった、『血祭りに』のタイミングで、速攻でスラポンが動き始める。
 しかも、あの加速って…もしかして、いつの間にかプリンが習得していた〖超加速〗なのではないだろうか?
 あんなの油断してるタイミングで使われたとしたら、普通のヤツには反応出来ないんじゃ無いだろうか?

 それ故、油断していたミゲルはスラポンの体当たりを躱す事が出来ず、もろに喰らう事になったのだろう…と推測する。

「ささ、ご主人様、ここはスラポンに任せて、私達は先を急ぎましょう!
 そして、この魔王との戦いに終止符を打ちましょう!」
「………うん、そうだね。
 何か、その方が良い様な気がしてきたよ…。」

 プリンの提案に、何かどうでも良くなってきた僕は、どことなく気のない返事を適当に返す。
 そもそもな話、考えなくても分かる事だが、今更だが、プリンが作り出したスライムが普通な筈がない。
 なら、ここは余計な事を考えるのは止めて、僕達は魔王を倒し戦争を止めるのを優先した方が良い様な気がする。

「スラポン、ここは任せた!」
「キュイ!」

 僕の言葉に反応してスラポンが返事を返す。
 もちろん、その返事は僕には分からないのだが、今回はなんとなく分かる気がした。

「『任された!』だそうです。」

 その言葉はプリンが代弁してくれる。
 まったく、誰に似たのか…何とも頼もしい限りである。

 こうして、僕とプリンはスラポンにミゲルの相手を任せ、魔王の下へと向かう事となった。
 ただ…一言、言わせて貰えるのならば、生きてる鎧リビングメイルの『青龍』だが、本当はプリン専用の鎧なんだけどな…と、ツッコミを入れさせて欲しかったのだった…。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

不遇にも若くして病死した少年、転生先で英雄に

リョウ
ファンタジー
辺境貴族の次男レイ=イスラ=エルディア。 実は、病で一度死を経験した転生者だった。 思わぬ偶然によって導かれた転生先…。 転生した際に交わした約束を果たす為、15歳で家を出て旅に出る。 転生する際に与えられたチート能力を駆使して、彼は何を為して行くのか。 魔物あり、戦争あり、恋愛有りの異世界冒険英雄譚がここに幕を開ける!

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって? そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

処理中です...