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~第七章:魔神復活編~

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<side:ローラ>

 私のピンチを救ったのは白い虎だった。
 と言っても、この虎は本物の虎ではなく、旦那の作った生きた鎧リビングメイルだった。

 そう、旦那が私の為だけ作ってくれた私専用の鎧だったりする。
 そう言えば、この鎧を私に渡す時、『ローラは猪突猛進の所があるから、支援回復も可能な装備にしといたよ』と言っていたのを思い出す。

「ひょっひょっひょっ…まさか、僅かな時間で解毒するとは恐れ入った。
 じゃが、ワシの使う使う毒は、この毒だけと思う出ないぞ?」

 …確かに私の身体から毒は消滅えたが、まだまだイルマは幾つも手を隠している様な台詞を吐く。

「でも、勝つのはローラ…だ。
 『白虎びゃっこ』…〖武装化アームド〗!」

 白い虎だから白虎とは安直な名前だと思うが、何でも旦那のいた世界では、私達と同じ神獣とか聖獣とか呼ばれていた存在だと言っていた。

 流石に、そんな名前を鎧に付けるのは、些か大袈裟だと思ったのだが…白虎が弾け飛んだと思ったら、私の身体にまとわりつく。
 最初こそ驚いたが、まとった鎧から漂う主の匂いに、ふと安心感が沸いた。

「不思議…力、漲みなぎる…。」

 白虎を身に纏った時、それは突如として効果を発動させる。
 なるほど…これほどの強化バフであれば、旦那の言う通り、私専用と言うのも肯ける。

 支援回復…その名の通り、身体強化の魔法を付与された鎧の様だ。
 しかも、先程、私の身体を蝕んでいた毒も完全に除去されている…ならばやる事は一つ。

「喰らえ、〖神獣の咆哮フェンリル・ハウル〗!!」

 大きく息を吸い込み、そして吠える…ただ、それだけ…。
 今度は身体が麻痺する事もなく、咆哮が周囲に響き渡る。
 その咆吼はイルマ目掛けて一直線に進んでいき、イルマに当たり、その身体を粉砕…黒い霧となり消滅した。

「終わった?」

 確かに、〖神獣の咆哮〗は強力な技には違いない…当たれば、先程のイルマ同様に、只では済まない事は間違いなく、結果としては満足のいく結果ではある。

 だが…コレでは、いくら何でも呆気なさ過ぎる。
 仮にも四天王を名乗るのだから、もっと何かあっても良いのではないだろうか?
 そう思った時、私の耳に嫌な声が聞こえてきた。

「ひょっひょっひょっ、まさか一撃でやられるとは思わなんだわい。」
「ひょっひょっひょっ、そうさのう…じゃが、これでデータは取れた。」
「ひょっひょっひょっ、そう言う事じゃ、次は何をしてくるか楽しみじゃわい。」
「ひょっひょっひょっ、どれ、今度はこちらから仕掛けてみるとするかの?」
「「「「「「「ひょっひょっひょっ、ひょーっひょっひょっひょっ!」」」」」」」

「幻影?」

 只でさえ、鬱陶うっとうしい笑い声なのに、周囲から聞こえてくる数多あまたのイルマの声…そのあまりの多さに頭が痛くなってくる。

「残念じゃが、そんな子供だましなど使うつもりは無いのじゃが?」
「まぁ、獣風情に言った所で、分かるはずもないだろうがのう。」
「もっとも、ワシははなから幻影系の魔法など使えぬがの、ひょっひょっひょっ!」
「「「「「「「ひょっひょっひょっ、ひょーっひょっひょっひょっ!」」」」」」」

「何か、ムカツク…。」

 あちこちから聞こえてくるイルマの声に、おちょくられているのがよく分かる。
 こうなったら、片っ端からやっつけてやる!

『ガウッ!』

 しかし、そんな頭に血が上り掛けていた私に待ったを掛ける物がいた。
 そう、私戦用の生きた鎧『白虎』である。

「…『白虎』?」

 不思議に思い、白虎に話し掛ける。
 すると、私の身体から魔力が白虎へと流れ出す…いや、むしろうばわれていると言うべきか?

「これ…マナドレイン…。」

 旦那曰く、個人専用に作られた物は、その主に対し攻撃を加える事はない…と言っていた。
 ならば、このマナドレインは攻撃されている訳では無い?
 …と、思った次の瞬間には『白虎』から光の束が漏れだした後だった。

「ぎゃー!」
「やばい、よけ…」
「うぎゃー!」
「我を守れ、〖魔法:魔力盾マジックシールド〗!」
「ワ、ワシも入れてくれ!」
「これでも喰らえ、〖魔法:火球《ファイアーボール》〗!!」

 数多あまたの各々に意思があるのか、逃げる者、何も出来ずに黒い霧へと姿を変える者、防御する者…そして向かえ撃とうとする者…だが、そのどれもが等しく、光線に貫かれ息絶えた。
 何と言う事はない…『白虎』は私から攻撃に必要なだけの魔力を奪うと、その魔力を用いて強力な光属性の攻撃を放ったのだ。

 その結果…この場にいた全てのイルマを絶命させた。

「今度こそ、終わった?」

 周囲を見渡すが、周囲には匂いも気配は何もない…。
 私は今度こそ終わった事を確信する。

 そして、私は主達の後を追う為に、部屋を後に…。

『ドスッ!』

 背後からの一撃を受け、私はその場に倒れ込んでしまうのだった…。
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