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~第七章:魔神復活編~
356ページ目…到着
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「と、とうとう到着しましたね、ご主人様。」
長い道のりの末、眼前にある城を見てクズハが声を掛けてきた。
ローラと無事に合流を果たし、十分休憩を取った僕達は魔王城へ向けて歩みを始めた。
その後、コレと言ったトラブルもなく無事に魔王城までたどり着けたのは僥倖だと言えよう。
なお、魔物とかからの奇襲は何度もあったが、索敵持ちが複数いたため大した苦労もなく倒してきたのは言うまでもない事だろう。
「そうだな、やっと辿り着いた…と言って良いと思う。
とは言え、これから魔王を倒さないといけないと考えると、かなり気が滅入りそうだけど…ね。」
「大丈夫ですよ、ご主人様。
そもそも、私達にかなう物などいないのです。」
「プリンさん、そこは『物』じゃなく『者』だと思うんですけど…。」
「何を言ってるんですか、私達に刃向かう者など、そこらの小石と同じ…物でも烏滸がましいと言う物です。」
どうやら、プリンの中では現・魔王ですら小石以下の存在の様だ。
「とは言え、すんなり魔王城には入れないだろうな…。」
「そうなのか、主?」
「そりゃそうだろ…だって、魔王城の周囲は大きな壁がそびえ立っているし、壁の上には化け物を模した石像…多分、アレ、ガーゴイルだと思うぞ?
そもそも、魔王城だからって、周囲に建物がまったく無いって、どんだけなんだよ…。」
そう、普通に考えてみれば分かる事ではあるが、幾ら魔王の城とは言え、それは紛れもなく『城』なのであるのだ。
つまり、生活する上で、普通に城の周辺には住宅や商店などの街が発展していなければ、日常品などの物資の移動やら日用品が手に入らないと言う事、そうなると生活もままならないはずなのである。
にも関わらず、この魔王城の周りには何もない。
森の中に、ぽつんと一軒家…みたいに、急に現れたのだ。
何か、昔のRPGゲームなどで、マップ上にポツンと建っている城のイメージがあるのは僕だけなのだろうか?
だとしたら、魔王と言うのは、存外、頭が弱いのかも知れない…。
そんな事を考えていると偵察をかってくれたアリスが戻ってきた。
「御主人様、周囲を見て参りましたが、こちらから見える様に道も民家もなく、あの城が魔王城であると言う証言は得られませんでした。
それと、あの城門以外の入り口は発見出来ませんでした。」
「そっか…ありがとう、アリス。
だけど、そうなると、ますます攻めるのが大変だな…。」
確かに、入り口が一つしかないと言うのであれば、守る方としては楽なのかも知れない。
だが、だからと言って、それがベストなのかと言うと決してそうではない。
そもそも、入り口が一つと言うのであれば、そこを突破されたら逃げ道が無くなると言う事に他ならないのだ。
もっとも、普通の頭があれば、僕達には分からない隠し通路などの逃げ道もあるのだろうが…。
「ただ、まぁ…流石に逃げる気は無い様だけどね。」
「そうですね…私達を前に逃げないのは褒めて良いのですが、もしかして私達を侮っているのですかね?」
「どうだろ?個人的には、侮ってくれている方が助かるんだけどね…。」
侮ると言う事は、それは油断していると言う事に他ならず、つまり全力を出される前に倒す事が出来るかも?と言う事に他ならない。
「だけど、そう簡単にはいかないよな…。」
「えぇ、仮にも魔王を名乗ってますしね。」
「そ、そうですね…。」
「油断、禁物。」
「はい、魔王だと思われる反応以外にも複数の反応がありますから…。」
アリスの言う通り、魔王城の中から感じられる強い力は一つではない。
魔王と思われるバカでかい力の他に、4つ程、脅威になりうる力を感じ取れるのだ。
「コレって、やっぱりアレかな…。」
「たぶん、それ…ですね。」
僕が何を言いたいのか察したプリンが同意してくる。
「ご、御主人様、アレとはいったい何の事ですか?」
「主《あなた》、ローラも知りたい。」
クズハ、ローラは残念ながら分からない様だ。
「もしや、アレとは…四天王ですか?」
そして、アリスは正解を導き出した。
「正解だ、アリス。
だけど、よく四天王って言う言葉を知っていたな。」
「はい、昔読んだ本の中に、勇者セイギが魔王と戦う時に四天王を率いた魔王と戦うシーンが載っていたのです。
しかも、勇者セイギ様を魔王の元に送り届ける為に、『ここは俺が引き受けるセイギ達は先に行け!』と仲間が一人ずつ四天王と対峙する場面は、何度も読み直しちゃいました。」
「そ、そうなんだ…。」
わざわざ、そんな話まで伝えられているのか…だが、確かに物語としては、これ以上のネタはないだろう。
まぁ、勇者セイギは魔王・零を倒した後、すぐに、ばぁちゃんを連れて元の世界に戻っているから、じぃちゃんと一緒に戦った仲間の誰かが、ただ物語を面白くする為に付け加えたのではなく、本当の事だと伝えたのかも知れないな…。
何はともあれ、魔王以外にも強敵がいる事は把握出来た。
故に、そのまま愚直に魔王城へ攻め入るのではなく、僕達は念入りに打ち合わせを始めるのだった…。
長い道のりの末、眼前にある城を見てクズハが声を掛けてきた。
ローラと無事に合流を果たし、十分休憩を取った僕達は魔王城へ向けて歩みを始めた。
その後、コレと言ったトラブルもなく無事に魔王城までたどり着けたのは僥倖だと言えよう。
なお、魔物とかからの奇襲は何度もあったが、索敵持ちが複数いたため大した苦労もなく倒してきたのは言うまでもない事だろう。
「そうだな、やっと辿り着いた…と言って良いと思う。
とは言え、これから魔王を倒さないといけないと考えると、かなり気が滅入りそうだけど…ね。」
「大丈夫ですよ、ご主人様。
そもそも、私達にかなう物などいないのです。」
「プリンさん、そこは『物』じゃなく『者』だと思うんですけど…。」
「何を言ってるんですか、私達に刃向かう者など、そこらの小石と同じ…物でも烏滸がましいと言う物です。」
どうやら、プリンの中では現・魔王ですら小石以下の存在の様だ。
「とは言え、すんなり魔王城には入れないだろうな…。」
「そうなのか、主?」
「そりゃそうだろ…だって、魔王城の周囲は大きな壁がそびえ立っているし、壁の上には化け物を模した石像…多分、アレ、ガーゴイルだと思うぞ?
そもそも、魔王城だからって、周囲に建物がまったく無いって、どんだけなんだよ…。」
そう、普通に考えてみれば分かる事ではあるが、幾ら魔王の城とは言え、それは紛れもなく『城』なのであるのだ。
つまり、生活する上で、普通に城の周辺には住宅や商店などの街が発展していなければ、日常品などの物資の移動やら日用品が手に入らないと言う事、そうなると生活もままならないはずなのである。
にも関わらず、この魔王城の周りには何もない。
森の中に、ぽつんと一軒家…みたいに、急に現れたのだ。
何か、昔のRPGゲームなどで、マップ上にポツンと建っている城のイメージがあるのは僕だけなのだろうか?
だとしたら、魔王と言うのは、存外、頭が弱いのかも知れない…。
そんな事を考えていると偵察をかってくれたアリスが戻ってきた。
「御主人様、周囲を見て参りましたが、こちらから見える様に道も民家もなく、あの城が魔王城であると言う証言は得られませんでした。
それと、あの城門以外の入り口は発見出来ませんでした。」
「そっか…ありがとう、アリス。
だけど、そうなると、ますます攻めるのが大変だな…。」
確かに、入り口が一つしかないと言うのであれば、守る方としては楽なのかも知れない。
だが、だからと言って、それがベストなのかと言うと決してそうではない。
そもそも、入り口が一つと言うのであれば、そこを突破されたら逃げ道が無くなると言う事に他ならないのだ。
もっとも、普通の頭があれば、僕達には分からない隠し通路などの逃げ道もあるのだろうが…。
「ただ、まぁ…流石に逃げる気は無い様だけどね。」
「そうですね…私達を前に逃げないのは褒めて良いのですが、もしかして私達を侮っているのですかね?」
「どうだろ?個人的には、侮ってくれている方が助かるんだけどね…。」
侮ると言う事は、それは油断していると言う事に他ならず、つまり全力を出される前に倒す事が出来るかも?と言う事に他ならない。
「だけど、そう簡単にはいかないよな…。」
「えぇ、仮にも魔王を名乗ってますしね。」
「そ、そうですね…。」
「油断、禁物。」
「はい、魔王だと思われる反応以外にも複数の反応がありますから…。」
アリスの言う通り、魔王城の中から感じられる強い力は一つではない。
魔王と思われるバカでかい力の他に、4つ程、脅威になりうる力を感じ取れるのだ。
「コレって、やっぱりアレかな…。」
「たぶん、それ…ですね。」
僕が何を言いたいのか察したプリンが同意してくる。
「ご、御主人様、アレとはいったい何の事ですか?」
「主《あなた》、ローラも知りたい。」
クズハ、ローラは残念ながら分からない様だ。
「もしや、アレとは…四天王ですか?」
そして、アリスは正解を導き出した。
「正解だ、アリス。
だけど、よく四天王って言う言葉を知っていたな。」
「はい、昔読んだ本の中に、勇者セイギが魔王と戦う時に四天王を率いた魔王と戦うシーンが載っていたのです。
しかも、勇者セイギ様を魔王の元に送り届ける為に、『ここは俺が引き受けるセイギ達は先に行け!』と仲間が一人ずつ四天王と対峙する場面は、何度も読み直しちゃいました。」
「そ、そうなんだ…。」
わざわざ、そんな話まで伝えられているのか…だが、確かに物語としては、これ以上のネタはないだろう。
まぁ、勇者セイギは魔王・零を倒した後、すぐに、ばぁちゃんを連れて元の世界に戻っているから、じぃちゃんと一緒に戦った仲間の誰かが、ただ物語を面白くする為に付け加えたのではなく、本当の事だと伝えたのかも知れないな…。
何はともあれ、魔王以外にも強敵がいる事は把握出来た。
故に、そのまま愚直に魔王城へ攻め入るのではなく、僕達は念入りに打ち合わせを始めるのだった…。
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