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~第七章:魔神復活編~
353ページ目…その台詞を言うな!
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新しい鎧が完成した翌日、僕達は再び魔王の城を目指し移動を始めた。
うん、移動を始めたと言った…が、そこには昨日まで何もなかった場所に、ぽっかりと大きな穴が空いていた。
「さて、ここで多数決を取りたいと思う…この穴を調べようと思う人~。」
「「「………。」」」
だが、僕の呼び掛けに対して、誰も手を上がる物はいなかった。
まぁ、魔王の城へ向かっているのだから、下手な寄り道はしないと言うのは、当然と言えば当然の結果である。
「はい、満場一致でこの穴は無視して行きます。」
僕はそう言うと、大きな穴を迂回する様に皆を連れて魔王の城を目指した。
『ヌチョリ…。』
「ん?みんな、今、何か聞こえなかったか?」
もう少しで、大きな穴を迂回し終えると言う所で、僕の耳に何か変な不愉快な音が聞こえた。
その為、嫁~ズみんなに確認したのだが…。
「いえ、私の耳には何も…。」
「わ、私の耳にも何も聞こえなかったです。」
「私には何も…御主人様には何か聞こえたのですか?」
おや?クズハの耳にも何も聞こえないと言う事は、気の所為だったか?
「いや、僕の空耳だったの様だ…変な事を聞いて悪かったね。」
確かに、僕の耳に何か聞こえた様な気がしたのだが、他の者には何も聞こえなかったのなら気の所為だろう。
特に、音に敏感なクズハにも聞こえていないのだから、本当に僕の勘違いだったのかもしれない。
そんな訳で、僕達は気にせずにその場を後にした。
◇◆◇◆◇◆◇
『ヌチョリ…ヌメリ…ヌチョリ…ヌメリ…。』
それから十数分後、穴の中から大きな蜥蜴に似た化け物が一匹、穴から這いだしてきた。
その化け物は地上へと完全に姿を現した後、周囲の匂いを嗅ぐ…。
(美味そうな匂い…。)
蜥蜴の様な姿をした化け物は、その美味そうな匂いを追って、ゆっくりと移動を開始したのだった…。
◇◆◇◆◇◆◇
「ご、ご主人様、私の炎が効きませんッ!!」
そう叫んだのは、全力で狐火を化け物にぶつけたクズハ(尻尾の数は1つ)である。
つい先程、僕達の後方から突如として現れた蜥蜴の様な化け物-個人的には大山椒魚と蜥蜴を足して2で割った様なイメージではあるが-との戦闘が始まっていた。
しかし、その化け物の表面にヌメヌメした粘膜が張られていて、こちらの攻撃を無効化している様だ。
ちなみに、剣での攻撃もその粘膜の所為で、本体まで届かず無効化されている…だけではなく、刃の部分にくっついて斬れなくなっていた。
その所為で、先程、クズハがそれならばと狐火で攻撃したのだが、身体が燃え上がる程の炎を浴びても、何事もなかったかの様に、のしりのしりと近付いてくる。
「クソッ!まさか、こんな化け物がいるなんて…ッ。」
今まで、こちらの攻撃を防がれる事はあっても、無効化される事がなかった為、余計に焦りを感じる僕は、思わず愚痴を零してしまった。
「それより…そろそろ我に付いた、このキモイ粘液を取って欲しいのだが…。」
そう言ってきたのは、元上級魔族グリコ・ノールこと、生きてる魔剣『皆殺しの魔剣:デストロイヤー』である。
ぶっちゃけ、この魔剣を手に入れてからは、アルテイシアさんの打った『聖剣・エクスカリバー』と対を成す様に双剣で使っていたのだが、最初の一撃は魔剣を使って攻撃をした。
だが、先程もデストロイヤーが言った様に、その攻撃は粘膜?粘液によって、完全に無効化されダメージを与える事が出来なかったのである。
まぁ、ソレだけなら良かったのだが、残念な事に、その刃には粘液がベットリとくっついており、その粘液が邪魔して、そこらの木の枝すらも斬れなくなっていたのだ。
その為、生きてる魔剣であるデストロイヤーも気持ち悪がって、早く粘液を取ってくれと言ってきたのである。
「そう言われましても…ね。」
ハッキリ言って、こんな粘液…僕は絶対に触りたくない。
また、クズハの狐火も無効化する事からも、軽く火で炙った所で取れそうにもない。
そうこうする内に、後方で魔力が高まるのを感じる。
「〖魔法:氷の竜巻〗ッ!」
一瞬、プリンが魔法を使ったのか?と思ったが、どうやら今回はアリスが使った様だ。
粘膜や粘液と言う事からも液体に近いと仮定して、凍らせる事で対処しようとした様だ。
「やったかッ!?」
あ、それ言ったらダメなヤツだ…。
デストロイヤーの台詞に、ピコンと旗フラグが立った気がした。
そして、当然の様に先程同様に、その姿を現す化け物…。
だが、それは囮で、その背後でプリンが大きな水球を化け物に落とそうとしていた。
「いっけ~!」
掛け声と共に落とされる水球…だが、化け物の身体にぶつかって飛び跳ねた水滴が周囲の木や地面に落ちた。
次の瞬間『ジューーーーーッ!!』と言う音と共に、大量の煙が上がる。
まるで何かが焼けている様な音を出しているではないか。
「今度こそ、やったかッ!?」
その光景を目の当たりしたデストロイヤーが再び叫ぶ。
「だから、お前はその台詞を言うなってのッ!!」
流石に、二度目となるとちょっと怒りが湧いてくる。
その所為で、危うくデストロイヤーを化け物に向けて放り投げる所だった。
「す、すまん…つい…。」
そして、フラグの回収に従ったかの様に、何故か無傷で現れた化け物が、ターゲットを僕に定め尻尾を振り回して僕に攻撃をした。
しかし、デストロイヤーへのツッコミの所為で、意識を逸らしていた僕には反応が遅れ、気が付いた時には尻尾が僕の目の前まで迫っていたのだった…。
うん、移動を始めたと言った…が、そこには昨日まで何もなかった場所に、ぽっかりと大きな穴が空いていた。
「さて、ここで多数決を取りたいと思う…この穴を調べようと思う人~。」
「「「………。」」」
だが、僕の呼び掛けに対して、誰も手を上がる物はいなかった。
まぁ、魔王の城へ向かっているのだから、下手な寄り道はしないと言うのは、当然と言えば当然の結果である。
「はい、満場一致でこの穴は無視して行きます。」
僕はそう言うと、大きな穴を迂回する様に皆を連れて魔王の城を目指した。
『ヌチョリ…。』
「ん?みんな、今、何か聞こえなかったか?」
もう少しで、大きな穴を迂回し終えると言う所で、僕の耳に何か変な不愉快な音が聞こえた。
その為、嫁~ズみんなに確認したのだが…。
「いえ、私の耳には何も…。」
「わ、私の耳にも何も聞こえなかったです。」
「私には何も…御主人様には何か聞こえたのですか?」
おや?クズハの耳にも何も聞こえないと言う事は、気の所為だったか?
「いや、僕の空耳だったの様だ…変な事を聞いて悪かったね。」
確かに、僕の耳に何か聞こえた様な気がしたのだが、他の者には何も聞こえなかったのなら気の所為だろう。
特に、音に敏感なクズハにも聞こえていないのだから、本当に僕の勘違いだったのかもしれない。
そんな訳で、僕達は気にせずにその場を後にした。
◇◆◇◆◇◆◇
『ヌチョリ…ヌメリ…ヌチョリ…ヌメリ…。』
それから十数分後、穴の中から大きな蜥蜴に似た化け物が一匹、穴から這いだしてきた。
その化け物は地上へと完全に姿を現した後、周囲の匂いを嗅ぐ…。
(美味そうな匂い…。)
蜥蜴の様な姿をした化け物は、その美味そうな匂いを追って、ゆっくりと移動を開始したのだった…。
◇◆◇◆◇◆◇
「ご、ご主人様、私の炎が効きませんッ!!」
そう叫んだのは、全力で狐火を化け物にぶつけたクズハ(尻尾の数は1つ)である。
つい先程、僕達の後方から突如として現れた蜥蜴の様な化け物-個人的には大山椒魚と蜥蜴を足して2で割った様なイメージではあるが-との戦闘が始まっていた。
しかし、その化け物の表面にヌメヌメした粘膜が張られていて、こちらの攻撃を無効化している様だ。
ちなみに、剣での攻撃もその粘膜の所為で、本体まで届かず無効化されている…だけではなく、刃の部分にくっついて斬れなくなっていた。
その所為で、先程、クズハがそれならばと狐火で攻撃したのだが、身体が燃え上がる程の炎を浴びても、何事もなかったかの様に、のしりのしりと近付いてくる。
「クソッ!まさか、こんな化け物がいるなんて…ッ。」
今まで、こちらの攻撃を防がれる事はあっても、無効化される事がなかった為、余計に焦りを感じる僕は、思わず愚痴を零してしまった。
「それより…そろそろ我に付いた、このキモイ粘液を取って欲しいのだが…。」
そう言ってきたのは、元上級魔族グリコ・ノールこと、生きてる魔剣『皆殺しの魔剣:デストロイヤー』である。
ぶっちゃけ、この魔剣を手に入れてからは、アルテイシアさんの打った『聖剣・エクスカリバー』と対を成す様に双剣で使っていたのだが、最初の一撃は魔剣を使って攻撃をした。
だが、先程もデストロイヤーが言った様に、その攻撃は粘膜?粘液によって、完全に無効化されダメージを与える事が出来なかったのである。
まぁ、ソレだけなら良かったのだが、残念な事に、その刃には粘液がベットリとくっついており、その粘液が邪魔して、そこらの木の枝すらも斬れなくなっていたのだ。
その為、生きてる魔剣であるデストロイヤーも気持ち悪がって、早く粘液を取ってくれと言ってきたのである。
「そう言われましても…ね。」
ハッキリ言って、こんな粘液…僕は絶対に触りたくない。
また、クズハの狐火も無効化する事からも、軽く火で炙った所で取れそうにもない。
そうこうする内に、後方で魔力が高まるのを感じる。
「〖魔法:氷の竜巻〗ッ!」
一瞬、プリンが魔法を使ったのか?と思ったが、どうやら今回はアリスが使った様だ。
粘膜や粘液と言う事からも液体に近いと仮定して、凍らせる事で対処しようとした様だ。
「やったかッ!?」
あ、それ言ったらダメなヤツだ…。
デストロイヤーの台詞に、ピコンと旗フラグが立った気がした。
そして、当然の様に先程同様に、その姿を現す化け物…。
だが、それは囮で、その背後でプリンが大きな水球を化け物に落とそうとしていた。
「いっけ~!」
掛け声と共に落とされる水球…だが、化け物の身体にぶつかって飛び跳ねた水滴が周囲の木や地面に落ちた。
次の瞬間『ジューーーーーッ!!』と言う音と共に、大量の煙が上がる。
まるで何かが焼けている様な音を出しているではないか。
「今度こそ、やったかッ!?」
その光景を目の当たりしたデストロイヤーが再び叫ぶ。
「だから、お前はその台詞を言うなってのッ!!」
流石に、二度目となるとちょっと怒りが湧いてくる。
その所為で、危うくデストロイヤーを化け物に向けて放り投げる所だった。
「す、すまん…つい…。」
そして、フラグの回収に従ったかの様に、何故か無傷で現れた化け物が、ターゲットを僕に定め尻尾を振り回して僕に攻撃をした。
しかし、デストロイヤーへのツッコミの所為で、意識を逸らしていた僕には反応が遅れ、気が付いた時には尻尾が僕の目の前まで迫っていたのだった…。
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