~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神

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~第七章:魔神復活編~

350ページ目…備えあれば憂いなし?

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 翌朝、僕が目を覚ました時には、既にローラの姿はなかった。
 とは言え、日の出と共に起きていたアリスには、きちんと挨拶をして出掛けたらしく『すぐに追い掛ける、心配無用』とだけ伝えたらしい。

ご、ご主人様あ、あなた…ローラさんは、すぐ戻ってくるのでしょうか?」
「さぁ?でもさ…ローラの事だから、お腹が減ったら戻ってくるんじゃないかな?」
「そ、それは…そうかも知れませんが、少し酷くないですか?」
「ま、まぁ、ちょっと冗談だし…。
 でもさ、お腹が空いたら…ってのは冗談にしても、すぐ戻ってくると思ってるのは本当だよ?
 それに、ローラなら、どれだけ離れていたとしても、僕達の匂いを辿って来そうじゃん?」
「そ、そうかもしれませんが…。」
「大丈夫ですよ、クズハさんは本当に心配性ですね。
 ローラさんも、何時までも子供のままではいられないと思ったからこそ、このタイミングで修行に出た訳なのだから、クズハさんもご主人様を見習って信じて待っていれば良いのです。」

 と、プリンがクズハに優しく声を掛ける。
 って、プリンさん…いつの間に、僕の後ろに立ってるんですか?
 正直、気配を消して後ろに立たれると、心臓に悪いのですが…。

「で、ですがッ!」
「大丈夫ですよ、それに…。」
「そ、それに…?」

 『ゴクリッ』と、クズハの喉が鳴る音が聞こえた様な気がした。

「ローラさんがいなければ、私達の番が早く回って来るんですよ?」
「そ、それはッ!?」

 今までローラの心配をしていたクズハの目の色が変わる。
 しかも、最終的なプリンの助言が、よもや順番が早く来ると言うのは、なんともプリンらしい物だった。
 とは言え、そのお陰かどうかは微妙ではあるが、クズハも元気を取り戻した様だ。

「まぁ、冗談はさておき、本当の事を言うと、実はローラさんには内緒ですが、最小限のプチスラ・・・・を一匹憑けていますので、ローラさんに何かあれば、直ぐ分かりますから。」

 と、プリンは笑顔でクズハに告げる。
 って、付けてるんじゃなく、憑けてるのね…。

「え?えッ!?プリンさん、今の冗談だったんですかッ!?」
「プリン、確かにクズハをからかうのは楽しいってのは否定しないが、あまりクズハをイジメるからかうなよ?」
「えぇ、もちろんです!ご主人様あなた♪」

 かく言う僕も、クズハをからかって遊んでしまうので、強くは言えないのだがプリンの場合、度を過ぎる事があるから注意が必要だ。

「そう言えば、アリスは何かしないの?」

 と、僕は何気なくアリスに聞いてみた。

「そうですね…私の場合ですと、ただ敵を倒して経験値を稼ぐ事よりも、御主人様あなたから精を多く頂いた方が効果的かと存じます。
 それに、基本的に、私は戦闘には向いておりませんので…。
 ですから、戦闘の際にはプリンさんやクズハさん…ローラさんの様に、直接戦うのではなく、支援を軸に行動させて頂きたいと思います。」
「なるほど…アリスがそう言うのなら、その方が良いかもな…。」

 言われてみれば確かに、今までのアリスの戦闘方法は後方支援のスタイルである。
 もっとも、その動きは暗殺系に準ずる動きも出来る為、油断していたら気が付いた時には死んでいた…となる可能性もあるのだが…。
 ちなみに、死んでいたら気が付かないと言うツッコミは無しでお願いする。

 まぁ、何にせよ、このまま…と言う訳にはいかないだろう。
 その為、僕は戦力の見直しとして、装備の強化をする事に決めた。

「悪い、みんな…ちょっと予定を変更して、このまま何日か時間を潰して良いか?」
「えぇ、私は構いませんが…クズハさん、アリスさん、貴女達はどうですか?」
「は、はい、私も別に問題はありません!」
「私も大丈夫ですが…御主人様あなたは何を成されるおつもりなのですか?」
「いや、どうせだからみんなの装備を再調整しようかと…そんな訳で、プリンもドラゴンの鎧を貸してね?」

 と、プリンに伝える。
 所謂いわゆる、備えあれば憂しいな…もとい、憂い無しと言うヤツだ。

 ちなみに、先程言ったドラゴンの鎧と言うのは、僕が特殊技能スキルで作り出した生きてる鎧の事で、形状をドラゴンに似せて作った特別な鎧の事だったりする。
 ついでに言うなら、僕が最初に作った生きてる鎧は獅子の形をして、野宿をする際には周辺の警戒を任せれる頼もしいヤツである。

 まぁ、残念ながら|現在〖いま〗は僕の〖無限庫インベントリ〗の中で大人しく待っている状態(時間が止まっている為)だったりするのだが…。

「分かりました、今度は、どれほど強くなるのか期待しておきますね?」

 プリンはそう言うと〖胃袋〗からドラゴンの鎧を取り出す。
 もっとも、〖胃袋〗と言っても本物の胃袋ではなく、スライムの特殊能力の一種で、僕の〖無限庫〗の様な物の事である。
 ただし、〖無限庫〗とは違い時間の経過はあるので、魔法の鞄マジックバッグ同様、食料を入れる時は腐りやすい物は特に注意が必要だ。

「あぁ、そこら辺は全力で対処させて貰うよ。」

 もっとも、基本的な作業は〖付与魔法エンチャント〗と〖模型の魔法モデリング〗で作業をするだけなので、それほど苦労と言う苦労はしない。
 ただ、魔王城が近付くにつれ、敵の強さもドンドン強くなっていく。
 それに…もしも、魔王が僕と同じ転移者・・・転生者・・・であるのなら、苦戦は免れないと思う。

 その為の準備なのだから、当然、怠る訳にはいかないので、ローラが修行出た、このタイミングで調整を入れるのはベスト…なのかも知れない。
 こうして、予定外ではある物の僕達は、この場所でキャンプを続ける事になったのだった…。
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