~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神

文字の大きさ
上 下
334 / 421
~第七章:魔神復活編~

334ページ目…村へ

しおりを挟む
『シュイーーーーン!』

 高速移動用ゴーレムこと、通称:車…は、道無き道を爽快に進んでいく。
 もっとも、道無き道とは言ったが、実際に道が無い訳ではない。
 ただ単に交通量が少ない為か、道では無くなった様だ…と言うだけの事。
 元々は道だったのか、よく見れば道として使われていた様な形跡を所々に確認出来る。

「もうそろそろ休憩を入れるか…みんな、それで良いかな?」
「えぇ、方角の確認も必要でしょうし、私は構いません。」

 うん、プリンなら、そう言うだろうね。

「わ、私もその方が助かります…。」

 そりゃそうだ、クズハはずっと運転中だもんね。

「休憩…ご飯?」

 ローラ…その発言は、残念な子に聞こえるから辞めなさい?
 まぁ、ブレないと言えばブレないんから良いっちゃ良いのだが…。
 ってか、殆ど肉ばかり喰ってるのに、どうしてプロポーションが崩れないのか、謎である。

「では、私はお茶の用意をしますね。
 御主人様、お茶のセットを出して下さい。」

 うん、アリスも相変わらずブラウニーの性質だからか、殆どメイドみたいに働こうとする。
 もっとも、僕達にはそれが助かる為、任せっきりになってしまうのが申し訳ないと思う。

「いえ、私がしたいだけですから、お気になさらないでください。」
「あ、はい…。」

 あれ?今、声出してたかな…。

「で、でしたら、私も手伝わさせてください。」

 とは、クズハの言である。

「いえ、クズハさんはお車の運転でお疲れですので、休んでいて下さい。」

 まぁ、確かに僕達の中で一般的な家事などが出来るのはアリスとクズハだ。
 もちろん、僕も最低限の家事は出来るが、下手に手を出すと迷惑になるので、基本的には何もしない。

 それとは逆に、狩猟関係は僕とローラだ。
 もっとも、そうは言っても狩りに関しては、ローラの足元にも及ばない。
 いったい、どうやったら獲物に気が付かれずに、あそこまで接近出来るのやら…。

 そして、プリンは…うん、ぶっちゃけた話、何もしていない。
 いや、正確には、〖気配探知〗やらで、周囲の安全を確認してくれているのだが…。
 もっとも、プリンの場合は、他の人がするから何もしないだけで、僕と同じ位には家事をする事が出来る。
 何でかって?それは…『魔神化』の影響で、記憶を共有する事によって、身体的な動作に関してはある程度までなら、動きを再現出来るからだ。
 その為、僕が出来るのと同じ様に、家事などの動作も再現を可能とさせていた。

 とは言え、先程も言ったが、僕同様に、プリンも基本的には何もしないのは変わりはない。
 たまに気が向いたら参加するのがプリンのスタイルだ。

『プシュゥーーー。』

 何はともあれ、車が停車する。
 うん、周囲の見晴らしも良いし、これならば奇襲を喰らう事もないだろう。
 もっとも、仮に奇襲をしようと敵が近付いたとしても、プリンやローラの索敵をかいくぐって近付いてくると言うのは至難な技だと思う。
 それこそ、聖王都で戦った上級魔族みたいに、空間を渡って来ない限りは…。

「では、私は確認をしますね?」

 プリンはそう言うと、〖分裂〗のスキルを使いプチスライムを作り出すと、そのまま上空へと撃ち出した。

「プキュ~~~~~~ッ!」

 …アレ、いくらスライムだからって、かなり怖いんじゃなかろうか?
 そんな事を考えていると、考えを読まれたのかプリンから弁明を頂いた。

ご主人様あなた、プチスライム達に、この程度で恐怖を感じる様な心はありませんよ?」
「そ、そうなのか?」
「はい♪むしろ、プチスライム達は喜んでます。」

 との事だった…いや、それ、嘘だよね?
 その為、僕は戻ってきたプチスライムに視線を向けた。
 プルプルと否定する様に首?を横に振るプチスライム。

 が、次の瞬間…『グシャッ!』と言う擬音が相応しい程の勢いでプリンがプチスライムを握り潰す。
 もっとも、プチスライムは弾け飛ぶ事無く、プリンに吸収された。

「ご主人様、もう少し進むと村が見えてくると思います。
 常時見えていましたので、今度は蜃気楼・・・などでは実際にその場所にあるかと思われます。」
「プリン、ありがとう…って事で、みんな休憩終わったら一気に村まで行こうと思うから、しっかり休む様に!
 特に、ローラッ!そこら辺を走り回って疲れない様にね?
 ここは既に敵地と言っても過言じゃない。
 当然、これから向かう村だって安全だとは限らないんだからね?」

 そう、僕達の居るこの場所は既に魔族領敵地である。
 それでも本来であれば、それは名ばかりの普通な土地であったはずだ。
 だが、魔王の復活や魔族の暗躍…その所為で、今、魔族領は空前絶後の危機に陥っているのだ。

 その為、魔族領にあった街(町も含む)や村がどうなっているのか見当も付かない。
 とは言え、全くの情報がなかった訳ではない。
 ただ、その情報と言うのが…『全滅した』だったのだ。
 つまり、今、生き残っている街や村が、どれだけあるのかすら分からない状態なのだ。

「まぁ、最悪、地図でも見付かれば何とかなるかもしれないんだけどな…。」

 僕はそう呟くと、みんなと一緒に休憩を再開するのだった。

☆★☆★☆

 休憩を終えた僕達は、再び村へと車を走らせていた。

「お、やっと村が見えてきたぞ!」

 休憩を終えた僕は、移動中も車の後部座席で休んでいた事もあり、ある程度、体力が回復していた。
 そのお陰で、少しくらいなら動いても問題なく無くなった事もあり、車の運転をクズハと代わっていた。
 今度は、他の人達に却下される事はなかったのだ。

「とうとう到着ですか…。
 思ったより時間が掛かりましたね。
 私が運転していたらもっと早かったでしょうが…。」

 と、プリンが運転出来なかった事に対して文句を言ってくる。

「す、すいません…私の運転が遅くて…。」
「いやいや、クズハの所為じゃないよ。
 それに、プリンに運転を任せていたら、着くのは早かっただろうが、安全じゃないからね。」

 そう…プリンの運転は本当に危険なのだ。
 その証拠に、超高速で車を走らせるだけでも危険なのに、もし魔物が居たら、迷わずそのまま車で轢こうとする…。
 交通事故を誘発しようとする運転は、元の世界でも色々と問題になっていた話だ。
 その癖を直すまでは、素直に運転させてやる訳にはいかないだろう。

「ぶ~ぶ~、ご主人様達だけズルイです!」
「そうは言っても…ね?
 じゃぁ、聞くけど、プリンは車を運転中に魔物が居たらどうする?」
「ん~…轢く?」
「いや、だから、何で轢こうとするのさ…。」
「え?何でって、魔物だから?」

 そう…長い事一緒に過ごした中で、この部分が、未だに人と違う考えの部分だ。
 元々がスライムと言う魔物である為なのか、倒せる魔物=倒すべき物と言う、弱肉強食を素で行おうとするのである。
 人族であれば…冒険者とかであれば、決して倒せるからと言っても、わざわざ危険を冒してまで無理して倒そうとはしない。
 そんな危険を冒すのは、防衛の時か…依頼内容が、その魔物の討伐だった時だけだ。

 にも、関わらず、プリンは倒そうとする。
 その為、車の運転は、下手にさせる訳にはいかなかったのだ。

 とは言え、このまま車で村に入る訳にはいかない。

 なので、僕達は車を止めてゴーレム馬車へと乗り換えるのだった…。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明
ファンタジー
 秋津直人、85歳。  50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。  嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。  彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。  白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。  胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。  そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。  まずは最強の称号を得よう!  地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編 ※医療現場の恋物語 馴れ初め編

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

処理中です...