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~第七章:魔神復活編~

328ページ目…最初の村を目指して

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「キュイイィィィィィィィィィィィイイイイイ!」

 プリンによって小さな塊が空高く撃ち出される。
 そして、その塊は悲鳴を上げて落ちてきた。

『ポスッ』

 そして、小さな音と共にプリンの胸に抱かれ、無事保護されたのだった…。

「チビちゃん、何か見えた?…そう、ありがとう。」

 プリンはそう言うと、先程、上空へ投げた物をパクリと口の中に放り込むと、自分の中へと取り込んだ。 

 正直、村だか町だかが近くにあれば良いのだが、如何せん、初めての土地な為に何処に何があるのか分からなかった。
 とは言え、闇雲に進んだのでは見付けるのは困難なのは分かりきった話。

 そこで対策としてプリンが出した提案…それはプチスライムを作りだし、実際に上空から遠くを見て来る…と言う物だった。
 その結果、生み出されたプチスライムは弾丸の様な速度で上空へと撃ち出され、再びプリンの元へ戻ってきたのだった。

 正直な話、撃ち出されたプチスライムが可哀想だとも思ったが、プリン曰く、自我を持たせない…と言う事だったし、そのままプリンに取り込まれたのだから問題はないはずである。
 悲鳴みたいな声がきこえたのは、気の所為だろう…たぶん…。

「それで、さっきのチビ助…何て言ってたんだ?」

 流石に、プリン以外ではスライムの言葉は分からない。
 かく言う僕も、プリンと融合していないと、全く分からなかった。
 まぁ、それに関して置いておくとして、僕の質問に対して、プリンは微笑んで答えを教えてくれた。

「はい、ご主人様あなた…向こうへ、少し進んだ所に村が見えたそうです。」

 そうプリンは断言するとその方向を指さした。
 ちなみに、プリンが断言するのには訳がある。
 自分が作り出したスライムはプリンにとっては自分の端末みたいな物なのである。
 その為、魔力の貯蔵庫として…とか、体積の予備パーツとして…とか、先程みたいな情報端末として使う事が出来るのだ。
 その故、プチスライムの手に入れた情報は、プチスライムを取り込む事により余す事無くプリンへと伝わる事となる。
 そう言う意味では、『魔神化』した際に、僕の記憶をプリンが手に入れるのは納得がいく。
 もっとも、逆にプリンの記憶を僕が手に入れているのだから、その事についてはお互い様と言う所か?
 何はともあれ、これで次の村への道が分かった事になる。
 僕は、一度、みんなの顔を見て肯く。

「よし!なら、次の村へと出発だ!」
「「「「はい!」」」」

 こうして、僕達は村へと向け歩きだしたのだった…。

◇◆◇◆◇◆◇

『パッポコ、パッポコ…。』

 僕達を乗せた馬車は、ゆっくりとプリンが見付けた村へと向けて歩いていた。
 ちなみに、この馬車も、正確に言うなら馬車ではない。
 パッと見で言うのなら、武装した二頭引きの馬車に見えるだろう。

 だが、その実体は戦闘も可能なゴーレムであり、忠実な騎士でもある。
 もっとも、忠実な騎士と言うのは外見だけの話…やはり、僕の命令で動く為、忠実に見えるだけのゴーレムだったりする。
 とは言え、その戦闘力は色々な素材を使っている為、反則チートなほど強い。
 そもそも冒険者ギルドが指定するランクA程度の魔物なら、単体で動いたとしても簡単に撃破出来るほどの実力があったりする。
 それが2体いるのだから守りと言うか、戦力としては十分であろう。

 ちなみに、現在、御者をしているのはクズハではなく僕である。
 この2体のゴーレムを動かすには手綱に魔力を流し操作する方法を取っている。
 もっとも、操縦するにはその人の性格が出る為、僕とクズハ…あと、アリス以外は禁止となっている。

「しっかし…まだ村は見えてこないな…。」

 そう…プリン曰く『少し進んだ所』に村が見えた…らしいのだが、未だに村が見えてこないのである。
 この馬車は通常の馬車よりも速度が出る。
 しかも、ゴーレムである為、疲れて休憩…などと言う心配もない。
 とは言え、現在は安全運転と言う事もあり、時速15キロほどでの移動だ。
 それなのに1時間経っても村は見えてこないのだ…。

「なぁ、プリン…まだ村が見えてこないんだけど…もう一度確認してくれる?」

 あの時、プリンが指さした方に進んではいるのだが、距離が遠ければ遠いほど僅かなズレでも目的地付近では大幅なズレとなるのは良くある。
 その為、僕は再びプリンに確認をして貰う事にした。

「はい、ちょっと待って下さいね?」

 プリンはそう言うと、再びプチスライムを上空へと撃ち出した。
 だが、戻ってきたプチスライムから驚くべき情報がもたらされる事になる…それは…。

「えッ!?そんな…村が無い?」

 呟く様なプリンの一言に、僕達は唖然となるのだった…。
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