~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神

文字の大きさ
上 下
316 / 421
~第七章:魔神復活編~

316ページ目…会談開始

しおりを挟む
「待たせて悪かったね…では、さっそく話し合いを始めようか。
 それで、緊急の話と聞いたが、どう言った内容の話なのかな?」

 挨拶も碌に無しに、話し合いを始めようとするヘンリーさん。
 まぁ、自己紹介は既に終わってるのだから、今回の様な場合には、それの方が良いのかもしれない。

「どう言った内容、ですか…。
 えっと…落ち着いて聞いて欲しいのですが、先程、冒険者仲間から魔族の動向についての情報がありまして…。」
「ほぅ…魔族と言うと、今、砦に攻めてきている下級魔族…レッサーデーモンの事かな?」
「そうですね…いや、ある意味そうとも言えるし違うとも言えます。
 と、言うのも、現在、砦まで来ているレッサーデーモン達ではなく…新たに遠くの方から、こちらに近付いて来ているレッサーデーモン達の事なんです。」
「ん?遠くの方からとは…どう言う事なんだ?」
「先程も言いましたが、冒険者仲間に斥候を得意とする者が居まして、その者から、この砦に近付いている多数のレッサーデーモン達がいると言う情報が入りました。
 それで、そいつの言う事を信じるのであれば、そのレッサーデーモン達は、既に暴走スタンピード状態である…と言う話なんです。」
「何だと!それは本当なのかッ!?いや、しかし…こちらの斥候からは、そんな情報は来ていないのだが?」
「ですから、今、こうして話して居るんです。」

 もっとも、あのレスターからの情報が正しいとは限らないのだが…。

「そ、そうだな…では、急いでその情報の真偽を確かめさせよう。」

 確かに、ヘンリーさんの言う事は正しいと思う。
 だが、その情報が正しかった場合、その確認をする時間が致命的な隙を作り出す事だってある。
 何より、準備する時間は多ければ多いほど良いのだ。

「それじゃ、間に合わなくなるかも知れないじゃないですかッ!!」

『バンッ!』

 僕は大きな声と共に、目の前のテーブルを叩く。
 正直、イラっとしてしまったのは否定しない。

「いや…もちろん、急いで迎撃の準備はする。
 だが、こちらは冒険者ではなく軍隊なのだ…故に『はい、そうですか』と言って、君の言葉を鵜呑みする訳にはいかないのだよ…。
 その為、腕の良い斥候に情報を確認して貰う必要があるのだ…。」
「つまり、現状、何も出来ないと?」
「あぁ、残念ながら…な。
 先程も言ったが迎撃の準備の為、警戒する程度しか…な。」
「あの…一つだけ聞きたいんですが良いですか?」
「コホンッ!あぁ、話したまえ。」

 姿勢を正し、質問を促すヘンリーさん…僕が何を言い出すのか、些か緊張している様だ。

「ではお聞きします…僕のパーティーだけ・・・・・・・・・で魔族領に攻め入るって言ったら、許可貰えるんですか?」
「それは、私の判断だけでは何とも…いくら君がS級の冒険者だろうが、私個人で判断して良い案件ではないのだよ。
 よって、隊長が戻られたら、隊長に判断をお願いして貰えないだろうか?
 ただ、その…だ、君達は、我々軍隊と違い冒険者…だ。
 そう言う意味では、本来、自由である君達が出て行くのを我々に止める権利は無いと言えよう…。」

 と、ヘンリーさんが僕に言う。
 正直、明言を避けたな…と思うが、それを責めるのは辞めておこう。
 いくらS級冒険者でも、大量の下級魔族相手に打って出る…なんてのが、ヘンリーさん自分の判断で決まったら、その責任は重大…流石に副隊長には荷が重過ぎだろう…。

「つまり、出て行くなら自己責任…ですね。」

 まぁ、この場合の出て行くと言うのは、本来は逃げ帰る事を意味するのだが、ヘンリーさんは敵陣へ出て行くと理解している為、苦笑している。

「すまないが、ノーコメントと言わせて貰う。」
「分かりました…それなら、好きにさせて貰います。
 ある程度、レッサーデーモン下級魔族を間引くつもりですが、それでも数が数なんで、あまり期待しないで下さいね?
 それから、鳩を一羽お借りしても良いですか?」

 なお、この『鳩』と言うのは伝書鳩の事で、通信機能の一つだと考えてくれたら良いと思う。

「鳩を?」
「えぇ、魔族領まで着いたら、連絡した方が良いでしょ?
 向こう側の情報を伝える為にも…ね。」
「うむ…そう言う事なら、持って行くと良い。
 なんだったら、一羽と言わず二~三羽持って行っても構わんぞ?
 情報は多ければ多い方が良いからな。」
「は、ははは…それで手柄は、ヘンリーさんの物…と、まぁ、良いですけどね。
 それでは、魔族領へ進行するする許可は頼みますよ?
 それと門を通すだけで良いんで…もちろん、援護は却って危険になりますので、いらないですからね?」
「分かった…その様に手配しよう。
 だが、これだけは言わせて欲しい…スマン、生きて帰れよ?」

 無謀の試みと分かっているのだろう。
 その為、ヘンリーさんは冒険者なんかにも、平気で頭を下げる。
 騎士団の副隊長なんかしている人なので、恐らく貴族であろう彼が、平民である僕に頭を下げる。
 その価値は計り知れない行為だと思った。

「えぇ、その代わり…砦の死守、頼みましたからね?」
「あぁ、その為に我々、騎士団がいるのだからな!」

 と、ヘンリーさんが胸を張って言う。
 だけどさ…騎士団以外の人もいて、色々な人が集まり軍隊になってるんだから、騎士団だけを強調して言うの辞めといた方が良いですよ?
 そんなんだと…気を付けないと、背後からブスリ!だからね?

 何はともあれ、これで魔族領へ進行する事が可能となった。

 まぁ、ギルド暗部のレスターが、これからどう動くか分からないが…人族に害を与えない限り邪魔だけはしないはずだ。
 こうして、僕はプリン達嫁~ズを連れて、魔族領へと旅立つのだった…。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明
ファンタジー
 秋津直人、85歳。  50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。  嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。  彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。  白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。  胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。  そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。  まずは最強の称号を得よう!  地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編 ※医療現場の恋物語 馴れ初め編

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

処理中です...