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~第七章:魔神復活編~
311ページ目…決闘【1】
しおりを挟む ファナル砦…過去の大戦では、人類を守る為の最終砦だった事もあり、かなり頑丈に作られている。
もちろん、物理的にも魔術的にも…だ。
そして、この砦は新しい技術が構築される度に増改築をされた最新型の砦となっていた。
「しっかし、アレだ…何だって、こんな場所にこんな砦を作ったんだろうな?」
「そうですね…復活した魔王が魔王領だったから良かった物の、こちら側…人間領だったらまったくの無意味ですのに…。」
今現在、僕達はこの砦の中を見て回っている訳なのだが…。
「あぁ、それはですね…ある予言者が予言したんですよ。
魔王討伐から約300年後、魔族領にて魔王が復活すると…ね。」
ふと声がした方へと振り向く。
そこには金髪に青い眼をした…所謂、イケメン風の一人の青年が立っていた。
「今のは、あんたが?」
「はて?今の…とは、予言者が~とか言った話ですか?」
「あぁ、どうやら、その様だな。
で、その話…あんたは詳しいのか?」
「まぁ、それなりにはですけどね。
ですが、私には『コーネル・ド・グランツ』と言う名前があります。
軽々しく『あんた』と呼ばないで頂きたい。」
「ふ~ん、コーネル…ね。
まぁ、良いや…僕は、『語部 夢幻』…まぁ、しがない冒険者って所だ。
で、どこぞの貴族様が、どこの馬の骨かも分からない冒険者に何か御用ですか?」
「ほ~ぅ、どこの馬の骨かも分からないと来ましたか…。
ですが、私には、その名前、聞き覚えがありますよ。
確か、メルトとか言う小さな町のギルドの秘密兵器だとか…さぞかし、お強いんでしょうね…クククッ。」
あ…こいつ、アレだ。
貴族お偉い主義とでも言うのだろうか?
平民は貴族よりも劣っている存在であり、家畜同然であり貴族の命令には絶対服従…と思ってるみたいな?
まぁ、それでも中には、平民とは貴族の為に税金を納める家畜であるが、その代わり、貴族とは平民を命懸けで守る事を是とする…等の考えを持った良い貴族も居たりするのだが…コイツの場合は、おそらく前者だ。
そもそも、名前の間に『ド』とかの名前が付くのは貴族の証と、相場は決まっている。
「あ~…悪いんだけど、用がないのなら、まだこの砦を見て回りたいんだが…良いかな?」
「チッ!これだから平民は!まぁ、良い…お前には用はない。
俺…じゃない、私が用があるのは、お前の後ろの女性だ。」
そう言われて、僕は後ろを振り向く。
当然と言えば当然なのだが、そこには嫁~ズが居るだけだ。
結果、必然的に、その中の誰か…と言う事になる訳だが…。
「…誰に?」
そう聞き直したのはプリンである。
まぁ、初対面のヤツなのだから、その反応は間違っていないはずだ。
「もちろん、貴方ですよ?ピンク色の髪のお嬢さん。
もし良ければ、お名前を教えて頂けないでしょうか?」
「お断りします。」
とりつく島もないほどの即答。
オイオイ…貴族さんよ、そのキモイ笑顔の口元、ヒクヒクと動いてんぞ?
「そ、そうですか…では、向こうで少しお話でもしませんか?」
おぉ~!それでも果敢にチャレンジする精神、ただのチャラいクズ男かと思ったが、少しだけ見直したぞ。
だが、それと結果は、もちろん別問題な訳で…。
「私には貴方みたいなのと話す事は何もないです。」
そう言って、プリンは僕の腕に自分の腕を絡めてくる。
「フ、フハハハハ!そうか、君がこのお嬢さんの自由を奪っている悪鬼なのだな。
いいだろ、この俺様と勝負だッ!!」
先程は俺と言ったのを私と言い直したが、今度はそれすらすることなく手袋を外して…。
『ベシッ!』
と、投げ付けて来た。
「これは…手袋?これがいったい何か?」
昔見たアニメでは、決闘を申し込むのに使われていた様な気がするのだが…。
「フンッ!これだから平民は…相手に手袋を投げ付ける。
それは貴族の間では決闘の合図だ。
当然、逃げる事は認められている…ただし、その時は臆病者のレッテルを貼られる事となるがな!」
なるほど…だが、貴族の間…と、言うのであれば、平民である僕には関係のない話だ。
「ふむ…まぁ、何であんたと決闘と言う話になるのか分からんのだが、了解した。
で、どこで決闘をするんだ?此処でするんだ?」
「貴様はバカか?こんな所で決闘など、周囲に被害が出たらどうするんだッ!
もちろん、この砦には訓練場がある。
そこを借りるに決まっているだろうがッ!!」
その言葉を聞いて、僕はクスッと微笑んだ。
あぁ…こいつ悪ぶってるだけで、その根は良いヤツなんだってのが分かる。
そもそも、本当に悪いヤツは周囲の事を気にしない。
そう言う意味では、いきなり決闘と言い出した、この男は比較的まともだと言う証明でもある。
「まぁ、先程も言ったが決闘する意味が分からんが…相手するよ。
訓練場を使うって事だから、当然、練習用の武器とかあるんだろ?
なら、使用する武器はそれで良いよな?」
「真剣で…と言いたい所だが、例え平民でも、今は貴重な戦力だ。
それを減らす訳にいかん…仕方がない、練習用の武器で勘弁してやる。」
「へいへい…んじゃ、貴族さん、案内してくれ。」
「口の減らない平民が…まぁ、良い!こっちだ、付いてこい!」
コーネルだったか?そいつはそう言うと、ゆっくりと歩き出す。
遅くもなく、かと言って逆に早過ぎる…なんて事も当然ない。
何と言うか、自己中な貴族と言うより、気配りをする騎士に近いと思う。
しかし、このコーネルって男、いきなり決闘を申し込むとは何がしたいのだろうか…。
何はともあれ、これから決闘である。
僕は、どうやって相手に怪我をさせない様に無効化するかに頭を悩ませるのであった…。
もちろん、物理的にも魔術的にも…だ。
そして、この砦は新しい技術が構築される度に増改築をされた最新型の砦となっていた。
「しっかし、アレだ…何だって、こんな場所にこんな砦を作ったんだろうな?」
「そうですね…復活した魔王が魔王領だったから良かった物の、こちら側…人間領だったらまったくの無意味ですのに…。」
今現在、僕達はこの砦の中を見て回っている訳なのだが…。
「あぁ、それはですね…ある予言者が予言したんですよ。
魔王討伐から約300年後、魔族領にて魔王が復活すると…ね。」
ふと声がした方へと振り向く。
そこには金髪に青い眼をした…所謂、イケメン風の一人の青年が立っていた。
「今のは、あんたが?」
「はて?今の…とは、予言者が~とか言った話ですか?」
「あぁ、どうやら、その様だな。
で、その話…あんたは詳しいのか?」
「まぁ、それなりにはですけどね。
ですが、私には『コーネル・ド・グランツ』と言う名前があります。
軽々しく『あんた』と呼ばないで頂きたい。」
「ふ~ん、コーネル…ね。
まぁ、良いや…僕は、『語部 夢幻』…まぁ、しがない冒険者って所だ。
で、どこぞの貴族様が、どこの馬の骨かも分からない冒険者に何か御用ですか?」
「ほ~ぅ、どこの馬の骨かも分からないと来ましたか…。
ですが、私には、その名前、聞き覚えがありますよ。
確か、メルトとか言う小さな町のギルドの秘密兵器だとか…さぞかし、お強いんでしょうね…クククッ。」
あ…こいつ、アレだ。
貴族お偉い主義とでも言うのだろうか?
平民は貴族よりも劣っている存在であり、家畜同然であり貴族の命令には絶対服従…と思ってるみたいな?
まぁ、それでも中には、平民とは貴族の為に税金を納める家畜であるが、その代わり、貴族とは平民を命懸けで守る事を是とする…等の考えを持った良い貴族も居たりするのだが…コイツの場合は、おそらく前者だ。
そもそも、名前の間に『ド』とかの名前が付くのは貴族の証と、相場は決まっている。
「あ~…悪いんだけど、用がないのなら、まだこの砦を見て回りたいんだが…良いかな?」
「チッ!これだから平民は!まぁ、良い…お前には用はない。
俺…じゃない、私が用があるのは、お前の後ろの女性だ。」
そう言われて、僕は後ろを振り向く。
当然と言えば当然なのだが、そこには嫁~ズが居るだけだ。
結果、必然的に、その中の誰か…と言う事になる訳だが…。
「…誰に?」
そう聞き直したのはプリンである。
まぁ、初対面のヤツなのだから、その反応は間違っていないはずだ。
「もちろん、貴方ですよ?ピンク色の髪のお嬢さん。
もし良ければ、お名前を教えて頂けないでしょうか?」
「お断りします。」
とりつく島もないほどの即答。
オイオイ…貴族さんよ、そのキモイ笑顔の口元、ヒクヒクと動いてんぞ?
「そ、そうですか…では、向こうで少しお話でもしませんか?」
おぉ~!それでも果敢にチャレンジする精神、ただのチャラいクズ男かと思ったが、少しだけ見直したぞ。
だが、それと結果は、もちろん別問題な訳で…。
「私には貴方みたいなのと話す事は何もないです。」
そう言って、プリンは僕の腕に自分の腕を絡めてくる。
「フ、フハハハハ!そうか、君がこのお嬢さんの自由を奪っている悪鬼なのだな。
いいだろ、この俺様と勝負だッ!!」
先程は俺と言ったのを私と言い直したが、今度はそれすらすることなく手袋を外して…。
『ベシッ!』
と、投げ付けて来た。
「これは…手袋?これがいったい何か?」
昔見たアニメでは、決闘を申し込むのに使われていた様な気がするのだが…。
「フンッ!これだから平民は…相手に手袋を投げ付ける。
それは貴族の間では決闘の合図だ。
当然、逃げる事は認められている…ただし、その時は臆病者のレッテルを貼られる事となるがな!」
なるほど…だが、貴族の間…と、言うのであれば、平民である僕には関係のない話だ。
「ふむ…まぁ、何であんたと決闘と言う話になるのか分からんのだが、了解した。
で、どこで決闘をするんだ?此処でするんだ?」
「貴様はバカか?こんな所で決闘など、周囲に被害が出たらどうするんだッ!
もちろん、この砦には訓練場がある。
そこを借りるに決まっているだろうがッ!!」
その言葉を聞いて、僕はクスッと微笑んだ。
あぁ…こいつ悪ぶってるだけで、その根は良いヤツなんだってのが分かる。
そもそも、本当に悪いヤツは周囲の事を気にしない。
そう言う意味では、いきなり決闘と言い出した、この男は比較的まともだと言う証明でもある。
「まぁ、先程も言ったが決闘する意味が分からんが…相手するよ。
訓練場を使うって事だから、当然、練習用の武器とかあるんだろ?
なら、使用する武器はそれで良いよな?」
「真剣で…と言いたい所だが、例え平民でも、今は貴重な戦力だ。
それを減らす訳にいかん…仕方がない、練習用の武器で勘弁してやる。」
「へいへい…んじゃ、貴族さん、案内してくれ。」
「口の減らない平民が…まぁ、良い!こっちだ、付いてこい!」
コーネルだったか?そいつはそう言うと、ゆっくりと歩き出す。
遅くもなく、かと言って逆に早過ぎる…なんて事も当然ない。
何と言うか、自己中な貴族と言うより、気配りをする騎士に近いと思う。
しかし、このコーネルって男、いきなり決闘を申し込むとは何がしたいのだろうか…。
何はともあれ、これから決闘である。
僕は、どうやって相手に怪我をさせない様に無効化するかに頭を悩ませるのであった…。
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