~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神

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~第七章:魔神復活編~

305ページ目…秘密のプレゼント

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 本来であれば、一刻も早く目的地に着くのが好ましいのだろうが、メルトの町から高速移動用ゴーレム…通称:車で移動してきた為、通常の馬車での移動と比べたら、驚く程の早さで移動して来た事により、単純計算で9日ほど早く、このビクリの町まで到着している事になる。
 その為、クズハとローラの体調不良を理由に、念の為、今日一日は休憩を取る事にした僕達…だったはずのだが、昨夜、嫁~ズ達の襲撃により、今朝、情けない姿を宿屋の女将さんに発見されてしまう事になった。

「あんた、まだフラフラじゃないか…本当に動いて大丈夫なのかい?」
「え、えぇ…もう大丈夫です…。
 女将さんには、色々と、ご心配お掛けしました…。」
「まぁ、あんたがそう言うなら、私には止める事は出来なんだけどさ…。
 縁起が悪くなるんで、頼むから、こんな所で死なないでおくれよ?」
「ははは…それこそ、大丈夫ですよ。
 こんな時の為って訳じゃなかったんですけど…それなりの回復薬ポーションは常備してますので。
 なんだったら、女将さんにも一本差し上げましょうか?」
「えッ!?ちょっとあんた!それなりのポーションって言えば、かなりの金額するんじゃないのかい?」
「え、えぇ、まぁ…ですが、ご迷惑お掛けしましたし…。
 それに、こう見えても、実は僕達は高ランクの冒険者ですから、ポーションの1本や2本差し上げた所で、生活には困らないんですよ。」

 と、僕は笑顔で答える。
 ついでに言うなら、僕の役に立ちたいと、クズハが調合を覚えてくれたお陰で、僕の無限庫インベントリにはクズハお手製のポーションが大量に保管ストックされている。

「そうなのかい?まぁ、あんた以外、全員女の子のパーティーだから、そこそこは稼ぐ冒険者だとは思っていたけど…まさか、高ランクだとはね~。」
「それで…どうします?」
「そうさね…折角だから、1本貰っちゃおうかね?
 でも、本当に良いのかい?」
「はい、構いませんよ。
 それじゃ、これを…っと、ついでに、これも上げましょう。
 この前、ダンジョンへ行った時にドロップした物なんですけど、正直な話、これを適当にそこらで処分するには勿体なかった物なんですが、ぶっちゃけ、あの子達には絶対に見られたくない物だったんで…。」

 そう…ダンジョンでドロップした物は、極力、その場で見る・・事にしている。
 その為、ドロップした物が瓶やらに入っていたとしても、中身が何なのか分かるのだ。
 そして、当然ながら、この世界にも、そんな物があるのは知っている。
 だが、物が物だけに、嫁~ズ達なんぞに見られたら、後が怖い。
 故に、それを見た瞬間、僕は無限庫《インベントリ》へと急いで収納をした物があった。
 幸い、それは誰にも見られなかった様で、誰も何も言わなかった。
 もっとも、その時のパーティーはクズハとアイアンさんだったから、クズハ達が気が付かなくても不思議ではない。
 それに、クズハは気が付いていたとしても、クズハの場合、僕の取った行動に何も言わないのはよく知っているので、問題はなかったと思う。

「こっちの赤い方が回復薬ポーションです。
 こんな小瓶ですけど、中身は中級のポーションと同じ程の性能ですので、ちょっとした骨折くらいなら、直ぐに治ってしまうので、便利ですよ。」
「へ~…こんな小さいのにポーションって言うのは凄いんだね~。」
「えぇ…まぁ、魔法薬とも言われますからね…。
 それで、そっちの黄色い方なんですけど…ちょっとお耳を拝借…ゴニョゴニョゴニョ…。」
「まぁッ!こんな物、私にどうしろと言うんだいッ!?」

 そう言って、顔を赤く染める女将さん。

「いえ、昨日…部屋に案内してくれる時、愚痴っていたじゃないですか…。
 最近、旦那さんが構ってくれないって…だから、今夜にでも使ってみたら良いんじゃないですか?
 それとも、余計なお世話だったと言うなら、返して頂いて結構ですよ?」

 そう言って、僕は女将さんから中身が黄色い方の小瓶を回収しようとする。

「だ、誰もいらないとは言ってないよ!そ、そこまで言うなら貰ってあげるさね。
 でも、後になって、返せなんて言わないでおくれよ?」
「はいはい、絶対に言いませんから大丈夫ですよ。」

 こうして僕は無限庫インベントリにタンスの肥やしよろしく眠っていた最高品質の媚薬・・・・・・・を無事に処分する事が出来た。
 確かに、時間を掛けて売れば、それなりの金にはなる…しかし、そんな物を売ったのがバレた日には、高ランク冒険者だけに恥ずかしい物がある。
 これが、誰かの依頼であるなら、そうではないのだろうが、それでも、なかなか媚薬なんて物を依頼する人はいない。
 まぁ、ちょっとおかしな貴族が偶に依頼していたりするが、それでも滅多にある物ではない。
 需要と供給が合っていないのだ。
 そんな訳で、この媚薬の処分に困っていたのだ。

 ちなみに、もし媚薬なんて持っているのを嫁~ズに知られたら、絶対に僕に使おうとする。
 それに関しては、今朝の痴態を見れば分かる事である。
 只でさえ、彼女達は容赦しないのに、そんな物を使われた日には、指一本動かせない搾り取られるだろう…最悪、命の危険すら感じられる。

 そんな折、昨日、女将さんが僕達を部屋に案内している時に『こんなに女性ばかり…さぞかしお盛んなんでしょうね…あ~ぁ、私の旦那も偶には相手してくれないとあそこに蜘蛛が巣を張っちまうよ…。』と愚痴ったのだ。

 正直言って、下世話な話だと思ったのだが、女将さんの本音が含まれていた。
 もっとも、女将さんは呟く様に言ったので、聞こえてるとは思っていなかった様だ。
 まぁ、本来の下世話の意味は、世間話…とか言う意味らしいのだが、今回は微妙に間違った用法である下品な話…と言う意味で使わせて貰おう。
 その為、これを処分するのに利用出来ると思ったのだ。

 そして、結果は…見ての通りである。

「あ…そうだ、くれぐれも他の人には内緒でお願いしますね?」
「そ、そりゃ、もちろんだよ!私だって、こんな物を…相手が冒険者からとは言え貰ったなんて知れたら、恥ずかしいからね…。」

 女将さんはそう言うと胸に大事そうに抱え、部屋を出て行く…。

「あ、そう言えば女将さん、何しに来たんだろ…。」

 そう、普通に考えれば、二日分の宿泊費は前払いしているので、女将さんが起こしに来るはずがない。
 それなのに、わざわざ部屋まで来たと言う事は何か理由があったはずなのだが…。

『バタバタバタ!』

「いけないけない!肝心な事を忘れてたよ。
 あんたのお仲間さん達が、食堂で待ってるから早く降りておいで?
 みんな、お腹を空かせて待ってるよ。」
「なるほど、そう言う事か…。」

 みんな先に食べてて良いのに…律儀に僕を待っていてくれた様だ。

「ん?何か言ったかい?」
「いえ、わざわざありがとう御座います。
 それじゃ、すぐ支度して降りますので、彼女達にもう少しだけ待つ様に伝言お願いします。」

 僕はそう言うと、チップを渡そうとする…だけど、女将さんは自分の胸元を指さす。
 そこには、小さな小瓶があった。

「あぁ、では、それで…。」

 僕は笑いが込み上げてくるのをグッと我慢してコクリと肯く。
 正直、女将さんはそこそこの歳みたいだが、その仕草はまるで夢見る少女の様だった。
 まぁ、何と言うか、その…旦那さん、今夜は覚悟しときなさい。
 僕は、昨夜の嫁~ズ達の襲撃を、今夜の旦那さんに重ねて冥福を祈るのだった。

 え?旦那さん、まだ死んでないって?まぁまぁ、それは明日のお楽しみって事で…。
 こうして、ビクリの町での休暇は始まったのだった…。
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