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~第七章:魔神復活編~
286ページ目…聖剣の鍛冶師【2】
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「こ、こんな所に人が住んでいるんでしょうか?」
と、クズハが不安な顔をして聞いてくる。
が、それに対して、僕の答えは正直な話、『知らんがな』である。
いや、流石にそんな受け答えは稀にしか《・・・・》しない訳で…。
「ど、どうだろ?でも、さっき聞いた人は、ここに住んでるって話だったし…。」
とは言え、他の工房みたいに炉に火が入っている様な匂いもしないし、鎚を打つ音も聞こえない。
はっきり言って廃業しているのでは?と思えるほど静かである。
だが、ここで大人しく引き返したのであれば引き受けた依頼は失敗になる。
まぁ、もっとも、今回の依頼に関しては失敗してもペナルティーは発生しない。
だが、それはそれで、あの威張り腐った貴族が難癖付けてくるのは目に見えて分かっている。
なので、今回の依頼は失敗する訳にはいかない訳なのだが、どうしたものか…。
◇◆◇◆◇◆◇
「すいませ~ん、誰かいませんか~?」
これで何度目かの呼び掛けだろう?相変わらず、人の気配は無い。
やはりと言って良いほど無いのだが、それでも何となく違和感があり、僕はずっと呼び掛けを続けていた。
『………カタン。』
店の奥の方で、何やら小さい音がする。
ネズミか?とも思ったが、念の為、確認をした方が良いと思い、僕はクズハを連れて中に入っていく事にした。
まぁ、不法侵入と言われたら困るが、怒られたら素直に謝れば許してくれるはずだ…たぶん…。
「あの~入りますよ~?」
僕は一言、声を掛けて音のする方へと向かう。
玄関を潜ると、空気が変わった様な気がする。
何やら匂いの方も、鉄や他の金属やらの匂いやらがしてきた様な気がする。
そんな匂いを感じつつ僕達は店の奥へと進んでいく。
そして…この先は工房であろう扉を見付け、ドアノブを捻る。
『ガチャリ…ギ、ギーーー!。』
ゆっくりと開いていく扉…そして、目の前に広がる景色。
そこには、1つの死体が…。
どうやら、死体は衣服と髪の長さから判断するに女性の様だ…。
「ご、ご主人様、あの人、ちゃんと生きてますよ?」
どうやら、クズハは僕が何を考えているのか分かったらしく、変な事を言う前に説明をしてくる。
「あ、そうなの?」
僕は間抜けな声でクズハに聞き返す。
「は、はい、私の耳に、心音が聞こえてきましたから♪」
そう言って、僕に笑顔を振りまくクズハ…うん、プリンとはまた違う可愛さがあって良い。
しかも、何が嬉しいのか、尻尾も嬉しさを物語っている様に、ゆらゆらと揺れる。
ただまぁ、妖狐族としての力を使ったのであろうか?
普段は隠している尻尾まで姿と表しており、その尻尾の数、全部で7本がゆらゆらと揺れている姿は凄い物を見ている気がするが…。
ちなみに余談ではあるが、クズハの…妖狐と呼ばれる一族はレベルにより尻尾の数が増え、最大で9本まで尻尾の数が増えるらしいのだが、実際に9本まで増える事は稀で、9本まで増えた事例は、クズハが知っている中では6件ほどらしく、通常であれば基本的に2~3本で止まるらしい。
まぁ、そんな話を聞くと…クズハの7本と言う数は、正直、かなりの高レベルなのでは?と疑問に思う。
「っと、こんな事をしている場合じゃないな…その人を助けなきゃ!」
そう、余計な事を考えている暇があれば、まずは人命救助が優先だ。
そもそも、聖剣を打って貰いに来たのに、その鍛冶師に死なれたのでは話にならない。
僕とクズハは急いで、その死体…じゃなかった、死体に見えた誰かに駆け寄り、体を起こす。
「大丈夫ですか?意識はありますか?」
僕の呼び掛けに対して、何も反応がない。
クズハは生きていると言うが、生きていても意識がないのでは話にならない。
『ペチペチッ、ペチペチッ…。』
僕は痛くならない様に、彼女?の頬を叩いて刺激を与える。
しかし、反応が全くない…仕方がないので、もう何度か頬を叩くも反応が無い…。
どうしよう?と悩んでいた時、それは突然、大音量で鳴り響いた。
『グ~~~~~ッ!!』
「い、今の音はッ!?」
慌てて周囲を確認する僕…そして、クズハと目が会う。
すると、クズハはフルフルと首を振って、否定する。
そして、僕の方を指さして、こう言った…。
「ご、ご主人様、その方から聞こえました…。」
そう、クズハが僕の方を指さしたと思ったのだが、その指は、僕が支えてる女性を指さしていたのだ。
そして、もう一言、付け加えた…。
「い、今のって彼女のお腹の虫の音では?」
と、鳴りやんだお腹の虫の音、再び訪れる静寂に、僕は頭を抱えるのだった…。
と、クズハが不安な顔をして聞いてくる。
が、それに対して、僕の答えは正直な話、『知らんがな』である。
いや、流石にそんな受け答えは稀にしか《・・・・》しない訳で…。
「ど、どうだろ?でも、さっき聞いた人は、ここに住んでるって話だったし…。」
とは言え、他の工房みたいに炉に火が入っている様な匂いもしないし、鎚を打つ音も聞こえない。
はっきり言って廃業しているのでは?と思えるほど静かである。
だが、ここで大人しく引き返したのであれば引き受けた依頼は失敗になる。
まぁ、もっとも、今回の依頼に関しては失敗してもペナルティーは発生しない。
だが、それはそれで、あの威張り腐った貴族が難癖付けてくるのは目に見えて分かっている。
なので、今回の依頼は失敗する訳にはいかない訳なのだが、どうしたものか…。
◇◆◇◆◇◆◇
「すいませ~ん、誰かいませんか~?」
これで何度目かの呼び掛けだろう?相変わらず、人の気配は無い。
やはりと言って良いほど無いのだが、それでも何となく違和感があり、僕はずっと呼び掛けを続けていた。
『………カタン。』
店の奥の方で、何やら小さい音がする。
ネズミか?とも思ったが、念の為、確認をした方が良いと思い、僕はクズハを連れて中に入っていく事にした。
まぁ、不法侵入と言われたら困るが、怒られたら素直に謝れば許してくれるはずだ…たぶん…。
「あの~入りますよ~?」
僕は一言、声を掛けて音のする方へと向かう。
玄関を潜ると、空気が変わった様な気がする。
何やら匂いの方も、鉄や他の金属やらの匂いやらがしてきた様な気がする。
そんな匂いを感じつつ僕達は店の奥へと進んでいく。
そして…この先は工房であろう扉を見付け、ドアノブを捻る。
『ガチャリ…ギ、ギーーー!。』
ゆっくりと開いていく扉…そして、目の前に広がる景色。
そこには、1つの死体が…。
どうやら、死体は衣服と髪の長さから判断するに女性の様だ…。
「ご、ご主人様、あの人、ちゃんと生きてますよ?」
どうやら、クズハは僕が何を考えているのか分かったらしく、変な事を言う前に説明をしてくる。
「あ、そうなの?」
僕は間抜けな声でクズハに聞き返す。
「は、はい、私の耳に、心音が聞こえてきましたから♪」
そう言って、僕に笑顔を振りまくクズハ…うん、プリンとはまた違う可愛さがあって良い。
しかも、何が嬉しいのか、尻尾も嬉しさを物語っている様に、ゆらゆらと揺れる。
ただまぁ、妖狐族としての力を使ったのであろうか?
普段は隠している尻尾まで姿と表しており、その尻尾の数、全部で7本がゆらゆらと揺れている姿は凄い物を見ている気がするが…。
ちなみに余談ではあるが、クズハの…妖狐と呼ばれる一族はレベルにより尻尾の数が増え、最大で9本まで尻尾の数が増えるらしいのだが、実際に9本まで増える事は稀で、9本まで増えた事例は、クズハが知っている中では6件ほどらしく、通常であれば基本的に2~3本で止まるらしい。
まぁ、そんな話を聞くと…クズハの7本と言う数は、正直、かなりの高レベルなのでは?と疑問に思う。
「っと、こんな事をしている場合じゃないな…その人を助けなきゃ!」
そう、余計な事を考えている暇があれば、まずは人命救助が優先だ。
そもそも、聖剣を打って貰いに来たのに、その鍛冶師に死なれたのでは話にならない。
僕とクズハは急いで、その死体…じゃなかった、死体に見えた誰かに駆け寄り、体を起こす。
「大丈夫ですか?意識はありますか?」
僕の呼び掛けに対して、何も反応がない。
クズハは生きていると言うが、生きていても意識がないのでは話にならない。
『ペチペチッ、ペチペチッ…。』
僕は痛くならない様に、彼女?の頬を叩いて刺激を与える。
しかし、反応が全くない…仕方がないので、もう何度か頬を叩くも反応が無い…。
どうしよう?と悩んでいた時、それは突然、大音量で鳴り響いた。
『グ~~~~~ッ!!』
「い、今の音はッ!?」
慌てて周囲を確認する僕…そして、クズハと目が会う。
すると、クズハはフルフルと首を振って、否定する。
そして、僕の方を指さして、こう言った…。
「ご、ご主人様、その方から聞こえました…。」
そう、クズハが僕の方を指さしたと思ったのだが、その指は、僕が支えてる女性を指さしていたのだ。
そして、もう一言、付け加えた…。
「い、今のって彼女のお腹の虫の音では?」
と、鳴りやんだお腹の虫の音、再び訪れる静寂に、僕は頭を抱えるのだった…。
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