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~第七章:魔神復活編~
272ページ目…護衛依頼【2】
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「プリン!すまん、そっちに1匹行ったッ!」
「アイアンさん、後ろですッ!」
「クッ…このぉー!」
順調に下層に向かっていた僕達は、ふとした事でピンチに陥っていた。
と言うのも、僕達とは面識のない、とある冒険者達が魔物達から逃げる際に、やらかしてくれたのである。
そう、魔物を引き連れて逃げる様が電車(ごっこ?)に似ている事から付いた名称…所謂、トレインである。
もっとも、この世界では違う呼び名があるみたいだが、残念ながら僕は知らない。
それはともかくとして、僕達ならまだしも他の人がいる為、本気を出す訳にはいかない。
そして、被害はそれだけではなかった…。
何故なら、ゴブリンの群れを相手にするには狭い通路だった為、僕達は冒険者達と一緒に直ぐ近くの戦いやすい広い部屋へと移動した。
だが、その判断が間違いだった…。
何と、その部屋は魔物が大量に湧いてくるリポップ部屋だったのだ。
つまり、何が言いたいかと言うと…そこはモンスターハウスと呼ばれる超が付く程の危険なトラップだと言う事。
現に、トレインを起こした冒険者達のパーティーは6人組だったのが既に半数以上の4人の人が死亡している。
運良く奇跡的にプリンを復活させる事が出来た僕だが、この世界には死者蘇生の魔法や道具などと言う都合の良い物はない。
ただし、死んでいなければ奇跡に近い回復力を持つエリクサーと呼ばれる霊薬?神薬?なんて物があるが、それでも先程も言ったが、流石に死んだ者には効かない。
なので、残念だけど死んでしまった冒険者達には成仏を願うばかりだ。
で、このモンスターハウスなのだが、厄介な事に、出てくる魔物の中に食屍鬼が混じっていると言う事だ。
ちょくちょく倒す機会があるゾンビやスケルトン達とは違い、それほど肉体が腐っていないのか動きもそこそこ速い為、油断しているといつの間にか接近を許す事になる。
また、その性格は凶暴は上、生きてる物だけはなく死んでいる物も平気で喰らう。
まぁ、負け惜しみを言うつもりはないが、モンスターハウスの所為で大量に出てくると脅威であるが、ぶっちゃけ本気を出せば雑魚である。
負け惜しみ…そう、本気を出せない為、冒頭でも言っているがピンチなのだ。
今回用意した装備は、基本的には一般的な冒険者が装備する市販の武防具を使用している。
その為、それほど強くはない…。
もっとも、僕達の強さは普通の人達にしてみれば異常だったりするのだが…。
それも、化け物と言っても良いほどに…だからこそ、ふとした事で僕達を敵と認識するかも知れない。
その為の対応策として、僕達は本気を出さない事に決めているのだが…。
『パキーーーンッ!カラカラカラ…。』
クルクルと飛んで地面に落ち、更に遠くまで転がる金属片、ずっと懸念していた事が起こってしまった。
そう、飛び去った金属片とは、僕が使っていた剣の刃だ。
僕達の使っている装備は、市販の物を使用している為、当然の事ながら摩耗するし刃毀れもする。
その為、激しい戦いになればなるほど、壊れやすくなる。
もっとも、その為に予備を持ってきているのだが、いつもの癖で予備の剣は〖無限庫〗の中だったりする。
ここで〖無限庫〗から剣を取り出すと不審がられるのはまず間違いないだろう。
ならば、どうするかと言うと…。
「〖魔法:氷の弾丸〗!」
その瞬間、前方に撃ち出される無数の氷の塊…多少広いとは言え、こんな限定空間で攻撃力の高い火の魔法は危険だと思い、とっさに氷の魔法を使ったのだが、土の魔法の方が良かったと後悔する事になる。
「お、おい!こんな所で、そんな強力な氷魔法使うな!寒すぎんだろうがッ!!」
「ま、まぁ…お陰で魔物は湧かなくなった様で助かりはしましたが…。」
生き残っていた冒険者の2人が僕に文句を言ってくる。
まぁ、壁すらも氷に閉ざされている状態になるほど乱射したのだから文句を言われても仕方のない事かも知れないが…。
「あ、あの、カタリベ殿は、その…以前、宮廷魔導師か何かだったのですか?」
と、アイアンさんが聞いてくる。
「いえ、王宮とかには全然、縁はありませんね…僕は只の冒険者ですよ?」
「そ、そうですか…私の知っている魔法使いの方でも、初級魔法のアイスバレットでこれほどの威力は出ない物ですから…それも詠唱も無しに…。」
とっさに唱えた魔法は、強さを誤魔化すつもりで初級魔法を使ったのだが、それがかえって怪しさを引き出した様だ。
そりゃそうか…考えてみたら、無詠唱と言うのは一般的には威力が弱くなる分、早く発動させる技術と思われている。
それなのに、無詠唱で中級…もしかしたら上級魔法並みの数と威力を出してしまっているのだ。
当然ながら不信感が募るのは仕方がないのかも知れない。
とは言え、それは放置する訳にはいかなくて…。
「…え?初級魔法?詠唱無し?いったい何の事ですか?
僕が使ったのは上級魔法の〖氷の機関銃アイスガトリング〗ですよ?
乱戦で聞こえなかったかも知れませんがちゃんと詠唱してましたよ?
そもそも、無詠唱でこんな魔法を使えるなら、最初から使ってますって!」
と、笑って誤魔化してみる…。
「そ、そうなんですか?確かにアイスバレットと聞こえた気がしたんだけど…。」
「そんな事より、そろそろ、この部屋を出た方が良いのでは?
今は良いですが、氷が溶けたら、また魔物達と戦わないといけなくなりますよ?」
と、プリンが横から声を掛けてくる…プリン、グッジョブ!
「そうだそうだ!こんなクス寒い部屋にいたら凍傷になっちまうぜ!」
「確かに、今はまだ大丈夫ですが、この氷が溶けたらまた危険になるかもですね…私もその案に賛成です。」
とは、生き残った冒険者の2人…一人はゴロツキで、もう一人は紳士?みたいな感じだな。
「そうだね…アイアンさん、僕達も部屋を離れましょう。
と言うか、手に入れる物だけ手に入れて、とっととダンジョンから出ましょう。
やはり、誰かを守りながらだと消耗が激しいですから…。」
「そうですね、それに関しては私も申し訳なく思っています。」
「い、いや、責めている訳ではないんで謝らないで下さい。」
「そうそう、私の旦那様の言う通り、そんな事を気にする方じゃないないですわ。
それに、これはちゃんとした依頼です。
依頼の内容が大変だったからと言って責める事はありません。
そもそも、危険だと思っていたら依頼なんて受けていませんわ!」
と、プリンがフォローを入れてくれる。
ただし、その言い方はフォローなのかフォローじゃないかは微妙ではあるが…。
「そ、そうですね、ちょっと引っ掛かる部分もありますが…。
とりあえず、先に進みましょう。
噂では、あと3階層進めば目的の装備がドロップする階層になるはずですから…。」
そう言ってアイアンさんは後ろを向いた。
「良かったですね、上手く誤魔化せたみたいで。」
と、プリンの言う通り、何とか上手く誤魔化せた様だ。
とは言え、あの乱戦の中、良く僕の魔法名を聞き取れたな…ちょっとビックリである。
もしかしたら、僕達の力がバレる可能性があるから注意しなくては…と、再度、気を引きしめた僕達だった…。
「アイアンさん、後ろですッ!」
「クッ…このぉー!」
順調に下層に向かっていた僕達は、ふとした事でピンチに陥っていた。
と言うのも、僕達とは面識のない、とある冒険者達が魔物達から逃げる際に、やらかしてくれたのである。
そう、魔物を引き連れて逃げる様が電車(ごっこ?)に似ている事から付いた名称…所謂、トレインである。
もっとも、この世界では違う呼び名があるみたいだが、残念ながら僕は知らない。
それはともかくとして、僕達ならまだしも他の人がいる為、本気を出す訳にはいかない。
そして、被害はそれだけではなかった…。
何故なら、ゴブリンの群れを相手にするには狭い通路だった為、僕達は冒険者達と一緒に直ぐ近くの戦いやすい広い部屋へと移動した。
だが、その判断が間違いだった…。
何と、その部屋は魔物が大量に湧いてくるリポップ部屋だったのだ。
つまり、何が言いたいかと言うと…そこはモンスターハウスと呼ばれる超が付く程の危険なトラップだと言う事。
現に、トレインを起こした冒険者達のパーティーは6人組だったのが既に半数以上の4人の人が死亡している。
運良く奇跡的にプリンを復活させる事が出来た僕だが、この世界には死者蘇生の魔法や道具などと言う都合の良い物はない。
ただし、死んでいなければ奇跡に近い回復力を持つエリクサーと呼ばれる霊薬?神薬?なんて物があるが、それでも先程も言ったが、流石に死んだ者には効かない。
なので、残念だけど死んでしまった冒険者達には成仏を願うばかりだ。
で、このモンスターハウスなのだが、厄介な事に、出てくる魔物の中に食屍鬼が混じっていると言う事だ。
ちょくちょく倒す機会があるゾンビやスケルトン達とは違い、それほど肉体が腐っていないのか動きもそこそこ速い為、油断しているといつの間にか接近を許す事になる。
また、その性格は凶暴は上、生きてる物だけはなく死んでいる物も平気で喰らう。
まぁ、負け惜しみを言うつもりはないが、モンスターハウスの所為で大量に出てくると脅威であるが、ぶっちゃけ本気を出せば雑魚である。
負け惜しみ…そう、本気を出せない為、冒頭でも言っているがピンチなのだ。
今回用意した装備は、基本的には一般的な冒険者が装備する市販の武防具を使用している。
その為、それほど強くはない…。
もっとも、僕達の強さは普通の人達にしてみれば異常だったりするのだが…。
それも、化け物と言っても良いほどに…だからこそ、ふとした事で僕達を敵と認識するかも知れない。
その為の対応策として、僕達は本気を出さない事に決めているのだが…。
『パキーーーンッ!カラカラカラ…。』
クルクルと飛んで地面に落ち、更に遠くまで転がる金属片、ずっと懸念していた事が起こってしまった。
そう、飛び去った金属片とは、僕が使っていた剣の刃だ。
僕達の使っている装備は、市販の物を使用している為、当然の事ながら摩耗するし刃毀れもする。
その為、激しい戦いになればなるほど、壊れやすくなる。
もっとも、その為に予備を持ってきているのだが、いつもの癖で予備の剣は〖無限庫〗の中だったりする。
ここで〖無限庫〗から剣を取り出すと不審がられるのはまず間違いないだろう。
ならば、どうするかと言うと…。
「〖魔法:氷の弾丸〗!」
その瞬間、前方に撃ち出される無数の氷の塊…多少広いとは言え、こんな限定空間で攻撃力の高い火の魔法は危険だと思い、とっさに氷の魔法を使ったのだが、土の魔法の方が良かったと後悔する事になる。
「お、おい!こんな所で、そんな強力な氷魔法使うな!寒すぎんだろうがッ!!」
「ま、まぁ…お陰で魔物は湧かなくなった様で助かりはしましたが…。」
生き残っていた冒険者の2人が僕に文句を言ってくる。
まぁ、壁すらも氷に閉ざされている状態になるほど乱射したのだから文句を言われても仕方のない事かも知れないが…。
「あ、あの、カタリベ殿は、その…以前、宮廷魔導師か何かだったのですか?」
と、アイアンさんが聞いてくる。
「いえ、王宮とかには全然、縁はありませんね…僕は只の冒険者ですよ?」
「そ、そうですか…私の知っている魔法使いの方でも、初級魔法のアイスバレットでこれほどの威力は出ない物ですから…それも詠唱も無しに…。」
とっさに唱えた魔法は、強さを誤魔化すつもりで初級魔法を使ったのだが、それがかえって怪しさを引き出した様だ。
そりゃそうか…考えてみたら、無詠唱と言うのは一般的には威力が弱くなる分、早く発動させる技術と思われている。
それなのに、無詠唱で中級…もしかしたら上級魔法並みの数と威力を出してしまっているのだ。
当然ながら不信感が募るのは仕方がないのかも知れない。
とは言え、それは放置する訳にはいかなくて…。
「…え?初級魔法?詠唱無し?いったい何の事ですか?
僕が使ったのは上級魔法の〖氷の機関銃アイスガトリング〗ですよ?
乱戦で聞こえなかったかも知れませんがちゃんと詠唱してましたよ?
そもそも、無詠唱でこんな魔法を使えるなら、最初から使ってますって!」
と、笑って誤魔化してみる…。
「そ、そうなんですか?確かにアイスバレットと聞こえた気がしたんだけど…。」
「そんな事より、そろそろ、この部屋を出た方が良いのでは?
今は良いですが、氷が溶けたら、また魔物達と戦わないといけなくなりますよ?」
と、プリンが横から声を掛けてくる…プリン、グッジョブ!
「そうだそうだ!こんなクス寒い部屋にいたら凍傷になっちまうぜ!」
「確かに、今はまだ大丈夫ですが、この氷が溶けたらまた危険になるかもですね…私もその案に賛成です。」
とは、生き残った冒険者の2人…一人はゴロツキで、もう一人は紳士?みたいな感じだな。
「そうだね…アイアンさん、僕達も部屋を離れましょう。
と言うか、手に入れる物だけ手に入れて、とっととダンジョンから出ましょう。
やはり、誰かを守りながらだと消耗が激しいですから…。」
「そうですね、それに関しては私も申し訳なく思っています。」
「い、いや、責めている訳ではないんで謝らないで下さい。」
「そうそう、私の旦那様の言う通り、そんな事を気にする方じゃないないですわ。
それに、これはちゃんとした依頼です。
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と、プリンがフォローを入れてくれる。
ただし、その言い方はフォローなのかフォローじゃないかは微妙ではあるが…。
「そ、そうですね、ちょっと引っ掛かる部分もありますが…。
とりあえず、先に進みましょう。
噂では、あと3階層進めば目的の装備がドロップする階層になるはずですから…。」
そう言ってアイアンさんは後ろを向いた。
「良かったですね、上手く誤魔化せたみたいで。」
と、プリンの言う通り、何とか上手く誤魔化せた様だ。
とは言え、あの乱戦の中、良く僕の魔法名を聞き取れたな…ちょっとビックリである。
もしかしたら、僕達の力がバレる可能性があるから注意しなくては…と、再度、気を引きしめた僕達だった…。
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