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~第七章:魔神復活編~

262ページ目…奇妙な同行者【1】

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 第10階層に居るはずだったボスも、そのフロアには居なかった。
 とは言え、確かに僕の感知能力には反応があったのに、いったいどういう事なのだろう?

 だが、部屋に入った時には既に反応はなかったのだから、いないのは間違いがないだろう。
 それ故、第11階層へと向かったのだが…。

「いったい、この通路は何処まで続いて居るんだ?」

 一人で行動しているのに、つい口に出して言ってしまう。
 最近、独り言が多くなっている気がする。
 まぁ、その原因らしき物は分かっているのだが、それは気にしないでおこう。

 ちなみに、ちょっと?かなり…か?長めの階段を下りていると階段が終わった。
 つまり、僕は第11階層に無事に着いたと思われるのだが、その後が悪い…。

 何故なら、階段を下りた後、そのまま真っ直ぐ進む通路に沿って道なりに進んでいるのだが、かれこれ30分ほど歩いているにも関わらず、未だに部屋どころか曲がり道すらない、真っすぐな一本道なのだ。
 とは言え、完全に真っ直ぐかと言うと…実は、そうでは無い。
 こころなしか、若干ではあるが、右に弧を描くように曲がっている…気がする。

 下手をすると渦巻き模様みたいに延々と続いているのかも?と不安になってくる。
 そして、先程からも言っているが、当然の如く魔物も何も居ない。
 進んでいるのか、戻っているのか…それすらも分からなくなる様な気がして堪らない。

 さて、いったい何時まで歩かされるのやら…僕はそう思いつつ、無限庫インベントリから水筒を取り出して喉を潤す。
 そこそこな距離を歩いているからか、少しずつ飲んでいた水筒の中身は、残り少ない様だ。
 このまま歩くのも良いが、どこかで休憩を兼ねた食事を取るのも良いだろう。
 そう考えた時、僕の感知能力に再び謎の反応があった。

 ふむ…前方からか、距離はまだ十分ある様だが、迷わず僕の方に真っ直ぐ向かってきているみたいだ。
 だとするなら、まず敵と見て間違いは無いはずだ。
 故に、僕は左手に装備している盾を前に構え迎え撃つ体勢を取る。

 念の為、奇襲攻撃に備え前だけじゃなく周囲への警戒も忘れない。
 しかし、その警戒も無駄に終わる。
 何故なら、現れた敵と言うのは…。

「…ウサギ?」

 そう、ここで言うウサギは、一応、魔物の部類に入るウサギで、頭に1本の角が生えている一角兎ホーンラビットだったりする。
 その為、多少は警戒をしておかなければならなかった。

 ちなみに、僕が知っている情報では、このウサギは角の有無によって、魔物か魔物じゃないかが決まるらしく、角で刺されたら危ない…と言うだけの脅威と呼べない何とも残念なウサギである。
 もちろん、普通のウサギ同様、ペットとして飼う事も可能で、魔物使いが魔物を使役する為に使う魔物紋で契約する必要さえない、大人しい魔物だったりする。

 何はともあれ、何故、こんな所にホーンラビットが居るのかは不明だ。

「…キュキュイ?」

 僕が疑問に思っていると、ホーンラビットも疑問に思ったのか首を傾かしげて軽くなく。
 僕がウサギで現状を考えるとしたら、おそらく『…人間?』と言った所か…。

「えっと…君に危害を加えるつもりはないんだけど、君はここに住んでいるのかな?」

 って、僕はウサギ相手に何を話し掛けて居るんだろう?と思ったのだが…。

「キュイ。」

 と、一鳴きすると肯いた。

「…はい?」

 今まで、何度かホーンラビットを狩った事があるのだが、当然ながら会話が成り立った事など一度もない。
 むしろ、偶々たまたまうなずいたと言った方が納得が出来る。

 …ならば、もう一度試せば良いのでは?
 そう決めたら、後は実行するだけである。

「君は…僕の言葉が分かるのかな?」
「キュイ。」

 そして、再び一鳴きして肯くホーンラビット…マジかッ!?
 いやいやいや、流石にあり得ないだろ…偶然、、そう偶然肯いただけ…。
 と現実逃避するのはアレなので、もう一度だけ試してみよう。

「君は…このダンジョンのボスだったりするのかい?」
「キュキュイ。」

 今度は、首を横に振る…そっか、流石にウサギがボスのダンジョンなんてある訳ないか…。
 そして、このウサギは、僕の話す事を完全に理解しており、イエスかノーで答える事が出来る…と言う訳だ。

「なら…君は、このダンジョンに詳しいのかな?」
「キュイ。」

 今度は、首を縦に振る…つまり、詳しいと言う事だ。

「えっと…それなら、道案内出来るかな?」
「キュイ。」

 再び首を縦に…ならば、ダメ元で案内して貰おう…。

「それじゃ、案内よろしくね?」
「キュキュ~イ。」

 こうして、ホーンラビットに案内されダンジョンを進む事になった僕は、魔物が殆ど居ないダンジョンを、更に奥へと進む事になったのだった…。
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