~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神

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~第七章:魔神復活編~

260ページ目…面倒な依頼【2】

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 ラオンさんの説明、と言うよりは、予想と言った方が良いのかも知れないが、どうやら、この世界には魔族と対抗するだけの装備と言う物が、何者かによって処分されているようだ。

 とは言え、魔族が実際にいて、活動をしていた事で、その事も不思議では無くなった。
 何せ、世界が平和になったからと言って、それほど危険な魔族が魔王が倒されたからと言って、完全にいなくなったと考える方が不自然だったのだ。

 それなのに、そんな危険な魔族を倒せる装備が、僅か300年程の間に消失している事を疑問に思わないはずがない。
 しかも、昔、勇者セイギ…僕のじぃちゃんが装備していたとされる聖なる武具(防具含む)すら無くなっていると言うのに、誰も疑問に思わなかった…と、言うのは正直な話、無理がある。

 元々、こう言う物は、どこかの国とかが管理して何処かの博物館とかに飾られて、ホニャララが使用したボニャララで~とかの説明で見せ物になっているのが、元の世界での常識なのだ。

 では、何故そんな事がないのか…その答えは、魔族が暗躍していると説明された方が納得がいく。
 とは言え、今、この世界に聖なる武(防)具がないのであれば、それの代わりに強力な武具を手に入れ様とするのは当然なのかも知れない。

「なら、僕が、その二つの素材を手に入れるのも一つの手だけど…それなら、直接、聖なる武具を手に入れた方が良いんじゃないですか?」

 ふと、思い付いた事を口に出す。

「そ、それはそうだが…その肝心な聖なる武具が何処にあるか分からないから、ドラゴンやら魔法銀ミスリルやらの素材を…と、王族や貴族共が言ってるんだぞ?」
「王族や貴族共って、ラオンさん、流石に、言葉遣いが…。」
「あ…ま、まぁ、あ確かに俺も貴族達の行動には腹をかいていたから、つい…な。
 その、なんだ…聞かなかった事にしてくれ。」

 流石に、先程の発言は、ラオンさん的にも問題があった様で、ラオンさんが苦笑しながら言ってくる。
 しかも、既に無礼講モードな為、ラオンさんが自身の事を俺と言っている事からも分かる様に、かなりフレンドリーである。

「まぁ、僕は気にしませんけどね?正直、王族や貴族なんて生き物は嫌いですから…。」
「ははは…なら、俺も何も言ってないし聞いていないって事だな。
 とは言え、流石に、依頼に関しては聞かなかった事に、とはいかんぞ?
 まぁ、この二つの依頼は通常の依頼として掲示板に貼るが、うちのギルドで、こんな依頼を遂行出来る者なんてお前達を除けば、殆ど居ないはずだ。」
「ん?ドラゴンの方は分かりますが、魔法銀ミスリルの方もですか?」

 ミスリルに関しては、量はともかく、何処かの鉱山にでも行けば手に入りそうな物だが…。

「あぁ、何でも魔法銀の鉱石がある場所には、決まってそれを守るかの様に、強力な魔物がいるのが常識だ。
 つまり、ドラゴンを倒すにしても鉱石を取って来るにしても、半端な火力じゃ返り討ちにされると言う訳だな。」

 ふむ、そう言う事なら一般の冒険者では歯が立たないのも無理はない…のか?
 って、ちょっと待てよ?ゲーム何かだと、聖なる武具と言うのは、ダンジョンの奥地に封印されていたりするんじゃないか?

「ラオンさん、ふと思ったんだけど、僕のダンジョン以外に聖なる武具が眠っていると言う可能性は?」
「何?それは、どう言う事だ?」

 僕の思い付きにラオンさんは耳を傾ける。
 こう言う時のラオンさんは、僕の意見を頭から否定する事無く、独自の考えを述べてくれるので非常に助かる。
 そして、僕はラオンさんに元の世界のゲームの事ではあるが、ダンジョンあるあるを説明していくのだった…。

◇◆◇◆◇◆◇

「ふむ…確かに、その話を聞く限りでは、ダンジョンの奥地に聖なる武具…この際、聖なる装備と呼んだ方が良いのかもしれんが、魔族によって隠されていると言う可能性も捨てがたいな。
 そもそも、お前から聞いた魔族の強さで言えば、我々が攻略出来ない程のダンジョンの奥地へ装備を隠した可能性は十分ある。
 もっとも、もしそうならば、何故、壊すのではなく隠したのか、と言う疑問が残るんだがな。」
「えぇ、それは僕も思います、ただ…。」
「ただ?」
「魔族自体、聖なる装備に触れれないからとか、先ほども言った様に、攻略されていないダンジョンの奥地…攻略の報酬に入っている可能性もあると言う事です。
 もっとも、僕のダンジョンは初心者ダンジョンだった所為もあり、確かめる事が出来ませんけどね?」

 まぁ、まかり間違っても初心者ダンジョンに、最強装備の類である聖なる装備があるはずはないのだが…。

「なるほど…つまり、素材集めのクエストは断るが、各ダンジョンを、聖なる装備が手に入るか分からないが、ダンジョンを攻略すると言う事か…。
 ならば、俺がする事は、各ダンジョンへと入れる通行手形の用意を…と言った所か?」
「はい、どれほどのダンジョンに向かう必要があるか分かりませんけどね?」
「チッ…くそ面倒だが、そうも言ってられなねーか…。
 よし、分かった!なら、今から通行手形は用意しよう。
 ただし、俺の所為で、お前達が大怪我を負ったり、死んだんじゃ寝覚めも悪い!
 だから、絶対に…とは言わないが、出来るだけ怪我をしない様にしてくれ、分かったな?」
「はいッ!!」

 その言葉に満足したのか、ラオンさんは、僕の返事に一度だけ肯くと、扉を開けて大声を出す。
 すると、その声を聞いた受付嬢が慌てて走ってくる。
 そして、ラオンさんと何やら話すと受付嬢が再び走って去っていく。

「すまんが、通行手形は今すぐ用意出来る物じゃない…悪いが三日後、また来てくれ…それまでには用意出来ると思う。」

 ラオンさんはそう言うと、申し訳なさそうに頭を下げる。

「いえ、気にしないで下さい…それより、僕の方も準備を万端にしときますよ。」

 そう、もしも魔族がダンジョンに装備を隠したのであれば、当然ながら邪魔が入るだろうし、邪魔が入るのであれば、死闘を繰り広げる可能性もある。
 ならば、どれだけ準備してもし過ぎる事はないだろう。

 何故なら、僕は、二度と大切な人たちを失いたくないのだから…。
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