~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神

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~第七章:魔神復活編~

259ページ目…面倒な依頼【1】

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 僕が冒険者ギルドに直接頼まれた依頼…四つの内、二つまでは完了した。
 だが、残りの二つの依頼が、地味に問題だった。

 そして、その二つと言うのが…。

 一つ、ドラゴン素材の納品。
 一つ、魔法銀ミスリル鉱石の納品。

 つまり…どちらも非常に入手が面倒と言う物なのだ。
 そもそも、ドラゴンなんて言う物は、普通の人には簡単には討伐出来ない。
 余程、高レベルの冒険者がパーティーを組んでやっと倒すのが世の常と言う物である。

 ん?僕だと倒せるかって?ぶっちゃけ、〖魔王化〗本気使えば出せば余裕だったりする。
 むしろ、ドラゴンを探す事の方が苦労すると推測される。

 そして、もう1つの魔法銀ミスリル鉱石…こちらも、そこら辺の鉱山で手に入るかと言うと、まず手に入らないであろう。

 何故なら、通常、冒険者がミスリルを入手するには、特定のダンジョンの中にある鉱山エリア…しかも、深部まで行かないと入手が出来ないのだ。
 但し、何事にも例外はある…その例外と言うのが、ミスリルゴーレムの存在である。
 どう言う訳か、このゴーレムは魔法銀鉱石を多く含む岩を体にしているゴーレムで、倒す事が出来れば一定量のミスリル…魔法銀鉱石を入手する事が可能だったりする。

 もちろん、このゴーレムに狙って出会う事はまず不可能と言われている。

 この説明で判って貰えただろうか?
 つまり、倒すのが面倒だったり見付けたりするのが面倒だったりする。

「って、何で冒険者ギルドがそんな素材を手に入れようとしてるんですか?」

 通常、この手の素材は、商業ギルドの取り扱いで、冒険者ギルドが扱う依頼ではない。
 まぁ、商業ギルドの依頼なのかもしれないが、ふと疑問に思い、ラオンさんに尋ねる。

「あぁ、説明してなかったか?それはだな…。」

 ラオンさんは、僕に色々と説明してくれた。
 で、その内容を要略すると…どうやら『聖王都』で魔族が活動を始めた事で、色々は方面に話題になった所為であると言えよう。
 どう言う事かと言うと、僕が魔族に対して、通常の攻撃や魔法が効かない事を冒険者ギルドに報告したのが原因だったりする。

 そもそも、魔族がいたのは300年ほど前、勇者セイギ…まぁ、その正体は僕のじぃちゃんである正義マサヨシが仲間達と共に、当時の魔王を倒した事により、魔族は滅んだとされていた。
 だが、実際には地下に隠れ住んでいて、魔王を復活されるのを企んでいたらしい。

 そして、その復活させる役目が、この世界に偶然迷い込んでしまった転移者達に白羽の矢が立ったのだ。
 『零の使い魔』と呼ばれる団体…その正体こそ彼らであり、復活した魔王・零により元の世界に戻るのを目的とした団体だったのだ。

 まぁ、そのリーダー的な存在こそが、裏で手を引いている魔族だったと言う訳だ。
 もっとも…個人的に言えば、この世界を滅ぼそうとしてる魔族が、復活させてくれたからハイそうですかと元の世界に送り返してくれるなどと言う考えを持つ事自体間違っていると言えよう。

 と、閑話が長くなったので元に戻そう。
 それで…だ、その魔族(精神体の様なヤツ)に効く攻撃として、強力な武器を王族や貴族達が保身の為に集め始めたからだったりする。

 まぁ、実際に魔族と戦った僕が言うのも何だが、確かにドラゴン素材の装備ならば、強力な防御力は期待が出来る。
 但し、僕が戦った魔族が下級兵だとしたら、そんな装備で魔族の攻撃を防げるは、些か疑問が残る。

 また、ミスリル製の武器であれば、切れ味も良いだろうし魔力を通しやすい。
 コレなら精神力=魔力…とまでは言わないが、攻撃の瞬間に気合いと言うか…滅びろ!と強く思えば、魔族にもダメージを与える攻撃になるとは思う。
 もっとも、こちらもドラゴン素材の防具同様に、その程度でどうこうなる様な相手ではないのでは?とも思う。

「ってな訳で、素材となる物が欲しいの分かりましたが、この世界って…聖剣とか聖鎧って装備はないんですか?」

 そう、元の世界では魔族に対して有効な攻撃手段として聖なる剣や、聖なる魔法。
 また、防御手段として聖なる鎧や聖なる魔法…なんて物がゲームやアニメでは常識だったりする。

「聖剣…か、確かに魔族が暗躍していた遙か昔には、その様な武器や防具、魔法が存在していたらしいのだが、今では、何処の国でもその存在が秘匿されてしまっている。
 もっとも、秘匿と言うより消失…と言った方が良いのかも知れないな。」
「ん?消失って、どう言う事ですか?」

 疑問に思った僕は、すぐにラオンさんに尋ねる、すると…。

「コレは他言無用だが、この世界の王族や貴族と言うのは、自らの保身を優先する事を最優先する輩が多数いる。
 当然ながら、過去、魔族がいた事を知る者もいる訳で、その手の装備を手放すとは考えにくい。
 にも関わらず、その様な装備が一切合切、処分されているとなると、何かしらの力が働いたとしか思えない。」
「つまり、ラオンさんは、その背景にも魔族達が暗躍しているのではないと?」
「あぁ、疑いだしたらきキリがないのだがな…。」

 ラオンさんは、そう言うと椅子の背もたれに体を委ねる様にもたれ掛かる。
 やれやれ…どうやら、ラオンさんもかなりお疲れのようだ。

「仕方ないか…分かりました、残り二つのクエスト、失敗してもノーペナルティでって言うのなら、依頼を受けますよ。」

 と、僕はかなり疲れているラオンさんへと宣言するのだった…。
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