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~第七章:魔神復活編~

252ページ目…スライム調査【1】

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 ラオンさんがプリンを人として扱わなかった事(完全に被害妄想)に対して、キレかけた所為で、少々、力が暴走し掛けてしまったが、何とか制御して事なきを得た僕は、若干、涙目なっているラオンさんと別れ、帰らずの森のスライムを調査する事にした。

 ちなみに、常識的に考えて普通のAランク冒険者が一人ソロでドラゴンの素材やミスリル鉱石の採取と言うのは、無理があるので、今の所は依頼は断っている。
 まぁ、流石に、ラオンさんも無謀だと思っているのか、拒否に関しては何も言わなかったと言うか、言えなかった様だ。

 とは言え、今から一人で調査に行くのは些か問題が発生する。

 ラオンさんが言う様に、何を隠そう、今の僕は『新婚さん《・・・・》』なのである。
 しかも、まだ結婚して一月半の…。

 実は、あの後、プリンを永遠に失う事になると思った時、好きな人を失う事に危機感を覚えた僕は、メルトの町に戻った時に、零の魂の叫びに引き摺られる様に、みんなを集めて結婚する事を話した。

 もっとも、元の世界であれば重婚は犯罪として扱われる行為なので、褒められる事ではない。
 だが、それは元の世界だったらの話、この世界であれば、一夫多妻制の為、甲斐性があるのであれば何人娶っても特に問題ないと言う話になり、それならば…と、プリン、クズハ、ローラ…そして、アリスの4人まとめて僕の嫁にしてしまったのだ。
 念の為に言うが、もちろん正妻はプリンである。

 まぁ、そんな訳で、嫁をほったらかしにして調査に出掛けた場合、僕の可愛い嫁達が拗ねてしまう事になる。
 そうなると、なだめるだけでも一苦労するのだ。

 ちなみに、ブラウニーであるアリスは本来、家に憑く妖精の一種である為、家からあまり離れられないのだが、僕と結婚した事により、僕自身にも憑く事が出来る様になった為、一緒にいる場合に限り、何時間でも家を離れる事が出来る様になっている。
 おそらくだが、アリスにとって、僕は家と同じ条件になっているのだろう。

 …で、話が逸れたが、このまま家に帰らずに調査に出掛けると色々と不味いって話に戻る訳だが、このまま家に帰って準備して向かうとなると、場合によっては到着したら直ぐに日が暮れてしまう。

 そんな訳で、調査は明日の朝からにする。

 ぶっちゃけ、帰ってイチャイチャしたいと言う気持ちもあるので、言い訳として朝から向かった方が効率が良いと言っておこう。
 ちなみに、ラオンさん曰く、高級回復薬ハイポーションの依頼が既に済んでいるので、残りの依頼は今日じゃなくても良いとの事。
 なので、今は、のんびりとゴーレム馬車を走らせて自宅への帰路を進んでいたりする。

『ガタゴト、ガタゴト…。』

 そして、僕は再び串焼き屋の前に来て馬車を止める事になる。

「オッチャン、ローラのツケって幾らになってる?」

 ギルドへ行く時に、ローラが買い食いしていた串焼き屋のおじさんに声を掛ける。
 まぁ、買い食いと言ってもツケである為、正確には、まだ買った訳ではないのだが…。

「お、ツケの支払いだね?とは言え…ローラさんの喰いっぷりが良いもんだから…つい、お代わりって言われて新しいの出しちゃったから、少し高くなってるが大丈夫かい?」
「あちゃ~…だから、オッチャンに本数決めて、それ以上は出さない様にって、お願いしたのに…。
 まぁ、良いや、ローラには帰ったらしっかりと怒らなきゃ…だな。
 とりあえず、全部で幾らになってますか?」

 僕はそう言うと上着の内ポケットから取り出したかの様な仕草をして、無限庫インベントリから財布を取り出す。
 すると、オッチャンは、ローラの食べた串を代金を計算し始め…金額を教えてくれた。

「えっと…全部で、45本だから…少し負けたとして、うん、大銅貨で5枚ちょうどって所かな?」
「ブッ?!45本って…ま、まぁ、大銅貨5枚ですね…ちょっと待って下さいね?」

 僕はそう言うと、財布の中を確認する。

 大銅貨は4枚入っているが…残念ながら銅貨は6枚しかない…。

「オッチャン、銀貨からでも大丈夫?」

 この世界では、銅貨は100円、大銅貨は1000円、銀貨は1万円程の価値なので…たぶん大丈夫だと思うが、お釣りがあるかの確認は必要だ。

「銀貨だって…ちょっと待てよ、今確認するから…。
 ひぃ、ふぅ、みぃ、よー…お、あるある…ちょうど大銅貨が5枚あるから大丈夫だ。」
「それは良かった…とは言え、大きなお金ですいません…。」

 と、僕は素直にオッチャンに謝る事にした。

 死んだじぃちゃん曰く、祭りなどの露天(露店)では、大きなお金で払うと、お釣りが無くなって店側に迷惑が掛かるから、露天で買い物する時は、ちゃんと小銭を用意するのが常識だと、小さい頃に言われてたりするので、迷惑掛けて申し訳ないと謝ったのだ。

「ほぅ…旦那のお爺さんが、そんな心遣いを常識とまで言ってくれるとは、今時、そんな事考えて買い物しようとしないから、その心遣いは本当に嬉しいね~。
 旦那、良いお爺さんを持って誇りに思って良いぞ。」

 オッチャンはそう言って、ニコニコしながら、もう見る機会が失われた、僕のじぃちゃんを褒めてくれた。
 たったそれだけの事なのに、まるで自分が褒められたかの様に、すごく嬉しくなってしまい、涙が出そうになる。
 とは言え、流石にそれだけで泣いたとなると恥ずかしいので、そこはグッと我慢したのは言うまでもない。

「では…オッチャン、また買いに来ますね。」
「あいよ、ローラさんにも宜しく言っといてくれよ?」
「はい!」

 一言、二言、おっちゃんと会話した後、あまり店先に馬車を止めて長居するのもアレなので、早々に、僕は再びゴーレム馬車を走らせて自宅へと帰っていくのだった…。
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