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~第六章:冒険者編(後期)~
221ページ目…帰還準備?
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サブの葬式から2日後の事、僕達は冒険者ギルドに来ていた。
「お~ぃ、やっと来よったか、あまりに遅い物だから、約束を忘れておるのかと心配しておった所だぞ?」
と、ギルドマスターであるクラウスさんが僕達に向けて言ってくる。
とは言え、そう言われても仕方がない…。
何せ、約束の時間を既に2時間も遅れていたのだから…。
「す、すいません、本当はもっと早く来れるはずだったんですけど、宿屋を引き払うのに時間が掛かってしまって…。」
と、僕は明らかに嘘だと思われる言い訳をする。
だが、実際にチェックアウトするのに時間が掛かったのは本当の事だから、まるっきり嘘という訳ではない。
ただ、その時間が掛かる事になった原因が僕であると言う事を除けば…である。
「そうか、それなら仕方がないとは思うが…。
はて?あの宿屋のチェックアウトは、そんなに時間が掛かる作業じゃったかの~?」
と、クラウスさんが頭を捻る。
それを見た僕は、話題をさっさと変えて誤魔化す事に決めた。
なので、僕達がここ…ギルドマスターの部屋に呼ばれた事に対して話を進めようと思い、口を開こうとした所で、僕は後悔する事になる。
何故なら、プリンが遅れた原因をゲロったからだった。
「それは、ご主人様が、あと5分、あと5分って言って、なかなか起きてくれなくてチェックアウトの時間を大幅に過ぎてしまった為、もう1泊分の支払いが請求されてしまったんですよ。
それで、その支払いを許して貰うのに、時間が掛かってしまって…。
何せ、報酬を貰ったら、今日、私達は拠点であるメルトの町に戻る予定でしたから…。」
と、プリンが言わなくても良い話までする。
もっとも、バレた所で、大した問題ではないはずである…たぶん…。
「なるほどの~…確かに、それならチェックアウトするのに時間が掛かるのも仕方がないの~。
ふむ、確かにそれならば『嘘』は言っておらんな、もっとも真実も言っておらんが…の。」
くそ、プリンの一言でクラウスさんに遅刻した原因がバレてしまった。
やはり、誤魔化しきれなかったか…と思い、謝ろうとする。
だが、僕が何か言おうとする前にクラウスさんが軽く右手を挙げて謝罪をしようとする僕を止めた。
「よいよい、そもそも寝坊した理由は、昨日の事が原因なのであろう?
だとしたら、半分はこちらの所為であると言えよう、なので、今回の遅刻に関しては謝罪はいらんわい。」
「そ、そうですか…ですが、遅刻したのを誤魔化そうとしたのは悪い事ですから、本当に申し訳ありませんでした。」
謝罪はいらないと言われたが、僕は、遅刻した事ではなく遅刻した事を誤魔化そうとした事に対しては、ちゃんと謝る事にした。
「ふぉっふぉっふぉっ、よかろう、遅刻を誤魔化そうとした事に対する謝罪、しかと受けた。
やはり、冒険者たる者、信用は大事じゃからの~。」
と、クラウスさんが笑って許してくれる…が、もし、誤魔化した事に対して謝罪がなかったらどうなっていたのかと思ったら、少し怖かった。
そして、それから少し雑談を踏まえながら、クラウスさんと話し、そして、今回の一件に関しての報酬。
ずっしりと重い金貨の入った袋を貰うと僕達は笑顔でギルドを後にしたのだった…。
◇◆◇◆◇◆◇
「それで、ご主人様、このままメルトの町に帰るのですか?」
「あぁ、そうだね、帰りに少し寄り道…美味しい物を食べたりしながら帰る事になるけど、メルトの町に戻ろう。」
未だ、ずっと胸の奥にある不安を打ち消す様に、僕はそう言うと、プリンとクズハを連れてメルトへ向けて出発するのだった…。
「お~ぃ、やっと来よったか、あまりに遅い物だから、約束を忘れておるのかと心配しておった所だぞ?」
と、ギルドマスターであるクラウスさんが僕達に向けて言ってくる。
とは言え、そう言われても仕方がない…。
何せ、約束の時間を既に2時間も遅れていたのだから…。
「す、すいません、本当はもっと早く来れるはずだったんですけど、宿屋を引き払うのに時間が掛かってしまって…。」
と、僕は明らかに嘘だと思われる言い訳をする。
だが、実際にチェックアウトするのに時間が掛かったのは本当の事だから、まるっきり嘘という訳ではない。
ただ、その時間が掛かる事になった原因が僕であると言う事を除けば…である。
「そうか、それなら仕方がないとは思うが…。
はて?あの宿屋のチェックアウトは、そんなに時間が掛かる作業じゃったかの~?」
と、クラウスさんが頭を捻る。
それを見た僕は、話題をさっさと変えて誤魔化す事に決めた。
なので、僕達がここ…ギルドマスターの部屋に呼ばれた事に対して話を進めようと思い、口を開こうとした所で、僕は後悔する事になる。
何故なら、プリンが遅れた原因をゲロったからだった。
「それは、ご主人様が、あと5分、あと5分って言って、なかなか起きてくれなくてチェックアウトの時間を大幅に過ぎてしまった為、もう1泊分の支払いが請求されてしまったんですよ。
それで、その支払いを許して貰うのに、時間が掛かってしまって…。
何せ、報酬を貰ったら、今日、私達は拠点であるメルトの町に戻る予定でしたから…。」
と、プリンが言わなくても良い話までする。
もっとも、バレた所で、大した問題ではないはずである…たぶん…。
「なるほどの~…確かに、それならチェックアウトするのに時間が掛かるのも仕方がないの~。
ふむ、確かにそれならば『嘘』は言っておらんな、もっとも真実も言っておらんが…の。」
くそ、プリンの一言でクラウスさんに遅刻した原因がバレてしまった。
やはり、誤魔化しきれなかったか…と思い、謝ろうとする。
だが、僕が何か言おうとする前にクラウスさんが軽く右手を挙げて謝罪をしようとする僕を止めた。
「よいよい、そもそも寝坊した理由は、昨日の事が原因なのであろう?
だとしたら、半分はこちらの所為であると言えよう、なので、今回の遅刻に関しては謝罪はいらんわい。」
「そ、そうですか…ですが、遅刻したのを誤魔化そうとしたのは悪い事ですから、本当に申し訳ありませんでした。」
謝罪はいらないと言われたが、僕は、遅刻した事ではなく遅刻した事を誤魔化そうとした事に対しては、ちゃんと謝る事にした。
「ふぉっふぉっふぉっ、よかろう、遅刻を誤魔化そうとした事に対する謝罪、しかと受けた。
やはり、冒険者たる者、信用は大事じゃからの~。」
と、クラウスさんが笑って許してくれる…が、もし、誤魔化した事に対して謝罪がなかったらどうなっていたのかと思ったら、少し怖かった。
そして、それから少し雑談を踏まえながら、クラウスさんと話し、そして、今回の一件に関しての報酬。
ずっしりと重い金貨の入った袋を貰うと僕達は笑顔でギルドを後にしたのだった…。
◇◆◇◆◇◆◇
「それで、ご主人様、このままメルトの町に帰るのですか?」
「あぁ、そうだね、帰りに少し寄り道…美味しい物を食べたりしながら帰る事になるけど、メルトの町に戻ろう。」
未だ、ずっと胸の奥にある不安を打ち消す様に、僕はそう言うと、プリンとクズハを連れてメルトへ向けて出発するのだった…。
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