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~第六章:冒険者編(後期)~

215ページ目…聖騎士団の真実

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「そのアルファってのは名前じゃなく、所謂いわゆる、コードネームってヤツだ。
 俺の名前…いや、本名と言った方が分かりやすいか?
 俺の名前は『佐々木ささき 竜之介りゅうのすけ』、まぁ、名前を聞いて分かると思うが、俺は君と同じ日本人だ。」

「なッ!?日本人だって!?」

 捕らえられていた幹部クラスと呼ばれたアルファさんが僕に驚きの真実を告げる。
 そう…『佐々木 竜之介』と名乗る彼は僕と同じ日本人だったのだ。

「あぁ、そうだ…と言うより、聖騎士団は全員、この世界に転移させられた地球人だ。」
「地球人?それは、どう言う事ですか?」
「そうか…やはり、君は何も知らないのか…。」

 佐々木さんは何か考えてから、再びしゃべり出した。

「えっと、確か、夢幻むげん君…だったよね?
 念の為確認するが、君は俺と同じ日本人だよね?」

 同じ日本人だからか、名前から判断出来たのだろうか?
 確認と言う形を取ってはいる物の、確信を持って言っている様だ。

「は、はい…それが何か?」
「君は、この世界に来た時の事を覚えているかな?」
「えぇ、まぁ…家にあった本を読んだら、この世界に来ましたから…。」
「何ッ!?君は本を読んで、この世界に来たのかッ!?」

 佐々木さんが僕の言葉に何故か驚いている…。

「えっと…佐々木さんは違うんですか?」
「あ、あぁ…俺は、と言うより俺達は…だが、全員、次元の裂け目に落ちて、この世界にやって来たと言った方が正解だ。
 そして、聖騎士団の本当の目的は、自分達の世界に戻る事にある。
 とは言え、そう簡単に戻る方法など見付かるはずもない。
 その為、傭兵紛いの事をやっていたら、同じ様に転移してきた日本人と会う事になり、メンバーを増やしていった出来たのが、今の聖騎士団と言う訳だ。」

 まさか、自分以外にも転移してきた人がいる事に驚きを隠せないでいる。
 しかも、一人だけではなく、聖騎士団の人、全員が…と聞かされたら、もう驚く事しか出来ないだろう。

「な、なるほど…でも、こう言っては何ですが、僕も戻る方法なんて知りませんよ?
 とは言え、僕のじぃちゃんは、元の世界に戻る事が出来たので、何かしらの方法があるかも知れないですが…。」
「何だってッ!?それはどんな方法だッ!!」

 佐々木さんは、突然、大きな声を出して立ち上がろうとする…だが、椅子に鎖で縛られている為、立ち上がる事が出来なかった。

「いえ、さっきも言いましたが戻る方法は知らないと…。」
「あ、あぁ…すまない…。
 だが、君のお爺さんが転移者だったとは…方法が分からないのは残念だが、それだけでも、我々にも戻れる可能性が出来たと言うだけでも希望が持てたよ。」
「あの、期待を持たせたみたいで申し訳ないんですが、僕のじぃちゃんが、この世界に来たのって、じぃちゃんが若い頃なんですが…。
 しかも、この世界で300年以上前の事ですよ?」
「あぁ、なんだ、そんな事か。
 実を言うとだな…この世界に転移してくる人の中には、生きている時代が違う人達も何人か居るんだよ。
 っと、そうだな…君はどの時代から来たんだい?
 ちなみに、俺は西暦2021年から転移してきてるんだが…。」
「はい?聞き間違いですか?今、西暦2021年と聞こえたんですが…。」
「いや、聞き間違いじゃないぞ。
 と言うより、次元の裂け目を通る時、時間軸が狂うらしく色んな時代の人が来ている。
 ちなみに、私の知る中では…メンバーの古株の中にも江戸時代前の人も一人いるぞ。」

 江戸時代…歴史に詳しくないない僕でも、江戸時代は聞いた事がある。
 よくテレビの時代劇で水戸黄門や暴れん坊将軍なんてのを見ていたからだ。
 そして、ファンタジー小説などでも出てくる刀を腰に差しているサムライがいた時代だ。

「つまり、色んな時代の人が、ここに集まっていると?」
「そう言う事だ、それと、次元の裂け目に落ちて転移してきた者は、歳の取り方が遅くなると言うのも特徴の一つだな。」
「どう言う事ですか?」
「どう説明して良いのやら…そうだ!夢幻君、俺の歳は何歳に見える?」

 先程もそうだが、何故か僕の事を君付けで呼ぶ佐々木さん。
 その事から考えると、僕よりは年上のはず…ならば…。

「えっと、僕より幾つか年上な感じがしますので20歳ハタチ位ですか?」

 僕的には大学生位に見えるので、20歳と言ってみた。
 まぁ、それでも若干、若く言い過ぎたかも?と思うが、それでもそこまで歳は離れていないだろう。

「残念、ハズレだ…ちなみに正解は59歳だ。
 とは言っても、僕が転移してきた歳は22歳の時だから、ある意味、ニアピンなんだけどね。
 つまり、転移してきた歳から、殆ど年を取る事が無くなったんだ…。
 もしかしたら、本当に年を取っていないのかも知れないが、流石に、検証のしようがないから本当の事は分からないんだけどね…。」

 と、佐々木さんは少し悲しそうな目で僕に教えてくれたのだった…。
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