~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神

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~第六章:冒険者編(後期)~

198ページ目…戦闘準備【7】

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 次の日、僕はプリンを連れてダンジョンへと来ていた。

 と言っても、未だ僕の作ったダンジョンは第5階層の守護者が頑張っているのか冒険者達が弱いのか、未だに第6階層まで冒険者が進んでいない、との事で、もっぱらダンジョンは僕の素材集めの場所となっている。

「それで…ご主人様、何を集めれば良いのですか?」
「いや、正直な話、今日は素材集めではないんだ。」
「えっと…なら、どの様な用事ですか?
 もしや、私と二人っきりになりたかったとか?」
「あ~、確かに、そんな気持ちが全くなかったと言えば嘘になるけど、残念ながら番うよ。
 今日は、装備の性能テストをしようと思ってね。
 で、そこら辺でテストすると、色々と大変な事になるから、わざわざ僕のダンジョンまで来たんだよ。」

 そう、僕の予想通りの性能があるのなら、今回、プリン達に作成した装備は、下級~中級ドラゴンと同等の能力を秘めている筈なのだ。
 その為、下手に街中で性能を試そうものなら、その被害はとんでもない事になるだろう。
 もっとも、僕自身の装備はプリン達の装備よりも更に強く、上級ドラゴンと同等の性能となっているはずだから、ダンジョン以外での性能テストは、試す事すらはばかれる。

「それでは、ちょっと寂しいデートですけど、これから装備の性能チェックですね?」
「あぁ、うん、こんなのをデートと呼んで良いかは微妙だけど…ね。」

 僕はそう言うと、無限庫インベントリから、深夜遅くまで作っていたプリン専用の鎧を取り出すと、プリンの前に置いた。

「あら?これは…ドラゴンですか?」
「うん、レオは覚えてるかな?」
「はい、ご主人様が以前着ていたの鎧…生きてる鎧リビングメイルのレオですよね?」
「そうそう、んで、これはプリン専用の生きてる鎧…水属性のドラゴンを素材とした生きてる鎧で、昨日、プリンに髪の毛…と言っても、プリンの場合はスライム身体の一部なんだけど…その情報を持っている者を主として認識する様にした特殊な魔法生物と言う感じかな?
 一応、プリン専用だから簡単な命令ならば、登録前のプリンにも従うはずだよ?」

 僕がそう言うと、プリンは目の前にいる自分専用のドラゴンの頭を撫でていて、そして…僕の方に潤んだ瞳を向けた。

「ご主人様…。」
「ん?どうしたプリン?」

 その潤んだ瞳に、二人きりと言う事もあり、思わずドキドキしてくる。

「あの…鎧と言う話だったのですが、どうやって着れば良いんですか?」
「あッ!ごめんごめん、そ、そうだよね!いくら説明してたとは言え、こいつを見て、鎧とは思えないよね?
 えっと、レオと同じで、武装化アームドのキーワードで鎧に変化する様にしているから、試してみて?」

 プリンに言われて慌てて鎧状態にする方法を教える。
 そして、それを聞いたプリンは、すぐ様、実行に移したのだった。

武装化アームド!」

 次の瞬間、プリンの目の前に居たドラゴンは力強く地面を蹴り空へと飛び立つ。
 そして、色々なパーツに分裂するとプリン目掛けて飛んでいきガシンガシンと装着されていく。
 僅か数秒と言う短い時間で、プリンは羽の生えた鎧を身に纏っていたのだった。

「ご、ご主人様、これって…。」
「あぁ、とりあえず、第一段階は成功みたいだな。
 ちなみに、プリンは僕と同じで、基本的な攻撃方法が剣を主体に戦うから剣士仕様にしてあるからね?
 んで、その剣なんだけど…両腕にある盾になってる部分に柄があるの分かるかな?」

 そう言うと、プリンは腕を動かして盾部分を観察する。
 そして…『あ、これですね?』と言ってプリンはその柄を一気に抜き放ち、抜刀する。
 プリンの手には、刃渡り15cm程の短剣が握られていた。

「あら?私の武器は、短剣なんですね?」

 プリンが勘違いするのも無理はない。
 そのままの状態であれば、短剣として使う事が出来るのだから…。
 但し、それはノーマル状態での話である。

「いや、それはノーマル状態だからだよ。
 その剣の柄に、僕の骸の魔銃むくろのまじゅうみたいな引き金トリガーが付いてるだろ?それを引いてごらん?」

「こうですか?」

『ガチャッ!』

 すると、プリンが持っていた短剣から刃渡り80cmはあるであろう青白い光の刃が現れたのである。

「なッ!?す、凄い!ご主人様、凄いです!」
「そ、そうかな?えっと、もう一度トリガーを引いたら元の短剣に戻るから。
 それと、さっきのロングソードバージョン魔法剣は水属性のドラゴンの力で具現化した刃だから、柄部分に魔力を溜めておかないと使えなくなるから注意してね?
 それと、左右どちらの剣も同じ様にロングソードバージョンになるから、上手く使って欲しい。」

 最初からロングソードでも、プリンならば使いこなせるだろうが、鎧に仕込んでいる為、そのままだと竜の状態になった時、かなり歪な形になってしまう。
 その形が、あまりに嫌だった為、急遽、魔導具…魔法剣と言う形で調整したのだ。

「はい、ご主人様♪あ、そう言えば、この翼って…ローラが言ってた空飛ぶ為の物ですよね?」
「あ、うん…『飛行フライ』のキーワードで、朝、プリンに上げた指輪に付いていた感応石に反応してプリンの思う様に飛ぶ事が出来るはず…なんだけど、まだテストしてないから、本当に飛べるか疑問だったりするんだけど…どうかな?」
「あ…だから、私が最初だったんですね?」
「あはは…やっぱり、バレた?」

 と、プリンのツッコミに僕は苦笑する。
 今でこそ、普通の人と変わらない外見(美少女)だが、プリンはスライムなので下手に墜落しても、それは〖人化〗のスキルで人に化けているだけなので、文字通り、落下による骨折したりする事は無い。
 その為、怪我をしたり後遺症が残ったり、死亡する可能性が少ないのだ。
 まぁ、絶対ではないがそれほどまでにスライムの特性は優秀で…それ故、この手の実験には、都合の良い被検体とも言える。

 もっとも、プリンもそれは分かっているし、僕の事を信用していてくれるので問題はないのだが…。

「だからと言って、プリンを実験台にするのは、やはり気が進まないんだけど…。」

 と、つい本音が口から漏れてしまった。

「でも、ご主人様あなたも知ってる通り、私なら大怪我はしませんから大丈夫ですよ?
 それに…実は、ご主人様に頼られてるって思うと、結構、嬉しいんですよ?」

 と、その呟きを聞いたプリンが、すかさず笑顔でフォローしてくれる。
 やはり、僕はプリンがいないとダメダメだな…と改めて思ってしまう。
 そして、そんな思いに、我慢出来ずプリンを抱き寄せると、その唇に優しくキスをしようと…。

『チリッ』

 不意に〖危機感知〗のスキルが反応する。
 僕達しかいないはずのダンジョンで殺気を感じ、僕は慌ててプリンを抱いたままその場を飛び退いたのだった…。
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