190 / 421
~第六章:冒険者編(後期)~
190ページ目…偵察【5】
しおりを挟む 『ギィー』と言う音と共に、何のスキルで作られたのか分からない扉が開いて行く。
その扉を開けて入ってきたのは二人組の男女だった。
とは言っても、逢い引きとかではなく、先程見たガラクタを取りに来た様だった。
「アルファ、このカップは貴重な物らしいから気を付けて運んでよ?
傷付けたら、オメガに何言われるか分かった物じゃないんだからね!」
「うるせ~な、そんな事言うなら、デルタが持てば良いじゃね~か。」
どうやら、男の方が『アルファ』、女の方が『デルタ』と言う名前らしい。
更には『デルタ』と言う名前のヤツもいるみたいだが、これらの名前から想像するに、本名ではない筈だ。
「ふ~ん…そんな事言うんだ~。
だったら、あの事、みんなに言っちゃおうかな~。」
「ちょッ、おまッ!?それは秘密にしてくれるって言ったじゃね~か!」
「だったら、どうするか分かってるわよね?」
「へいへい…ったく、そんなに性格悪いと嫁の貰い手居なくなるぞ?」
「大きなお世話ですよ?って言うか、それもセクハラですからね?」
「マジかッ!?やっぱ、時代が変わると、世知辛い世の中になっちまうのかね~。」
「はいはい…時代が違っても男は女に扱き使われるんですから一緒ですよ。
そんな事より、さっさと、運んでよね?
私はまた扉を壁に『錬成』しなきゃいけないんだから!」
「前から言おうと思ったんだが、それって必要あるのか?」
「あのね~…アルファの時代はどうか知らないけど、私の時代は防犯の為に施錠するのは当たり前なんですかね?
それでも鍵を開けて泥棒に入るヤツが居るんだから、扉自体を無くしてしまえば安全でしょ?」
「そうかも知れないが、その所為で、わざわざ物置を使う為の部屋に呼び出されてちゃ大変じゃね~のか?」
「し、仕方が無いじゃない、そう言う性分なんだから…。」
「まったく、デルタも苦労人だな…。」
「それ言ったら、アルファだって…私何かより、こっちに来てから長いんでしょ?」
「まぁ…な、もっとも俺の場合は、こっちに来てから直ぐに冒険者になって、カネを稼いでたからな…。
まさか、お仲間がこんなにいるなんて思いもしなかった。
そう言う意味では、デルタ達に出会えて良かったと思ってるぞ。」
「はいはい、お疲れお疲れ!そんな事より、さっさと行くわよ?」
「チッ、冷て~ヤツだな…まぁ、早く戻らないと、他のヤツにからかわれるのも癪だから、さっさと戻るとするか…。」
「アルファ、ありがとね…。(ボソ」
「ん、デルタ、何か言ったか?」
「さっさと行けって言ったのよ!」
「へいへい、言われなくても行きますよ、行けば良いんでしょ!」
そう言うと、二人は扉から出て行った。
そして、再び『バチバチッ』と音を立てて扉が壁へと戻ってしまった。
それを確認した僕達は物陰から出ると、先程の会話を思い出す。
どうやら彼らも遠くから来ている様だ。
ただ、彼らの会話で、一つ気になる事がある。
それは、『時代』と言っていた事だ。
まぁ、あの二人は親子ほどの年齢差がある様に見えたら、会話の流れで言っただけかも知れないが。
ただ、その言葉が抜けない棘みたいに心に残っていたりする。
「ご、ご主人様…それで、どうなりました?」
「あぁ、ちゃんと見て覚えたよ。
それと、幾つかの魔法も覚えた。」
僕はそう言うと、クズハにサムズアップする。
ちなみに、彼女が扉を作り出すのに使っていた技は、魔法ではなく〖錬金術〗と言うスキルで、扉を『錬成』していた様だ。
その為、僕も同じ様に『錬成』すれば問題なく扉を作成出来るだろう。
そうすれば扉の向こう側に潜入捜査が出来る。
いったい、聖騎士団の目的は何なのか?
また、あの料理店との繋がりは?
調べる事はいっぱいあるが、まずは、敵かどうか…それからだ。
僕は覚えたばかりの〖錬成〗で扉をするとクズハを連れて、潜入捜査を開始するのであった。
◆◇◆◇◆◇◆
調べ始めて分かった事がある。
やはり、ここは聖騎士団と名乗る者達の本拠地だと言う事だ。
そして、残念な事に『零の使い魔』と繋がりがあると言う事だった。
簡単に言うと、目的こそ分からなかったが、聖騎士団の収入の内の半分以上が『零の使い魔』の活動資金として流れている事。
そして、彼らはある目的の為に、命懸けで行動し、何かを探していると言う事だけだった。
ちなみに、料理屋の件も、収入に繋がるからと言う事までは突き止めたが、それ以上の事は分からなかった為、プリンの方に期待する。
こうして、僕とクズハは潜入の痕跡を残さない様に気を付けながら宿屋へと引き上げていくだった…。
その扉を開けて入ってきたのは二人組の男女だった。
とは言っても、逢い引きとかではなく、先程見たガラクタを取りに来た様だった。
「アルファ、このカップは貴重な物らしいから気を付けて運んでよ?
傷付けたら、オメガに何言われるか分かった物じゃないんだからね!」
「うるせ~な、そんな事言うなら、デルタが持てば良いじゃね~か。」
どうやら、男の方が『アルファ』、女の方が『デルタ』と言う名前らしい。
更には『デルタ』と言う名前のヤツもいるみたいだが、これらの名前から想像するに、本名ではない筈だ。
「ふ~ん…そんな事言うんだ~。
だったら、あの事、みんなに言っちゃおうかな~。」
「ちょッ、おまッ!?それは秘密にしてくれるって言ったじゃね~か!」
「だったら、どうするか分かってるわよね?」
「へいへい…ったく、そんなに性格悪いと嫁の貰い手居なくなるぞ?」
「大きなお世話ですよ?って言うか、それもセクハラですからね?」
「マジかッ!?やっぱ、時代が変わると、世知辛い世の中になっちまうのかね~。」
「はいはい…時代が違っても男は女に扱き使われるんですから一緒ですよ。
そんな事より、さっさと、運んでよね?
私はまた扉を壁に『錬成』しなきゃいけないんだから!」
「前から言おうと思ったんだが、それって必要あるのか?」
「あのね~…アルファの時代はどうか知らないけど、私の時代は防犯の為に施錠するのは当たり前なんですかね?
それでも鍵を開けて泥棒に入るヤツが居るんだから、扉自体を無くしてしまえば安全でしょ?」
「そうかも知れないが、その所為で、わざわざ物置を使う為の部屋に呼び出されてちゃ大変じゃね~のか?」
「し、仕方が無いじゃない、そう言う性分なんだから…。」
「まったく、デルタも苦労人だな…。」
「それ言ったら、アルファだって…私何かより、こっちに来てから長いんでしょ?」
「まぁ…な、もっとも俺の場合は、こっちに来てから直ぐに冒険者になって、カネを稼いでたからな…。
まさか、お仲間がこんなにいるなんて思いもしなかった。
そう言う意味では、デルタ達に出会えて良かったと思ってるぞ。」
「はいはい、お疲れお疲れ!そんな事より、さっさと行くわよ?」
「チッ、冷て~ヤツだな…まぁ、早く戻らないと、他のヤツにからかわれるのも癪だから、さっさと戻るとするか…。」
「アルファ、ありがとね…。(ボソ」
「ん、デルタ、何か言ったか?」
「さっさと行けって言ったのよ!」
「へいへい、言われなくても行きますよ、行けば良いんでしょ!」
そう言うと、二人は扉から出て行った。
そして、再び『バチバチッ』と音を立てて扉が壁へと戻ってしまった。
それを確認した僕達は物陰から出ると、先程の会話を思い出す。
どうやら彼らも遠くから来ている様だ。
ただ、彼らの会話で、一つ気になる事がある。
それは、『時代』と言っていた事だ。
まぁ、あの二人は親子ほどの年齢差がある様に見えたら、会話の流れで言っただけかも知れないが。
ただ、その言葉が抜けない棘みたいに心に残っていたりする。
「ご、ご主人様…それで、どうなりました?」
「あぁ、ちゃんと見て覚えたよ。
それと、幾つかの魔法も覚えた。」
僕はそう言うと、クズハにサムズアップする。
ちなみに、彼女が扉を作り出すのに使っていた技は、魔法ではなく〖錬金術〗と言うスキルで、扉を『錬成』していた様だ。
その為、僕も同じ様に『錬成』すれば問題なく扉を作成出来るだろう。
そうすれば扉の向こう側に潜入捜査が出来る。
いったい、聖騎士団の目的は何なのか?
また、あの料理店との繋がりは?
調べる事はいっぱいあるが、まずは、敵かどうか…それからだ。
僕は覚えたばかりの〖錬成〗で扉をするとクズハを連れて、潜入捜査を開始するのであった。
◆◇◆◇◆◇◆
調べ始めて分かった事がある。
やはり、ここは聖騎士団と名乗る者達の本拠地だと言う事だ。
そして、残念な事に『零の使い魔』と繋がりがあると言う事だった。
簡単に言うと、目的こそ分からなかったが、聖騎士団の収入の内の半分以上が『零の使い魔』の活動資金として流れている事。
そして、彼らはある目的の為に、命懸けで行動し、何かを探していると言う事だけだった。
ちなみに、料理屋の件も、収入に繋がるからと言う事までは突き止めたが、それ以上の事は分からなかった為、プリンの方に期待する。
こうして、僕とクズハは潜入の痕跡を残さない様に気を付けながら宿屋へと引き上げていくだった…。
0
お気に入りに追加
435
あなたにおすすめの小説

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜
月風レイ
ファンタジー
グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。
それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。
と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。
洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。
カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

おもちゃで遊ぶだけでスキル習得~世界最強の商人目指します~
暇人太一
ファンタジー
大学生の星野陽一は高校生三人組に事故を起こされ重傷を負うも、その事故直後に異世界転移する。気づけばそこはテンプレ通りの白い空間で、説明された内容もありきたりな魔王軍討伐のための勇者召喚だった。
白い空間に一人残された陽一に別の女神様が近づき、モフモフを捜して完全復活させることを使命とし、勇者たちより十年早く転生させると言う。
勇者たちとは違い魔王軍は無視して好きにして良いという好待遇に、陽一は了承して異世界に転生することを決める。
転生後に授けられた職業は【トイストア】という万能チート職業だった。しかし世界の常識では『欠陥職業』と蔑まされて呼ばれる職業だったのだ。
それでも陽一が生み出すおもちゃは魔王の心をも鷲掴みにし、多くのモフモフに囲まれながら最強の商人になっていく。
魔術とスキルで無双し、モフモフと一緒におもちゃで遊んだり売ったりする話である。
小説家になろう様でも投稿始めました。

補助魔法しか使えない魔法使い、自らに補助魔法をかけて物理で戦い抜く
burazu
ファンタジー
冒険者に憧れる魔法使いのニラダは補助魔法しか使えず、どこのパーティーからも加入を断られていた、しかたなくソロ活動をしている中、モンスターとの戦いで自らに補助魔法をかける事でとんでもない力を発揮する。
最低限の身の守りの為に鍛えていた肉体が補助魔法によりとんでもなくなることを知ったニラダは剣、槍、弓を身につけ戦いの幅を広げる事を試みる。
更に攻撃魔法しか使えない天然魔法少女や、治癒魔法しか使えないヒーラー、更には対盗賊専門の盗賊と力を合わせてパーティーを組んでいき、前衛を一手に引き受ける。
「みんなは俺が守る、俺のこの力でこのパーティーを誰もが認める最強パーティーにしてみせる」
様々なクエストを乗り越え、彼らに待ち受けているものとは?
※この作品は小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアッププラスでも公開しています。

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~
甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって?
そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

神様との賭けに勝ったので異世界で無双したいと思います。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。
突然足元に魔法陣が現れる。
そして、気付けば神様が異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
もっとスキルが欲しいと欲をかいた悠斗は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―――
※チートな主人公が異世界無双する話です。小説家になろう、ノベルバの方にも投稿しています。

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる