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~第六章:冒険者編(後期)~
189ページ目…偵察【4】
しおりを挟む「うわッ!?最悪だ、蜘蛛の巣が顔に付いた!」
僕達は地下へと通じるであろう階段を、トラップに警戒しながら降りていた。
だが、トラップなどの不自然な物を探すあまり、天然のトラップでもある蜘蛛その巣に引っ掛かってしまったのだ。
「ご、ご主人様ッ!?大丈夫ですか?」
「あぁ、只の蜘蛛の巣だから問題はないよ。」
これが蜘蛛の魔物だったら大変だっただろうが、普通の蜘蛛の巣であれば、それほど問題はない。
「あ、あれ?そう言えば…蜘蛛の巣が張ってあるって事は、人が通っていないのでは?」
と、クズハが疑問の声を上がる。
「いや、そうとは限らないよ?
こっちの世界では、どうか分からないけど、僕の住んでた世界では、蜘蛛は一日で巣を張り替える蜘蛛がいるからね。」
まぁ、一日とは言った物の、実際には数時間で巣を張り直すらしい。
「つまり、蜘蛛の巣だけでは参考にならないって事だね。」
ただまぁ…蜘蛛の巣は当てにならないが、その巣に付着している虫の死骸や、埃の積もり具合を見る限りでは既に数ヶ月は誰も通っていない様な気がするんだけど…ね。
「ご、ご主人様、扉が見えます。」
クズハの言う通り、少し離れた所に扉が見える。
どうやら、長かった階段も終わりの様だ。
但し、その扉が、ちゃんと開いてくれるかは別問題なのだが…。
僕は、その扉のノブに手を掛けようとして、ふと昔見た映画を思い出す。
旅行に置いてきぼりにされた悪ガキが、泥棒を撃退すると言う映画だ。
僕は念の為、履いていた靴を手で持つと、感電対策として靴底のゴムを使い、ゆっくりとノブを回す。
『ガチャリ。』
「ふぅ、考え過ぎだったか…。」
残念ながら、扉は何事もなく開いた。
いや、別に何かあって欲しい訳じゃないから、残念ではないのだが…。
「あ、あの…ご主人様、靴で扉を開かれましたが、どうしたんですか?」
「いや、何となくトラップが仕掛けられているかな?って思って、警戒したんだよ。」
「そ、そうなんですね…急に靴を脱がれたので、どうしたのかと思っちゃいました。」
「あぁ、僕の住んでた世界の話なんだけどね。
泥棒を撃退するのにドアノブに電気を流す…電撃を付加する話があったんだよ。
それを、ふと思い出しちゃって、つい念の為に…ね。
まぁ、結局は何事も無かったんだけどね?」
「な、何もなくて良かったです…それより、電撃は靴底で防げる物なのですか?」
「靴底と言うよりは、靴底のゴムが絶縁体…電気を通さない性質だから防げるんだよ。
但し、絶対防御って訳じゃないから、過信しちゃダメだぞ?
特に、この世界の法則は、僕の住んでた世界の法則とは違うみたいだからね。」
「は、はい…。」
そんなやり取りをしながら、僕は慎重に扉を開けていく。
扉を開けた瞬間爆発なんて事も考えながらの作業なので、自ずと、ゆっくりゆっくり…亀の歩みよろしく、慎重に慎重を重ねての作業となる。
そして、とうとう完全に扉を開けきった。
「こ、ここは…倉庫ですか?
とは言え、何やら、色々な物が散乱していますが…。」
そう、クズハの言う通り、色々な物があちこちに置いてある。
いや、この場合、散らかっていると言った方が正しいか?
新しい感じの物やら、何やら年代を感じさせる物なども多々置かれている。
もしかしたら、アンティークなのかもしれないが、興味のない僕にしてみればガラクタにしか見えない訳で…いや、待てよ?〖神眼〗で見れば良いじゃん!
そう思い、改めて見てみたのだが…。
「やっぱ、ガラクタじゃん!わざわざ見て損した。」
どれもこれも、そこら辺のお店で売られている様な安物ばかりだった。
まぁ、仮に高価な物があっても、持って帰る訳じゃなかったから、別に良いんだけどね?
「っと、そんな事より、中に入る扉見付かった?」
「い、いえ…まだ見付かりません。」
それほど広くない部屋にも関わらず、僕達が入って来た扉しか見付からないのだ。
だが、そうだとしたら、可笑しな話になる。
何せ、この部屋には大小様々な物もあるのだ。
それを必要ないからと言って、わざわざ家の外にまで出て、地下への階段を下りて運ぶだろうか?
一部の変わり者はするかも知れないが、基本的には家の中から収納するはずだ。
更に言うなら、この部屋の扉より大きな物まであるのだから、何処かに扉があるはずなのだ。
なら、その家の中に入る扉は?と、なり…現在、扉を探索中なのだ。
◆◇◆◇◆◇◆
「おっかしいな~、何でないんだ?」
この地下室に入り込んで、扉を探索し始めてから既に30分は経過したであろう頃、突如、壁の向こう側に人の気配がした。
僕とクズハは素早く隠れると気配を消す。
これで、直接見られない限りは、見付かる可能性はかなり減ったはずだ。
すると、突然『バチバチバチッ』と音が鳴ったかと思うと今まで壁だった場所に扉が現れる。
危うく、声を出しそうになるのをグッと堪え、ついでにクズハの口も塞ぐ。
どうやら、心配した通り、クズハも声が出そうだった様で、もう大丈夫と言う感じでコクコクと首を縦に振った。
とは言え、流石に声を出す訳にはいかないので、僕は〖念話〗を使い、クズハに話し掛ける。
〔クズハ、絶対に物音を立てない様にしろよ?〕
〔は、はい…ですが、壁に扉が急に現れるなんて、ビックリです。〕
〔あぁ…僕の〖魔法:模型創造〗とは違うタイプの技みたいだね。
しかも、壁と扉では材質が違うはず…いったい、何をどうやったのやら…。〕
〔だ、だったら…ご主人様が見てしまえば良いのでは?
もしかしたら、ご主人様も覚えれる物かも知れませんし…。〕
確かにクズハの言う通りである。
それが有効かは別問題ではあるが、使える手は多いほうが良いのは常識な訳で…。
まぁ、逆に多過ぎて迷うと言う事もあるが、それは言わないお約束?
何はともあれ、相手を見る為に、僕は扉を開けて入る人物を、今か今かと待ちかまえるのであった…。
僕達は地下へと通じるであろう階段を、トラップに警戒しながら降りていた。
だが、トラップなどの不自然な物を探すあまり、天然のトラップでもある蜘蛛その巣に引っ掛かってしまったのだ。
「ご、ご主人様ッ!?大丈夫ですか?」
「あぁ、只の蜘蛛の巣だから問題はないよ。」
これが蜘蛛の魔物だったら大変だっただろうが、普通の蜘蛛の巣であれば、それほど問題はない。
「あ、あれ?そう言えば…蜘蛛の巣が張ってあるって事は、人が通っていないのでは?」
と、クズハが疑問の声を上がる。
「いや、そうとは限らないよ?
こっちの世界では、どうか分からないけど、僕の住んでた世界では、蜘蛛は一日で巣を張り替える蜘蛛がいるからね。」
まぁ、一日とは言った物の、実際には数時間で巣を張り直すらしい。
「つまり、蜘蛛の巣だけでは参考にならないって事だね。」
ただまぁ…蜘蛛の巣は当てにならないが、その巣に付着している虫の死骸や、埃の積もり具合を見る限りでは既に数ヶ月は誰も通っていない様な気がするんだけど…ね。
「ご、ご主人様、扉が見えます。」
クズハの言う通り、少し離れた所に扉が見える。
どうやら、長かった階段も終わりの様だ。
但し、その扉が、ちゃんと開いてくれるかは別問題なのだが…。
僕は、その扉のノブに手を掛けようとして、ふと昔見た映画を思い出す。
旅行に置いてきぼりにされた悪ガキが、泥棒を撃退すると言う映画だ。
僕は念の為、履いていた靴を手で持つと、感電対策として靴底のゴムを使い、ゆっくりとノブを回す。
『ガチャリ。』
「ふぅ、考え過ぎだったか…。」
残念ながら、扉は何事もなく開いた。
いや、別に何かあって欲しい訳じゃないから、残念ではないのだが…。
「あ、あの…ご主人様、靴で扉を開かれましたが、どうしたんですか?」
「いや、何となくトラップが仕掛けられているかな?って思って、警戒したんだよ。」
「そ、そうなんですね…急に靴を脱がれたので、どうしたのかと思っちゃいました。」
「あぁ、僕の住んでた世界の話なんだけどね。
泥棒を撃退するのにドアノブに電気を流す…電撃を付加する話があったんだよ。
それを、ふと思い出しちゃって、つい念の為に…ね。
まぁ、結局は何事も無かったんだけどね?」
「な、何もなくて良かったです…それより、電撃は靴底で防げる物なのですか?」
「靴底と言うよりは、靴底のゴムが絶縁体…電気を通さない性質だから防げるんだよ。
但し、絶対防御って訳じゃないから、過信しちゃダメだぞ?
特に、この世界の法則は、僕の住んでた世界の法則とは違うみたいだからね。」
「は、はい…。」
そんなやり取りをしながら、僕は慎重に扉を開けていく。
扉を開けた瞬間爆発なんて事も考えながらの作業なので、自ずと、ゆっくりゆっくり…亀の歩みよろしく、慎重に慎重を重ねての作業となる。
そして、とうとう完全に扉を開けきった。
「こ、ここは…倉庫ですか?
とは言え、何やら、色々な物が散乱していますが…。」
そう、クズハの言う通り、色々な物があちこちに置いてある。
いや、この場合、散らかっていると言った方が正しいか?
新しい感じの物やら、何やら年代を感じさせる物なども多々置かれている。
もしかしたら、アンティークなのかもしれないが、興味のない僕にしてみればガラクタにしか見えない訳で…いや、待てよ?〖神眼〗で見れば良いじゃん!
そう思い、改めて見てみたのだが…。
「やっぱ、ガラクタじゃん!わざわざ見て損した。」
どれもこれも、そこら辺のお店で売られている様な安物ばかりだった。
まぁ、仮に高価な物があっても、持って帰る訳じゃなかったから、別に良いんだけどね?
「っと、そんな事より、中に入る扉見付かった?」
「い、いえ…まだ見付かりません。」
それほど広くない部屋にも関わらず、僕達が入って来た扉しか見付からないのだ。
だが、そうだとしたら、可笑しな話になる。
何せ、この部屋には大小様々な物もあるのだ。
それを必要ないからと言って、わざわざ家の外にまで出て、地下への階段を下りて運ぶだろうか?
一部の変わり者はするかも知れないが、基本的には家の中から収納するはずだ。
更に言うなら、この部屋の扉より大きな物まであるのだから、何処かに扉があるはずなのだ。
なら、その家の中に入る扉は?と、なり…現在、扉を探索中なのだ。
◆◇◆◇◆◇◆
「おっかしいな~、何でないんだ?」
この地下室に入り込んで、扉を探索し始めてから既に30分は経過したであろう頃、突如、壁の向こう側に人の気配がした。
僕とクズハは素早く隠れると気配を消す。
これで、直接見られない限りは、見付かる可能性はかなり減ったはずだ。
すると、突然『バチバチバチッ』と音が鳴ったかと思うと今まで壁だった場所に扉が現れる。
危うく、声を出しそうになるのをグッと堪え、ついでにクズハの口も塞ぐ。
どうやら、心配した通り、クズハも声が出そうだった様で、もう大丈夫と言う感じでコクコクと首を縦に振った。
とは言え、流石に声を出す訳にはいかないので、僕は〖念話〗を使い、クズハに話し掛ける。
〔クズハ、絶対に物音を立てない様にしろよ?〕
〔は、はい…ですが、壁に扉が急に現れるなんて、ビックリです。〕
〔あぁ…僕の〖魔法:模型創造〗とは違うタイプの技みたいだね。
しかも、壁と扉では材質が違うはず…いったい、何をどうやったのやら…。〕
〔だ、だったら…ご主人様が見てしまえば良いのでは?
もしかしたら、ご主人様も覚えれる物かも知れませんし…。〕
確かにクズハの言う通りである。
それが有効かは別問題ではあるが、使える手は多いほうが良いのは常識な訳で…。
まぁ、逆に多過ぎて迷うと言う事もあるが、それは言わないお約束?
何はともあれ、相手を見る為に、僕は扉を開けて入る人物を、今か今かと待ちかまえるのであった…。
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