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~第六章:冒険者編(後期)~
183ページ目…聖王都探索【5】
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『聖王都:シロガネ』…聖王都と呼ばれるのには理由がある。
元々は勇者がいた時代から、この王都にいた聖騎士と呼ばれる者達の活躍とかもあり聖王都となったらしい。
だが、現在は聖王都由来の本物の聖騎士とは違い、勝手に聖騎士を名乗る者達が現れ、更に聖騎士団と言う団体を作り、そして、『天使の翼』と言う店まで作り、一部の人に苦痛を与えているのである。
その事を知った僕達はプリンの協力の下、隠密系の魔法やスキルを搭載した監視カメラよろしく、大量のプチスライムを、この『シロガネ』の街に解き放ったのである。
「プリン、何か分かったかな?」
「いえ、まだ何も…ただ、街の所々に白い鎧を着た聖騎士と名乗る者達が発見されております。」
「流石に、プチスライム達を、そいつ等にくっつけて何処へ行くのか、なんてのは分からないよね?」
「そうですね、余程の鈍感で無ければ厳しいかと…。」
まぁ、普通に考えて、無理な話だからな…。
「まぁ、尾行させるにしてもプチスライムの性能じゃ、移動速度の違いで追いつけないだろうし…。」
「そうですね…鳥みたいに空を飛べるタイプのスキルがあれば良かったのですが…。」
その言葉を聞いて、ふと…あるスキルを思い出す。
「なぁ、プリン…僕の記憶違いかも知れないけど『魔王化』した時の事なんだけど…。
確か、僕がチート…ユニークスキルを手に入れた時に、ダイアブラックドラゴンから〖完全模倣〗で、〖飛行〗ってスキルも覚えなかったっけ?
おそらく、僕が使うには『魔王化』するなりして翼を形成しないと使えないスキルだと思うんだけど…。」
そう、僕を見てもプリンを見ても、何故かステータス欄には〖飛行〗の文字は無い。
だけど、僕は、あの時、確かに〖飛行〗のスキルを手に入れた様な記憶があるのだ。
そもそも、今回の隠密行動に必要な〖スキル:忍び足〗や〖魔法:蜃気楼〗等も、その際手に入れたのだから、間違いない筈だ。
そして、僕の言葉を聞いたプリンは、顎に手を当て黙り込んでしまう。
これは…おそらく、いつもの記憶の検索中みたいだな。
「はい、ご主人様の言う通りダイアブラックドラゴンとの戦闘の際に、ご主人様はその能力を手に入れています。」
「やっぱり手に入れてたか…でも、何で今使えないの?やっぱり翼がないから?」
「はい、それもありますが…おそらく、ドラゴンの力だからではないでしょうか?」
「えっと…どう言う事かな?」
プリンの言う事がよく分からない俺はプリンに尋ねる。
「ある程度、強力な種の能力は覚える事は出来ても、使用するには特定の条件があるのだと思われます。
今回のドラゴンからの力がそれに当たるのかと…。」
「つまり、宝の持ち腐れって事?」
「違います!使用するのに条件があると言ったじゃないですか!」
「ごめんごめん…で、使用条件って?」
ちょっとした冗談のつもりで言ったのだが、本気で怒られてしまった。
とは言え、条件さえ満たせば使える可能性が高そうだ。
「はい、おそらくは先程ご主人様の言った通り、翼が…と言うのが条件に当てはまるかと…。
あと、ドラゴンと言う上位種の能力の為、『魔王化』するのも条件かと思われます。」
「つまり、『魔王化』した状態で翼を作る必要がある…と?」
「そうですね…おそらく、ドラゴンの形を取るのが一番早いかと思いますが…。」
「なるほど…それなら、他の使えないドラゴン系のスキルも使えそうだね。」
あの時、〖竜の吐息〗等の、ドラゴンに関するスキルが使えない原因に辿り着いた事を理解した。
そう言う意味では、スライムの種としての特性…姿を好きな形に変えれる変身能力の万能性に驚くばかりだ。
「何はともあれ…それなら、プリンは大変になるだろうけど、プチスライムを作り出す時にドラゴンの形を与えて作り出したら…そいつらは空も飛べるんじゃない?」
「分かりせん…ですが、その可能性は十分あると思います。」
「なら、まずは試してみないとね。」
「はい、『魔王化』ですね♪」
プリンは嬉しそうに言うと、〖融合〗を使い、僕と一つになるのだった…。
◆◇◆◇◆◇◆
「プリン…これ、どう見ても、プチスライムじゃないよな?」
〔はい…私も驚いています。〕
そう、俺達が竜の造形で作り出したプチスライムは、只のプチスライムではなく『プチドラゴンスライム』となっていたのだ。
「これ、どうしようか?」
〔特に何もしなくても良いのでは?むしろ、一度吸収して、ちゃんと能力を持たせて作り直してペットにしてはどうでしょう?〕
「ペット…か、確かに、ドラゴンをペットと言うのは、俺の琴線に触れるな。
よし、その案で採用にしよう!」
〔畏まりました…では、ご主人様の命令を最優先で聞くペットに作り替えますね。〕
プリンはそう言うと〖触手〗を使い、プチドラゴンスライムを捕獲&吸収すると、能力を色々と付加したプチドラゴンスライムを作り出す。
とは言え、俺は『命令』はしてないんだけど…ね。
〔ご主人様、このプチドラゴンスライムだけは特別製ですので、これは使い捨てではなく…ちゃんとしたペットとして扱い下さい。〕
「よく分からないけど、こいつはペットだな?」
〔はい、よろしくお願いします。〕
プリンが何を言いたいのか分からないが、俺は改めてプチドラゴンスライムを見た。
すると、そこには見慣れない文字で〖保険〗と言う称号が一つあった。
俺は、プリンにその事を聞こうとしたのだが、忙しそうに他のプチドラゴンスライムを作成していたので、『まぁいっか…。』と聞くのを諦めたのだった…。
元々は勇者がいた時代から、この王都にいた聖騎士と呼ばれる者達の活躍とかもあり聖王都となったらしい。
だが、現在は聖王都由来の本物の聖騎士とは違い、勝手に聖騎士を名乗る者達が現れ、更に聖騎士団と言う団体を作り、そして、『天使の翼』と言う店まで作り、一部の人に苦痛を与えているのである。
その事を知った僕達はプリンの協力の下、隠密系の魔法やスキルを搭載した監視カメラよろしく、大量のプチスライムを、この『シロガネ』の街に解き放ったのである。
「プリン、何か分かったかな?」
「いえ、まだ何も…ただ、街の所々に白い鎧を着た聖騎士と名乗る者達が発見されております。」
「流石に、プチスライム達を、そいつ等にくっつけて何処へ行くのか、なんてのは分からないよね?」
「そうですね、余程の鈍感で無ければ厳しいかと…。」
まぁ、普通に考えて、無理な話だからな…。
「まぁ、尾行させるにしてもプチスライムの性能じゃ、移動速度の違いで追いつけないだろうし…。」
「そうですね…鳥みたいに空を飛べるタイプのスキルがあれば良かったのですが…。」
その言葉を聞いて、ふと…あるスキルを思い出す。
「なぁ、プリン…僕の記憶違いかも知れないけど『魔王化』した時の事なんだけど…。
確か、僕がチート…ユニークスキルを手に入れた時に、ダイアブラックドラゴンから〖完全模倣〗で、〖飛行〗ってスキルも覚えなかったっけ?
おそらく、僕が使うには『魔王化』するなりして翼を形成しないと使えないスキルだと思うんだけど…。」
そう、僕を見てもプリンを見ても、何故かステータス欄には〖飛行〗の文字は無い。
だけど、僕は、あの時、確かに〖飛行〗のスキルを手に入れた様な記憶があるのだ。
そもそも、今回の隠密行動に必要な〖スキル:忍び足〗や〖魔法:蜃気楼〗等も、その際手に入れたのだから、間違いない筈だ。
そして、僕の言葉を聞いたプリンは、顎に手を当て黙り込んでしまう。
これは…おそらく、いつもの記憶の検索中みたいだな。
「はい、ご主人様の言う通りダイアブラックドラゴンとの戦闘の際に、ご主人様はその能力を手に入れています。」
「やっぱり手に入れてたか…でも、何で今使えないの?やっぱり翼がないから?」
「はい、それもありますが…おそらく、ドラゴンの力だからではないでしょうか?」
「えっと…どう言う事かな?」
プリンの言う事がよく分からない俺はプリンに尋ねる。
「ある程度、強力な種の能力は覚える事は出来ても、使用するには特定の条件があるのだと思われます。
今回のドラゴンからの力がそれに当たるのかと…。」
「つまり、宝の持ち腐れって事?」
「違います!使用するのに条件があると言ったじゃないですか!」
「ごめんごめん…で、使用条件って?」
ちょっとした冗談のつもりで言ったのだが、本気で怒られてしまった。
とは言え、条件さえ満たせば使える可能性が高そうだ。
「はい、おそらくは先程ご主人様の言った通り、翼が…と言うのが条件に当てはまるかと…。
あと、ドラゴンと言う上位種の能力の為、『魔王化』するのも条件かと思われます。」
「つまり、『魔王化』した状態で翼を作る必要がある…と?」
「そうですね…おそらく、ドラゴンの形を取るのが一番早いかと思いますが…。」
「なるほど…それなら、他の使えないドラゴン系のスキルも使えそうだね。」
あの時、〖竜の吐息〗等の、ドラゴンに関するスキルが使えない原因に辿り着いた事を理解した。
そう言う意味では、スライムの種としての特性…姿を好きな形に変えれる変身能力の万能性に驚くばかりだ。
「何はともあれ…それなら、プリンは大変になるだろうけど、プチスライムを作り出す時にドラゴンの形を与えて作り出したら…そいつらは空も飛べるんじゃない?」
「分かりせん…ですが、その可能性は十分あると思います。」
「なら、まずは試してみないとね。」
「はい、『魔王化』ですね♪」
プリンは嬉しそうに言うと、〖融合〗を使い、僕と一つになるのだった…。
◆◇◆◇◆◇◆
「プリン…これ、どう見ても、プチスライムじゃないよな?」
〔はい…私も驚いています。〕
そう、俺達が竜の造形で作り出したプチスライムは、只のプチスライムではなく『プチドラゴンスライム』となっていたのだ。
「これ、どうしようか?」
〔特に何もしなくても良いのでは?むしろ、一度吸収して、ちゃんと能力を持たせて作り直してペットにしてはどうでしょう?〕
「ペット…か、確かに、ドラゴンをペットと言うのは、俺の琴線に触れるな。
よし、その案で採用にしよう!」
〔畏まりました…では、ご主人様の命令を最優先で聞くペットに作り替えますね。〕
プリンはそう言うと〖触手〗を使い、プチドラゴンスライムを捕獲&吸収すると、能力を色々と付加したプチドラゴンスライムを作り出す。
とは言え、俺は『命令』はしてないんだけど…ね。
〔ご主人様、このプチドラゴンスライムだけは特別製ですので、これは使い捨てではなく…ちゃんとしたペットとして扱い下さい。〕
「よく分からないけど、こいつはペットだな?」
〔はい、よろしくお願いします。〕
プリンが何を言いたいのか分からないが、俺は改めてプチドラゴンスライムを見た。
すると、そこには見慣れない文字で〖保険〗と言う称号が一つあった。
俺は、プリンにその事を聞こうとしたのだが、忙しそうに他のプチドラゴンスライムを作成していたので、『まぁいっか…。』と聞くのを諦めたのだった…。
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