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~第六章:冒険者編(後期)~
182ページ目…聖王都探索【4】
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『天使の羽』…美味い物マップなる特殊な雑誌に載っていた食べ物屋だけあって、出てきた料理は非常に美味しい物が出てきた。
とは言え『天使の翼』なる店は、この味を盗み、更には改良を加えた料理を出すらしい。
だが、果たして本当にそんな事が可能なのだろうか?
僕は、美味しい料理を食べていると言うのに、そんな疑問が頭から離れないでいた。
◆◇◆◇◆◇◆
「ご主人様、そんな怖い顔して、どうしたんですか?」
プリンに言われて自分でも驚いているのだが、そんなに怖い顔をしていたのかな?
「いや、本当にあの料理を食べただけで味を再現出来る物なのかな?って思ってさ…。」
そう…あの店主は、確かに料理を食べて、再現出来ると言った客が居て、事実、店の味を盗まれているらしい。
いや、正確には改良すらされている。
「で、ですが…凄腕の料理人なら、それも可能なのでは?」
と、クズハが、そんな事を言ってくる。
「確かに、クズハの言う通り、一流の料理人には可能なのかも知れない…だけど、食べて直ぐに可能と言うのは、流石に無理だと思う。
料理をした事がある人なら分かる事だけど、同じ材料を使い同じ様に調理したとしても、完全に同じ味を再現するなんて不可能…とは言わないまでも、かなり無理があるんだ。
それを、そんな直ぐに真似出来るはずがないし、ましてや改良を加えるとか、まずありえない。
この事件の裏には何かあるんじゃないか?と、僕は睨んでいる。
何はともあれ、少なくとも、元の世界…情報社会で生きてきた僕は、そんな事を出来る料理人と言うのは、見た事も聞いた事もないね…。」
もっとも、音楽を聞いただけで完コピして演奏する人はいたが…。
「それで、ご主人様はどうするつもりなんですか?」
「そうだな…一先ず、その店に行って本当に味を再現出来るのか確認の為に、『天使の翼』で食事をしようと思う。
そして、その後は、プチスライム達に、どの様に再現するのか監視させるって言うのが作戦かな?
今の所は…ね。」
「じ、じゃぁ…今から向かうのですか?」
そんな事を聞いてくるクズハに、思わず苦笑する。
「いやいやいや、僕は、もうお腹いっぱいだよ?
もしかして、クズハは食べ足りなかったのかな?」
もしかすると、クズハは僕よりも大食いなのか?とクズハの顔を見ていると…。
「ち、違います!私も、もうお腹いっぱいで、今からだと食べれないから明日にした方がって言おうとしただけです!」
と、顔を赤くして否定してくる。
うん、テレたクズハも可愛いな。
「ちなみに、プリンはどう?」
「う~ん、〖胃袋〗には入るけど、流石に、今日は食べたくないかな?それより、ご主人様が欲しいです。」
言葉だけで聞くと、エッチなお願いに聞こえるが、実はそうじゃない。
プリンの言ってるご主人様が欲しいと言うのは
僕から魔力を供給して欲しいと言う事なのだ。
「えっと…足りなかった?」
「いえ、プチスライムを作り出すのに、ご主人様が欲しいと…。」
どうやら、魔力供給として欲しいのではなく、スライムを増やす為の様だ。
「あぁ、それもそうだね…『天使の翼』を監視するには、もっと大量に作り出さないとだからな…。」
「はい、ですから…ご主人様、頑張ってプリンに、ご主人様のを下さいね?」
「はいはい…いっぱい、プリンにあげますよ。」
魔力を…ね、そう続ける前に、クズハが注意してくる。
「ご、ご主人様…会話が、その…こんな場所でする様な会話に聞こえません…。」
クズハに言われて、しまった…とばかりに周囲を見渡す。
幸いにも、僕達の会話を聞いていた人は殆ど居なかったが…ちょっと遠くにいた主婦達が、こっちを見ながら小さな声で『ねぁ、奥さん、今の聞きました?こんな場所で大きな声で欲しいとか…破廉恥ですわ』とか言っているのが聞こえる。
それ、誤解ですから!プリンの言っているのは、僕の生命力や魔力の事、と説明したいが、それをするとプリンが人間ではない事をバラす事になる。
それは流石に色々と不味いので、僕達は逃げる様にその場を後にしたのだった…。
◆◇◆◇◆◇◆
翌朝、宿屋の食堂へと降りてきた僕に、宿屋の店主が声を掛けてきた。
「兄ちゃん、うちの壁はあまり厚くないんだ。
お盛んなのは構わないが、出来るだけ声を落としてくれると、うちとしては助かるんだがね…何せ、独り者の冒険者も多いからな?」
「す、すいません、以後、気を付けます…。」
誤解…と言うか、完全に濡れ衣ではあるが、確かにプリンが僕から食事をする際に、もっともっと~と何度もお強請りして来ていた。
それも、何故か艶めかしい声で何度も求めてきたら、当然、誤解されても可笑しくない話ではある。
その為、この場は下手な言い訳をせずに、素直に謝る事にした訳で…。
「まぁ、兄ちゃんは若いんだからお盛んなのは仕方がないんだろうが…お陰で、娼婦を連れ込もうとした客が居たくらいだからね?これからは注意してくれや。」
「は、はい…本当にすいませんでした。」
僕は店主にひたすら謝ると、恥ずかしさのあまり、その場を逃げる様に後にしたのだった…。
とは言え『天使の翼』なる店は、この味を盗み、更には改良を加えた料理を出すらしい。
だが、果たして本当にそんな事が可能なのだろうか?
僕は、美味しい料理を食べていると言うのに、そんな疑問が頭から離れないでいた。
◆◇◆◇◆◇◆
「ご主人様、そんな怖い顔して、どうしたんですか?」
プリンに言われて自分でも驚いているのだが、そんなに怖い顔をしていたのかな?
「いや、本当にあの料理を食べただけで味を再現出来る物なのかな?って思ってさ…。」
そう…あの店主は、確かに料理を食べて、再現出来ると言った客が居て、事実、店の味を盗まれているらしい。
いや、正確には改良すらされている。
「で、ですが…凄腕の料理人なら、それも可能なのでは?」
と、クズハが、そんな事を言ってくる。
「確かに、クズハの言う通り、一流の料理人には可能なのかも知れない…だけど、食べて直ぐに可能と言うのは、流石に無理だと思う。
料理をした事がある人なら分かる事だけど、同じ材料を使い同じ様に調理したとしても、完全に同じ味を再現するなんて不可能…とは言わないまでも、かなり無理があるんだ。
それを、そんな直ぐに真似出来るはずがないし、ましてや改良を加えるとか、まずありえない。
この事件の裏には何かあるんじゃないか?と、僕は睨んでいる。
何はともあれ、少なくとも、元の世界…情報社会で生きてきた僕は、そんな事を出来る料理人と言うのは、見た事も聞いた事もないね…。」
もっとも、音楽を聞いただけで完コピして演奏する人はいたが…。
「それで、ご主人様はどうするつもりなんですか?」
「そうだな…一先ず、その店に行って本当に味を再現出来るのか確認の為に、『天使の翼』で食事をしようと思う。
そして、その後は、プチスライム達に、どの様に再現するのか監視させるって言うのが作戦かな?
今の所は…ね。」
「じ、じゃぁ…今から向かうのですか?」
そんな事を聞いてくるクズハに、思わず苦笑する。
「いやいやいや、僕は、もうお腹いっぱいだよ?
もしかして、クズハは食べ足りなかったのかな?」
もしかすると、クズハは僕よりも大食いなのか?とクズハの顔を見ていると…。
「ち、違います!私も、もうお腹いっぱいで、今からだと食べれないから明日にした方がって言おうとしただけです!」
と、顔を赤くして否定してくる。
うん、テレたクズハも可愛いな。
「ちなみに、プリンはどう?」
「う~ん、〖胃袋〗には入るけど、流石に、今日は食べたくないかな?それより、ご主人様が欲しいです。」
言葉だけで聞くと、エッチなお願いに聞こえるが、実はそうじゃない。
プリンの言ってるご主人様が欲しいと言うのは
僕から魔力を供給して欲しいと言う事なのだ。
「えっと…足りなかった?」
「いえ、プチスライムを作り出すのに、ご主人様が欲しいと…。」
どうやら、魔力供給として欲しいのではなく、スライムを増やす為の様だ。
「あぁ、それもそうだね…『天使の翼』を監視するには、もっと大量に作り出さないとだからな…。」
「はい、ですから…ご主人様、頑張ってプリンに、ご主人様のを下さいね?」
「はいはい…いっぱい、プリンにあげますよ。」
魔力を…ね、そう続ける前に、クズハが注意してくる。
「ご、ご主人様…会話が、その…こんな場所でする様な会話に聞こえません…。」
クズハに言われて、しまった…とばかりに周囲を見渡す。
幸いにも、僕達の会話を聞いていた人は殆ど居なかったが…ちょっと遠くにいた主婦達が、こっちを見ながら小さな声で『ねぁ、奥さん、今の聞きました?こんな場所で大きな声で欲しいとか…破廉恥ですわ』とか言っているのが聞こえる。
それ、誤解ですから!プリンの言っているのは、僕の生命力や魔力の事、と説明したいが、それをするとプリンが人間ではない事をバラす事になる。
それは流石に色々と不味いので、僕達は逃げる様にその場を後にしたのだった…。
◆◇◆◇◆◇◆
翌朝、宿屋の食堂へと降りてきた僕に、宿屋の店主が声を掛けてきた。
「兄ちゃん、うちの壁はあまり厚くないんだ。
お盛んなのは構わないが、出来るだけ声を落としてくれると、うちとしては助かるんだがね…何せ、独り者の冒険者も多いからな?」
「す、すいません、以後、気を付けます…。」
誤解…と言うか、完全に濡れ衣ではあるが、確かにプリンが僕から食事をする際に、もっともっと~と何度もお強請りして来ていた。
それも、何故か艶めかしい声で何度も求めてきたら、当然、誤解されても可笑しくない話ではある。
その為、この場は下手な言い訳をせずに、素直に謝る事にした訳で…。
「まぁ、兄ちゃんは若いんだからお盛んなのは仕方がないんだろうが…お陰で、娼婦を連れ込もうとした客が居たくらいだからね?これからは注意してくれや。」
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僕は店主にひたすら謝ると、恥ずかしさのあまり、その場を逃げる様に後にしたのだった…。
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