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~第六章:冒険者編(後期)~
172ページ目…聖王都への旅路【3】
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肉屋で大量に干し肉を購入した僕は、そのまま商品を馬車に積み込んだ。
店主の計らいで、従業員達が馬車まで運んでくれたので、無駄な労力を使わずに済んだので助かった。
「毎度、ありがとう御座いました。」
従業員も店主よろしく、深々と頭を下げる。
「いえ、こちらこそありがとう御座います。
店主に、よろしくお伝え下さい。」
「はい、畏まりました。」
従業員の返事を聞いて、僕は馬車に乗り込もうとする。
だが、一人の従業員に声を掛けら、乗り込むのを待った。
「あ、あの…失礼ですが、店長…親父に何を言ったんですが?
確かに、自分でも、うちの親父は確かに気の良い人だと思っています。
ですが、今日の親父はいつも以上に嬉しそうでした…あんな親父始めてみました。
お客さん、親父と、いったい何があったんですか?」
「そう言う事…か、でも、僕は特に何もしていないよ?
強いて言うなら、店長…君の親父さんだっけ?
親父さんの全ての人に満足をって言葉に共感して、『素晴らしい考えだ』と言っただけかな?」
「えッ!?た、たった、それだけですか?」
確かに、普通なら、それだけと言われても信じられないかもしれない。
だが、無条件で自分の事を認めてくれる人がいるだけで、嬉しくなるのだ。
「あぁ、但し、それは僕に打算的な何かがあった訳でも、お世辞で言った訳でもない。
ただ、本当にそう思ったから、そう言っただけ。
君が親父さんが嬉しがっていたと言うなら、その事が、親父さんにとって嬉しかったんじゃないかな?と…僕は思う。」
実際はどうか分からない。
でも、それほど的外れな事ではない筈だ。
「そ、そうですか…本当に、本当にありがとう御座いました!」
「いや、お礼を言うのはこっちの方だよ。
今度、旅から戻ったら、また寄らせて貰う…改めて、親父さんによろしく伝えといてね。」
「はい!」
何となくだが、この息子さんは、将来、良い店主となるだろう…そんな予感に、知らずの内に笑顔になっていた。
こうして、干し肉の補充も無事に済み、聖王都へと旅立つのだった…。
ちなみに、お土産の包みの中身に感しては、貴族に卸していても不思議ではない程の『最高級の干し肉』だった。
ちょっとだけ、つまみ食いしたら、肉の硬さも触感も塩加減も…何もかもが今まで食べた干し肉と比べて、段違いで美味かったのを、ここに記しておこうと思う。
◆◇◆◇◆◇◆
『パカラッ!パカラッ!ガタッゴトッ…。』
メルトの町を抜け、聖王都へと続く道を、豪快に進む僕のゴーレム馬車、下手な駄馬とは比べものにならないほど立派で、さらに疲れを知らないゴーレムだけあって、正直な話、作った本人ではあるが、その予想外の早さにビックリしていた。
「ご、ご主人様…もしかして、この馬車って、すごい速度出てるんじゃないですか?」
「あぁ、正直、僕も今そう思ってた所だ。」
どうやら、クズハもそう思っていたらしく荷台の方から僕に声を掛けてきた。
「でも、車と比べたら全然早くないじゃない。」
「こらこら、車と一緒にしちゃダメでしょ?
そもそも、馬車なんて町中でも普通は時速5~7km、人がいない所でも12~16km程度しか速度を出ないってのに、高速移動用ゴーレムと一緒にしたらダメだろ?
第一、車なんて、その10倍の時速150kmとかだって余裕で出るんだからね?」
そう…どう言う訳か、僕が作り出した車は、最高時速で言えば200km以上出る巫山戯た性能になっているのだ。
その為、プリンが車と比べて馬車が遅いと勘違いしてしまうのは仕方がない事だった。
ただし、それは普通の馬車の話である。
その為、先ほども言ったが、この馬車は予想外に速く、時速で言えば、おそらく30kmは出ているはずだ。
「でも、『聖王都』へ移動するだけなのに、余計に時間を掛けるなんて、本当に無駄が多いですね。」
「そうだね…って、プリンッ!?」
「はい、あなたのプリンですよ~♪」
いつの間にか、プリンも会話に参加している。
考えてみたら、車より遅いと言ったのは、クズハの声じゃなかった気がする。
「まぁ、何はともあれ、これでも他の馬車の倍の速度は出てるはずだから、イライラしちゃダメだぞ、プリン?」
「は~い。」
と、気軽に返事をしてくる…本当に分かってるのだろうか?
「とは言え、ラオンさんの頼みとは言え…馬車で10日の旅と言うのは、地味に面倒ではあるな。」
「そ、そうですね…ですが、本来は、それが普通なんですから、仕方のない事だと思います。」
「そうね、面倒ではあるけど、この移動方法自体が依頼な訳だし…。」
非常に面倒なのだが、これも依頼の一環…しかも、途中で盗賊が出る可能性もあると言うオマケ付きだ。
もちろん、その場合は捕まえるなり討伐するなり、自由に判断してくれと言われている。
ただし、見て見ぬ振りは禁止と言う事で、出てきたら面倒だが対処しないといけないのだ。
まぁ、攻撃されたら困るので、馬をゴーレムで作り、荷台の方も木の内側に鉄板を仕込んで防御力をアップしている訳なのだが…。
「まぁ、何はともあれ、そろそろ、一度休憩でも入れますか…。」
そう、何処で誰が見ているか分からないが、流石に休憩すらしないと言うのは、色々と誤魔化しきれない部分がある。
そして、その誤魔化しきれない相手が『零の使い魔』だとしたら、その時点で色々と問題が発生するのが予想されるからだ。
そんな不安を掻き消す為には、必要な手段だったりする。
「それで、次のチェックポイントまでは、どれくらいあるのかな?」
ここで言うチェックポイントと言うのは、村や町の事である。
「え、えっと…およそ5kmと言った所だと思います。」
クズハは素早く地図を開くと僕に教えてくれる。
なので、僕はクズハから地図を受け取ると、これからの移動距離を考え提案する。
「そっか…なら、今日はその町で宿でも取るか?
正直、あまり野宿したくないしね。」
すると、残りの二人が反応する。
「私は、先に進んだ方がって思いますが、ご主人様の意見が優先ですから。」
とは、プリンの言葉。
そして、クズハはと言うと…。
「わ、私もプリン様と同じで先に進んだ方が…と、思います。」
「何で?理由は?」
まさか、クズハまで先に進む事を提案してくるとは思わなかった。
そして、その理由が気になって僕はクズハに尋ねた。
「そ、それは、その…旅をするにはお金が必要ですので、少しでも節約した方が…と思いまして。」
「なるほど…だけど、今回の旅は、それも含めて予算を多めに用意しているから、心配しなくても大丈夫だよ?」
「あ…いえ、何でもないです…。」
そうクズハに言うと、クズハは続けて何か言おうとして…諦めたようだった。
いったい、何が言いたかったのだろうか?と思うが、何故か聞いてはいけない様な気がしたので黙る事にしたのだった…。
店主の計らいで、従業員達が馬車まで運んでくれたので、無駄な労力を使わずに済んだので助かった。
「毎度、ありがとう御座いました。」
従業員も店主よろしく、深々と頭を下げる。
「いえ、こちらこそありがとう御座います。
店主に、よろしくお伝え下さい。」
「はい、畏まりました。」
従業員の返事を聞いて、僕は馬車に乗り込もうとする。
だが、一人の従業員に声を掛けら、乗り込むのを待った。
「あ、あの…失礼ですが、店長…親父に何を言ったんですが?
確かに、自分でも、うちの親父は確かに気の良い人だと思っています。
ですが、今日の親父はいつも以上に嬉しそうでした…あんな親父始めてみました。
お客さん、親父と、いったい何があったんですか?」
「そう言う事…か、でも、僕は特に何もしていないよ?
強いて言うなら、店長…君の親父さんだっけ?
親父さんの全ての人に満足をって言葉に共感して、『素晴らしい考えだ』と言っただけかな?」
「えッ!?た、たった、それだけですか?」
確かに、普通なら、それだけと言われても信じられないかもしれない。
だが、無条件で自分の事を認めてくれる人がいるだけで、嬉しくなるのだ。
「あぁ、但し、それは僕に打算的な何かがあった訳でも、お世辞で言った訳でもない。
ただ、本当にそう思ったから、そう言っただけ。
君が親父さんが嬉しがっていたと言うなら、その事が、親父さんにとって嬉しかったんじゃないかな?と…僕は思う。」
実際はどうか分からない。
でも、それほど的外れな事ではない筈だ。
「そ、そうですか…本当に、本当にありがとう御座いました!」
「いや、お礼を言うのはこっちの方だよ。
今度、旅から戻ったら、また寄らせて貰う…改めて、親父さんによろしく伝えといてね。」
「はい!」
何となくだが、この息子さんは、将来、良い店主となるだろう…そんな予感に、知らずの内に笑顔になっていた。
こうして、干し肉の補充も無事に済み、聖王都へと旅立つのだった…。
ちなみに、お土産の包みの中身に感しては、貴族に卸していても不思議ではない程の『最高級の干し肉』だった。
ちょっとだけ、つまみ食いしたら、肉の硬さも触感も塩加減も…何もかもが今まで食べた干し肉と比べて、段違いで美味かったのを、ここに記しておこうと思う。
◆◇◆◇◆◇◆
『パカラッ!パカラッ!ガタッゴトッ…。』
メルトの町を抜け、聖王都へと続く道を、豪快に進む僕のゴーレム馬車、下手な駄馬とは比べものにならないほど立派で、さらに疲れを知らないゴーレムだけあって、正直な話、作った本人ではあるが、その予想外の早さにビックリしていた。
「ご、ご主人様…もしかして、この馬車って、すごい速度出てるんじゃないですか?」
「あぁ、正直、僕も今そう思ってた所だ。」
どうやら、クズハもそう思っていたらしく荷台の方から僕に声を掛けてきた。
「でも、車と比べたら全然早くないじゃない。」
「こらこら、車と一緒にしちゃダメでしょ?
そもそも、馬車なんて町中でも普通は時速5~7km、人がいない所でも12~16km程度しか速度を出ないってのに、高速移動用ゴーレムと一緒にしたらダメだろ?
第一、車なんて、その10倍の時速150kmとかだって余裕で出るんだからね?」
そう…どう言う訳か、僕が作り出した車は、最高時速で言えば200km以上出る巫山戯た性能になっているのだ。
その為、プリンが車と比べて馬車が遅いと勘違いしてしまうのは仕方がない事だった。
ただし、それは普通の馬車の話である。
その為、先ほども言ったが、この馬車は予想外に速く、時速で言えば、おそらく30kmは出ているはずだ。
「でも、『聖王都』へ移動するだけなのに、余計に時間を掛けるなんて、本当に無駄が多いですね。」
「そうだね…って、プリンッ!?」
「はい、あなたのプリンですよ~♪」
いつの間にか、プリンも会話に参加している。
考えてみたら、車より遅いと言ったのは、クズハの声じゃなかった気がする。
「まぁ、何はともあれ、これでも他の馬車の倍の速度は出てるはずだから、イライラしちゃダメだぞ、プリン?」
「は~い。」
と、気軽に返事をしてくる…本当に分かってるのだろうか?
「とは言え、ラオンさんの頼みとは言え…馬車で10日の旅と言うのは、地味に面倒ではあるな。」
「そ、そうですね…ですが、本来は、それが普通なんですから、仕方のない事だと思います。」
「そうね、面倒ではあるけど、この移動方法自体が依頼な訳だし…。」
非常に面倒なのだが、これも依頼の一環…しかも、途中で盗賊が出る可能性もあると言うオマケ付きだ。
もちろん、その場合は捕まえるなり討伐するなり、自由に判断してくれと言われている。
ただし、見て見ぬ振りは禁止と言う事で、出てきたら面倒だが対処しないといけないのだ。
まぁ、攻撃されたら困るので、馬をゴーレムで作り、荷台の方も木の内側に鉄板を仕込んで防御力をアップしている訳なのだが…。
「まぁ、何はともあれ、そろそろ、一度休憩でも入れますか…。」
そう、何処で誰が見ているか分からないが、流石に休憩すらしないと言うのは、色々と誤魔化しきれない部分がある。
そして、その誤魔化しきれない相手が『零の使い魔』だとしたら、その時点で色々と問題が発生するのが予想されるからだ。
そんな不安を掻き消す為には、必要な手段だったりする。
「それで、次のチェックポイントまでは、どれくらいあるのかな?」
ここで言うチェックポイントと言うのは、村や町の事である。
「え、えっと…およそ5kmと言った所だと思います。」
クズハは素早く地図を開くと僕に教えてくれる。
なので、僕はクズハから地図を受け取ると、これからの移動距離を考え提案する。
「そっか…なら、今日はその町で宿でも取るか?
正直、あまり野宿したくないしね。」
すると、残りの二人が反応する。
「私は、先に進んだ方がって思いますが、ご主人様の意見が優先ですから。」
とは、プリンの言葉。
そして、クズハはと言うと…。
「わ、私もプリン様と同じで先に進んだ方が…と、思います。」
「何で?理由は?」
まさか、クズハまで先に進む事を提案してくるとは思わなかった。
そして、その理由が気になって僕はクズハに尋ねた。
「そ、それは、その…旅をするにはお金が必要ですので、少しでも節約した方が…と思いまして。」
「なるほど…だけど、今回の旅は、それも含めて予算を多めに用意しているから、心配しなくても大丈夫だよ?」
「あ…いえ、何でもないです…。」
そうクズハに言うと、クズハは続けて何か言おうとして…諦めたようだった。
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