~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神

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~第六章:冒険者編(後期)~

159ページ目…極秘クエスト

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 ある朝、ラオンさんから急ぎの用件との事で、ギルドへの呼び出しがあった。
 その内容と言うのが、オークションにて、僕達が出品したダンジョン産のバトルアックスを購入したヤツの住んでいる場所が判明した、との報告だった。
 その為、僕とプリンは急いでギルドに向かい、そのまま、ラオンさんと面会する事になった。

「って事で、ここまで来た訳だけど、よく、住んでる場所なんて見付けれましたね。」
「あぁ、それについては私も驚きなのだが、たまたま出張していた冒険者が見付けてね。
 そこで、後を付けたら…って話になった様だ。」
「ふ~ん、で、情報が嘘情報ガセネタの可能性は?」
「まぁ、あまり信用出来ない者からの情報なので、嘘情報としての可能性としては半々と言った所だろうか?
 とは言え、その者にとって、そんな嘘情報を流す意味がないので、正直、判断に困っている。
 ただ、先程、あまり信用出来ないと言ったが、その者も悪質な者と言う訳では無くだな…。」

 ん?言い淀むって事は、何かあるのだろうか?

「何かあるんですか?」
「いや、そう言う訳じゃなくてだな…悪気がある訳ではないのだが、おっちょこちょいな性格の為、勘違いや見間違いが多いと言うのがだな、あまり信用出来ない原因なんだ…。」

 確かに、それは信用出来ない…と言うか、信用したくない。

「と、まぁ…その様な事を除外したとしても、情報があっただけでも、私としては本当の可能性は十分ある。
 と、判断しているのだよ。」
「それで、ラオン様は、ご主人様や私達に、どの様にしろと?」

 正直、僕は、ラオンさんから言ってくるのを待つべきなのか、聞くべきなのかと躊躇していたのだが、プリンがズバリ!とラオンさんに質問するのを見て、流石と言うべきなのか何なのか、ここら辺は、僕には真似出来ない事なのでプリンは凄いな…と、改めて思う。

「うむ、実は、非常に言いにくい事なのだが、君達に調査を依頼したいと思って…だね。」
「つまり、それは『特殊クエスト』と言う事で、あってますか?」

 僕は直ぐ様、ラオンさんに確認する。

「頭に、『極秘』と付くけが、おおむねその通りだ。」
「でも、情報が正しいかは不明なんですよね?」
「あぁ、ただ、そろそろダンジョンの方も一段落すると報告入れて来ただろ?
 もし、本当に一段落するのなら、私の記憶が確かなら、次の美味い物ツアーとやらは『聖王都』だったと記憶しているが?」

 わざわざ確認すると言う事は、つまり、そう言う事なのだろう…。

「つまり、情報元は、聖王都…と言う訳ですか。」
「あぁ…だから、それを踏まえての極秘任務となる。」
「と言うと?えっと…どう言う事ですか?」
「おや?分からなかったか?つまり…だ。
 見付かるか分からない物を探す訳だからね…見付からないのを前提として、動く。
 つまりは、物のついでに…と言う事だ。
 但し、もし見付かった場合が問題だ…下手に弱い冒険者だと闇に葬られる。
 だが、君達であれば『魔王化』すれば問題ない…と思うのだよ。」

 確かに、魔王化すれば大抵の事は大丈夫だと思う。

「なるほど…それで、わざわざ『僕達・・』を指名するって事ですね?
 さて、そうなると…本音は?」
「チッ!やはりバレるよな…実は、今、この様な依頼を頼める者が、お前達しか居ないのだ。」
「…はい?僕達以外にも、ギルドお抱えの冒険者達が居るのでは?
 ましてや、『聖王都』ともなれば、それなりの数がいると思うんですが?」

 聖の文字が付いているとは言え、王都を名乗るのだ。
 当然、それなりの数の冒険者がいるはずなのだが…。

「それなんだが、現在、あちこちの街で高ランクの冒険者達が次々と姿を消す、と言う事件が発生していてだな…。
 そんな訳で、使える冒険者達は、その捜索にかり出されている状態のだ。」
「ラオン様、それなら、何故、私達に捜索の依頼が来なかったのですか?」

 確かに、プリンの言う通り、僕達に依頼が来ないんだろう?
 高ランクの人達が神隠しにあっていると言うのであれば…そして、他の冒険者達が捜索していると言うのであれば、その捜索に僕達が加わらないと言うのは、おかしな話と言う物だ。

「それはだね、今回、君達に依頼をしたのが私の様な地方のギルドマスターではなく、もっと上の…全てのギルドを統べる最上位のギルドマスター、通称、グランドマスターからの名指しで依頼が来たからと言う事なのだ。」

 何故、そんなお偉いさんから指名が来るのだろう?
 そもそも、僕達はそんな人と会った事すら無いのに…。

「えっ~と…何と言う事でしょう!いつの間にかあり得ない程、上の人が僕達の名前を知っているなんて~。」

 某テレビ番組よろしく、僕は巫山戯ふざけて誤魔化そうとする。

「そんな見え透いた下手な現実逃避をする物じゃない!実際、君には分かってるんだろ?」
「やっぱり、ダンジョンを攻略して自分の物にした。
 そして、その功績で、僕がAランクに昇格する為の試験を免除されたって事ですよね?
 僕がBランクに上がるのに試験免除された事ですら、特例中の特例だったはずですし…。
 ならば、Aランクの試験を免除出来る程の人物が関係している、と言う事で、それが先程言ったグランドマスターと言う所ですかね?」
「概ね正解だ、とは言え、ダンジョンを手に入れた者が、普通の冒険者ではなく、お前みたいなのヤツ…と言う報告をするのは契約内容に触れる為に出来ん。
 なので、私の知らない何か特殊な力を秘めている可能性がある人物だとして、報告してある。
 おそらく、それを見極める為だと言うのが、私の考えだ。」

 契約魔法にて交わした約束なので、それを誤魔化して説明した為、逆に怪しい部分が出てしまったのだろう…。

「つまり、僕の正体をバレない様にしつつ捜査をしろと言う訳ですね?」
「あぁ、そう言う事になる。
 私としては、君達に依頼などしたくないのだが、こればかりは組織の一員として逆らえなんのだよ。」

 どこの世界でも会社勤めは、上からの命令には逆らえないと言う事か…。

「それは仕方がないですよ、そもそもラオンさんはギルドマスターなんですから…。
 ちなみになんですが、このクエストに拒否権は?」

 まぁ、あるわけ無いとは思うが、正体がバレたら困るので、ここは拒否権の有無だけは聞いて置いた方が良いだろう。

「お前と言うヤツは…ここまで聞いてて、拒否権なんてあると思うのか?」

 と、言う事は?

「あ~…やっぱり、あるはずないですよね…。」
「いや、あるぞ?」
「あるんかいッ!?」

 まさかの『ある』発言に驚きを隠せない僕…だけど、それを笑うかの様にラオンさんは話を続ける。

「いや、確かに拒否権と言うのはある。
 だが、あるにはあるが…厳しい罰則ペナルティが科せられる。
 それも、Aランクから一気にFランクに落とされた上に、向こう3年間は昇級試験を受けられない。」
「それって…ほぼ3年間は、まともに活動出来ないって話になるんじゃ…。」

 しかも、Fランクに落とされると言う事は、今までの功績も無効になると言う事でもある。

「あぁ、その通りだ。
 しかも、Fランクのクエストなんて、基本的に雑用と言っても過言ではないから碌に稼げない。
 つまり、冒険者としては終わった様な物だな。」
「まぁ、その時はダンジョンに潜って…と言うのも良いかもですけど…。」
「そうなった場合、私としては、君をダンジョンマスターとして討伐する命令を出す事になるので、極力、避けたい所だな。」
「ですよね~…分かりました、ここはラオンさんの顔を立ててお受けしますよ。
 ただし…結果の方までは面倒見切れませんよ?」
「あぁ…それで十分だ、恩に着る。」

 こうして、僕達は『聖王都シロガネ』へ出張するのが決まったのだった…。
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