上 下
143 / 421
~第五章:ダンジョン開拓編~

143ページ目…レベリング【3】

しおりを挟む
 さて、ここ第3階層からはトラップを少しずつ設置している。
 とは言っても、まだ、この第3階層には設置している罠は、直接死に繋がる様な危険なトラップでは無い、何故かって?
 もちろん、ダンジョンポイントDPを効率よく手に入れる為である。

 本来であれば、ダンジョン内で侵入者が死ねば大量に手に入るDPではあるが、それは、ある意味では一度きりのボーナスポイントなので、いつも手に入るポイントではない。
 それに引き換え、侵入者に対し、嫌がらせの様な罠は、適度な怪我を負わせやすく、その効果で、DPを少しずつではあるが稼ぎ出している。
 そして、重要なのは怪我を治した侵入者は、再びやってくると言う事だ。
 それはそうだ、軽い怪我を負う程度のトラップであれば、大した事はないと侮るからだ。
 事実、その程度では侵入者は歩みを止めず攻略を続ける。
 なお、トラップの種類としては、20cmほどの小さな『落とし穴』や、正座をした時に足が痺れた時の様な軽い『電撃を放つ罠』などのトラップ等の、所謂いわゆる、子供の悪戯程度のトラップばかりなのだ。

 しかし、それも当然と言うべきか…これには先程の理由以外にも理由がある。
 それは、元々、ここは誰が作ったか知らないが『初心者向けのダンジョン』だったのだ。

 そして、今は、僕が新たに作りだしたダンジョンでもある。

 やはり、現代日本を生きている僕にとって、冒険と言うのはゲーム同様、少しずつ強くなっていき、最後には強敵に勝つ!どうしても、そんな事に憧れるのだ。
 もっとも、RPGゲームの醍醐味とも言える面白さも大事である。
 苦痛だけでは、どこぞの変態しか喜ばない。

 その為、初心者から一流の冒険者になるまで練習出来る様に、色々と『成長を促すダンジョン』にしたかったのだ。
 簡単に言うと、トラップも含めて、色々と勉強する為のダンジョン的な?
 これに感しては、自分で言うのも何だが、良く出来たダンジョンだと褒めてやりたい。
 ただまぁ…個人的な意見なので、他の人が見たらどうなのかは分からないが。

 何はともあれ、このダンジョンでは色々な回復薬…各種ポーションまでもが手に入るのだ。
 これを上手く使えば、冒険者達にとって、万が一の時の備えになる。
 場合によっては死ぬ一歩手前から、逆転勝利…なんて事も考えられるのではないだろうか?

 その為、ダンジョンポイントが貯まれば、ドロップの種類を増やしたりして他のダンジョンやら戦場やらで、死亡する冒険者を減らす手伝いをしたいと言う『建前・・』を全面に出しつつ、先ほども言った『成長を促すダンジョン』として、新たに作り変えたのだ。
 だが、実際の所は『ただ単に、面白そうだから』と言うの『本音・・』を誤魔化す為の後付の理由だったと言うのは秘密だ。

『ズボッ!』

「あちゃ~、またトラップに引っ掛かっちゃったよ…。」 
「ご主人様、大丈夫ですか?」
「あぁ、大した深さもないし怪我もしていないから大丈夫だよ。」

 既に4回もトラップに引っ掛かっている僕を心配してプリンが声を掛けてくる。
 他のみんなはと言うと、レオナが1回のみ…と言う様に、僕だけがトラップにハマリまくっている。

「しかし、何で僕だけ、こんなに引っ掛かってるんだ?」
「ご、ご主人様…もしかしてですが、トラップの場所が分からないんですか?」

 と、言ってきたのはクズハだ…。

「えッ!?もしかして、みんなトラップが分かるのッ!?」
「「「「…え?」」」」

 僕以外のみんなから同じ様なタイミングで驚かれてしまった。
 どうやら、僕以外はみんな分かっていると言う事だ。
 あれ?だけど、それなら、どうしてレオナが1回引っ掛かったのは何でだろう…。

「そう言えば、レオナも1回引っ掛かってたよね?」
「はい、悪戯程度の罠と言っていたので、試しにどんな感じなのか…と興味を覚えました。」

 つまり、レオナでさえ分かる程度の罠で、興味半分で、わざと引っかかる難易度だったみたいだ。
 そして、他のみんなが、調べる事もなく一目瞭然なトラップに、僕は何も気が付かず、既に4回も引っ掛かり、未だにトラップがどこに仕掛けられているのか分かっていない事になる。

 うわ~、なんだか凄く恥ずかしいな…とは言え、流石に、このままでは不味い。
 今はまだ嫌がらせ程度とは言え、戦闘中に引っ掛かったりすれば、直接な原因ではないとは言え、最悪死ぬ事だって考えられる。
 つまり、現在、僕の最優先事項はトラップを見極める事…である。

 しかし、先程も言ったが、僕には何処に仕掛けられているのか見当も付かない。
 ならば、どうする?僕が分からないのであれば、分かる人に教えて貰い、覚えるしかない。
 そうしないと、これからダンジョンに僕一人で挑んだ時にトラップが分からない…では大問題なのだ。

「ごめん、みんなに頼みがある。
 どうやら、今の僕にはトラップを見極める才能が無いのか、見付ける事が出来ない様だ。
 だから、次にトラップがあった場合、僕にトラップの見極め方を教えてくれないかな?
 僕はトラップを見極める練習をしたいんだ…頼む!」

 そう言うと、僕はみんなに頭を下げる。

「ご、ご主人様が私達に頭を下がる必要なんてありません!ご主人様が居なかったら私は死んでいたんですから!」

 と、クズハが僕に言ってきた。
 あ~…忘れてたけど、そう言えば、クズハって奴隷のままだったな…と思い出す。
 念の為言っておくが、僕はクズハを奴隷から開放しようとしたが、頑なに断られた為、まだ奴隷のままなだけだからね?

「いや、確かにその可能性があったかもしれないけど、それとこれとは話は別だ。
 僕が、みんなに頼み事をするのだから、頭を下がるのは当然の事だよ。
 それと…前にも言ったが、クズハは、いつまで僕の奴隷のままでいる気なのかな?」

 クズハは、もう僕の仲間なんだから、もう奴隷でなくても良いはずだ。
 だったら、もう奴隷から解放して、自由にしてあげても良いんじゃないだろうか?

「え?あ、あの…ご主人様、私、もう必要ないんですか?」
「い、いや、そうじゃなくて…クズハは大事な仲間なんだから、奴隷じゃなくてもって事で…。」
「だ、だったら!これからも私を奴隷として側に置いてください!
 私は、ご主人様の物なのですから、奴隷から解放されたくなんてありません!」

 クズハはそう言うと急に泣き出してしまった…。

「分かった!分かったから、もう泣くな…クズハは奴隷のままで良いから!」

 クズハのヤツ、絶対、途中までしか聞いてない気がする。
 今度、二人っきりの時にでも、しっかり話し合わないとダメかな、こりゃ…。
 そんな事を考えていると、曲がり角からオークが1匹現れた。
 正直、嫌なタイミングで現れたのだが…次の瞬間、一瞬で倒されてしまった。

 と言うのも、いつの間に撃ったのか分からないがオークの頭部には1本の矢が刺さっている。
 そして、僕の背後に目をやれば、矢を放った格好のままのアリスが居る。
 って、僕が死角になって攻撃出来ないのでは?と思える位置にいるのに、問題なく攻撃を当てたのは、ブラウニーのアリスで、よく当てられるな…と、感心する。

 ちなみに、アリスには〖百発百中〗と言う称号がある。
 その為、射程内であればほぼ確実に当てる事が出来る様だ。

 と言うか、突如現れたオークに、一瞬でヘッドショットを決めるて沈める一撃って、強すぎじゃね?
 そう思い、僕はみんなのステータスを確認する為、改めて、みんなを見た・・のだった…。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~

雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。

スマートシステムで異世界革命

小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 /// ★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★ 新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。 それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。 異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。 スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします! 序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです 第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練 第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い 第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚 第4章(全17話)ダンジョン探索 第5章(執筆中)公的ギルド? ※第3章以降は少し内容が過激になってきます。 上記はあくまで予定です。 カクヨムでも投稿しています。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜

ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。 社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。 せめて「男」になって死にたかった…… そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった! もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

処理中です...