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~第五章:ダンジョン開拓編~

143ページ目…レベリング【3】

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 さて、ここ第3階層からはトラップを少しずつ設置している。
 とは言っても、まだ、この第3階層には設置している罠は、直接死に繋がる様な危険なトラップでは無い、何故かって?
 もちろん、ダンジョンポイントDPを効率よく手に入れる為である。

 本来であれば、ダンジョン内で侵入者が死ねば大量に手に入るDPではあるが、それは、ある意味では一度きりのボーナスポイントなので、いつも手に入るポイントではない。
 それに引き換え、侵入者に対し、嫌がらせの様な罠は、適度な怪我を負わせやすく、その効果で、DPを少しずつではあるが稼ぎ出している。
 そして、重要なのは怪我を治した侵入者は、再びやってくると言う事だ。
 それはそうだ、軽い怪我を負う程度のトラップであれば、大した事はないと侮るからだ。
 事実、その程度では侵入者は歩みを止めず攻略を続ける。
 なお、トラップの種類としては、20cmほどの小さな『落とし穴』や、正座をした時に足が痺れた時の様な軽い『電撃を放つ罠』などのトラップ等の、所謂いわゆる、子供の悪戯程度のトラップばかりなのだ。

 しかし、それも当然と言うべきか…これには先程の理由以外にも理由がある。
 それは、元々、ここは誰が作ったか知らないが『初心者向けのダンジョン』だったのだ。

 そして、今は、僕が新たに作りだしたダンジョンでもある。

 やはり、現代日本を生きている僕にとって、冒険と言うのはゲーム同様、少しずつ強くなっていき、最後には強敵に勝つ!どうしても、そんな事に憧れるのだ。
 もっとも、RPGゲームの醍醐味とも言える面白さも大事である。
 苦痛だけでは、どこぞの変態しか喜ばない。

 その為、初心者から一流の冒険者になるまで練習出来る様に、色々と『成長を促すダンジョン』にしたかったのだ。
 簡単に言うと、トラップも含めて、色々と勉強する為のダンジョン的な?
 これに感しては、自分で言うのも何だが、良く出来たダンジョンだと褒めてやりたい。
 ただまぁ…個人的な意見なので、他の人が見たらどうなのかは分からないが。

 何はともあれ、このダンジョンでは色々な回復薬…各種ポーションまでもが手に入るのだ。
 これを上手く使えば、冒険者達にとって、万が一の時の備えになる。
 場合によっては死ぬ一歩手前から、逆転勝利…なんて事も考えられるのではないだろうか?

 その為、ダンジョンポイントが貯まれば、ドロップの種類を増やしたりして他のダンジョンやら戦場やらで、死亡する冒険者を減らす手伝いをしたいと言う『建前・・』を全面に出しつつ、先ほども言った『成長を促すダンジョン』として、新たに作り変えたのだ。
 だが、実際の所は『ただ単に、面白そうだから』と言うの『本音・・』を誤魔化す為の後付の理由だったと言うのは秘密だ。

『ズボッ!』

「あちゃ~、またトラップに引っ掛かっちゃったよ…。」 
「ご主人様、大丈夫ですか?」
「あぁ、大した深さもないし怪我もしていないから大丈夫だよ。」

 既に4回もトラップに引っ掛かっている僕を心配してプリンが声を掛けてくる。
 他のみんなはと言うと、レオナが1回のみ…と言う様に、僕だけがトラップにハマリまくっている。

「しかし、何で僕だけ、こんなに引っ掛かってるんだ?」
「ご、ご主人様…もしかしてですが、トラップの場所が分からないんですか?」

 と、言ってきたのはクズハだ…。

「えッ!?もしかして、みんなトラップが分かるのッ!?」
「「「「…え?」」」」

 僕以外のみんなから同じ様なタイミングで驚かれてしまった。
 どうやら、僕以外はみんな分かっていると言う事だ。
 あれ?だけど、それなら、どうしてレオナが1回引っ掛かったのは何でだろう…。

「そう言えば、レオナも1回引っ掛かってたよね?」
「はい、悪戯程度の罠と言っていたので、試しにどんな感じなのか…と興味を覚えました。」

 つまり、レオナでさえ分かる程度の罠で、興味半分で、わざと引っかかる難易度だったみたいだ。
 そして、他のみんなが、調べる事もなく一目瞭然なトラップに、僕は何も気が付かず、既に4回も引っ掛かり、未だにトラップがどこに仕掛けられているのか分かっていない事になる。

 うわ~、なんだか凄く恥ずかしいな…とは言え、流石に、このままでは不味い。
 今はまだ嫌がらせ程度とは言え、戦闘中に引っ掛かったりすれば、直接な原因ではないとは言え、最悪死ぬ事だって考えられる。
 つまり、現在、僕の最優先事項はトラップを見極める事…である。

 しかし、先程も言ったが、僕には何処に仕掛けられているのか見当も付かない。
 ならば、どうする?僕が分からないのであれば、分かる人に教えて貰い、覚えるしかない。
 そうしないと、これからダンジョンに僕一人で挑んだ時にトラップが分からない…では大問題なのだ。

「ごめん、みんなに頼みがある。
 どうやら、今の僕にはトラップを見極める才能が無いのか、見付ける事が出来ない様だ。
 だから、次にトラップがあった場合、僕にトラップの見極め方を教えてくれないかな?
 僕はトラップを見極める練習をしたいんだ…頼む!」

 そう言うと、僕はみんなに頭を下げる。

「ご、ご主人様が私達に頭を下がる必要なんてありません!ご主人様が居なかったら私は死んでいたんですから!」

 と、クズハが僕に言ってきた。
 あ~…忘れてたけど、そう言えば、クズハって奴隷のままだったな…と思い出す。
 念の為言っておくが、僕はクズハを奴隷から開放しようとしたが、頑なに断られた為、まだ奴隷のままなだけだからね?

「いや、確かにその可能性があったかもしれないけど、それとこれとは話は別だ。
 僕が、みんなに頼み事をするのだから、頭を下がるのは当然の事だよ。
 それと…前にも言ったが、クズハは、いつまで僕の奴隷のままでいる気なのかな?」

 クズハは、もう僕の仲間なんだから、もう奴隷でなくても良いはずだ。
 だったら、もう奴隷から解放して、自由にしてあげても良いんじゃないだろうか?

「え?あ、あの…ご主人様、私、もう必要ないんですか?」
「い、いや、そうじゃなくて…クズハは大事な仲間なんだから、奴隷じゃなくてもって事で…。」
「だ、だったら!これからも私を奴隷として側に置いてください!
 私は、ご主人様の物なのですから、奴隷から解放されたくなんてありません!」

 クズハはそう言うと急に泣き出してしまった…。

「分かった!分かったから、もう泣くな…クズハは奴隷のままで良いから!」

 クズハのヤツ、絶対、途中までしか聞いてない気がする。
 今度、二人っきりの時にでも、しっかり話し合わないとダメかな、こりゃ…。
 そんな事を考えていると、曲がり角からオークが1匹現れた。
 正直、嫌なタイミングで現れたのだが…次の瞬間、一瞬で倒されてしまった。

 と言うのも、いつの間に撃ったのか分からないがオークの頭部には1本の矢が刺さっている。
 そして、僕の背後に目をやれば、矢を放った格好のままのアリスが居る。
 って、僕が死角になって攻撃出来ないのでは?と思える位置にいるのに、問題なく攻撃を当てたのは、ブラウニーのアリスで、よく当てられるな…と、感心する。

 ちなみに、アリスには〖百発百中〗と言う称号がある。
 その為、射程内であればほぼ確実に当てる事が出来る様だ。

 と言うか、突如現れたオークに、一瞬でヘッドショットを決めるて沈める一撃って、強すぎじゃね?
 そう思い、僕はみんなのステータスを確認する為、改めて、みんなを見た・・のだった…。
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