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~第五章:ダンジョン開拓編~

142ページ目…レベリング【2】

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「ただいま!みんな、ごめん!ちょっと予定より時間が掛かちゃったけど、大丈夫だった?」

 そう言うと、みんなは、大して待っていないと言って気にしないで良いとアピールしてくる。
 とは言え、僕の我が儘に付き合って貰ってるのだから、みんなには感謝しなきゃだね。

「さてと、ひとまずは、今ある装備を使い潰すつもりで、みんなのレベル上げかな?
 っと、その前に〖魔法:空間転移ゲート〗!」

 僕は〖空間転移〗の魔法を使い、家の一室に空間を繋ぐ。
 そこには待っていましたとばかりに、反対側の入り口ーこちら側を基準で言えば言えば出口だがーにはブラウニーのアリスが待っていた。

「お待たせ、順番待ちが長くて、なかなか呼びに来れなかったよ。」
「いえ、それでは失礼いたします。」

 アリスはそう言うとダンジョンに足を踏み入れる。

「どう?」

 主語も何も無く、ただ一言『どう?』と聞いた僕の意を汲んでアリスは答えてくれる。

「そうですね、若干、家とは感覚が違います。
 ですが、ご主人様の空間として認識出来ますので、ここであれば時間制限タイムリミットに関しては問題ないと思われます。
 ですが、やはり家とは感覚が違いますので、もしかしたらタイムリミットになるまでの時間が長いだけなのかも?と言う不安もあります。」
「そうか…だったら、タイムリミットが来そうと思ったら、すぐに言ってね?
 そしたら、すぐに〖空間転移ゲート〗家に戻すから。」

 そう言うと、アリスは『はい!』と返事をすると数歩下がった。

「あれ?そう言えば…アリス、武器や防具は?」
「あ、装備するの忘れてました。
 えっと…ちょっと、はしたない姿をお見せいたしますが、失礼します。」

『ガチャリ、ドサドサドサ…。』

 アリスはそう言うとスカートを持ち上げる様に広げる。
 すると、足下に弓と矢筒、短剣、それ以外にも、どうやってスカートの中に入りきれないであろう軽鎧が転がり落ちる。

「お?アリスも無限庫持ちインベントリホルダーなのか?」

 考えてみれば、アリスは色々と買い物をしてくる。
 当然、大量の食材を買ってきたりするのだが、一度も配達を頼んでいた所を見た事がない。
 つまり、無限庫持ちだったのか?と推測したのだが違った様だ…。

「いえ、私のは空間魔法の一種で、〖道具箱アイテムボックス〗の魔法です。
 この魔法に関しては、ブラウニーであれば基本的には誰でも使える魔法だと思います。」
「なるほど…でも、魔法と言うのなら魔力MPを消費するんじゃないのか?」

 持続型の魔法だと、使用中は魔法の消費も継続されるので、色々と不便な気がするのだが…。

「はい、ですがMP消費に関しては、出し入れの際に使う消費分だけで、一度開いてしまえば、閉じない限りは出し入れは自由でして…終了しない限りは幾ら入れてもMPは消費されませんし、もちろん出したりしても消費されません。
 唯一、問題があるとすれば…御主人様の無限庫インベントリの様に、幾らでも入ると言う訳ではないので、大量の荷物は入れる事が出来ません。」
「なるほど…まぁ、無限庫の廉価版と言う所かな?
 だけど、これは便利だな…無限庫を人前で使うと色々と問題が発生するけど、〖道具箱〗なら使える人もいるだろうし…。
 それに、ブラウニーに教わったと言えば、誤魔化しも利くはず、便利な魔法を教えて貰ったよ。」
「あ…ですが、空間魔法なので、覚えるのは非常に大変ですよ?」

 と、アリスが僕に言ってくる。
 すると、プリンが笑いながら答えた。

「クスクス…アリス、ご主人様はね、一度見た・・魔法やスキルを、即座に覚える事が出来るのですよ?
 まぁ、確かに全部が全部覚えれる訳ではないでしょうけど、〖道具箱〗程度なら、もう覚えていますよね?」

 プリンが、さも当たり前の様に僕に聞いてくる。
 いや、まぁ、確かにその通りなんだが、何故にプリンが威張っているのだろう?

「あ、あぁ、一応、覚えさせて貰ったが…。」
「御主人様って、凄いんですね!」

 素直に驚くアリス、うん、やはり素直に驚かれると言うのは気持ちが良いもんだ。
 だが、気を付けないと天狗になってしまいそうで怖い。
 油断大敵と言う言葉もある…なので、僕は気を引き締めて、みんなに言う。

「それじゃ、これからレベル上げを開始する!みんな、くれぐれも無理しない様に!」
「「「「はい!」」」」

 こうして、僕達のレベル上げが始まったのだった。

◆◇◆◇◆◇◆

「アリス、後方のメイジに攻撃、魔法を使わせるな!
 ローラ、左後方から来てるぞ!
 クズハ、右後方のアーチャーへ魔法攻撃を、撃たせるなよ!
 プリンはみんなの援護…フォローを頼む!」

 みんなに指示を出しつつ、僕はレオナのフォローに入る。

『ガキーン!』

「レオナ!大丈夫か?」
「は、はい、何とか!」

 流石に、レオナは種族としては強い部類の存在になっているようだが、実戦経験がない分、格下とは言えスケルトンの団体さんにですら手を焼いている様だ。
 その点、うちのメンバーは上手く連携が取れている様だ。
 もっとも、ローラに関しては自分勝手に動き始めてるからフォローするメンバーにとっては迷惑な話だろうが…遊撃部隊と考えれば、コレはコレでありなのかもしれbない。

 とは言え、これだけ戦えるのであれば、もう、次の階層にも足を伸ばしても問題ないだろう。
 僕は、スケルトンシリーズの団体さんを退治し終えると、みんなに声を掛ける。

「みんな、お疲れ様!まさか、3パーティ分のスケルトンの団体さんがいたのには驚いたが…みんな良くやった!」

 幾らダンジョンマスターとは言え、全ての敵の配置を分かる訳ではない。
 しかも、今はスライムが効率よくダンジョンポイントを稼ぐ為に、魔物の配置を変えているのだから把握しているはずがない。
 それでも、これだけ戦えるのであれば、彼女達は次の階層でも十分戦えるのでは?と思う。
 まぁ、レオナは実戦経験が少ないから仕方がない部分もあるが、アンデッドな分、簡単には死なないだろうし、どうやら〖自己再生〗を覚えたみたいだから、すぐにソロでも戦える様になるだろう。」

 そう、Lv1であるレオナを、ここに連れてきた理由の一つが、この〖自己再生〗を手に入れさせる為とも言える。
 そもそもな話、レオナはアンデッドである為、回復魔法や回復薬ポーションの類は、逆にダメージを負う物へと変わってしまう。

 とは言え、僕が近くにいるのなら〖魔法:擬魂付加フェイクソウル〗を使えば、傷を直す事が出来るし、さらに強くする事も可能である。
 だが、近くにいなければ、怪我を負った状態のままだ。
 そんな時、事情を知らない人がレオナに回復魔法を掛けた場合、最悪、死んでしまう。
 まぁ、アンデッドは既に死んでいるのだから、死んでしまうと言うのは可笑しな話で、滅んでしまうと言い直しておこうと思う。

 そんな悲しい事を回避する方法は、プリンの一言で解決する。
 それが〖自己再生〗スキルの取得である。
 このスキルは、自らの身体を、一番良い状態へ変化させるスキルと言う事もあり、例え、それがアンデッドだと有効で、その怪我を癒やし、無かった事へとしてくれた。

 そんな訳で、ラオンさんに頼んで、ギルド預かりになっていたレオナを連れて、ダンジョンに入ったのだ。
 もっとも、本当の目的は、レオナだけではなく、うちのメンバーのレベル上げなのだが…。

 まぁ、何はともあれ…無事に第2階層を超え、これで第3階層に突入となる。
 ここからはトラップもあるから注意しないと…だ。

「さて、この先で少し休憩をしたら第3階層に突入する。
 ただし、ここから先の第3階層からはトラップもあるから十分に注意する様に!」

 僕はそう言うと、みんなに休憩をする様に伝え、無限庫から少し甘めのワッフルを取り出し、みんなに配る。
 それと共に水筒も無限庫から取り出すとコップに水を入れ、みんなに渡す。

 どこまで戦えるか分からないが、これで気力も回復する筈である。
 故に、無茶をしなければ、十分…いや、十二分に、レベル上げが出来る筈である。

 そんな事を考えつつ、僕は、みんなと共に休憩をするのだった…。
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