~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神

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~第五章:ダンジョン開拓編~

139ページ目…ダンジョン・オープン記念日【4】

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 とりあえず、嫌な予感はするものの、何とか無事にダンジョンはオープンし、冒険者達は、次々とダンジョンへと入っていく。
 とは言え、先程も言ったが、今日がオープン初日と言う所為もあるが、つい先程オープンしたばかりと言う事もあり、みんなが我先に入ろうとしても、当然、一斉に入って行ける様な作りにはなっていない。

 そもそもな話、第1、第2階層は基本的に迷路になっているのだ。
 その為、現れる魔物自体は弱い魔物ではあるものの、何処でも戦闘をする可能性を考えて、少しだけではあるが道幅は広めに作ってある。
 そんなダンジョンではあるが、複数のパーティーが同時に入っていく場合、とてもじゃないが身動きが取れなくなる程の広さしかない。

 それでも、新装開店?の新しいダンジョンが使用可能になると言うのは、冒険者達が集まるには十分な理由となる。
 そもそもな話、ダンジョンでドロップした物は、何故か品質が良かったり、特殊な効果を持っていたりと多種多様な道具アイテムが手に入る確率が高いのだ。

 当然、効果が良ければ高く売れる。
 その為に危険を顧みずに無茶をするヤツらも多い…場合によっては、高価なアイテムを手に入れたものの、瀕死の重傷を負い、帰っている途中で死亡…なんて話も、冒険者ギルドの雑談の中では、稀に耳にする事があるほどである。
 もっとも、その話は、冒険者の心得の一つ、無茶をするなと言う教訓の話だとは思うのだが、悲しい事に、実際にあった話らしいので笑い話にもならない。

 まぁ、何はともあれ…そんな訳で、混雑を避ける為、ダンジョンに入るのは順番に入って行く事を冒険者ギルドが管理する事となっている。

 しかし…アレだな、初日にも関わらず、これだけの人数が集まるのなら、もっと魔物を配置していても良かったかもしれない。
 ぶっちゃけ、冒険者達は行儀良く順番を守って中に入っていくものの、既に相当数の人数がダンジョンの中に入っている。
 そんな冒険者達に言うのはアレだが、数は力である。
 更に言うのであれば、正直、第2階層までは、それほど強い魔物は居ない。
 仮に魔物達が複数出たとしても、冒険者達こちらも複数いるのであれば、数の暴力で何とかなってしまう。

 そう考えると、こちらの予想以上に冒険者が来ているのが少々問題かもしれない。

 僕達がダンジョンに入る事になったら、速攻で調整しなければ…って、待てよ?
 僕は、ふとサブマスターとしてダンジョンコアのある部屋に置いてきたスライムの事を思い出す。
 魔王化した僕達の一部であり、簡単な命令を聞くだけの端末でしかないが、それでも、あのスライムはサブマスターである事には変わりはない。
 もしかして、このまま〖念話〗で指示を出したら、ダンジョンの外ここからでも調整可能なのではないだろうか?
 そう思った僕は、すぐに、スライムに〖念話〗を飛ばしてみた。

〔えっと…聞こえるか?〕
〔うきゅ(はい)?〕

 へ、へ~、最近のスライムって、うきゅって鳴き声なのか…って、念話なんだから普通に言葉に変換されても良いのではないだろうか?
 でもまぁ、それと同時にイメージも伝わってくるから、大丈夫っちゃ大丈夫なんだよな…。

 そもそも、プリンが念話で話し掛けてきた時は、ちゃんと言葉で聞こえてきたぞ?
 もしかして…こいつ、わざとか?わざと鳴き声で返事をしているのではないだろうか?

〔お、おぅ…ちゃんと聞こえている様だな。
 昨日、僕がダンジョンを調整したのを覚えてるか?〕

 ダンジョン開放の初日とあって、その難易度を簡単イージーモードに設定している。
 ただ、予想以上に冒険者が集まっている為、早々にサービスタイムは終了にし、通常モードにした方が良いと思う。

〔うきゅきゅ(覚えています)。〕

 やはり、鳴き声で答えやがる…ここはツッコんだら負けだ。
 ツッコミたいのを我慢して、僕は命令を続行する。

〔コア…ダンジョンコア操作して、昨日調整した前の設定ノーマルに戻してくれ。〕
〔うきゅ~(了解~)!〕

 スライムからの返事を聞いてから30分が経過した頃、中から最初に入った冒険者達がゾロゾロと出てきた。
 その様子を見ると、初心者ダンジョンにも関わらず、あちこちに掠り傷程度の怪我と装備の軽度の損傷が見受けられる。
 しかし、その冒険者は、みんなの前にドロップした戦利品を掲げる。

「みんな見てくれ!このダンジョンで手に入れた物だ!!」

 その男の手にあるのは、薬草以外の回復薬ポーションと呼ばれる、魔法薬があった。
 ちなみに、あえて魔法薬と言ったのは普通の回復薬には、即効性がない為だ。
 その点、魔法薬は即効性…つまり、飲んだり振りかけたりした場合、即座に傷が癒されたりする。

 まぁ、流石に、死に掛けている者に回復薬ポーションを使ったとても、通常であれば効果が出る前に死んでしまう可能性が高いのだが、魔法薬だった場合、即座に効果を発揮する。
 その為、損傷にもよるが助かる可能性は、かなり高くなるはずだ。

 そんな理由もあってか魔法薬と言うのは高額で取引される。
 とは言え、初級のポーションだから、高額とは言っても、そこまで高くはないはずなのだが…。

 その事を考えると、傷付いた装備を直したりしたら手元には余り残らないのではないか?
 だが、リアルラックが良ければ、もう一本くらい手に入るだろう…。
 腕が良ければ、それだけ装備の損傷も少なくて済むし魔法が使えるのであれば、装備の損傷は無いかもしれない。
 そう考えれば、このダンジョンは稼げるダンジョンと言う事が分かるだろう。

 結果、それを見た他の冒険者達の目の色が変わる。

「「「「おぉ~~~~~ッ!!」」」」

 ポーションもドロップすると言う情報は事前に『ヘタレ』とか言う調査員バカが、情報を先に流してしまった所為でもあるが、実際に実物を見た訳ではない。
 あくまで事前情報だったのだが、今、最初に入った冒険者達が持って帰ったのである。 
 ただの情報が真実に変わった瞬間であり、今まで感じていた嫌な予感が一気に膨れあがる。

 これは、もしかすると、第3階層へ入っていく冒険者達も居るんじゃないだろうか?

 もし、そうなら通常モードだと死者が出るかもしれない…。

〔おい、設定は終わったのか?〕
〔うきゅきゅ~(既に終わりました~)。〕
〔そ、そうか…ちなみに、終わったなら終わったと報告を入れる様に…。〕
〔うきゅ(はい)。〕

 スライムからの返事を聞いた僕は、プリン達に順番待ちの列から離れない様に伝えると、ラオンさんを探す為に駆け出すのであった…。
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