~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神

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~第五章:ダンジョン開拓編~

136ページ目…ダンジョン・オープン記念日【1】

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 その日、メルトの町はお祭りの様になっていた。
 と言うのも、数日前から新しくなったダンジョンに、冒険者ギルド本部から調査団が来て、新しく生まれ変わったダンジョンを調査していたのだ。
 その調査団の中にはAクラスの冒険者達だけではなく、殆ど居ないSクラスの冒険者までいたとの情報があった。

 ちなみに、調査団が今回調査したのは第5層までで、所謂いわゆる、中級者用のダンジョンまでである。
 とは言え、メルトの町のギルドマスターであるラオンさんからの情報もあり、中級までは問題なく進む事が出来たとの事。
 なお、その結果、第4階層の階段…守護者手前までは、冒険者への開放を認められダンジョンへ入る事を許されたのだ。
 更にうれしい情報があり、調査団がダンジョンから持ち帰ったドロップ品も幾つかあり、薬草、毒消し草、回復薬ポーション…等々を持ち帰った情報を公開した為、このダンジョンの有用性を示した事で、お祭り騒ぎとなっていたのだ。

 但し、調査団の報告によると、初心者用の階層は大丈夫だが、中級以上の階層になると、非常に危険なダンジョンとなっている為、メルトの冒険者ギルドの方で許可証…所謂いわゆる免許ライセンスの交付を行い、免許を持たない者には入るのを禁止したとの事だった。

 当然、この免許の交付にはお金が掛かる。
 その為、免許の交付をすればギルドにお金が儲かる様な体制になった。

 僕は、ここで若干の矛盾を感じるのだが、調査団は『中級階層まで問題なく進む事が出来た』と言ってるのに関わらず、非常に危険なダンジョンと言っているのだ。
 もしかすると、リッチの忠告を無視し、第5階層以上…上級ダンジョンまで進んだのかもしれない。

 そもそも、A級以外にもS級が居たのであれば、第7階層まで到着しても可笑しくない。
 むしろ、そこまで進んだ事で、非常に危険なダンジョン…と言ったのかもしれない。
 そして、彼等が非常に危険と言うのであれば、道中で何か問題があったのでは?と思うのは、僕の悪い癖なのだろうか?
 だけど、調査団からもGOサインが出た事で、このダンジョンが本格的に始動する事になる。
 もっとも、まだ第8、第9、第10階層に関しては、ダンジョンポイントDPが足りず未完成なんだけど…ね。

 そんな一般公開していないダンジョンに、僕は足を踏み入れた。
 もちろん、他の人に見られても言い訳が出来る様に、ダンジョンへ入る免許を持って…である。

 僕は、管理者用ダンジョンマスターの転移の指輪を手に填めると、そのまま第5階層へと転移をする。
 そして、そこに設置したガーゴイルの状態を確認チェックする。
 確認した所、そのボディーには、傷は何処にもなかった。
 つまり、完全に壊れて新規で復活したか、もしくは、ここまで来なかったか…の、どちらかだ。

 僕は、リッチに詳しい話を聞く為、階段を抜けて第4階層まで上がってくる。
 すると、店番をしているリッチの方から声を掛けられた。

「あ、これはこれはダンジョンマスター様、お疲れ様です。」

 僕の姿を見掛けたリッチが店の中から出てくる。
 そして、挨拶をしてきたのだが、何か偉い人に言う様な挨拶だな…と思いながらも僕は話を続けた。

「あぁ、お疲れ様、ちょっと聞きたい事があって来たんだけど…今、大丈夫かな?」
「えぇ、まだダンジョンの一般開放がまだなので人が来ない分、こう言っては何ですが暇ですので…。」
「あ~、それに関しては申し訳無い。
 もう少しで開放されるそうだから、悪いんだけど、もう少し我慢してください。
 それで、本題に入りたいんだけど良いかな?」
「えぇ、構いませんよ、それで本題とは?」

 僕が、本題と言ったのが余程気になったのか、リッチが急かす様に聞いてきた。

「そうだな…えっと、ここに調査団が来たよね?」 
「えぇ、魔法戦士の他に、魔導師の方も…確か、召喚魔法を使える冒険者まで居ましたね。」
「えぇ~ッ!?まさか、そんなのまで居たのか…何て言うか、よく無事だったね。」

 想像していたよりも、調査団は凄いメンバーだった様だ。
 まぁ、Sランクの冒険者もいたって話も、もしかしたら本当の話だったかもしれない。

「そうですか?まぁ、確かに最初は攻撃してこようとした見たいですが、私がこの店の店員だと分かったらすぐに剣を納めてくれましたよ?」
「へ~、なら、この店もちゃんと機能しているって事か…。
 それで、その調査団は、中に進んだのか?」
「えぇ、ですが、不思議な事に、すぐに引き返してきましたよ?
 なんでも、攻撃が通らないとか何とかで、今度は調査用ではなく、もっと強力な…殲滅用の装備で来るとか言ってました。」

 流石に調査用とは言え、実力者が揃っていたはずなのに、ダンジョンの壁を利用して作ってあるガーゴイルに攻撃が通らないなどと言う事が、果たして有り得るのだろうか?
 だが、あくまで、本当に調査用の装備だったのなら、そう言う事もあるのかもしれない。

「そっか…邪魔したな、予定では明日のお昼頃からダンジョンが開放されるらしいから、一部の馬鹿がお前に攻撃し掛けてくるかもしれないが、そんなヤツは手加減無しで倒しちゃって良いから、十分、気を付けるんだぞ?」

 まぁ、倒すと言うのは、痛い目にあわせて、お引き取り願う事を指すのだが…。

「畏まりました。」

 リッチは、礼儀正しく僕に頭を下げると再び店の方へと戻っていった。
 僕はリッチが店に戻るのを見届けた後、再び階下の階段を降りていく。
 そして、守護者のガーゴイルへと話し掛ける。

「あのさ、調査団の人達が攻撃を仕掛けたと思うんだが、大丈夫だったか?
 リッチが言うには攻撃が通らなかったって聞いたんだけど…。」
「グルルルル…。」
「あ、そう言えば、ガーゴイルには、喋れるだけの力がなかったか…ちょっと待ってろよ…。」

 僕はそう言うと、無詠唱で〖魔法:擬魂付加フェイクソウル〗を発動させる。
 その魔法を、ガーゴイルは無言で受けていた。
 どうやら、パワーアップするのを理解した様だ。

「そろそろ、しゃべれる様になったと思うんだが…。」

 僕の呟きに反応する様に、ガーゴイルが、ゆっくりとだがしゃべり出す。
 もっとも、まだまだ不完全なのか、片言ではあるのだが…。

「チョウサダン ワカラナイ デモ テキ キタ。
 コウゲキ サレタ ケド ダメージ ナカッタ。」
「ふむふむ、一応、聞いた通りなのか…でも、そんなに良い装甲にした記憶はないんだけどな…。」

 僕は独り言の様に呟いきつつ、ガーゴイルに手を挙げ挨拶すると、第11階層…ダンジョンマスターの部屋へと転移したのだった…。
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